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戦火の勇気 Courage Under Fire (1996)

湾岸戦争で戦った兵士の苦悩を描く、監督エドワード・ズウィック、主演デンゼル・ワシントンメグ・ライアンルー・ダイアモンド・フィリップスマット・デイモンショーン・アスティンスコット・グレン他共演のヒューマン・ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(ヒューマン)

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スタッフ キャスト ■
監督:エドワード・ズウィック

製作総指揮
ジョセフ・M・カラッシオロ

デブラ・マーティン・チェイス
製作
ジョセフ・シンガー

デヴィッド・T・フレンドリー
ジョン・デイヴィス
脚本:パトリック・シーン・ダンカン
撮影:ロジャー・ディーキンス
編集:スティーヴン・ローゼンブラム
音楽:ジェームズ・ホーナー

出演
ナサニエル・サーリング中佐:デンゼル・ワシントン

カレン・エマ・ウォールデン大尉:メグ・ライアン
モンフリーズ軍曹:ルー・ダイアモンド・フィリップス
ハーシュバーグ准将:マイケル・モリアーティ
イラリオ:マット・デイモン
スティーブン・アルタマイヤー:セス・ギリアム
ドナルド・パテラ:ショーン・アスティン
トニー・ガートナー:スコット・グレン
メレディス・サーリング:レジーナ・テイラー
ダグ・ブルーノ大統領広報官:ブロンソン・ピンチョット
レイディー:ティム・ギニー
バナセック:ジェリコ・イヴァネク
ジョエル・ウォールデン:ケン・ジェンキンス
ジェラルディン・ウォールデン:キャスリーン・ウィドーズ
ドン・ボイラー:リチャード・ヴェンチャー
ロージー・ボイラー:ダイアン・ベイカー
チェリ中尉:ネッド・ヴォーン
ジェンキンス:マニー・ペレス
トンプソン軍曹:ショーン・パトリック・トーマス

アメリカ 映画
配給 20世紀FOX

1996年製作 117分
公開
北米:1996年7月12日
日本:1996年11月2日
製作費 $46,000,000
北米興行収入 $59,031,060
世界 $100,860,820


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
湾岸戦争の最中、クウェート、アルバスラ。
アメリカ陸軍機甲部隊指揮官ナサニエル・サーリング中佐(デンゼル・ワシントン)は、味方戦車”M1エイブラムス”を敵と誤認して攻撃してしまう。

同士討ちとなった結果、サーリングは、部下ボイラー大尉らを戦死させてしまう。

翌朝、戦闘を終えたサーリングの部下ドナルド・パテラ軍曹(ショーン・アスティン)は、味方を攻撃したことでショックを受けていた。

しかし、サーリングは、自分の命令であったと伝えパテラを慰める。

ペンタゴン
帰国したサーリングは、情況からして敵味方の確認は不可能であったと判断され、その件に関する検証は終了する。

サーリングは、戦死者の家族から、戦場での説明を求められていたのだが、上官ハーシュバーグ准将(マイケル・モリアーティ)は、審問中であり、勇敢に戦ったことだけを伝えるよう彼に指示する。
...全てを見る(結末あり)

しかし、”ワシントン・ポスト”からの取材要請などもあることを知ったハーシュバーグは、事件はサーリングの責任でないことを強調する。

戦争は終わり、新たな仕事に専念するようハーシュバーグに言われたサーリングは、”名誉勲章”の候補に上がっている、戦死した救急ヘリコプターの調査を命ぜられる。

ホワイトハウス広報官ダグ・ブルーノ大統領広報官(ブロンソン・ピンチョット)を含めた部屋では、現場で救出された”ブラックホーク”の兵士も集められ、サーリングは彼らの話を聞き始める。
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サーリングは、チェリ中尉(ネッド・ヴォーン)らから、ミサイルで墜落して包囲されて、降伏も考えた当時の状況を説明される。

イラク軍の戦車”T-54”の攻撃を受けて、戦死者をだしたチェリらは、救急ヘリの到着を喜ぶ。

ヘリは戦車を攻撃するものの墜落してしまい、イラク兵が発砲しながら近づくものの、空からの援護もあり救助が始まった。

墜落したヘリの方向からは、”M16”の銃声も聞こえたことを同席していた兵士は伝え、命令で死者は残したままチェリらは救助され、その後、味方のナパーム弾攻撃が始まった。
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話を聞き終えたサーリングは、チェリらに協力を感謝するが、調査しているパイロット、カレン・エマ・ウォールデン大尉(メグ・ライアン)が女性だということに、彼はその時点で気づく。

