愛する息子を事故で失い心の傷を癒すために海上のヨット上で過ごしていた夫婦に襲い掛かる恐怖を描く、製作ジョージ・ミラー、監督フィリップ・ノイス、主演サム・ニール、ニコール・キッドマン、ビリー・ゼイン他共演のスリラー。 |
・ニコール・キッドマン / Nicole Kidman 作品一覧
■ スタッフ キャスト ■
監督:フィリップ・ノイス
製作
ジョージ・ミラー
ダグ・ミッチェル
テリー・ヘイズ
原作:チャールズ・ウィリアムズ”Dead Calm”
脚本:テリー・ヘイズ
撮影:ディーン・セムラー
編集:リチャード・フランシス=ブルース
音楽:グレーム・レヴェル
出演
ジョン・イングラム:サム・ニール
レイ・イングラム:ニコール・キッドマン
ヒューイ・ワーリナー:ビリー・ゼイン
ラッセル・ベローズ:ロッド・マリナー
ダニー:ジョシュア・ティルデン
医師:ジョージ・シェヴソフ
医師:マイケル・ロング
オルフェウスの女性:リサ・コリンズ
オーストラリア 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ
1989年製作 95分
公開
オーストラリア:1989年5月25日
北米:1989年4月7日
日本:未公開
製作費 $10,000,000
北米興行収入 $7,825,010
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
駅に着いたオーストラリア海軍のジョン・イングラム大佐(サム・ニール)は、妻のレイ(ニコール・キッドマン)が迎えに来ていないことに気づく。
現れた警官から、交通事故でレイが重傷を負い幼い息子が死亡したことを知らされたジョンはショックを受け、病院に急行する。
一命を取り留めたレイは回復するものの、悪夢にうなされる日々が続く。
休養を取りヨット”サラセン”でクルージングに出たジョンとレイは、息子のことを忘れようとする。
3週間目で初めて見る船スクーナーに無線連絡したジョンは、応答がないために気になる。
レイに呼ばれたジョンは、ボートを漕ぐ男が近づいて来ることに気づく。
ヨットに衝突する勢いだ接近し、動揺死ながら乗船したヒューイ・ワーリナー(ビリー・ゼイン)は、自分の船が沈んでしまうとジョンとレイに話す。 6人いた乗員が10日前に死んだと話すヒューイは、死亡者のパスポートを見せる。 猫の食べるサケ缶により、乗員が視覚障害を起こしたことを知ったジョンは、”ボツリヌス菌”の食中毒だと考える ジョンは荷物を取りに行くと言うものの、怯えるヒューイはそれを拒み、休むようにと言われる。 ヒューイが眠っている間に、持参していた航海日誌などを見たジョンは、25年間の海上生活の経験から、彼の言葉が信用できないことをレイに伝える。 ボートを漕いで船の様子を見てくると言うジョンは、銃で用心するようレイに伝えて一人でスクーナーの”オルフェウス”に向かい内部を調べる。 目覚めたヒューイはドアに鍵がかけられていることに気づき、気分が悪いと言ってレイを呼ぶ。 それに答えないレイは、エンジンをかけてオルフェウスに向かう。 水浸しだった船内の奥の部屋から血液が流れだしていることに気づいたジョンは、ドアを開ける。 大量の海水と共に、切断された女性の死体が流れ出す。 慌てて戻って来るジョンを確認したレイだったが、部屋から脱出したヒューイは、彼女を突き飛ばして舵を奪う。 レイに逃げろと言いながらヨットに近づくものの、飛び移ろうとして海に落ちてしまったジョンは、ひとまずボートに戻る。 オルフェウスに戻ったジョンは、遠ざかるサラセンを確認して、エンジンをかけようとうするものの故障していたてめ、船内の海水をポンプでひたすら排出する。 意識を失っていたレイは目覚め、サラセンが航行しヒューイが音楽をかけながら踊っていることに気づき、彼にジョンのことを尋ねる。 自分を信じずに勝手な行動をしたからだと言って船に戻ろうとしないヒューイは、レイを力尽くで黙らせる。 船は沈んだと言うヒューイは、諦めて新たな人生を始めるべきだとレイに伝える。 レイは、乗員が食中毒で死んだのではなかったことに気づき、仲間が自分を殺そうとしたためだと言うヒューイは、それを彼女が信じようとしないために取り乱す。 抵抗することを諦めたレイは、部屋に閉じ篭る。 海水を排出してエンジンを動かしたジョンは、サラセンを追う。 ヒューイが愛犬ベンと遊んでいる隙にレーダーをチャックしたレイは、船が近づいていることを確認し、ジョンと無線で交信して、怪我もなく船も沈みかけていないことを知る。 合図だけでレイに指示をしたジョンは、彼女から船を止めてみせるので追いついてほしいと言われる。 エンジンルームに向いキーを外したレイは、ヒューイに見つかるものの、それを海に投下捨ててしまう。 しかし、ベンが海に飛び込みキーを拾ってきてしまい、それをヒューイが手に入れる。 バスルームに逃げ込んだレイだったが、それ以上、抵抗できなかった。 