1850年に発表された、チャールズ・ディケンズの小説”デヴィッド・コパフィールド”を基に製作された作品。 両親を亡くしながら周囲の人々に励まされて成長する少年の波乱の人生を描く、製作デヴィッド・O・セルズニック、監督ジョージ・キューカー、出演エドナ・メイ・オリヴァー、ジェシー・ラルフ、フレディ・バーソロミュー、ベイジル・ラスボーン、W・C・フィールズ、ライオネル・バリモア他共演のドラマ。 |
・ドラマ
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジョージ・キューカー
製作:デヴィッド・O・セルズニック
原作:チャールズ・ディケンズ”デヴィッド・コパフィールド”
脚本
ハワード・エスタブルック
レノア・J・コーヒー
撮影:オリヴァー・T・マーシュ
編集:ロバート・J・カーン
音楽
ハーバート・ストサート
ウィリアム・アクスト(クレジットなし)
出演
ベッツィ・トロットウッド:エドナ・メイ・オリヴァー
クララ・コパーフィールド:エリザベス・アラン
クララ・ペゴティ:ジェシー・ラルフ
デヴィッド・コパフィールド (少年期):フレディ・バーソロミュー
ダニエル・ペゴティ:ライオネル・バリモア
ウィルキンス・ミコーバー:W・C・フィールズ
エマ・ミコーバー:ジャン・カデル
エドワード・マードストーン:ベイジル・ラスボーン
ジェーン・マードストーン:ヴァイオレット・ケンブル=クーパー
デヴィッド・コパフィールド (青年期):フランク・ロートン
ウィックフィールド:ルイス・ストーン
ユライア・ヒープ:ローランド・ヤング
アグネス・ウィックフィールド(成長期):マッジ・エヴァンス
アグネス・ウィックフィールド(少女期):マリリン・ノウルデン
御者バーキス:ハーバート・マンディン
ハム・ペゴティ:ジョン・バックラー
グミッジ夫人:ウナ・オコナー
エムリー:フローリン・マッキーニー
クリケット:エルザ・ランチェスター
チリップ医師:ハリー・ベレスフォード
ディック:レノックス・ポール
ジャネット:レニー・ガッド
ジェームズ・スティアフォース:ヒュー・ウィリアムズ
ドーラ・スペンロウ:モーリン・オサリヴァン
牧師:ヒュー・ウォルポール
リティマー:イヴァン・F・シンプソン
メアリーアン:メイベル・コルコード
アメリカ 映画
配給 MGM
1935年製作 130分
公開
北米:1935年1月18日
日本:12935年12月
製作費 $1,073,000
■ アカデミー賞 ■
第8回アカデミー賞
・ノミネート
作品・編集・助監督賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
イングランド。
ベッツィ・トロットウッド(エドナ・メイ・オリヴァー)は、半年前に夫デヴィッドを亡くした妻クララ・コパーフィールド(エリザベス・アラン)の元に向かう。
甥の妻である悲しむクララと話したベッツィは、彼女が産気づき倒れたため、家政婦クララ・ペゴティ(ジェシー・ラルフ)に医師を呼ぶよう指示する。
クララが男の子を出産したことを医師から知らされたベッツィは、女の子だと思い込んでいたいたために憤慨し、その場を去る。
子供はデヴィッドと名付けられ、クララとペゴティの愛を受けて成長する。
8歳になったデヴィッド(フレディ・バーソロミュー)は、母クララが付き合い始めたエドワード・マードストーン(ベイジル・ラスボーン)を好きになれなかった。 ペゴティも、クララがエドワードを再婚相手に選んだことに反対する。 何も知らないまま、ペゴティと共に彼女の兄が住むグレート・ヤーマスに行くことになったデヴィッドは、別れを告げる母に寄り添うエドワードを気にしながら、御者バーキス(ハーバート・マンディン)の馬車で出発する。 ヤーマス。 ペゴティに惹かれていたバーキスは、自分は”その気がある”と彼女に伝えてほしいとデヴィッドに頼む。 兄ダニエル(ライオネル・バリモア)の海辺の家に着いたペゴティは、戻ってきた兄にデヴィッドを紹介する。 