1978年に上演されトニー賞を受賞したアイラ・レヴィンの同名舞台劇の映画化。 新作が酷評され続ける著名な劇作家と学生の殺人計画を描く、監督シドニー・ルメット、主演マイケル・ケイン、クリストファー・リーヴ、ダイアン・キャノン他共演のサスペンス。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:シドニー・ルメット
製作総指揮:ジェイ・プレッソン・アレン
製作:バート・ハリス
原作:アイラ・レヴィン(戯曲)
脚本:ジェイ・プレッソン・アレン
撮影:アンジェイ・バートコウィアク
編集:ジョン・J・フィッルスティーベンス
音楽:ジョニー・マンデル
出演
シドニー・ブリュール:マイケル・ケイン
クリフォード・アンダーソン:クリストファー・リーヴ
マイラ・ブリュール:ダイアン・キャノン
ヘルガ・テンドープ:アイリーン・ワース
ポーター・ミルグリム:ヘンリー・ジョーンズ
シーモア・スタージャー:ジョー・シルヴァー
バート:トニー・ディベネデッロ
アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ
1982年製作 116分
公開
北米:1982年3月19日
日本:1983年9月
北米興行収入 $19,201,890
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ブロードウェイの記録も持つ、著名な劇作家のシドニー・ブリュール(マイケル・ケイン)は、新作の舞台劇を酷評され、何作も続く不振に苛立ちを隠せない。
シドニーは、自分の講義に出席していた学生クリフォード・アンダーソン(クリストファー・リーヴ)から送られてきた、彼の書いた戯曲の出来栄えに嫉妬し、 それを妻マイラ(ダイアン・キャノン)に知らせる。 クリフォードを殺し、作品を自分のものにすることを冗談で考えたシドニーは、次第にそれを現実のものにしようと思い始める。 半信半疑のマイラを尻目に、シドニーは真剣にそれを考え、クリフォードを自宅に呼び寄せることになる。 シドニーとマイラは、訪ねてきたクリフォードを歓迎し、早速、作品”デストラップ/死の罠”のチェックに入ろうとする。 そしてシドニーは、手元に持参した原稿以外には、作品のコピーがないことを知る。 新作の仕上げを、優先させるように見せかけたシドニーを見て、マイラが”デストラップ”への協力をするべきだと横槍を入れる。 クリフォードは、一旦引き上げ原稿のコピーをとって批評家の意見を聞こうともする。 シドニーは、自分の多忙を強調しながら、クリフォードの心を動かそうとして、彼に舞台で使う凶器や小道具の中の手錠を見せる。 手錠に興味を示したクリフォードに、それを試させたシドニーは、その鍵を探すと言いながら銃に手をやる。 不安になったクリフォードは、恋人にこの家の電話番号を知らせたことなどをシドニーに伝えるが、彼はなかなか手錠を外させようとしない。 シドニーはクリフォードに鍵を渡すが、彼を絞殺しコピーを燃やし遺体を野菜畑に埋めてしまう。 動揺したマイラは離婚を切り出し、そこに、近所に住む霊媒のヘルガ・テンドープ(アイリーン・ワース)が現れる。 ヘルガは、家の中の異変と死を招くもの”デストラップ”を感じるが、シドニーはそれは新作で、劇中で人が死ぬからだと答える。 若い男の存在も指摘するヘルガの霊感に、シドニーとマイラは驚く。 その後、眠ろうとしたシドニーとマイラの前に、生きていたクリフォードが現れる。 クリフォードはシドニーを叩きのめし、心臓の悪いマイラはショック死してしまう。 しかし、それは、愛し合っていたシドニーとクリフォードが、邪魔なマイラを消すために仕組んだ罠だったのだ。 秘書ということで、クリフォードと同棲を始めたシドニーは、顧問弁護士ポーター・ミルグリム(ヘンリー・ジョーンズ)の訪問を受ける。 マイラの遺産として、大金を手にしたシドニーだったが、クリフォードが、執筆中の原稿を机にしまい鍵をかけているのを知り、なんとかそれを読もうとする。 