調査に異常にこだわるブルーノから、、史上初の名誉勲章候補だと知らされたサーリングは、政府が、戦死者を英雄に仕立て上げ、国民の支持を得ようとしていることを察し彼を追い払う。

サーリングの妻メレディス(レジーナ・テイラー)は、夫が考え込む姿を見て心配するのだが、彼は、家にまで電話をしてくる、”ワシントン・ポスト”の記者トニー・ガートナー(スコット・グレン)を無視する。

その後、ウォールデンのヘリの副操縦士だったレイディー(ティム・ギニー)の元に向かったサーリングは、負傷して帰還した彼の話を聞く。
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現場に到着したウォールデンは、攻撃を受けながら燃料ポッドを敵戦車に投下するよう命じて爆破する。

その直後に銃弾を受けたヘリは墜落し、レイディーは救出された3日後に、意識が戻ったとのことだった。
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その夜サーリングは、バーでベトナムで戦った男性に声をかけられるが、彼がガートナーだったためにその場を去ろうとする。

ボイラーの両親に会っていたガートナーは、彼らには息子の死の真相を知る権利があるとサーリングに伝える。

宿舎に戻ったサーリングは、ボイラーの両親に手紙を書こうとするもののそれができず、悪夢にうなされる彼は酒に頼るしかない。

翌日、ウォールデンのヘリのクルーである衛生兵イラリオ(マット・デイモン)を訪ねたサーリングは、彼から墜落後の状況を聞く。
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イラリオ、負傷したレイディー、モンフリーズ軍曹(ルー・ダイアモンド・フィリップス)、スティーブン・アルタマイヤー軍曹(セス・ギリアム)の生存を、ウォールデンは確認する。

イラリオにレイディーの治療をさせ、ウォールデンは現れた敵の攻撃に備える。

夜になり、敵の攻撃を受けたウォールデンは負傷してしまう。
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動揺しながら質問に答えるイラリオは、重傷のウォールデンは、常に毅然として冷静な判断で命令を下していたことを伝える。
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朝になり、弾薬を節約しながら攻撃態勢でいたウォールデンらは、援軍のヘリの到着でその場から離れる。

担架を持って戻るよう伝えたウォールデンは、部下をヘリに向かわせるが、攻撃を受けて戦死する。

そして、イラリオらは救急ヘリに救助されて、その場から飛び立つ。
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この話は、もうしたくないというイラリオに、サーリングは、”M16”の弾が切れたのはいつか確認する。

朝か夜か覚えていないと言うイラリオに、他のクルーは、救助の際に銃声を聞いていることをサーリングは伝える。

それは間違いだと言うイラリオは、ウォールデンの手紙を預かり、それを届けたことをサーリングに伝える。

ウォールデンの両親ジョエルとジェラルディン(ケン・ジェンキンス/キャスリーン・ウィドーズ)に会ったサーリングは、彼らが、娘からの手紙を受取っていないことを知る。

献身的な妻メレディスではあるが、彼女や家族の前で向き合う気になれないサーリングは思い悩む。

ハーシュバーグの元に向かったサーリングは、ウォールデン自身ではなく、クルーの証言が気になることを伝える。

報告書の提出を急がせるハーシュバーグに、サーリングは、慎重な調査が必要だと答える。

同士討ちの審問は長引き、真実を話すことができない苦しみに耐えているサーリングだった。

しかし、優秀な部下を失った悲しみは同じであり、微妙な立場は自分も同じだとハーシュバーグに言われ、酒を断ち治療を受けるようサーリングは忠告される。

モンフリーズに会ったサーリングは、”M16”の弾薬が、夜明けには切れていただろうと言われる。

サーリングの、補給班を見捨てるような発言があったと言う言葉に対し、モンフリーズは彼に脅しをかける。

士官の自分に対する態度に、逆らう気なら覚悟しろと伝えたサーリングは、モンフリーズから、ウォールデンが臆病者だったという事実を知らされる。
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現場で補給班を見捨てようとしたのはウォールデンであり、モンフリーズは、燃料ポッドを落とすよう指示して戦車を撃破した。

