妻が倒れショックを受けた父親を仕事一筋の息子が献身的に介護する姿を家族の絆と共に描く、製作総指揮スティーヴン・スピルバーグ、ジャック・レモン、テッド・ダンソン、オリンピア・デュカキス、キャシー・ベイカー、ケヴィン・スペイシー、イーサン・ホーク共演、製作、監督、脚本ゲイリー・デイヴィッド・ゴールドバーグによるヒューマン・ドラマ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ゲイリー・デイヴィッド・ゴールドバーグ
製作総指揮
スティーヴン・スピルバーグ
フランク・マーシャル
キャスリーン・ケネディ
製作
ゲイリー・デイヴィッド・ゴールドバーグ
ジョセフ・スターン
原作:ウィリアム・ワートン”Dad”
脚本:ゲイリー・デイヴィッド・ゴールドバーグ
撮影:ジャン・キーサー
編集:エリック・A・シアーズ
音楽:ジェームズ・ホーナー
出演
ジェイク・トレモント:ジャック・レモン
ジョン・トレモント:テッド・ダンソン
ベティ・トレモント:オリンピア・デュカキス
アニー・トレモント:キャシー・ベイカー
マリオ:ケヴィン・スペイシー
ビリー・トレモント:イーサン・ホーク
サンタナ医師:J・T・ウォルシュ
チャド医師:ゼイクス・モカエ
エスリッジ医長:ピーター・マイケル・ゴーツ
ジェイク・トレモント(若年期):クリス・レモン
アメリカ 映画
配給 ユニバーサル・ピクチャーズ
1989年製作 117分
公開
北米:1989年10月27日
日本:1990年4月20日
製作費 $19,000,000
北米興行収入 $19,738,020
世界 $27,503,040
■ アカデミー賞 ■
第62回アカデミー賞
・ノミネート
メイクアップ賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ロサンゼルス。
衰えの見え始める夫ジェイク・トレモント(ジャック・レモン)の面倒を見ていたベティ(オリンピア・デュカキス)は、彼と買物中に心臓発作を起こす。
ニューヨーク。
何よりも仕事を優先するビジネスマンでジェイクの息子ジョンは、会議中に妹アニー(キャシー・ベイカー)からの連絡を受ける。
母ベティが倒れたことを知ったジョンは、即ロサンゼルスに飛び、アニーの夫マリオ(ケヴィン・スペイシー)に迎えられる。
病院のベティを見舞ったジョンは、気の強い母が、自分の体よりもジェイクを心配することを気にする。 実家に向かい、アニーからジェイクの様子を聞いたジョンは、ショックを受けている父が、急激に老け込んだことに気づく。 数日で帰る予定のジョンは、アニーと話合い独りにしておけないジェイクの面倒を見る者を雇うことを考える。 その後、パジャマもまともに着れないジェイクが心配になり、ジョンは彼と同じ部屋で寝る。 翌朝ジョンは、ベティが心臓発作を起こし、今後は無理をさせられないことをジェイクに伝える。 家のことは何も分からないジョンだったが、ジェイクと共に工夫して家事をこなし楽しい時を過ごす。 見違えるようになったジェイクは、ようやくベティとの面会を許され、ジョンは父を連れてアニーとマリオが待つ病院に向かう。 ジェイクの様子に驚くアニーは、家政婦が見つかりそうだとジョンに伝えるが、彼は、母が退院するまで自分が父の面倒を見ることを伝える。 久し振りに夫に会ったベティは、相変わらずジェイクの世話を焼く。 その後、ジョンの仕事で支社に向かったジェイクは、会議に同席することになる。 ジョンの仕事が、赤字の会社を買収して解体することだと知ったジェイクは、時代が変わったことを知る。 運転免許が切れていたジェイクは、ジョンの付き添いでそれを更新する。 数日後、離婚した妻と暮らすジョンの息子で、大学を休学してメキシコに滞在するビリー(イーサン・ホーク)が現れる。 やがてベティは退院し、家族に迎えられて幸せを実感する。 そんな時、ジェイクの血尿を心配したジョンは、サンタナ医師(J・T・ウォルシュ)の診察を受けさせ、膀胱の異常を確かめるための手術を受けることになる。 ベティもそれを知り心配するが、結果は癌だと診断され、ジョンは、それを父には秘密にするようにとサンタナに頼む。 ジェイクの容態が気になるベティは、病院に行くと言ってジョンらの制止も聞こうとしない。 仕方なくベティを伴い病院に向かったジョンだったが、取り乱すジェイクを見て、サンタナが癌であることを伝えたことを知る。 エスリッジ医長(ピーター・マイケル・ゴーツ)に、サンタナの対応について不満を訴えたジョンは、塞ぎ込み症状が悪化する一方のジェイクを退院させると言う病院側に怒りが収まらない。 憤慨したジョンはジェイクを自宅に連れて帰り、手伝うと言うビリーの力も借りようとしない。 母ベティはアニーとマリオが面倒を見ることになり、ジョンは衰えゆく父を前に今後を考え苦悩する。 