ある交通事故と事件をきっかけに様々な人種間で起きる偏見とそれに関わる者達の繋がりを描く、製作、監督、原案、脚本ポール・ハギス、出演ドン・チードル、マット・ディロン、ブレンダン・フレイザー、サンドラ・ブロック他共演によるアカデミー作品賞他受賞のドラマ。 |
・サンドラ・ブロック / Sandra Bullock 作品一覧
■ スタッフ キャスト ■
監督:ポール・ハギス
製作
ポール・ハギス
ドン・チードル
ロバート・モレスコ
キャシー・シュルマン
ボブ・ヤーリ
製作総指揮
アンドリュー・ライマー
トム・ヌナン
ジャン・コベルリン
マリーナ・グラシック
原案:ポール・ハギス
脚本
ポール・ハギス
ロバート・モレスコ
撮影:J・マイケル・ミューロー
編集:ヒューズ・ウィンボーン
音楽:マーク・アイシャム
出演
グラハム・ウォーターズ:ドン・チードル
リア:ジェニファー・エスポジート
ジョン・ライアン:マット・ディロン
トム・ハンセン:ライアン・フィリップ
リック・キャボット:ブレンダン・フレイザー
ジーン・キャボット:サンドラ・ブロック
フラナガン:ウィリアム・フィクトナー
アンソニー:クリス“リュダクリス”ブリッジス
ピーター:ラレンズ・テイト
キャメロン・サイヤー:テレンス・ハワード
クリスティン・サイヤー:タンディ・ニュートン
ダニエル・ルイス:マイケル・ペーニャ
ファハド:ショーン・トーブ
ドリ:バハー・スーメク
ディクソン:キース・デイヴィッド
カレン:ノーナ・ゲイ
シャニクア・ジョンソン:ロレッタ・ディヴァイン
”ポップ”ライアン:ブルース・カービー
フレッド:トニー・ダンザ
エリザベス・ルイス:カリーナ・アロヤヴ
パク:ダニエル・デイ・キム
ウォーターズに母親:ビヴァリー・トッド
アメリカ 映画
配給 ライオンズゲート
2004年製作 112分
公開
北米:2005年5月6日
日本:2006年2月11日
製作費 $6,500,000
北米興行収入 $54,580,300
世界 $98,410,060
■ アカデミー賞 ■
第78回アカデミー賞
・受賞
作品・脚本・編集
・ノミネート
監督
助演男優(マット・ディロン)
歌曲賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ロサンゼルス。
市警の黒人刑事グラハム・ウォーターズ(ドン・チードル)は、同僚でヒスパニック系の恋人リア(ジェニファー・エスポジート)と車で移動中に事故に巻き込まれる。
その場が、たまたま若者の死体発見現場であったため、ウォーターズは付近を調べ始めるのだが・・・。
昨日。
ペルシャ系の小売店主ファハド(ショーン・トーブ)は、銃砲店の店主にアラブ系と思われて口論になりその場を去る。
ファハドの娘ドリ(バハー・スーメク)は、銃と弾丸を購入して店を出る。
白人の黒人に対する偏見を異常なほど気にする黒人青年アンソニー(クリス“リュダクリス”ブリッジス)は、通りに車を止めていた地方検事で白人のリック・キャボット(ブレンダン・フレイザー)と妻ジーン(サンドラ・ブロック)を友人ピーター(ラレンズ・テイト)と共に襲う。 二人に銃を向けたアンソニーとピーターは車を奪い、その場から逃走する。 その後、ウォーターズはある銃撃現場に向かい、黒人刑事が誤って白人刑事に撃たれたことを知る。 帰宅したリックとジーンは、自宅の鍵を換えさせる。 神経質になるジーンは、スキンヘッドでタトゥーを入れている、メキシコ系の鍵屋のダニエル・ルイス(マイケル・ペーニャ)をギャング呼ばわりする。 立場上、襲われた黒人を一方的に非難するわけにいかないリックは、白人の考えも気になっていた。 差別主義者の白人警官ジョン・ライアン(マット・ディロン)は、逃走中の車についての無線連絡を聞く。 似た車を追ったライアンは、相棒のトム・ハンセン(ライアン・フィリップ)に違う車だと指摘される。 それを無視して車を止めたライアンは、黒人のキャメロン・サイヤー(テレンス・ハワード)と妻のクリスティン(タンディ・ニュートン)に話しかける。 キャメロンを車から降ろしたライアンは、意見するクリスティンの身体検査を始める。 TVディレクターのキャメロンは逆らうことができず、ライアンは今回は見逃すことを伝えて二人を解放するが、侮辱を受けたクリスティンは夫の態度に失望する。 店に戻ったドリは、拳銃に弾を入れて父ファハドに渡す。 自宅に戻ったクリスティンはキャメロンを非難し、新聞沙汰になり、同僚に黒人だと再認識されるのを恐れた彼の考えを認めようとしない。 