ウォールデンとイラリオは救援隊を待つことばかりを考え、夜になり攻撃を受けて彼女は負傷した。

翌朝、救助隊にのヘリに向かうことを怖がるウォールデンは、動転してモンフリーズに向けて銃弾を発射し爆撃を受けて死亡した。

モンフリーズは、ウォールデンが英雄だという筋書きはできていたため、上官には嘘の証言をしたことを伝える。

そしてモンフリーズは、救助の際に、誰も”M16”を撃たなかったことをサーリングに話す。

その夜、メレディスと話をしたくなったサーリングだったが、自分の気持ちを察する彼女と話していることが辛くなる。

ボイラーの父親から連絡があったことを知ったサーリングは、電話を切り、酔ってホテルに戻る。

ロビーでそれに気づいたガートナーは、サーリングを介抱する。

ガートナーは、ボイラーの両親が、戦場で起きたことについての噂を聞いていることをサーリングに伝える。

サーリングは、軍は両親に、ボイラーが敵の砲撃で戦死したと、自分は、勇敢に戦って死んだことを母親に伝えたが、砲撃を命じたのは自分だと言って、勲章までもらい葬られたことをガートナーに話す。

それ以上、話を聞こうともせずに、自分のことを案じてくれるガートナーの姿を見て、サーリングは彼を信用する気になる。

イラリオが姿を消したことを知ったサーリングは、彼が、ウォールデンを異常に気遣っていたことに注目する。

ハーシュバーグに会ったサーリングは、イラリオが失踪してアルタマイヤーも消息不明の状況で、矛盾点が多いために、更に詳しい調査が必要であることを伝える。

それを認めてもらえず、当日中の報告書の提出を拒んだサーリングは調査から外される。

しかし、彼は、今後も調査を続けることをハーシュバーグに伝える。

ガートナーに協力を求めたサーリングは、真実を追求するために、アルタマイヤーの所在を突き止めて欲しいことを伝える。

サーリングは、見返りとして”アルバスラ”の戦車間の交信記録を渡すことを約束する。

その後、アルタマイヤーが病院に収容されていることが分かり、駆けつけたサーリングは、ガンを患う瀕死の彼から、モンフリーズと共に証言しなかったことを聞き出そうとする。

しかしアルタマイヤーは、痛みを和らげるために自分で安定剤の投与量を増やし、意識を失ってしまう。

モンフリーズに会ったサーリングは、イラリオが捕まれば真相は明らかになることを伝え、全てを話すよう彼に迫る。

サーリングは、モンフリーズに真実を話させようと彼の車に同乗する。

しかし、モンフリーズはサーリングに銃を向けて線路で止まり、彼に降りるよう指示して貨物列車に突っ込む。

イラリオを見つけたサーリングは、モンフリーズが自殺して、アルタマイヤーは死の床にいることを知らせる。

事件のことを話し始めたイラリオは、あの夜、モンフリーズが逃げようとして、アルタマイヤーもそれに賛成したことを話し始める。
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ウォールデンとモンフリーズは銃を向け合い、イラリオも彼らに同意しようとした時、敵兵士が現れたため銃撃戦が始まる。

モンフリーズの放った銃弾はウォールデンの腹部を捉えるが、彼女はイラリオを裏切り者呼ばわりして、三人に銃を向け、この場を離れないことを伝える。

その後、敵兵が近づき、モンフリーズは、ウォールデンに謝罪して、渡した銃を受取り反撃する。

その時、救助ヘリが現れ、ウォールデンは、レイディーを助けるようアルタマイヤーに指示し、イラリオから”M16”を受取る。

ウォールデンは援護すると言って、担架と銃を持って戻るようイラリオに指示し、敵兵を銃撃する。

救助ヘリに乗ったモンフリーズは、パイロットにウォールデンが死んだことを伝えるが、イラリオはそれを否定しなかった。
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軍法会議を恐れ口を閉ざしていたことを話したイラリオは、味方のナパーム弾攻撃がなくても、ウォールデンは死んだかもしれないことを伝える。

