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娼婦ベロニカ Dangerous Beauty (1998)

16世紀のヴェネツィアを舞台に、高級娼婦”クルチザンヌ”として生き抜く決心をした女性ベロニカ・フランコの生き様と愛を描く、製作、監督マーシャル・ハースコビッツ、主演キャサリン・マコーマックルーファス・シーウェルオリヴァー・プラットフレッド・ウォードジャクリーン・ビセット他共演のドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(ロマンス)


スタッフ キャスト
監督:マーシャル・ハースコビッツ

製作
マーシャル・ハースコビッツ
エドワード・ズウィック
アーノン・ミルチャン
サラ・キャプラン
製作総指揮
マイケル・ナサンソン
ステファン・ランドール
原作:マーガレット・ローゼンタール”The Honest Courtesan
脚本:ジェニーン・ドミニー
撮影:ボジャン・バゼリ
編集
スティーヴン・ローゼンブラム
アーサー・コバーン
音楽:ジョージ・フェントン

出演
ベロニカ・フランコキャサリン・マコーマック
マルコ・ベニエ:ルーファス・シーウェル
マフィオ・ベニエ:オリヴァー・プラット
ドメニコ・ベニエ:フレッド・ウォード
パオラ・フランコ:ジャクリーン・ビセット
ベアトリーチェ・ベニエ:モイラ・ケリー
ジュリア・デ・レッゼ:ナオミ・ワッツ
ピエトロ・ベニエー:ジェローン・クラッベ
ローラ・ベニエ:ジョアンナ・キャシディ
リヴィア:メリーナ・カナカレデス
セラフィーノ・フランコ:ダニエル・ラペーン
エレナ・フランコ:ジャスティン・ミセリ
アンリ3世ジェーク・ウェバー
ヴェネツィア総督:ピーター・アイア
ランベルティ国防大臣:サイモン・ダットン
デ・ラ・トーレ枢機卿:マイケル・カルキン
修道士:ティム・マクマラン

アメリカ 映画
配給
ワーナー・ブラザーズ(北米)
20世紀FOX(世界)
1998年製作 112分
公開
北米:1998年2月20日
日本:1999年10月23日
製作費 $8,000,000
北米興行収入 $4,553,270


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
16世紀、ヴェネツィア
女性が男性の所有物であった時代、ベロニカ・フランコキャサリン・マコーマック)は、友人ベアトリーチェ・ベニエ(モイラ・ケリー)の兄である、ローマから戻ったマルコ(ルーファス・シーウェル)に惹かれていた。

身分違いと知りながら、ベロニカはマルコを愛した。

ヴェネツィアの男達は皆、街の華である”クルチザンヌ”(高級娼婦)のリヴィア(メリーナ・カナカレデス)らに夢中だった。

ベロニカに声をかけて優しく接するマルコは、両親ピエトロ(ジェローン・クラッベ)とローラ(ジョアンナ・キャシディ)に迎えられる。

その後、母パオラ(ジャクリーン・ビセット)から、結婚は単なる契約だと言われたベロニカは、それを気にせずに自分に会いに来たマルコの元に向かう。

マルコと付き合うベロニカのおかげで、兄セラフィーノは良縁で自分が出世できると思うが、姉のエレナ(ジャスティン・ミセリ)は、寝たら捨てられると考える。
...全てを見る(結末あり)

パオラは、結婚には莫大な持参金が必要だと二人に伝える。

運河で語り合うマルコとベロニカは、愛を確かめる。

ベアトリーチェとロレンツォの結婚式の日、彼女とマルコのいとこマフィオ(オリヴァー・プラット)が、二人を祝福する。

式に招待されたベロニカは、ベアトリーチェと中年のロレンツォが結婚することが理解できず、マルコから、ロレンツォが総督(ピーター・アイア)のいとこで、ローマ法王の親友だと言われても納得できない。

