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クリムゾン・タイド Crimson Tide (1995)

アメリカ海軍原潜の叩き上げのベテラン艦長と軍規にこだわるエリート副官の核攻撃をめぐる”対立(対決)を描く、製作ドン・シンプソンジェリー・ブラッカイマー、監督トニー・スコット、主演デンゼル・ワシントンジーン・ハックマンジョージ・ズンザヴィゴ・モーテンセンジェームズ・ガンドルフィーニ他共演のサスペンス・アクション。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(サスペンス/犯罪)

デンゼル・ワシントン / Denzel Washington 作品一覧


スタッフ キャスト ■
監督:トニー・スコット

製作総指揮
ルーカス・フォスター

マイク・R・モーダー
ビル・アンガー
製作
ドン・シンプソン

ジェリー・ブラッカイマー
原案
マイケル・シファー

リチャード・P・ヘンリック
脚本
マイケル・シファー

リチャード・P・ヘンリック
クエンティン・タランティーノ(クレジットなし)
撮影:ダリウス・ウォルスキー

編集:クリス・レベンゾン
音楽:ハンス・ジマー

出演
ロン・ハンター少佐:デンゼル・ワシントン

フランク・ラムジー大佐:ジーン・ハックマン
ウォルターズ先任伍長:ジョージ・ズンザ
ピーター“ウェップス”インス大尉:ヴィゴ・モーテンセン
ボビー・ドガーティ大尉:ジェームズ・ガンドルフィーニ
ロイ・ジマー大尉:マット・クレイヴン
ダリク・ウェスターガード大尉:ロッキー・キャロル
オッド・マホーニー大尉:ジェイミー・ゴメス
ポール・ハラーマン大尉:リッキー・シュローダー
ウィリアム・バーンズ:スティーヴ・ザーン
ダニー・リベッティ:ダニー・ヌッチ
ラッセル・ヴォスラー:リロ・ブランカトーJr.
グラッタム二等兵:ライアン・フィリップ
アンダーソン提督:ジェイソン・ロバーズ
ジュリア・ハンター:ヴァネッサ・ベル・キャロウェイ

アメリカ 映画
配給 ハリウッド・ピクチャーズ

1995年製作 115分
公開
北米:1995年5月12日
日本:1995年10月14日
製作費 $53,000,000
北米興行収入 $91,400,000
世界 $157,400,000


アカデミー賞 ■
第68回アカデミー賞

・ノミネート
編集・録音・音響編集賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
ロシア情勢が緊迫を極める中、政府をアメリカの傀儡だと批判する反乱軍を率いる過激派リーダーは、アメリカ及び日本への核攻撃も示唆し、一気に緊張は高まる。

娘の誕生パーティーの最中に、連絡を受けたアメリカ海軍少佐ロン・ ハンター(デンゼル・ワシントン)は、出撃命令が下った原子力潜水艦”アラバマ”の艦長フランク・ラムジー大佐(ジーン・ハックマン)に呼び出される。

ハーバード大学にも籍を置いた、エリート士官のハンターは、”アラバマ”の副官に任命され、兵器担当のピーター“ウェップス”インス大尉(ヴィゴ・モーテンセン)、補給担当のボビー・ドガーティ大尉(ジェームズ・ガンドルフィーニ)、通信担当のロイ・ジマー大尉(マット・クレイヴン)、作戦担当のダリク・ウェスターガード大尉(ロッキー・キャロル)らと共に出撃準備を始める。
...全てを見る(結末あり)

妻ジュリア(ヴァネッサ・ベル・キャロウェイ)と子供達に別れを告げたハンターは、精鋭達と共に” アラバマ”に乗艦し目的海域に向かう。

●第1日
10月21日 太平洋深海。

潜航を続ける”アラバマ”艦内では、先進的戦争論者のラムジーに対し、核の時代の真の敵は”戦争” そのものだと、ハンターは率直に意見する。

●第3日
10月23日 グリニッジ標準時(ズールー) 09時00分。

突如、厨房で火災が発生し、ハンターがそれを鎮火させるのだが、ラムジーはその混乱の最中に、”核ミサイル・システム訓練”の指令を出す。

火災による騒ぎで水兵が心臓発作を起こしたため、訓練は中止されるが、このタイミングでそれを行うべきだったか否かで、ラムジーとハンターの意見は再び分かれる。

ラムジーは、部下の前で、上官の指示に意見することをハンターに禁ずる。

その後ハンターは、ベテラン艦長ラムジーのペースでことを運ばせるべきだと、インスから助言される。

●第6日
10月26日 ズールー時間 06時31分。

ロシアの核ミサイル・コードが解読されたという、EAM
(緊急行動指令)が入り、政府軍に包囲された反乱軍が、アメリカ及び日本に核攻撃を仕掛ける可能性が高まり、全軍に非常事態宣言が下される。