デヴィッドは、独身のダニエルが、亡くなった相棒の妻グミッジ夫人(ウナ・オコナー)、亡くなった義弟の娘エムリーと同じく親のいないハムを引き取り住んでいることを知る。 デヴィッドからバーキスの伝言を聞き、自分と結婚したいことを知ったペゴティは、クララとデヴィッドを置いて結婚できないと考える。 ヤーマスで楽しい時を過ごしたデヴィッドは家に戻り、ペゴティから、エドワードが父親になったことを知らされる。 それを受け入れるしかなかったデヴィッドは、エドワードには意地の悪い姉ジェーン(ヴァイオレット・ケンブル=クーパー)がいることを知る。 エドワードとジェーンのプレッシャーに怯え、デヴィッドを守ることができないクララは悲しむ。 思い通りにならないデヴィッドを折檻するエドワードは、彼を部屋に閉じ込める。 その後デヴィッドは、出産で最愛の母クララと弟を亡くし、ペゴティと共に悲しむ。 ペゴティは家を去ることになり、デヴィッドに別れを告げる彼女は、バーキスとの結婚を考えながら旅立つ。 デヴィッドを家に置くつもりのないエドワードは、彼をロンドンで経営するワイン工場で働かせることにする。 ロンドン。 債権者に追われるミコーバーは、彼らから逃れるために屋根裏部屋の窓から家に戻り、デヴィッドを紹介されて話をする。 貧しいが楽天的なミコーバーは、デヴィッドに優しく接する。 ところが、債務不履行で逮捕されたミコーバーは、釈放された後に街を去ることになる。 自分を友人だと思ってくれるミコーバーとの別れを悲しむデヴィッドは、希望を捨てるなと言われ、ドーバーの大伯母ベッツィのことを思いだす。 ミコーバーから、行動するのみだと言われたデヴィッドは、街を去ろうとする、世話になった彼の家族に別れを告げる。 ミコーバーに励まされたデヴィッドは彼らを見送り、ドーバーに向かうために旅立つ。 騙されて所持金と荷物を奪われたデヴィッドは、72マイル(115㎞)先のドーバーに向かい歩き始める。 空腹と夜の恐怖に耐えながらひたすら歩いたデヴィッドは、ようやく大伯母ベッツィの家に着く。 ベッツィに甥だと伝えたデヴィッドは、母を亡くし辛い目に遭ったことを涙しながら伝える。 驚いたベッツィは、同居人である少々、頭の弱いディック(レノックス・ポール)に助言を求める。 ディックから、体を洗うべきだと言われたベッツィは、家政婦のジャネット(レニー・ガッド)にお湯の用意をさせる。 家に置いてもらえるか心配なデヴィッドは、ベッツィからエドワードに相談すると言われ、連れ戻されないことを願う。 ”チャールズ1世”のことを考え頭を悩ませるディックと親交を深めたデヴィッドは、彼の作った大凧を飛ばして楽しむ。 訪ねて来たエドワードとジェーンと話したベッツィは、デヴィッドから引き渡さないでほしいと言われ、ディックの意見を聞く。 ディックから、デヴィッドが着る大人の服の採寸をするべきだと言われたベッツィは、適切な意見だと思い、デヴィッドを引き取ることを決める。 エドワードとジェーンがクララを苦しめたことを知るベッツィは、二人を痛烈に批判して追い払いデヴィッドを抱きしめる。 デヴィッドを甘やかす気のないベッツィは、教育を受けさせるためカンタベリーの学校に通わせようとする。 ベッツィの友人であり顧問弁護士のウィックフィールド(ルイス・ストーン)の家に下宿することになったデヴィッドは、カンタベリーに向かう。 ウィックフィールドの幼い娘アグネス(マリリン・ノウルデン)は、母親を亡くしたものの父を想う優しい子供で、デヴィッドとも仲良しになった。 デヴィッドは、ウィックフィールドの秘書ユライア・ヒープ(ローランド・ヤング)が、ウィックフィールドのことを尊敬し感謝していることを知るが、風変わりな彼の言動が気になる。 時は流れ、学校を卒業したデヴィッド(フランク・ロートン)は、親友のジェームズ・スティアフォース(ヒュー・ウィリアムズ)のことをアグネス(マッジ・エヴァンス)に話す。 ロンドンでスティアファースに会い、その後ヤーマスのペゴティを訪ねる予定のデヴィッドは、作家になる夢をアグネスに語るものの、自分に惹かれている彼女の気持ちに気づかない。 衰えたウィックフィールドのことを心配するヒープを、デヴィッドは警戒する。 