1988年から”Vertigo Comics”に掲載されたジェイミー・デラノとガース・エニスによるコミック”Hellblazer”を基に製作された作品。 天使または悪魔と人間の中性的存在を見分けられる能力を持つ男の苦闘を描く、監督フランシス・ローレンス、主演キアヌ・リーブス、レイチェル・ワイズ、シャイア・ラブーフ、ジャイモン・フンスー、ピーター・ストーメア他共演のアクション・スリラー。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:フランシス・ローレンス
製作
ロレンツォ・ディ・ボナヴェンチュラ
アキヴァ・ゴールズマン
ベンジャミン・メルニカー
ローレン・シュラー・ドナー
アーウィン・ストッフ
マイケル・E・ウスラン
製作総指揮
ギルバート・アドラー
マイケル・アギーラ
原作
ジェイミー・デラノ
ガース・エニス
”Hellblazer”
原案:ケヴィン・ブロドビン
脚本
ケヴィン・ブロドビン
フランク・A・カペロ
撮影:フィリップ・ルースロ
編集:ウェイン・ウォーマン
音楽
クラウス・バデルト
ブライアン・タイラー
出演
ジョン・コンスタンティン:キアヌ・リーブス
アンジェラ・ドッドソン/イザベル・ドッドソン:レイチェル・ワイズ
チャズ・クレイマー:シャイア・ラブーフ
パパ・ミッドナイト:ジャイモン・フンスー
ビーマン:マックス・ベイカー
ヘネシー神父:プルイット・テイラー・ヴィンス
バルサザール:ギャヴィン・ロスデイル
ガブリエル:ティルダ・スウィントン
ワイス:ホセ・ズニーガ
ルシファー(サタン):ピーター・ストーメア
アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ
2005年製作 120分
公開
北米:2005年2月18日
日本:2005年4月16日
製作費 $100,000,000
北米興行収入 $75,976,180
世界 $230,884,730
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
”運命の槍”(聖槍)を所有した者は、世界の運命を左右することができる。
しかし、第二次大戦末期からその所在は不明だった。
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メキシコ。
ある教会の跡地。
床板が抜けて、その中にあったナチス・ドイツの国旗に包まれた”槍”を手にした青年は、街道で車に衝突する。
車は壊れるものの、青年は傷一つ追わずに走り去る。
ロサンゼルス。
アジア系の女性は、悪魔にとり憑かれた娘が天井を張っているのに気づき驚く。
天使と人間、悪魔と人間の中性的な存在”ハーフブリード”を見分けられる能力を持つジョン・コンスタンティン(キアヌ・リーブス)は、自分では手に負えない状況に追い込まれたヘネシー神父(プルイット・テイラー・ヴィンス)に呼ばれる。 ベッドに縛られた少女にとり憑く悪魔を、コンスタンティンは鏡を使って排除することに成功する。 壁に貼られていた”槍”の絵が気になるコンスタンティンは、今回は何かがおかしいと言ってヘネシーに協力を求める。 コンスタンティンは、待機していた助手のチャズ・クレイマー(シャイア・ラブーフ)と共にその場を去る。 刑事のアンジェラ・ドッドソン(レイチェル・ワイズ)は、何時、何処に犯人がいるかが分かる能力があることで悩んでいた。 アンジェラの双子の妹イザベル(レイチェル・ワイズ)は、自分自身の霊力により心を病み、精神医療施設に入れられていた。 イザベルが自殺しようとする夢を見て、アンジェラは目覚める。 進行性の肺がんと診断されたコンスタンティンは、行き先は分かっていると医師に伝えてタバコを吸い続ける。 施設に向かったアンジェラは、屋上から身を投げてプールに落下し死亡したイザベルの遺体を確認するが、それを自殺と認めない。 エレベーターでコンスタンティンを見かけたアンジェラは、何かを感じる。 メキシコ。 協力者ビーマン(マックス・ベイカー)から悪魔を見分けるための道具を調達したコンスタンティンは、天界のハーフブリード、ガブリエル(ティルダ・スウィントン)に会うため教会に向い、その場でアンジェラに出くわす。 神父に会ったアンジェラは、自殺という罪を犯したイザベルに関しての協力を拒まれる。 最近の悪魔達の動きが気になることをガブリエルに話したコンスタンティンは、寿命を延ばしてほしいことを伝える。 神を信じろと言われたコンスタンティンは、地獄に堕ちるのは自殺を図った報いだとガブリエルに言われる。 帰宅したアンジェラは、イザベルが身を投げる寸前の監視映像をチェックする。 