サラセンを追うジョンは、再び浸水してきたために船底を調べ、そこでも死体を見つける。 嵐が近づき、レイからの連絡を受けたジョンは、船が沈みかけていることを知らせる。 日没までは持つことを知ったレイは、電力が切れたジョンと交信ができなくなる。 動揺するレイを抱きしめたヒューイは、彼女を部屋に連れて行き愛し合う。 トイレに行きたいと言ってヒューイを油断させたレイは、デッキに保管してある銃を組み立てるが、ベンが吠えたために見つかりそうになる。 戻ったレイは、怪しまれないようにするためヒューイと愛し合う。 落雷でマストが折れたため、ジョンは船内に閉じ込められてしまう。 ドリンクを作ったレイは、それに睡眠薬を入れてヒューイに飲ませる。 銃を船内に持ち込もうとしたレイは、嵐になることをヒューイに伝える。 弾を銃に込めたレイはヒューイに見つかってしまい、それを奪われる。 睡眠薬が効いてきたため手元が狂ったヒューイは、レイに抵抗されて逃げられる。 水中銃を持って部屋に逃げ込んだレイは、ドアに向かって撃ち、うめき声と血を確認してその場から出る。 隠れていたヒューイに襲われたレイだったが、彼は意識を失ってしまう。 レイは、水中銃で撃ったのがベンだったことに気づく。 船内から脱出できないジョンは、ポンプで海水を排出するしかなかった。 ヒューイを拘束し、デッキに出て窓などを釘で止めたレイは、エンジンをかけようとするものの、燃料がなかったため、帆を張って舵を取りジョンの船を捜す。 室内の海水で息ができなくなったジョンだったが、その場にあった外に通じるパイプで息をする。 魚が入って来たたためにジョンは、船底の穴を見つけて船外に脱出する。 筏を作り船を離れたジョンは、燃料を撒き火を放って目印にしようとする。 マストに登り周囲を見渡していたレイは、闇夜の中の明かりを見つけて、それがジョンの船だと気づきその場に向かう。 しかし、船は沈み火が消えてしまったために、レイは目標を見失う。 目覚めたヒューイは拘束から逃れるが、水中銃を構えるレイに肩を撃たれ、痛めつけられる。 救命ボートを海面に浮かべたレイは、その上にヒューイを落下させてロープでつなぐ。 ジョンを捜したレイは、筏の上の彼を発見してヨットに乗せる。 夜が明けて、救命ボートを手繰り寄せたジョンとレイは、ヒューイがいないことを確認する。 元のように海上生活を楽しんでいたジョンとレイだったが、生きていたヒューイが彼女に襲い掛かる。 それに気づいたジョンは、発煙筒でヒューイを狙い撃ちする。 顔面にそれを受けたヒューイは、海に落下して死亡する。 ジョンとレイは、海に浮かぶヒューイを見詰める。
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■ 解説 評価 感想 ■
*(簡略ストー リー)
オーストラリア海軍のジョン・イングラム大佐は、事故で幼い息子を失い、立ち直れない妻レイの心を癒すためにヨットでクルージングに出る。
悪夢にうなされるレイを励ますジョンは、数週間を海上で過ごしていたが、停泊するスクーナーからボートで近づいた青年ヒューイを助ける。
乗員が”ボツリヌス菌”の食中毒で死んだと言うヒューイだったが、ジョンは彼の言葉を疑う。
ヒューイが休んでいる間に彼の船を調べたジョンは、何体もの死体を見つけて、慌ててヨットに戻ろうとする。
しかし、レイに襲い掛かったヒューイは、ヨットを奪ってその場から離れる。
仕方なく船に戻ったジョンは、浸水したエンジンを修理して動かし、レイを助けるためにヨットを追うのだが・・・。
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1963年に発表された、チャールズ・ウィリアムズの小説”Dead Calm”を基に製作された作品。
「マッドマックス」シリーズのジョージ・ミラーが製作し、同じオーストラリア人のフィリップ・ノイスが監督、実力派スターのサム・ニール、ニコール・キッドマン、ビリー・ゼイン共演のスリラー。
今ではニコール・キッドマンの主演作のように言われる場合があるが、当時彼女は、まだハリウッド・デビューしていない。
そのニコール・キッドマンの輝くような美しさは注目で、オーストラリア映画の本作を観たトム・クルーズが彼女をハリウッドに招き、「デイズ・オブ・サンダー」(1990)で共演して、その年に結婚したのは有名な話だ。
逃げ場のない海上での恐怖を描く作品なのだが、上記のように、美し過ぎるニコール・キッドマンに気を取られてしまい、殺されるはずもないという雰囲気が漂っているため緊迫感もそれほどない。
主演のサム・ニールは、オーストラリア海軍士官という役柄のため、必ずや難局を脱して妻を助けるだろうという、海の男の頼もしさを感じる。
狂人なのか単なる成り行きの殺人犯か、ビリー・ゼインの存在は今一パンチに欠ける。
殺される船の乗員ロッド・マリ、ジョシュア・ティルデン、リサ・コリンズなどが共演している。