父ピエトロから、ベロニカとは本気になるなと言われたマルコは、名家の娘でなければ結婚できないとベロニカに伝える。

それが理解できないベロニカに、政治的な問題だと話すマルコだったが、彼女はその場を去る。

帰宅して涙するベロニカに、結婚は契約で国同士の条約と同じだと話すパオラは、マルコも愛のない結婚をしなければならないことを理解するべきだと伝える。

マルコを手に入れる方法はあると言うパオラは、クルチザンヌになることを提案して、かつて高級娼婦だった自分の過去を話す。

それを初めて知り驚くベロニカは、家計を支えるようにとまで言われ、修道女になった方がましだとパオラに伝える。

経験してみればいいと言われたベロニカは、修道院に向かうもののその場から逃げだし、パオラの指示に従うしかなかった。

気乗りしないベロニカだったが、パオラから、クルチザンヌが単なる売春婦ではなく教養人であると言われ、図書館に連れて行かれる。

パオラと共に男を観察したベロニカは、母からあらゆることを学ぶ。

ある夜、パオラから国防大臣のランベルティ(サイモン・ダットン)を紹介されたベロニカは、総督の宴に向かう。

伯父のドメニコ(フレッド・ウォード)とマフィオと共にその場にいたマルコは、”変貌”したベロニカに気づき話しかける。

一人の男としマルコと接したベロニカは、彼から詩人として皆に紹介される。

戸惑いながらも即興詩の朗読をしたベロニカは、マフィオもそれに加わり出席者に大いに受ける。

ランベルティと寝室に向かったベロニカは、緊張しながらも愛し合う喜びを感じる。

大金を手に入れたベロニカは、次のお客のために準備をする。

その後、ベロニカは誰もが注目するクルチザンヌとなり、マルコに迫られるものの相手にしない。

このままの関係を続けたい考えのベロニカに、傷つけたことを後悔していると伝えたマルコだったが、彼女の考えは変わらなかった。

ピエトロから、両家の子女ジュリア・デ・レッゼ(ナオミ・ワッツ)との結婚を勧められたマルコは、恋をしていることをドメニコに気づかれる。

酔ったマルコから結婚することを知らされたベロニカは、相手に対する愛が彼にはないことを確認する。

その後、マルコはジュリアと結婚する。

詩集を出版したベロニカは、嫉妬する酔ったマフィオに侮辱され、それを取り消させるために彼と剣を交える。

二人が本気だと知り制止しようとしたマルコは、マフィオがベロニカを殴ったために、彼を叩きのめす。

手当てされているベロニカの元に向かったマルコは、彼女と愛し合う。

傷ついたマフィオは、修道士(ティム・マクマラン)から、欲望を捨てれば神が癒してくれると言われる。

マルコに愛を誓うことはできないベロニカは、家族を養わなくてはならないと言って、彼の援助の申し出を断る。

自分を愛しているなら他の男とは寝るなと言われたベロニカは、妻の元に戻るようにとマルコに伝える。

家に戻ったマルコに、悩みでもあるのかと尋ねたジュリアは、なぜだと訊かれて、よい妻になるとだけ答える。

デ・ラ・トーレ枢機卿(マイケル・カルキン)の相手をしていたベロニカは、外の騒ぎに気づく。

オスマン帝国の艦隊が迫ったことを知ったマルコは、今後の情勢に不安を感じる。

マルコがベロニカのことを思っていることを気にするピエトロは、息子から、結婚は無意味であり愛はないと言われる。

寝ることしかできないと言うベロニカに対しマルコは、妻への愛はない、戦争から生還して君と生きると伝える。

娼婦をやめてマルコと生きることを決めたベロニカは、パオラから、男を愛せば捨てられると言われるものの、彼の元に向かう。

その後、ベロニカとマルコは、満ち足りた日々を過ごす。

ヴェネツィアフランスアンリ3世ジェーク・ウェバー)を迎えて、オスマン帝国側の動きについて協議される。

しかし、クルチザンヌに興味を持った国王は、詩人だと言うベロニカを呼び寝室に向かい、彼女はヴェネツィアのためにそれに従う。

満足した国王は、艦隊を出すことをヴェネツィアに約束する。

ベロニカはその功績を称えられるものの、マルコは当然、不満だった。

耐えられない屈辱だと言うマルコは、ベロニカの元を去り戦地に向かう。

ベアトリーチェに呼ばれたベロニカは、戦地で戦う客達の妻から戦況を訊かれ、ジュリアに侮辱されるものの、マルコは無事だと伝える。

その場を去ったベロニカは、ベアトリーチェから、娘をクルチザンヌにすると言われるものの、高級娼婦だったリヴィアのみじめな姿を見ながら哀れに思う。

報われない女の一生を語るベアトリーチェの話を聞くベロニカは、身につまされる思いだった。

その後、ヴェネツィアは光を失いペストが蔓延し、人々の心はすさみ、娼婦を追い出そうとする運動が起きる。

戦地から戻ったマルコはベロニカの元に向かい、彼女に謝罪する。

パオラはペストで亡くなり、ベロニカは宗教裁判にかけられることになり投獄される。

総督と話したマルコは、国を救ったベロニカに対する仕打ちを批判するものの、聞き入れてもらえなかった。

裁判は始まり、妖術使いの罪を問われたベロニカは、真実を話し悔い改めれば、教会は再び受け入れると言われる。