ラムジーは、自分達の任務が、それに対抗する先制攻撃だということを部下に告げる。

●第11日
10月31日 ズールー時間 18時00分。

戦争を目前にしながら、部下達の士気の低下を懸念するハンターは、ラムジーに部下達に激を飛ばすよう提言し、それを実行させる。

●第12日
11月1日 カムチャツカ半島沖 483キロ。

敵潜水艦を確認したラムジーは、ミサイル発射準備を命ずる。

その後、敵艦が”アクラ型原子力潜水艦”だと確認したラムジーは、それを艦内放送で部下らに伝え、 ミサイル発射をスタンバイさせる。

しかし、敵艦から2発の魚雷が発射され、”アラバマ”を追撃する。

ラムジーは魚雷おとり弾を発射させ、適の攻撃を回避することに成功する。

ミサイル発射まで残り6分、”アラバマ”は発射可能深度まで上昇する。

その時ハンターは、途中で切れてしまったEAMの電文が、ミサイル発射中止命令の可能性をラムジーに指摘する。

しかしラムジーは、部下の前で自分に意見するハンターに怒りを露にして、ミサイル発射命令を出す。

ラムジーは、それをハンターに復唱させようとするが、彼はそれを拒否してしまう。

ハンターを逮捕させようとするラムジーだったが、核攻撃は、艦長と副長の合意がなければ行えない軍規があることを、ハンターは主張する。

尚も命令に従わないかを問うラムジーに対し、ハンターは彼の任を解き居室に連行するよう、自分に同調する当直士官ウォルターズ(ジョージ・ズンザ)に命令する。

そしてハンターは、軍規違反でラムジーを解任したことを部下らに伝え、ミサイル発射を見合わせる指示を出す。

ハンターはウォルターズに例を言うが、彼は軍規に従ったまでだと、本意ではないことを伝える。

その直後、敵艦が真上に接近し、再び魚雷攻撃を受けるが、それを回避した”アラバマ”は、逆に敵艦に魚雷を命中させて撃沈する。

しかし、寸前に敵艦が放った魚雷が”アラバマ”を襲い、被害を受けた艦体は浸水し、 艦底に三人を残したままハンターは水密ハッチを閉めるよう命ずる。

アラバマ”は深度を下げ、船殻破壊深度に達してしまうが、故障していたエンジンが修理され、 ハンターは潜望鏡深度まで浮上を命ずる。

その頃、ドガーティはラムジーの元に向かい指示を仰ぎ、インス、ジマー、ウェスターガードを巻き込んで反乱を起こそうとする。

インスはそれに反発するが、ラムジーの指名だと説得されて仕方なくそれに従い、彼らは武装してラムジーを解放する。

不穏な空気を感じたハンターは、ソナー担当のダニー・リベッティ(ダニー・ヌッチ)に全艦のマスター・キーを渡して、 ミサイル発射攻撃の確認をするために、通信担当のラッセル・ヴォスラー(リロ・ブランカトーJr.)に、故障した通信機の修理を急がせる。

