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タイ・カッブ Cobb (1994)

メジャーリーグ史上、最も偉大であり嫌われた男”タイ・カッブ”と彼の伝記の執筆を依頼された記者アル・スタンプの親交を描く、監督、脚本ロン・シェルトン、主演トミー・リー・ジョーンズロバート・ウールロリータ・ダヴィドヴィッチ他共演のヒューマン・ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(ヒューマン)

トミー・リー・ジョーンズ / Tommy Lee Jones / Pinterest


スタッフ キャスト ■
監督:ロン・シェルトン

製作総指揮:アーノン・ミルチャン
製作:デヴィッド・V・レスター
原作:アル・スタンプ

脚本:ロン・シェルトン
撮影:ラッセル・ボイド
編集
ポール・セイダー

キンバリー・レイ
音楽:エリオット・ゴールデンサール

出演
タイ・カッブトミー・リー・ジョーンズ

アル・スタンプロバート・ウール
ラモーナ:ロリータ・ダヴィドヴィッチ
ウィリー:ルー・マイヤーズ
ウィリアム・ハーシュエル・カッブ:J・ケネス・キャンベル
ルイ・プリマイーロイ・カサドス
キーリー・スミス:ポーラ・ルディ
離婚届けを届ける男:ブラッドリー・ウィットフォード

アマンダ・チトウッド・カッブ:ローダ・グリフィス
ミッキー・コクラン:スティーヴン・メンディーロ
対戦ピッチャー:ロジャー・クレメンス

アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ

1994年製作 128分
公開
北米:1994年12月2日
日本:1995年9月
北米興行収入 $1,007,580


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
1960年、サンタバーバラ
スポーツ記者アル・スタンプ(ロバート・ウール)は、30年前に引退した伝説のメジャーリーガータイ・カッブ”から、伝記執筆の依頼を受ける。

タホ湖付近の山中。
現役時代の武勇伝はともかく、70歳過ぎの老人が相手だということで、高を括ってカッブの自宅を訪れたスタンプは、横暴な彼に愛想を尽かし出て行く使用人ウィリー(ルー・マイヤーズ)に出くわす。

いきなり、銃弾を浴びせられそうになったスタンプは焦るが、カッブは彼を呼び寄せ、クーパーズタウンで行われる予定の、”野球殿堂”のパーティーに自分を連れて行くよう言われる。

カッブの言動に驚きと共に呆れるスタンプは、それを断ろうとする。

しかし、カッブはその返事を聞こうともせず、スタンプは仕方なく彼の指示通りに伝記を書き始める。
...全てを見る(結末あり)

カッブに意見したスタンプは、銃で脅されながら、自我自賛する彼の言葉をタイプしていく。

いくつもの病気を抱えるカッブは、薬漬けの身だったが、突然、リノに向かうと言い出す。

カッブは途中、車で事故を起こしながら、スタンプに生い立ちを話し始める。
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教育者で政治家、そして牧師でもある父ウィリアム(J・ケネス・キャンベル)に、厳格に育てられたカッブだったが、野球選手にはなるものの、選手や観客から嫌われる男だった。

周囲の罵声やブーイングを喜びと感じ、カッブはラフ・プレーを続けながらも見事な打撃成績を残した。
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途中スタンプは、雪の中で道路脇に立っているウィリーを見つけて車に乗せる。

ウィリーはスタンプに銃を渡され、カッブと言い争いを続け、彼は、無謀な運転で車が雪に突っ込んだところで、 ホテルを見つけ、悪態をついて車を降りる。

リノに着いた二人はホテルの部屋を取り、スタンプは執筆を始め、カッブが人種差別の度を越した、自分以外の全てのものを憎むことを書き記す。

翌朝、それを読んだカッブは激怒し、自分の人格形成に影響があった事件を話し始める。
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妻アマンダ(ローダ・グリフィス)の浮気を疑った父ウィリアムが、 侵入者と間違われて、彼女に射殺されてしまう。
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その話をしておきながら、カッブは、実はその事件に関係なく、自分の性格は、それ以前から腐りきっていたと語る。

スタンプは、それを書くことを認めないとカッブに言われるのだが、編集権が自分にあるはずだと言い張り、それを確認する。

しかし、スタンプの事務所はそれを放棄していて、カッブに従うしかなくなる。

その後、ルイ・プリマ(イーロイ・カサドス)とキーリー・スミス(ポーラ・ルディ)のショーを見に行ったカッブスタンプは、葉巻売りのラモーナ(ロリータ・ダヴィドヴィッチ)を見かける。

スタンプは、ホテルのフロントでラモーナに会っていて、カッブは彼女に目をつける。

ルイ・プリマに紹介されたカッブは、スポットライトを浴びてステージに上がる。

そしてカッブは、人種差別発言や暴言を吐き、騒動を起こしてしまう。

それを予測していたスタンプは、バーでラモーナを誘い部屋に向かい、いいムードになる。

しかし、そこにカッブが押し入り、スタンプがラモーナを奪ったことで激怒して、彼を叩きのめす。

ラモーナを強引に部屋に連れて行ったカッブは、銃を突きつけ、自分と寝たということを言いふらすよう告げて1000ドルを渡し、彼女を追い出す。

それを見たスタンプは、真実を書くことと、カッブに最後まで付き合うことを決め、彼の野球人生そのものを書いたものと、真実を書いた二種類の原稿を書き始める。

カッブには真実を書いた原稿は見せず、スタンプはそれを隠していた。

そんな時カッブは、ラモーナが、よりにもよってウィリーと共にカジノにいるところに出くわしてしまう。

発砲騒ぎを起こしたカッブを、街から連れ出したスタンプは、彼の扱い方を身に付けながら、”野球殿堂”のパーティーに出席するため旅を続ける。

クーパーズタウン
パーティーの準備を整えたカッブは、かつてのチームメイト、ミッキー・コクラン(スティーヴン・メンディーロ)が惨めな姿で現れたことを嘆き、彼に金を渡し、身なりを整えさせる。