審問官のマフィオから、何人、男を騙したと言われたベロニカは、それを否定して、この世では実現しない愛の夢を与えたと伝える。

ベロニカを責めるマフィオの態度に我慢できない評議員のマルコは、中傷であり嫉妬してていると意見するものの、司祭に制止される。

自分もベロニカに誘惑されたと話すマフィオは、今は神に救われてこの場にいると言って、彼女は妖術で男を誘惑したと伝える。

自分の心を与えたと言うベロニカは、生きる手段であり、結婚できなかった女にどんな生き方があると思うのかと問う。

質問に答える必要はないと言い興奮するベロニカに、マフィオは、この女の行動が神の怒りを招いたと決めつけ判決を求める。

翌日、判決が下ることになり、牢獄に戻ったベロニカは、現れたマルコから、罪を認めるようにと言われる。

それを拒まれたマルコは、ベロニカの元を去る。

翌日、罪を認めたベロニカは、持参金が足りずに愛する男性と結婚できず、母に娼婦としての生き方を教わり、それを受け入れるしかなかったと話す。

マフィオから、妖術使いの告白ではないと言われたベロニカは、妻としての役目より娼婦を選んだと伝える。

あくまで妖術の告白にこだわるマフィオだったが、被告は法による慈悲を求める権利があると言うマルコは、審問を総督に求める。

告白を聞くべきだと言う総督の意見に従い話し始めたベロニカは、情熱に陶酔することこそが祈りであり、今でも恋人の唇と抱擁の感触を求めると伝える。

ベアトリーチェから命乞いをするようにと言われたベロニカは、恋人との夢の世界を語る。

恋人がいなければ自分の人生もなかったというベロニカは、男の中には女を蔑視し所有物とみなす者もいると伝える。

罪を認めるか訊かれたベロニカは、生きる道であった娼婦だったことに後悔はないと言うものの、妖術使いと判断される。

共犯者だと告白したマルコは、ベロニカなしでは生きられないと伝える。

立ち上がったベアトリーチェは、ヴェネツィアの女は皆、妖術使いだと発言する。

マルコは、ベロニカと関係したすべての者達に対し、共犯者だったと神の前で告白すべきだと伝える。

共犯者の名前を言えば許すと言われたベロニカは、いないと答える。

マルコに促された男達は、共犯者であることを認めて立ち上がる。

デ・ラ・トーレ枢機卿も共犯者だと知った司教は、彼から裁判を疑問視され、総督からは、娼婦を裁けば宗教裁判の名が汚れるのでヴェネツィアが裁くことを提案される。

司祭は、本件をヴェネツィアに託すことを伝えて閉廷し、ベロニカに駆け寄ったマルコは彼女を抱きしめる。
__________

クルチザンヌの時代は終わり、ベロニカ・フランコは自宅を宗教裁判の犠牲者に開放し、生涯、愛するマルコ・ベニエと暮らした。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
16世紀、ヴェネツィア
女性が男性の所有物であった時代、ベロニカ・フランコは貴族のマルコと愛し合っていたものの、身分の違いを理由に別れる。
母パオラからマルコを手に入れられる方法があると言われたベロニカは、”クルチザンヌ”(高級娼婦)になることを提案される。
家計を助ける必要もあるベロニカは、実は高級娼婦だったパオラからすべてを教わり、クルチザンヌになる決心をするのだが・・・。
__________

1992年に発表された、マーガレット・ローゼンタールの著書”The Honest Courtesan”を基に製作された作品。

16世紀のヴェネツィアを舞台に、高級娼婦”クルチザンヌ”として生き抜く決心をした女性ベロニカ・フランコの生き様と愛を描くドラマ。

男尊女卑の時代、女性が地位を築くための一つの手段だった高級娼婦”クルチザンヌ”として一生を捧げる決心をしたヒロインと、彼女を諦めきれない貴族の男性の愛の姿が、美しいヴェネツィアの情景と共に華麗に描かれた作品。

身分の低い女性が、高級娼婦となることで教養を身につけることや特権階級との接触が許された、当時の社会情勢などが実に興味深い。

主演のキャサリン・マコーマックは、身分の低い女性が社会で認められる唯一の方法だった、教養ある高級娼婦の世界で生きる決心をした美しきベロニカ・フランコを好演している。

主人公を愛する貴族を熱演するルーファス・シーウェル、彼のいとこであり、主人公に嫉妬し、神の道に身を捧げるオリヴァー・プラット、彼らの伯父であるフレッド・ウォード、主人公の母親であり、元高級娼婦として娘にすべてを教えるジャクリーン・ビセット、マルコ(ルーファス・シーウェル)の妹である主人公の親友モイラ・ケリー、マルコと結婚する女池の子女ナオミ・ワッツ、マルコの両親ジェローン・クラッベジョアンナ・キャシディヴェネツィアの華である高級娼婦メリーナ・カナカレデス、主人公の兄ダニエル・ラペーン、妹のジャスティン・ミセリアンリ3世ジェーク・ウェバーヴェネツィア総督のピーター・アイア、国防大臣のサイモン・ダットン、枢機卿のマイケル・カルキン、修道士のティム・マクマランなどが共演している。


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