帰宅したルイスは、愛する娘の様子を見てペンダントを渡す。 車を走らせていたアンソニーとピーターは、中国人を轢いてしまい焦る。 署に戻ったハンセンは、ライアンと組むことに嫌気がさしたことを黒人の上司ディクソン(キース・デイヴィッド)に伝える。 アンソニーとピーターは、中国人を救急病院の入り口に置き去りにして逃げ去る。 ファハドの店の鍵を換えていたルイスは、ドア自体を交換する必要があることを伝える。 ルイスは、ファハドが納得しないために、請求書をゴミ箱に捨ててその場から立ち去る。 アンソニーとピーターは、盗んだ車を売ることができなかった。 ライアンは、尿道炎で苦しむ父親を看病し、一人で面倒を見ていた。 翌朝、店に向かったファハドは、その場が荒らされていることに気づき驚く。 医療保険会社の代理人である黒人のシャニクア・ジョンソン(ロレッタ・ディヴァイン)を訪ねたライアンは、父親に対する彼女の対応を批判する。 会社を始めた父親が多くの黒人を雇い、平等に給料を払っていたにも拘らず、少数民族の雇用主を優先する法律ができたために全てを失ったことをライアンは話す。 その件についての恨みを言う気のないライアンは、父親を助けてもらいたいだけだとシャニクアに伝える。 シャニクアは、父親のことは尊敬してはいるが、ライアンの態度を批判して追い払う。 ファハドはルイスの会社に電話をして、修理を完結しなかったことで抗議するが、受付係に電話を切られてしまう。 クリスティンはキャメロンのスタジオを訪れ、言い過ぎたことなどを彼に謝罪するものの、自尊心を踏みにじられたことに対して再び意見する。 スタジオでも嫌なことがあったキャメロンは、クリスティンの話を聞く気になれずに立ち去る。 過失により保険が下りないことを知ったファハドは、ショックを受け、ドリは落胆する父を案ずる。 単独行動をすることを決めたハンセンは、ライアンに嫌味を言われながら任務に就く。 ウォーターズとリアは、撃たれた黒人刑事の車の中から大金が見つかったことを知らされる。 ファハドは、捨てたゴミの中から鍵屋の請求書を見つけて、ルイスの名前を確認する。 巡回中に交通事故に遭遇したライアンは、横転した車の中の女性を助けようとする。 その女性クリスティンはライアンに気づき、救助を拒否して取り乱す。 ガソリンが漏れていることをクリスティンに伝えて落ち着かせたライアンは、シートベルトを切断する。 別の事故車が火災を起こして流れ出したガソリンに引火し、クリスティンの車が燃え始める。 ライアンは引きずり出されるが、彼は車に戻りクリスティンを救い出す。 クリスティンはライアンに抱きかかえられ、二人は複雑な表情で互いを見つめる。 リックの側近フラナガン(ウィリアム・フィクトナー)の元に向かったウォーターズは、黒人刑事の乗っていた車の30万ドルの件を話す。 フラナガンは、リックが主任調査官の後任に黒人起用を考えているため、黒人の票を得るために白人刑事を起訴する考えをウォーターズに伝える。 ウォーターズは、犯罪者である弟の逮捕状を見せられ、それを取り消したければ協力するようにと迫られる。 仕方なくウォーターズは、リックに白人刑事の起訴が妥当だと伝える。 キャメロンは、車を停車中にアンソニーとピーターに襲われるものの抵抗する。 アンソニーを乗せながら車を出したキャメロンは、通りがかったハンセンに追われて車を止める。 銃を奪っていたキャメロンは車を降り、彼を知るハンセンは前日のことを思い出す。 キャメロンは、駆け付けて銃を向ける警官に暴言を吐いて威嚇する。 ハンセンは、キャメロンを知っていることを同僚に伝えて歩み寄り、妻を悲しませることになると言って説得する。 同僚には親戚だと伝えたハンセンは、キャメロンに注意だけして立ち去るよう伝える。 車を出したキャメロンは暫くして停車し、アンソニーに銃を返して、自分自身を追い込んでいることを伝えて彼を降ろし走り去る。 ルイスの家を突き止めたファハドは、彼に近づき銃を向けて、全てを失ったことを伝える。 父親の帰りに気づいたルイスの娘が、彼に抱き付いた瞬間、ファハドが銃撃する。 しかし、弾は誰にも当たらずに、ルイスは娘を抱きかかえて妻エリザベス(カリーナ・アロヤヴ)の待つ家に入り、ファハドは動揺しながらその場を去る。 常に苛立つジーンは、階段から足を踏み外して転げ落ちてしまう。 通り沿いを歩くピーターは、ヒッチハイクをしてハンセンの車に拾われる。 ピーターは、自分も持っている”クリストフォロス”の小像が飾られていることに気づき苦笑する。 