訪ねて来たミコーバーとの再会を喜ぶデヴィッドは、未だに生活苦だと言う彼に現金を渡し感謝される。 ヒープに雇われることになったミコーバーは、妻のエマと共に旅立つデヴィッドを見送る。 ベッツィとアグネスに別れを告げたデヴィッドは、馬車で出発する。 ロンドン。 スティアファースの機転でドーラと話すことができたデヴィッドは、家に訪問したいことを彼女に伝える。 ヤーマス。 美しく成長したエムリー(フローリン・マッキーニー)が、ハムと結婚することを知ったデヴィッドは喜ぶ。 パゴティと再会したデヴィッドは、亡くなったバーキスの話をして死を悼む。 スティアファースをパゴティに紹介したデヴィッドは、皆と共にハムとエムリーを祝福する。 ところが、エムリーはスティアファースに惹かれてしまう。 その場で数週間を過ごしたデヴィッドは、毎日のようにドーラに手紙を出していた。 船乗りになったスティアファースは、ハムとエムリーと共に旅立つ。 その後、ハムから、エムリーがスティアファースと駆け落ちしたことを知らされたデヴィッドは驚き、彼女からの手紙を読む。 エミリーの相手がスティアファースだと知ったダニエルは憤慨し、彼を捜して懲らしめようとする。 しかし、グミッジ夫人に説得されたダニエルは、エムリーを許すが必ず見つけ出すことを誓う。 カンタベリー。 デヴィッドの本の内容の女性がアグネスだと考えるベッツィは、大切な話があるという彼は、アグネスに求婚すると考える。 デヴィッドへの気持ちを隠していたアグネスは、期待に胸膨らませる。 そこに現れたデヴィッドから、ドーラという女性に恋をしたことを知らされたベッツィは驚き、アグネスはショックを受ける。 納得いかないベッツィを制止したアグネスは、デヴィッドの幸せを考えて彼を祝福する。 ミコーバーから、ヒープが法律事務所の共同経営者になったことを知らされたデヴィッドは、体や思考能力が弱っているウィックフィールドをヒープが操っていることに気づく。 アグネスを含め、自分からすべてを奪おうとするヒープの魂胆を見抜いていたウィックフィールドだったが、どうすることもできなかった。 ヒープを痛烈に非難するデヴィッドだったが、相手は強かだった。 その後、ドーラと結婚して新居に引っ越したデヴィッドは、愛犬ジップばかり可愛がる彼女が、家計簿もまともにつけられず、主婦業に向いていないことを知り失望する。 ベッツィとディックを招き食事をすることになったデヴィッドは、ドーラがまともな食事の準備もできないために憤慨する。 謝罪するドーラを許したデヴィッドは、彼女のためにペゴティを呼び寄せることを考える。 デヴィッドの執筆を手伝おうとしたドーラは、気分が悪くなり、病で倒れた彼女は静養することになる。 呼び寄せたペゴティにドーラの看病をしてもらったデヴィッドは、訪ねて来たダニエルと話す。 ナポリでスティアファースに捨てられたエムリーは自殺を図り、閉じ込められた部屋から海岸に脱出し、倒れているところを女性に助けられたことを、ダニエルはデヴィッドに話す。 ハムのことが心配なダニエルは、エムリーが慕っていると彼に伝えてほしいとデヴィッドに頼む。 謝罪と別れの言葉を伝えることも頼まれたデヴィッドは、明朝、馬車でヤーマスに向かうことをダニエルに約束する。 嵐の中ヤーマスに着いたデヴィッドは、外国船が難破しかけ、ハムが助けに行ったことを知る。 泳いで沖に向かったハムは、船に乗っているスティアファースに気づき、波にさらわれて海に落ちる。 デヴィッドは、浜辺に引き上げられたハムとスティアファースの死を確認する。 回復したドーラを家に連れ帰ったデヴィッドは、チリップ医師(ハリー・ベレスフォード)から、彼女は完治しないことを知らされる。 その後、様態が悪化したドーラは、妻として失格だったことをデヴィッドに伝えて謝罪する。 ドーラを励ますデヴィッドはアグネスと話したいと言われ、その後、彼女は息を引き取る。 1年後。 共同経営者ではなく事務所の乗っ取りを考えていたヒープを許せないデヴィッドは、ミコーバーとベッツィに協力を求める。 一時は魂を売ったものの正義感があるミコーバーは、ヒープの悪事を暴露する。 ヒープにウィックフィールドとの共同経営権を放棄させたデヴィッドは、奪った財産も取り返そうとする。 それを拒むヒープは警察を呼ぶと言われたため、仕方なく指示に従いその場を去る。 数日後、旅先でアグネスへの愛に気づいたことを彼女に伝えたデヴィッドは、そのために帰国したことを話す。 アグネスは、ドーラとの最後の会話で、自分の代わりになってほしいと言われたとデヴィッドに伝え、彼に愛を告げる。 その様子を見ていたベッツィとディックは満足する。