スタンプは、カッブコクランに援助をし続けていたことを知り、彼に”偉大な選手”だと伝えて会場に向かう。

そして、カッブは最高の選手として称えられ、見世物だったただのゲームを変え、近代野球を作り上げた功績を紹介するフィルムが映し出される。

しかし、カッブには、妻への暴力や汚名が紹介される幻覚が見えてしまい、式典が終わった後は、仲間達に無視されてしまう。

スタンプと”殿堂”を見に行ったカッブは涙し、生まれ故郷のジョージア州に向かう。

理解者であるという娘の家に着いたカッブだったが、彼女は父親と会おうともしなかった。

気遣っても、それに対し嫌味を言うカッブに、スタンプは気分を害するが、彼の墓に連れて行かれる。

カッブは再び父が死んだ事件の話を始め、妻の浮気を疑った父が、彼女の愛人に射殺されたことを伝える。

それを知る者は、皆死んだことをスタンプに伝えたカッブは、本には書くなと警告する。

その夜、妻からの離婚届を届ける男(ブラッドリー・ウィットフォード)が現れ、それを受け取り動揺したスタンプは、発砲して男を追い払う。

酔ったスタンプを寝かせた後、カッブは、彼が隠していた原稿を見つけてしまう。

憤慨したカッブは、スタンプを射殺しようとするが思い止まり、自ら命を絶とうとするものの、彼は吐血してしまい病院に向かう。

目覚めたスタンプも病院に向かい、病室に銃を持ち込み、わがままの限りを尽くすカッブに面会する。

カッブは、自分を欺いたスタンプに負けを認め、全てを書けと言い放つ。

スタンプカッブを理解し、彼に酒を渡して病室を出る。

1961年7月17日、カッブは74歳の生涯を閉じる。

その後、スタンプは、記者仲間にカッブのことを尋ねられ、”偉大で気高い男”と答える。

記者達は納得し、スタンプは真実は伝えないことを決める。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
スポーツ記者のアル・スタンプは、偉大なメジャーリーガータイ・カッブ”から、伝記の執筆の依頼を受ける。
数々の武勇伝はあるものの、30年前に引退した70歳過ぎの老人が相手だということで、高を括っていたスタンプだったが、想像以上に傲慢で危険なカッブに、驚きと共に呆れ果ててしまう。
カッブは、まず、”野球殿堂”のパーティーに自分を連れて行くことをスタンプに約束させ、彼の意見を聞きもせず、銃で脅しながら執筆を始めさせる。
多くの病気を抱え、薬漬けだったカッブは、突然、リノに向かうと言い出し、事故で車を失いながらも現地に到着する。
途中カッブは、厳格な父に育てられながら野球選手になった自分が、選手や観客に嫌われ、それを喜びと感じ、見事な打撃成績を残したことをスタンプに語る。
そしてカッブは、自分以外の全てのもの憎むようになった、歪んだ人格形成に影響があった、ある事件についてをスタンプに話すのだが・・・。
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スポーツ記者アル・スタンプの著書”タイ・カッブ”の伝記、”My Life in Baseball: The True Record and Cobb”を基に製作された作品。

メジャーリーグ史上に残る伝説の選手であり、その暴力的で破天荒な性格は、多くの者に嫌われたという”タイ・カッブ”の、死を前にした伝記執筆のエピソードを、それに携わった実在の記者アル・スタンプの目で捉えたドラマでであり、”タイ・カッブ”自身の野球人生を描く作品でないところが興味深い。

それにしても、タイ・カッブの人物像の描き方があまりに極端で、これが脚色でないとしたら、彼は犯罪者そのものであり、その狂気とも言える凄まじい人生には驚くしかない。

主演のトミー・リー・ジョーンズが、前年「逃亡者」(1993)でアカデミー助演賞を受賞し、授賞式で頭部を剃り上げてステージに登場したのが、本作の撮影のためだったことを思い出す。

本作の彼は「逃亡者」を上回る熱演を見せるが、なぜか賞レースでは全く無視されてしまい、商業的にも失敗に終わってしまった作品でもある。

主人公が、あまりに強烈なキャラクターのために、やや疲れてしまうところもあり、ロン・シェルトンの演出も一本調子なのが残念。

良くも悪くも、トミー・リー・ジョーンズそのもののワンマン作品であり、それ事態は、彼のファンであれば大歓迎できる作品だ。

主人公の人間性に翻弄されながら、彼の生き様を理解して惚れ込む記者アル・スタンプを好演するロバート・ウール、二人が出会う女性ロリータ・ダヴィドヴィッチ、彼女と親交を持つ主人公の元使用人役ルー・マイヤーズ、主人公の父親のJ・ケネス・キャンベル、母親ローダ・グリフィスリノのステージに立つエンタティナー、ルイ・プリマイーロイ・カサドスキーリー・スミス役のポーラ・ルディスタンプに離婚届を届ける男ブラッドリー・ウィットフォード、主人公の元チームメイト、ミッキー・コクランのスティーヴン・メンディーロ、試合中の対戦ピッチャー役で、当時現役だったのロジャー・クレメンスが特別出演している。


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