恐怖に怯えるジェイクはショック状態が続き、ジョンは仕方なく彼を再入院させる。 事情を知ったエスリッジ医長は、ジョンにチャド医師(ゼイクス・モカエ)を紹介して診察させる。 チャドを信頼したジョンは、ジェイクの病室に寝泊まることを決める。 ジェイクの症状が変わらないまま、献身的な介護を続けるジョンは、諦めることも考えるべきだと言うアニーに、息子としての務めを果たすことを伝える。 突き放したビリーが、街に滞在したまま、祖父を毎日、見舞っていたことを知ったジョンは、帰ろうとする息子を抱きしめる。 そんなある日の朝、ジェイクは意識を取り戻し、以前のようにジョンに話しかける。 チャドは、癌を告知されたショックで一部停止した脳の機能が、医薬の組み合わせで回復したと判断する。 ジョンの献身と愛によるものだと、チャド付け加える。 退院したジェイクは、劇的に回復して家族を喜ばせる。 同時に、はしゃぎ過ぎるジェイクの言動がおかしいことを、ベティはジョンに伝える。 ジョンを海岸までドライブに誘ったジェイクは、自分が妻と4人の子供とでニュージャージーの牧場に住み、それも一つの現実だと伝える。 ジェイクは、20年前から成功精神分裂症であったが、今回の病気で、喜びを感じる世界が現実に現れたとジョンは精神科医に言われる。 ベティがそれを受け入れなければ、ジェイクは再び殻にと閉じ篭るとも指摘される。 その後、ジェイクの行動はエスカレートし、近所に挨拶して回り子供達を預かり、日本や外国の文化に触れようとしたりもする。 ところが、ベティはそれに我慢できずに取り乱し、そのことを非難するジョンを殴ってしまう。 ジェイクは、家族の争いを見て悲しみ、ベティは彼の気持ちを理解しようと努める。 チャド医師から、癌の再発と余命短いことを知らされたジェイクとジョンは、現実を受け入れるしかなかった。 父親としてすべきことをしてきていないジョンは、ビリーと本音で語り合おうとする。 入院したジェイクを見舞ったジョンは、昔話をする彼にいい父親だったことを伝えて寄り添う。 その後ジェイクは亡くなり、葬儀を済ませたジョンとビリーは、ジェイクの好きだった温室で、彼に別れの言葉を捧げる。 そしてジョンは、家族に別れを告げてニューヨークに旅立つ。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
ロサンゼルス。
衰えの見え始めたジェイク・トレモントは、妻のベティが心臓発作で倒れショックを受ける。
ニューヨークで、仕事一筋の毎日を送るエリート・ビジネスマン、ジョンは、母ベティが倒れたことを知り実家に向かう。
ジョンは、妻ベティがいないと何もできない父親ジェイクが、急激に老け込んだことに驚く。
ジェイクのことが心配になったジョンは、数日で帰る予定を変更し、父の面倒を見ることを妹のアニーに伝える。
ジョンは、親子で協力し合い、工夫をして家事をこなし、ジェイクも見違えるほど元気になる。
その後、ベティは退院するのだが、ジェイクが悪性の癌だと分かり、それを知った彼はショック状態になる。
ジョンは、医師の対処を不満に思いジェイクを退院させるものの、自宅では手に負えず再入院させ、献身的な介護を続ける・・・。
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1981年に発表された、ウィリアム・ワートンの小説”Dad”を基に製作された作品。
スティーヴン・スピルバーグ、フランク・マーシャル、キャスリーン・ケネディ夫妻、ゴールデン・コンビによる製作が話題にもなった、豪華スター競演の感動作。
家族の介護の問題を、父親として失格だと考える男性が、親に対してどれだけ献身的心の支えになれるかを、深く考えさせられる作品。
よくある、衰えゆく老人がいったん回復するものの・・という単純な内容ではなく、何十年もの間、主人公には、隠された精神的病があったというストーリーが実に興味深い。
それを描写する、謎として冒頭から挿入されるシーンが、終盤で生かされている。
主人公の妻が退院し、家族が食卓を囲んだ際の、出演者の豪華な顔ぶれは注目だ。
ジェームズ・ホーナーの美しい音楽も心地よい。
第62回アカデミー賞ではメイクアップ賞にノミネートされた。
撮影当時60代半ばだったジャック・レモンは、病で苦しむ老人の迫真の演技に加え、彼らしいユーモラスなシーンでも楽しませてくれる。
同じく、夫の人生を支配する傾向にある妻、まだ50代であったオリンピア・デュカキスの老け役も素晴らしい。
その息子、父親への献身的な介護で、新たな人生を知ることになるテッド・ダンソン、その妹キャシー・ベイカー、夫役ケヴィン・スペイシー、孫イーサン・ホーク、医師のJ・T・ウォルシュとゼイクス・モカエ、医長のピーター・マイケル・ゴーツ、主人公が想い描く喜びのシーンで若年期の彼を演ずるのは、ジャック・レモンの実の息子クリス・レモン。