中国人作家ワン・ドウルーが1938-1942年にかけて発表した5部作からなる小説の4作目”Crouching Tiger, Hidden Dragon”を基に製作された作品。 名剣”青冥剣/グリーン・デスティニー”をめぐる物語を美しく壮大な映像美で描く、製作、監督アン・リー、主演チョウ・ユンファ、ミシェル・ヨー、チャン・ツィイー、チャン・チェン他共演のファンタジー・アクションの秀作。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:アン・リー
製作総指揮
ジェームズ・シェイマス
デヴィッド・リンデ
製作
シュー・リーコン
ウイリアム・コン
アン・リー
原作:ワン・ドウルー”Crouching Tiger, Hidden Dragon”
脚本
ジェームズ・シェイマス
ツァイ・クォジュン
撮影:ピーター・パウ
編集:ティム・スクワイアーズ
美術・装置:ティム・イップ
衣装デザイン:ティム・イップ
音楽
タン・ドゥン
ヨーヨー・マ
出演
チョウ・ユンファ:リー・ムーバイ
ミシェル・ヨー:ユイ・シューリェン
チャン・ツィイー:イェン
チャン・チェン:ロー/ルオ・シャオフー
チェン・ペイペイ:碧眼狐” ジャイド・フォックス”/カオ
ラン・シャン:ティエ氏
リー・ファーツォン:ユィ長官
ハイ・イェン:ユイ夫人
ガオ・ジアン:ボー
ワン・ターモン:ツァイ
リーリー:メイ
中国・香港・台湾・アメリカ合作 映画
配給 ソニー・ピクチャーズ・クラシックス
2000年製作 120分
製作費 $15,000,000
北米興行収入 $128,067,810
世界 $213,525,740
■ アカデミー賞 ■
第73回アカデミー賞
・受賞
外国語映画・美術・撮影・作曲賞
・ノミネート
作品・監督・脚色・主題歌・衣装デザイン・編集賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
清朝第6代皇帝乾隆帝支配下の1778年。
剣豪リー・ムーバイ(チョウ・ユンファ)は、瞑想修行を切り止めて、名剣”青冥剣/グリーン・デスティニー”を北京のティエ氏(ラン・シャン)に寄贈するため、弟子であるユイ・シューリェン(ミシェル・ヨー)を訪ねる。
かつてムーバイは、師匠を”碧眼狐”ジャイド・フォックスに殺され、その敵を討とうとしていたのだ。
しかし、ムーバイは剣を置く決心をし、それを亡き師匠に報告するための墓参りに向かう。
シューリェンは、預かったグリーン・デスティニーを、北京のティエ氏に届けるようムーバイから指示される。
北京に着いたシューリェンは、グリーン・デスティニーをティエ氏に渡す。 ティエ氏は、剣は英雄ムーバイこそが持つべきだと言って受け取りを拒むが、シューリェンに説得され、彼はそれを預かることにする。 シューリェンは、ムーバイが剣を置いたことが、彼との結婚を意味するのかとティエ氏に尋ねられる。 しかし、師弟の間では、それが許されぬことを悟るシューリェンは否定する。 シューリェンは、剣を保管しにティエ氏の書斎へ向かい、ユイ長官の娘イェン(チャン・ツィイー)に出会う。 イェンは、両親のために政略結婚させられることになっていたのだが、グリーン・デスティニーを見て、剣士に憧れを抱く。 シューリェンはそんなイェンに、結婚は女にとって大切なことだと説く。 イェンの家庭教師カオ(チェン・ペイペイ)は、シューリェンが災いの元であり、警戒するようイェンに伝える。 その夜、ティエ邸のグリーン・デスティニーを賊が奪い逃走する。 シューリェンがそれを追い、賊の手を負傷させるものの、取り逃がしてしまう。 賊はユイ邸に逃げ去ったため、何者かが長官を陥れる企みかも知れないとティエ氏は考える。 そしてティエ氏は、この件を早急にムーバイに知らせる必要があることをシューリェンに伝える。 ユイ邸の外では、ジェイド・フォックスの人相書きが配られ、シューリェンは、イェンが犯人ではないかという疑念を抱き、彼女の元を訪れる。 もしイェンが賊であったなら、負傷した手をかばうはずだが、彼女は見事な書道の腕を披露する。 自由な結婚や生活に憧れるイェンに、シューリェンは愛する人がいた過去と、ムーバイとの関係を話して聞かせる。 