アンジェラは、イザベルが”コンスタンティン”と呟いていることに気づき、家中の電話のベルが鳴り始める。 路上で悪魔に襲われたコンスタンティンは、それから逃れ、かつてエクソシストだったパパ・ミッドナイト(ジャイモン・フンスー)のバーに向かう。 ハーフブリードでなく本物の悪魔がこの世にいることをミッドナイトに伝えたコンスタンティンは、中立的立場の彼から、これ以上悪魔と戦うのは止めるようにと助言される。 そこに悪魔側のハーフブリード、バルサザール(ギャヴィン・ロスデイル)が現れ、対立するコンスタンティンと一触即発になるが、ミッドナイトがそれを制止する。 ミッドナイトに帰るよう言われ帰宅したコンスタンティンは、訪ねて来た刑事だと言うアンジェラを仕方なく招き入れる。 アンジェラは、”殺された”イザベルが何者かに洗脳されて身を投げたことを伝える。 それを知る手掛かりを求めるアンジェラに協力する気のないコンスタンティンだったが、出て行った彼女を追う。 神とサタンが人間の魂を奪い合い賭けをしていると言う話をアンジェラにしたコンスタンティンだったが、悪魔などを信じない彼女は興味を示さない。 しかし、悪魔の方がアンジェラに用があるとコンスタンティンは伝え、その瞬間に街灯が消える。 襲いかかって来た悪魔を追い払ったコンスタンティンは、イザベルが自殺でなかったのかを改めて問い、それを確かめると言ってアンジェラのアパートに向かう。 アンジェラを部屋から出したコンスタンティンは、彼女の愛猫とたらいの水を使い、魔界に向いイザベルの死に際を確認して、彼女のリストバンドを持ち帰る。 霊力を持ち魔界の声を聞き心乱れアル中になっていたヘネシー神父は、安置所のイザベルの遺体に触れて動揺し、バルサザールの魔力で息絶える。 ダイナーに向かったコンスタンティンは、子供時代に能力に気づき、自殺を図って生き返り、ハーフブリードとの戦いを続けたことをアンジェラに語る。 自殺者である自分の行き先を、天国にするための行動であることをコンスタンティンは伝える。 ヘネシーの変死を知らされたアンジェラは現場に駆けつけ、同行したコンスタンティンは、ヘネシーの手の傷を確認して、それをビーマンに調べさせる。 イザベルの自殺現場と部屋を調べたコンスタンティンは、死の理由が分かるはずだと言ってアンジェラを問い詰める。 子供時代に窓に息を吹き付けると”コリント書”の17章という文字が浮かび上がったが、それは存在しないものだった。 魔界版にはそれがあると指摘するコンスタンティンは、ビーマンからの連絡で、例の印がサタンの息子”マモン”であることが分かる。 マモンが霊界に近い者にとり憑くため、それがイザベルであったことに気づく。 ビーマンからの電話が切れ、彼の元に向かったコンスタンティンとアンジェラは、襲われたビーマンの死体を確認する。 ”槍”を持った青年は国境を越えて、ロサンゼルスに向かう。 自分にも霊力があったことをコンスタンティンに伝えたアンジェラは、イザベルに何があったかを知りたいと語る。 コンスタンティンは、涙しながら話すアンジェラに覚悟があることを確認する。 水を張ったバスタブに入り体を沈めるようアンジェラに指示したコンスタンティンは、息を止められずにもだえ苦しむ彼女を押さえつける。 バスタブを壊したアンジェラは、自分の予知能力を語りながら、誰かがいたと言ってビーマンの部屋に向い、バルサザールのコインを見つける。 その場で武器を組み立てたコンスタンティンは、ヘネシー神父のつけていた魔除けのペンダントをアンジェラに渡して、バルサザールの元に向かう。 バルサザールを叩きのめしたコンスタンティンは、”マモン”が現れる方法を聞き出して彼を銃撃する。 指示通りの者を誘い出したと言う瀕死のバルサザールだったが、サタンは彼の命を絶つ。 現れたアンジェラに、キリストを刺した”運命の槍”や神の手助けがいることが分かったと伝えたコンスタンティンは、それがキリストの血なのかを考える。 ”槍”に付いた血の染みがそれであり、あとは霊感の強い人間を探すだけだと語るアンジェラに、コンスタンティンはその必要はないと伝える。 アンジェラが魔除けのペンダントをしていないことに気づいたコンスタンティンは、壁を突き破り連れ去られた彼女を追うものの無駄だった。 ミッドナイトの元に向かったコンスタンティンは、彼に協力を求め、シンシン刑務所で200人を処刑した電気椅子を使い、”槍”とアンジェラの行方を知る。 弾丸を作りながら、ハーフブリードに近づき倒す方法を的確に指摘するチャズに感心したコンスタンチンは、彼と共に精神科医療施設に向かう。 チャズは貯水タンクに十字架を沈め、ハーフブリードの集団の前に現れたコンスタンティンは、スプリンクラーを作動させる。 