サーリングに問われ、そんな問題ではないと答えたイラリオは、涙しながらウォールデンの手紙を見せる。

手紙をウォールデンの両親に渡してほしいと、サーリングに伝えたイラリオは泣き崩れる。

ガートナーの質問を受けるために、ハーシュバーグはサーリングを呼び出す。

”アルバスラ”の戦場での、戦車間の交信テープを再生したガートナーは、サーリングが、味方の戦車を砲撃してしまった事実と、その後の英雄的行動を確認する。

ウォールデンが”名誉勲章”に値するかの調査についてを尋ねたハーシュバーグは、サーリングから、真実を語らねければ、彼女を含め、国家のために命を落とした兵士が報われないことを伝え、報告書を渡す。

サーリングは、ホワイトハウスで行われた、ウォールデンの”名誉勲章”授与式を欠席し、ボイラーの実家を訪ねる。

ボイラーの両親ドンとロージー(リチャード・ヴェンチャー/ダイアン・ベイカー)に会ったサーリングは、誤認の末、彼らの息子の戦車に砲撃命令を下した事実を伝える。

軍と自分自身が、嘘をついたことも話したサーリングは、両親に許しを請い、あの夜以来、一生許されない罪を背負ったことを語る。

ドンに、心の重荷を下すべきだと助言されたサーリングは感謝する。

名誉勲章”は、ウォールデンの娘に授与され、両親は死後に渡される彼女の手紙を受け取る。

ウォールデンの墓石に向かったサーリングは、自分に授与された勲章をその場に置き、敬礼して立ち去る。

サーリングは自宅に戻り、メレディスは、夫の心の傷が癒えたことを察し、二人は固く抱き合う。

そしてサーリングは、ボイラーの遺体を搬送する、救急ヘリを操縦して飛び立つウォールデンの姿を想い起す。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
湾岸戦争の最中、アメリカ陸軍機甲部隊指揮官ナサニエル・サーリング中佐は、誤認の末に部下の戦車を攻撃してしまい戦死させる。
重い傷を背負いながらペンタゴン勤務となったサーリングは、史上初の女性”名誉勲章”候補となる、救急ヘリのパイロット、ウォールデン大尉の調査を、上官ハーシュバーグ准将に命ぜられる。
救出された兵士らの話を聞いたサーリングは、その後、救急ヘリのクルーらに会う。
ウォールデンが勇敢な兵士であったことを確認したサーリングだったが、明らかに動揺する衛生兵イラリオと、救出された兵士の話が食い違っていることに気づく。
更にヘリのクルー、モンフリーズ軍曹は、他の兵士とは違い、ウォールデンを臆病者呼ばわりする。
サーリングは、この件に何か秘密があることを察して、自分の心の傷が癒えぬまま、苦悩しながらの調査を続けるのだが・・・。
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雰囲気的に伝わってくるのだが、物語の内容から軍の全面協力は得られず、武器などは、民間からの支援に頼ったという経緯がある。

部下を死なせて(殺して)しまった、戦争後遺症に近い状態である士官の苦悩を描いたヒューマン・ドラマなのだが、政府や軍の汚点を鋭く描く、エドワード・ズウィックの厳しい視線が感じられる社会派ドラマでもある。

羅生門」(1950)の影響を受けたとも言われる作品。

北米興行収入は約5900万ドル、全世界では約1億ドルのヒットとなった。

主人公を演ずるデンゼル・ワシントンは、兵士としての有能さが体全体から伝わってくる、いつもながら、人に訴える術を知り尽すと言う感じも受ける、円熟の演技を見せてくれる。

戦死するため、フラッシュバックでしか登場しないが、三パターンの人物を好演する救急ヘリのパイロット、メグ・ライアン、主人公の上官マイケル・モリアーティ、その部下ジェリコ・イヴァネク、”ワシントン・ポスト”の記者役のスコット・グレン、事件当事者兵士ルー・ダイアモンド・フィリップス、戦闘場面と、帰国後の苦悩でやつれる姿が別人のようなマット・デイモンセス・ギリアムティム・ギニー、主人公の妻レジーナ・テイラー、主人公の部下ショーン・アスティン、死んだ部下の両親リチャード・ヴェンチャーダイアン・ベイカー、補給班のクルー、ネッド・ヴォーン、ウォールデン(M・ライアン)の両親ケン・ジェンキンスキャスリーン・ウィドーズなどが共演している。


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