それを差別的に捉えたハンセンはピーターと口論になり、街道沿いで車を止めて彼に降りるよう指示する。 危険を感じたハンセンはピーターを射殺してしまい、動揺しながらドアを開けて彼を降ろす。 街道で事故を起こしたウォーターズは、付近で発見された若者の死体遺棄現場で、被害者が弟のピーターだと知る。 バスに乗っていたアンソニーは、下車して放置されたままの中国人の車を奪う。 治療を受けた中国人は意識が回復し、ウォーターズの車と事故を起こしながら駆け付けた妻に、小切手を現金にするようにと伝える。 車を売ろうとしたアンソニーは、荷台に何人ものアジア人の不法入国者が乗っていることに気づく。 アンソニーは、売買目的でアジア人を買うと言われる。 ウォーターズは、麻薬依存症の母親(ビヴァリー・トッド)を病院に連れて行き、ピーターの死を知らせる。 母親は、ピーターの死は、捜すようにと頼んだにも拘らず、それを怠ったウォーターズのせいだと言って息子を批判する。 ウォーターズ親子に対応した看護師のドリは、父ファハドの店に向かう。 ファハドは、ルイスの娘を撃ってしまったことを話すが、傷一つ負わなかったのは、天使のお蔭だと言ってドリに銃を渡す。(ドリは空砲を銃に入れたのだった) ジーンに電話をしたリックは、彼女が嫌っていたヒスパニック系のメイドに助けられたことを知る。 メイドを抱きしめたジーンは、親友であることを伝える。 ハンセンは、車に火を放ちその場を離れる。 夜中に父親を介抱するライアンは、彼に愛情を注ぐ。 窓の外の夜空を見つめるルイスは、家族が無事だったことを神に感謝する。 街道で車を止めたキャメロンは、雪が降り出したことに気づき、燃えている車(ハンセンの車)に集まる少年達を見つめる。 キャメロンは自宅からの電話を受けて、クリスティンに愛を伝える。 事件現場に戻ったウォーターズは、ピーターがいつも持っていた”クリストフォロス”の像を見つける。 チャイナタウン。 交差点で停車したシャニクアは後方から衝突され、他の人種の者達と罵り合う。
...全てを見る(結末あり)
アジア人を解放して手持ちの金を渡したアンソニーは、笑顔を見せながらその場を去る。
*(簡略ストー リー)
ロサンゼルス。
市警の黒人刑事グラハム・ウォーターズは、恋人で同僚のリアと交通事故に巻き込まれ、付近で発生した死体遺棄現場を調べる。
地方検事である白人のリック・キャボットと妻ジーンは、黒人青年アンソニーとピーターに車を奪われる。
ペルシャ系の小売店店主ファハドは、娘ドリと共に銃砲店で銃を手に入れるが、鍵屋のメキシコ系ルイスに鍵の交換ができないと言われ、その後、店が襲われて絶望する。
差別主義者の白人警官ライアンは、テレビ・プロデューサーのキャメロンの車を止めて、妻クリスティンを侮辱する。
辱めを受けたクリスティンは、抵抗しなかった夫を非難し夫婦間に亀裂が生じる・・・。
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「ミリオンダラー・ベイビー」(2004)の脚本で脚光を浴びてオスカー候補になったポール・ハギスが製作、監督、脚本を担当した意欲作。
1991年、ポール・ハギスが愛車のポルシェでカージャックされた事件を基にして、ロバート・モレスコと共同で脚本を書き上げた作品。
様々な人種と職業の登場人物が、微妙に繋がりを見せる群像劇とサスペンス・タッチの展開、アメリカの社会問題の縮図を描きながら、終盤は人情ドラマとも言える内容となっている。
人種間の”衝突”により人生が狂い始める人々の運命を切実に描く、深いドラでもある。
第78回アカデミー賞では、作品、脚本、編集賞を受賞し、監督、助演男優(マット・ディロン)、歌曲賞にノミネートされた。
家族の問題を抱え権力からの圧力なども受けながら職務に就く刑事ドン・チードル、その恋人で同僚ジェニファー・エスポジート、差別主義者の警官役マット・ディロン、その相棒のライアン・フィリップ、地方検事補ブレンダン・フレイザー、その妻サンドラ・ブロック、検事の部下ウィリアム・フィクトナー、街の小悪党クリス“リュダクリス”ブリッジス、その友人役ラレンズ・テイト、テレビ・ディレクター、テレンス・ハワード、その妻タンディ・ニュートン、鍵屋のマイケル・ペーニャ、その妻カリーナ・アロヤヴ、小売店店主ショーン・トーブ、その娘バハー・スーメク、市警の警部補キース・デイヴィッド、検事秘書のノーナ・ゲイ、保険会社代理人役のロレッタ・ディヴァイン、刑事の母親役ビヴァリー・トッドなどが共演している。