それが聖水だと気づいたハーフブリードはもだえ苦しみ、コンスタンティンは相手を銃撃して次々と倒す。 プールに落下していたアンジェラは襲われ、魔界に導かれマモンにとり憑かれて戻る。 プールに向かったコンスタンティンは、戻ったアンジェラに襲われるものの、チャズと共に彼女を押さえつける。 悪魔祓いを始めたコンスタンティンは、チャズと共にアンジェラを正気に戻す。 しかし、チャズは悪魔に痛めつけられて命を落とし、現れたガブリエルが、悪魔にこの世を渡そうとしていることにコンスタンティンは気づく。 神の許しを受ける人間は公平でないと語るガブリエルは、試練として恐怖を与え、それに耐え抜いた人間だけが神に愛される資格があることをコンスタンティンに伝える。 ガブリエルはアンジェラの元に向い、体内にいるマモンを人間界に解き放とうとして”槍”を手にする。 手首を切ったコンスタンティンは、悪魔ルシファー/サタン(ピーター・ストーメア)を呼び寄せ、その瞬間、アンジェラの腹部を切り裂こうとしたガブリエルの動きは止まる。 アンジェラの元に向い抱きかかえたルシファーは、”槍”を突き刺せなかったガブリエルを葬り去ろうとする。 何が望みかをルシファーに聞かれたコンスタンティンは、イザベルを神に渡すよう伝える。 それを実行したルシファーは、コンスタンティンを魔界に連れて行こうとするが、彼の体が動かなくなる。 コンスタンティンが自己犠牲により天に導かれるのを阻止したルシファーは、彼の患部を摘出して生かすことを伝える。 目覚めたコンスタンティンは、病気が治り手首の傷が消えていることを確認し、アンジェラに寄り添い感謝される。 羽をもがれただけで生きていたガブリエルは、神の元に向かうためコンスタンティンに自分を銃で撃つよう促す。 ガブリエルを殴ったコンスタンティンは、早く傷みに慣れろと言ってアンジェラと共に立ち去る。 その後、”運命の槍”をアンジェラに渡したコンスタンティンは、誰にも知られない場所にそれを隠すよう指示する。 後始末があると語るコンスタンティンに、また会えるかを確認したアンジェラはその場を立ち去る。 神のなせる業を考えながら、コンスタンティンはニコチン・ガムを噛み始める。 チャズの墓を訪れたコンスタンティンは、墓石の上にライターを置き立ち去ろうとする。 天使として現れたチャズが天に向かう姿を確認したコンスタンティンは、その場を去る。
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”槍”を持った青年が歩く付近にいる動物は、次々と死んでいく。
*(簡略ストー リー)
ロサンゼルス。
天使と人間、悪魔と人間の中性的な存在”ハーフブリード”を見分けられる能力を持つジョン・コンスタンティンは、本物の悪魔の存在を感じとる。
何時、何処に犯人がいるかが分かる能力があるため悩んでいた刑事アンジェラは、霊力のある双子の妹イザベルが精神科医療施設の屋上から飛び降り死亡したことを知る。
その頃、キリストを刺した”運命の槍”(聖槍)を手にしたメキシコ人青年が、ロサンゼルスに向かっていた。
イザベルの死を自殺と認めないアンジェラは、コンスタンティンに協力を求め、その死の秘密を探ろうとするのだが・・・
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自殺を図った罪を背負い苦悩する主人公の闘いを、キリスト教の宗教観をベースにして独特の世界で見せる、フランシス・ローレンスの演出が見所。
公開当時は驚異の映像だと宣伝されたが、アクションを含めてその点は意外にも控えめで突出したものとは言えない。
それよりも、上記のように宗教観とその考えを丹念に描いているところに注目したい。
製作費に1億ドルをかけた大作で、北米興行収入は約7600万ドルに終わるが、全世界では約2億3100万ドルのヒットとなった。
映像を含め「マトリックス」(1999)とそのシリーズの主人公をやや彷彿させるキャラクターを演ずるキアヌ・リーブスは、自殺の罪を拭い去るために苦闘を続ける人物を熱演している。
主人公の協力を得て、世界の運命を握る者として、双子の妹の死を知ることができる刑事を好演するレイチェル・ワイズ、終盤で存在感を発揮する主人公の助手シャイア・ラブーフ、元エクソシストであるバーのオーナーで主人公の協力者ジャイモン・フンスー、同じく協力者マックス・ベイカー、霊力を持つ神父プルイット・テイラー・ヴィンス、悪魔側のハーフブリード、ギャヴィン・ロスデイル、天界のハーフブリード、ティルダ・スウィントン、刑事ホセ・ズニーガ、そして、クライマックスでしか登場しないものの、サタン役で印象深い演技を見せるピーター・ストーメアなどが共演している。