その直後、ラムジーらが司令室を占拠し、ハンターから指揮権を奪い、核ミサイル発射をスタンバイさせる。

しかし、監禁されているハンターとウォルターズらを、リベッティが解放する。

ハンターは、ミサイル管制室のインスに連絡を入れて、彼を説得する。

ラムジーは、ミサイル発射装置を作動させるようインスに命ずるが返事はなく、自らミサイル管制室に向かい、そこで発射しようとする。

それを知ったハンターは、司令室のシステムを解除しようとするが、ラムジーはインスの部下に銃を向けて彼を脅し、発射装置を作動させるための金庫を開けさせる。

しかし、ハンターが司令室を制圧し、寸前でミサイル発射を阻止する。

そこにラムジーが押し入ってくるが、ハンターは司令室を制御するキーを渡そうとしない。

その後、ヴォスラーから通信機が復旧しそうだという連絡が入り、ロシアの核ミサイル発射が迫る中、ラムジーは、3分間の猶予を与える。

そして、ヴォスラーからEAMが届いたことが知らされ、ロシアの反乱軍が降伏したため、ミサイルの発射中止がラムジーに報告される。

ラムジーはそれを部下達に伝え、ハンターに指揮を任せる。

アメリカ太平洋艦体指令本部、ハワイ真珠湾
今回の”アラバマ”艦内で起きた事件で、アンダーソン提督(ジェイソン・ロバーズ)による調査委員会が開かれる。

アンダーソン提督は、命令系統システムの問題を指摘し、ラムジー、ハンター双方共に正しく、そして間違っていたとも言える判断を下し、事件を公表しないことにする。

しかし、記録上、二人の行動を国家の利益と海軍の伝統に従ったものと判断し、ラムジーの早期退役願いを受理することを提督は伝える。

そして提督は、ラムジーの意見を聞き入れ、ハンターを指揮官に任命することを伝える。

そして、ハンターはラムジーに感謝し、彼は潔く海軍を去り、二人のわだかまりは消える。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
ロシアの過激派反乱勢力が政府批判を過熱させ、アメリカ及び日本への核攻撃を示唆する。
いち早く反応したアメリカ海軍は、 原子力潜水艦”アラバマ”を目的海域に派遣し、先制攻撃を仕掛けようとする。しかし、”アラバマ”の艦長フランク・ラムジー大佐は、自ら副官に指名したエリート士官ロン・ハンター少佐が、長い兵役の経験で、威厳を保つ自分の行動に意見することを嫌う。
そして、目的海域に到達したラムジーは、敵艦の攻撃を回避して、核ミサイル攻撃の発射をスタンバイする。
しかしハンターは、交信が途絶えた状況下で、ミサイル発射命令の確認が取れないまま行動を起こそうとする、ラムジーの任を解き、監禁してしまう・・・。
__________

ハリウッドのヒット・メイカーの、ドン・シンプソンジェリー・ブラッカイマーのコンビが製作した話題作。

北米興行収入は約9100万ドル、全世界では約1億5700万ドルのヒットとなった。

第68回アカデミー賞では、編集、録音、音響編集賞にノミネートされた。

冒頭で、世界で最も力を持つ3人が、アメリカ、ロシア両国大統領、そして原子力潜水艦の艦長だと明記されるが、その割には、余りにも感情に左右され過ぎる最前線の指揮官の描き方には疑問が残る。

クレジットなしで、クエンティン・タランティーノが脚本に参加していると言われている。

ドラマにならないと言えばそれまでだが、核戦争勃発を決定する瞬間に、パニックに近い状態にならないのが、その立場に置かれた指揮官の資質であり、デンゼル・ワシントン演ずる副官の方が、どちらかと言えば適任者だろうということで、ラストはうまくまとまってはいる。

密室の混乱や敵艦との駆け引きなどは、他の作品と比べても新鮮味があるとは言えないが、指揮権の奪い合いと敵艦との駆け引きなど、トニー・スコットらしい、まずまずの緊迫感が感じられる。

ハンス・ジマーの主題曲他は、翌年公開された「ザ・ロック」(1996)によく似ている。

主演のデンゼル・ワシントンジーン・ハックマンの、静かに牽制し合う前半から、激しい”対決”となる中盤、そしてクライマックスに向けての闘いは見ものだ。

現役艦長としては、やや年をとり過ぎているように感じるジーン・ハックマンだが、やはりあの位の威厳や貫禄を見せないと、ハリウッド屈指の実力派である、沈着冷静、柔軟な対応と実行力、非の打ち所のないエリート士官役のデンゼル・ワシントンとのバランスがとれないだろう。

小型犬を連れ回すジーン・ハックマンの姿は、セリフにも出てくるが、明らかに”猛将パットン”を意識しているようにも思える。

双方に従う当直士官ジョージ・ズンザ、ミサイル管制官ヴィゴ・モーテンセン、補給担当ジェームズ・ガンドルフィーニ、通信担当マット・クレイヴンリロ・ブランカトーJr.、ソナー担当ダニー・ヌッチ、作戦担当ロッキー・キャロル、他乗組員ジェイミー・ゴメスリッキー・シュローダースティーヴ・ザーンライアン・フィリップ、ハンター(D・ワシントン)の妻ヴァネッサ・ベル・キャロウェイ、そして、指揮官二人の処分を決める提督役でジェイソン・ロバーズが登場する。


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