シューリェンに、一層の親近感を感じたイェンは、彼女に姉になってくれるよう頼み、それを受け入れられ、二人は姉妹の誓いを立てる。 周辺を調べていた、ティエ邸の使用人頭ボー(ガオ・ジアン)は、武器を持ったある男女に目を付ける。 ボーは彼らと接触し、二人が妻の敵を討つために、ジェイド・フォックスを追って来た西域の警官ツァイ(ワン・ターモン)と娘メイ(リーリー)だということを知る。 そして、ツァイに、ジェイド・フォックスからの果し状が届けられる。 ムーバイがティエ邸に到着し、ジェイド・フォックスがユイ邸に潜んでいる可能性を、シューリェンは彼に伝える。 その夜、ジェイド・フォックスがツァイ親子とボーの前に現われるが、彼女はイェンの家庭教師カオだった。 両者の戦いが始まるが、警官親子はジェイド・フォックスに歯が立たず、そこにムーバイが現れ、師匠の敵を討とうとする。 ジェイド・フォックスを追い詰めたムーバイだったが、そこに、グリーン・デスティニーを振りかざす賊が現れる。 警官は殺され、ジェイド・フォックスと賊は逃げ去ってしまう。 犯人がユイ邸にいることを確信したティエ氏は、シューリェンをユイ邸に向かわせる。 シューリェンは、イェンの結婚祝いを届けながら、警官が殺されたことや、屋敷に潜むであろう賊が、グリーン・デスティニーを返すことが事態収拾につながることをユイ夫人に伝え、探りを入れてイェンを牽制する。 その夜、グリーン・デスティニーをディエ邸に返すために賊が現れる。 待ち伏せしたムーバイは、その賊の剣の才能に目を付け、武当派の奥義を伝授することを伝えるが、賊は姿を消してしまう。 その後、賊(イェン)は、殺人や家族までを巻き込んだジェイド・フォックスを責めて、屋敷から追い出そうとする。 しかし、イェンが自分を超えたことを知ったジェイド・フォックスは、自ら彼女の元を去っていく。 ムーバイはイェンの正体を見抜き、彼女に武当山での修行の道を歩ませることを考えるが、シューリェンは、イェンを嫁がせるべきだと反論する。 しかし、ムーバイが引退を撤回したのを知り、シューリェンは、彼に協力することを伝える。 その夜イェンの元に、北京に来る途中、砂漠で襲われ行動を共にして、愛を誓った盗賊ロー/ルオ・シャオフー(チャン・チェン)が現れる。 砂漠でイェンの一行を襲ったローは、彼女が持っていた櫛を奪い逃走する。 イェンは執拗に彼を追い、危害を加える気のないローに反発を続けるが、やがて二人は求め合うようになる。 ここに残りたいと言うイェンに、こんな生活は長くは続かず親に会いたくなると伝えたローは、家族は大事にするべきだと話す。 いつか結婚しようと言うローは、自分が出世すれば親も認めてくれると伝える。 彼方に見える山頂から跳ぶと、必ず思いが叶うという伝説を話したローは、信じれば必ず叶うと言って、”信は真に通ず”と伝え、ローに櫛を預けたイェンは、再会を誓い彼の元を去っていく。 ユイ邸。 結婚式当日、式に向かうイェンに結婚を諦めさせようと騒ぎを起こしたローを、ムーバイとシューリェンが助け、彼に武当山に身を隠すよう指示する。 その後、嫁いだイェンは姿を消し、ムーバイとシューリェンが彼女を捜す探すことになる。 ムーバイとシューリェンは、剣の腕前を振りかざすイェンの噂を聞く。 そして、イェン自らシューリェンの前に姿を現し、彼女の胸の中で泣き崩れる。 シューリェンは姉として、両親を安心させるようイェンを説得するが、彼女はローの安否を気遣う。 その後、ムーバイがローを武当山に行かせたことを、シューリェンはイェンに知らせる。 しかし、イェンがグリーン・デスティニーを置こうとしないため、シューリェンは姉妹の契りを断ち、彼女と剣を交える。 二人の決着はつかず、尚も剣を置こうとしないイェンの前に、ムーバイが現れる。 イェンを竹林に追ったムーバイは、彼女に武当派の奥義を伝授しようとして、グリーン・デスティニーを奪い、滝つぼに投げ捨ててしまう。 それを取り戻そうとして、水中に潜ったイェンは、ジェイド・フォックスに連れ去られてしまう。 イェンを追ったムーバイは、彼女がジェイド・フォックスに毒を盛られたことを知り解毒する。 