クリフォードの隙を見て原稿を読んだシドニーは、内容がマイラの死や、自分達をモデルにしているため激怒する。 動じないクリフォードは、出て行って他所で原稿を書くとシドニーを脅し、舞台を見た観客が、自分達を疑うほどヒットすると豪語する。 シドニーは、マイラの遺した財産が少ないため、印税などの半分を要求し、それに合意したクリフォードと共同で新作”デストラップ”を書くことになる。 ある雨の夜、ヘルガがロウソクを借りに現れ、シドニーに、クリフォードが危険人物だと警告する。 ヘルガが帰った後、シドニーと殺人場面の実演をした二人だったが、”デストラップ”を舞台にするわけにはいかない彼は、実弾入りの銃をクリフォードに向ける。 舞台を成功させねば、今後の生活に困るはずだと、クリフォードはシドニーを説得する。 しかし、シドニーにはマイラの保険金や100万ドルの財産が遺されていたのだった。 仕方なくクリフォードを殺さねばならないシドニーは、涙ながらに引き金を引くが弾が発射されない。 弾を抜いておいたクリフォードは、今度は自分が銃口をシドニーに向ける。 クリフォードは、シドニーの知恵を利用して原稿を仕上げていたことを伝え、彼を手錠で拘束し殺さずにその場を去ろうとする。 しかし、シドニーは手錠を簡単に外し、クロスボウを手にしてクリフォードの背後から矢を射る。 クリフォードは倒れ、証拠を消したシドニーだったが、嵐で停電してしまう。 そこに、シドニーの謀略を知ったヘルガが現れ、ナイフを手にした彼に銃を向ける。 まだ息のあったクリフォードがヘルガを転倒させ、暗闇に中で、彼女とシドニーは揉み合いになる。 その後、クリフォードも加わり殺し合いが始まる・・・。 ・・・という結末の、”ヘルガ・テンドープ作”の”デストラップ”の舞台の幕切れは大喝采を受け、それを見ていたヘルガは大喜びする。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
シドニー・ブリュールは、著名な劇作家ではあるが新作が酷評され続けてショックを受ける。
そんなシドニーは、自分を師と仰ぐ学生のクリフォードの送ってきた原稿の出来の良さに嫉妬する。
クリフォードを殺し、作品を自分のものにしようとしたシドニーは、妻のマイラを巻き込み、殺人計画を実行する。
しかし、それは、シドニーとクリフォードが仕組み、マイラを心臓発作で殺すための謀略だった・・・。
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1978年2月26日にブロードウェイの”ミュージック・ボックス・シアター”で幕を開け、1982年6月13日に”サミュエル・J・フリードマン・シアター”で終演を迎えるまで4年以上もロングランを続けた大ヒット舞台劇。
冒頭とラスト以外は、ほとんど主人公の家の中で展開するストーリーが、10年前に同じくマイケル・ケインが主演した「探偵 スルース」(1972)を髣髴させる、師弟の、ゲームのような争いを描いたミステリーの秀作。
全編に溢れるユーモア感覚と、巧みに練られた主人公達の考える”脚本”、登場人物の特異なキャラクターを生かした、シドニー・ルメットの”鮮やか”な演出手腕も光る、実に小気味好い作品。
主人公達が相手を利用した”泥仕合”を繰り広げた結果の二転三転のどんでん返し、彼らの野望を手に入れてしまう霊媒が、高笑いで締めくくるラストも圧巻だ。
人を食ったような表情や慌てふためく姿、そして殺意を感じる眼差し、真意が読めない人物を見事に表現するマイケル・ケインの、円熟の演技も堪能できる。
*とは言っても、彼はまだ30代だが。
「スーパーマン」(1978)役者が定着してしまったクリストファー・リーヴだが、早々に殺される役の弱々しさから一転、復活して強かさを見せる、なかなかの熱演を見せる。
主人公の妻役のダイアン・キャノン、霊媒のアイリーン・ワースも怪演を見せ、弁護士役でヘンリー・ジョーンズが共演している。