...全てを見る(結末あり)
甥のハム(ジョン・バックラー)が迎えに来ていることに気づいたペゴティは、彼との再会を喜ぶ。
下宿先のウィルキンス・ミコーバー(W・C・フィールズ)の家に向かったデヴィッドは、彼の妻エマ(ジャン・カデル)と家政婦のクリケット(エルザ・ランチェスター)に迎えられる。
バレエが上演される劇場でスティアファースと再会したデヴィッドは、伯母二人と隣りの席にいた女性ドーラ・スペンロウ(モーリン・オサリヴァン)に惹かれる。
ペゴティ家を訪ねたデヴィッドとスティアファースは、ダニエルらに歓迎される。
ベッツィは、最初の本が出版されたことを知らせるデヴィッドからの手紙を受け取り、ウィックフィールド家に呼ばれる。
大陸を旅していたデヴィッドは、ミコーバーから事務所の問題を伝える手紙を受けとり帰国する。
*(簡略ストー リー)
最愛の母を亡くした少年デヴィッド・コパフィールドは、義父エドワードの指示でロンドンのワイン工場で働くことになる。
優しくしてくれた下宿先のミコーバーが街を去ることになり、自分も大伯母ベッツィの家に向かおうとしたデヴィッドは、100km以上離れたドーバーまで歩いて行くことにする。
何とかベッツィの家にたどり着いたデヴィッドは、彼女の世話になり、カンタベリーで教育を受けることになる・・・。
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チャールズ・ディケンズの原作を基にデヴィッド・O・セルズニックが製作し、デビュー後、着実にキャリアを重ねていたジョージ・キューカーが監督した作品。
恵まれない環境下で育つ少年の苦悩と成長を描く、チャールズ・ディケンズの原作らしい人間味あふれる内容に加え、多彩な登場人物の個性を活かした、若きジョージ・キューカーの演出手腕が光る作品。
とりわけ、厳しいものの、人間味のある主人公の大伯母を印象的に演ずるエドナ・メイ・オリヴァー、主人公の少年時代を演ずるフレディ・バーソロミューの好演と、彼に優しく接する、貧しいながらも紳士を気取るW・C・フィールズの味のある演技は注目だ。
また、女性表現で定評があるジョージ・キューカーによる、様々なタイプの女性の描写が非常に興味深い。
第8回アカデミー賞では、作品、編集、助監督賞にノミネートされた。
本作のタイトル及び主人公の名前は、マジシャンのデヴィッド・カッパーフィールドの芸名の由来になったことでも知られている。
主人公を愛する母親エリザベス・アラン、その乳母兼家政婦で主人公のために尽くすジェシー・ラルフ、その兄で人情味があるライオネル・バリモア、ミコーバー(W・C・フィールズ)の妻ジャン・カデル、主人公を嫌う義父ベイジル・ラスボーン、意地の悪いその姉ヴァイオレット・ケンブル=クーパー、主人公の青年期フランク・ロートン、主人公を下宿させる法律事務所の経営者ルイス・ストーン、主人公を愛するその娘マッジ・エヴァンス、その少女期マリリン・ノウルデン、法律事務所を乗っ取ろうとするローランド・ヤング、主人公の大伯母の同居人レノックス・ポール、家政婦のレニー・ガッド、主人公の乳母パゴティ(ジェシー・ラルフ)と結婚する御者ハーバート・マンディン、パゴティの甥ジョン・バックラー、彼の婚約者フローリン・マッキーニー、その家族と暮らす夫人ウナ・オコナー、ミコーバー家の家政婦エルザ・ランチェスター、医師のハリー・ベレスフォード、主人公の親友ヒュー・ウィリアムズ、主人公と結婚するモーリン・オサリヴァン、牧師のヒュー・ウォルポール、他イヴァン・F・シンプソン、メイベル・コルコードなどが共演している。