そこにシューリェンも現れるが、ジェイド・フォックスが襲い掛かる。 ムーバイはジェイド・フォックスを倒すものの、彼女の放った毒針を受けてしまう。 シューリェンは解毒剤を手に入れようとするが、ムーバイは死を覚悟する。 イェンは、ムーバイのために解毒剤を探しに向かい、意識が薄れる中、彼は、最後の力でシューリェンへの愛を告白する。 イェンは解毒剤を持参して到着するが、ムーバイはシューリェンの腕の中で息を引き取っていた。 そして、シューリェンは、グリーン・デスティニーをティエ氏に届けるようにと、それをボーに託し、イェンをローの待つ武当山に向かわせる。 ローの元で一夜を過ごしたイェンは、かつて聞いた伝説の言葉”信は真に通ず”を思い出し、祈ってほしいと彼に伝える。 そして、”一緒に新疆へ”と祈ったローの言葉を確認したイェンは、バルコニーから身を投げ雲海に消えていく。
...全てを見る(結末あり)
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嫁ぐことを止めるようイェンを説得するローだったが、両親のための政略結婚には逆らえぬイェンは、ローに預けていた愛の証の櫛を受け取り別れを告げる。
*(簡略ストー リー)
剣豪リー・ムーバイは、武当山での修行を止め、名剣”青冥剣/グリーン・デスティニー”を、北京のティエ氏に寄贈しようとする。
そしてムーバイは、彼に心を寄せる弟子のユイ・シューリェンに剣を託す。
ティエ氏に剣を届けたシューリェンは、婚礼を控えるユィ長官の娘イェンと知り合う。
剣士と自由な人生に憧れ、政略結婚に不満を抱くイェンは、シューリェンを姉と慕い親交を深めるが、影の師であるジャイド・フォックスに、武狭の奥義を伝授されていた。
賊に扮し、”グリーン・デスティニー”を手に入れたイェンは、かつて愛し合った盗賊ローを忘れられず、姿を消して旅に出る。
そして、ムーバイとシューリェンが、剣の腕を誇示する、イェンの行方を追う・・・。
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アメリカ独占資本では実現しなかったであろう、中国語による台詞の優美さや、神秘的な映像がとにかく素晴らしい。
(中国・香港・台湾・アメリカ合作)
北米で約1億2800万ドルの興行収入を上げ、全世界では約2億1400万ドルの大ヒットとなった。
第73回アカデミー賞では、外国語作品ながら作品賞以下10部門にノミネートされ、外国語映画賞など4部門で受賞し世界中で絶賛された作品。
・受賞
外国語映画・美術・撮影・作曲賞
・ノミネート
作品・監督・脚色・主題歌・衣装デザイン・編集賞
台湾出身のアン・リーは、成人してからアメリカに渡り、早くから頭角を現して注目され、アメリカン・コミック・アクションの「ハルク」(2003)や、「ブロークバック・マウンテン」(2005)で繊細なテーマを手がけて見事な演出手腕を見せ、 今やハリウッドの第一人者となった。
アカデミー賞を受賞した、ヨーヨー・マ演奏の主題曲も、哀愁漂う、幻想的なドラマ展開を盛上げる。
主人公を演ずるチョウ・ユンファは、伝説の剣士リー・ムーバイを好演し、圧倒的な存在感で物語を引き締める。
なんといっても、マレーシア出身ながら見事な中国語を話してアクションをこなし、師ムーバイへの許されない愛を内に秘めた、ミシェル・ヨーの清楚な美しさと抑えた演技は秀逸だ。
チャン・ツィイーは、華奢な体系にも拘わらず、名門演劇学校で鍛えた舞踏の才能を生かして、スピードと迫力で圧倒する剣術に加え、斬新なワイヤーアクションも見事にこなしている。
イェン(チャン・ツィイー)を愛する盗賊頭チャン・チェン、ジェイド・フォックスのチェン・ペイペイ、主人公の信頼が厚いティエ氏役のラン・シャンなどが共演している。
原題、臥虎蔵龍”Crouching Tiger, Hidden Dragon”は中国の格言で、社会の出来事の裏では、様々な別の事が起きているという意味。
嫁いでいく貴族の娘、玉嬌龍/イェン(チャン・ツィイー)の名には”龍”が、また彼女を愛する盗賊頭、羅小虎/ロー(チャン・チェン)には”虎”が入っているところも原題につながる。