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あの日の指輪を待つきみへ Closing the Ring (2007)

ある家族とその友人に関わる50年前の秘密が”指輪”の発見によって明かされるまでを描く、製作、監督リチャード・アッテンボロー、主演シャーリー・マクレーンクリストファー・プラマーミーシャ・バートンネーヴ・キャンベルピート・ポスルスウェイトブレンダ・フリッカー他共演のドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ

シャーリー・マクレーン / Shirley MacLaine / Pinterest


スタッフ キャスト ■
監督:リチャード・アッテンボロー

製作
ジョー・ギルバート

リチャード・アッテンボロー
製作総指揮
ジェフ・アッバリー

ジュリア・ブラックマン
ジェイミー・カーマイケル
グレアム・ベッグ
アンドリュー・ヒルデブランド
脚本:ピーター・ウッドウォード
撮影:ロジャー・プラット
編集:レスリー・ウォーカー
音楽:ジェフ・ダナ

出演
エセル・アン・ロバーツ・ハリス:シャーリー・マクレーン

ジャック・エッティ:クリストファー・プラマー
エセル・アン・ロバーツ(若年期):ミーシャ・バートン
テディ・ゴードン:スティーヴン・アメル
マリー・ハリス:ネーヴ・キャンベル
マイケル・クィンラン:ピート・ポスルスウェイト
エレノア・ライリー:ブレンダ・フリッカー
ジャック・エッティ(若年期):グレゴリー・スミス
チャック・ハリス:デヴィッド・アルペイ
ジミー・ライリー:マーティン・マッキャン
ピーター・エティ:アラン・ホウコー
マイケル・クィンラン(若年期):ジョン・トラヴァース

イギリス/カナダ/アメリカ 映画
配給 The Works Distribution
2007年製作 118分
公開
イギリス:2007年12月28日
カナダ:2008年8月1日
北米:2009年1月22日
日本:2008年7月19日
製作費 $23,500,000


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
1991年、ミシガン州、ブラナガン。
第二次大戦の退役軍人であるチャック・ハリスの葬儀が行わる。

娘のマリー(ネーヴ・キャンベル)は弔辞を述べるのだが、母親エセル・アン(シャーリー・マクレーン)は、教会の席に着こうともしない。

エセルとチャックの友人である、同じ退役軍人のジャック・エッティ(クリストファー・プラマー)は彼女を気遣う。

北アイルランドベルファスト
丘を散歩していた青年ジミー・ライリー(マーティン・マッキャン)は、その場を掘りおこす老人マイケル・クィンラン(ピート・ポスルスウェイト)に追い払われる。

しかし、ジミーを呼び止めたクインランは、”過去”を掘り起こしていると言ってそれを手伝わせる。

ブラナガン。
葬儀と埋葬も終わり、ジャックが、戦友に敬意を表して戦闘機で上空を飛行する。
...全てを見る(結末あり)

1941年、ベルファスト
少年マイケル・クィンラン(ジョン・トラヴァース)は、ドイツ軍の空襲を受けて防空壕に避難していた。

1991年。
そんなことを考えながら、クインランは、50年前にこの場に墜落したB-17の乗組員10人が死亡したことをジミーに伝えて、機体の一部を掘り起こす。

1941年、ブラナガン。
ジャック(グレゴリー・スミス)と、B-17の着陸を見守ったエセル・アン・ロバーツ(ミーシャ・バートン)は、機体から現れたテディ・ゴードン(スティーヴン・アメル)とチャック(デヴィッド・アルペイ)を迎える。

エセルはテディと意気投合し、彼女は一緒に空を飛びたいことを伝える。

1991年。
帰宅したエセルは、不満げなマリーに、戦争時代のことを聞かれる。

それに答える気のないエセルは、ジャックの息子ピーター(アラン・ホウコー)と寝たなどと冗談を言って、彼の話題に振り、マリーに彼と付き合ってみることを提案する。

父親の葬儀の日に、不謹慎だと言われたエセルは、学生時代の自分は、誠実だったことを伝える。

1941年。
エセルは、テディが自分で建てている家を、ジャックとチャックと共に訪ねる。

テディが、自分のためにそれを建てていることを知ったエセルは、求婚するつもりだとも言われ二人はその場で愛し合う。

ベルファスト
その後も、クインランとジーミーは爆撃機の破片を掘り起こしていたが、見つけた爆弾の起爆スイッチを押した瞬間、偶然にも街では、IRAによる爆破が起きる。

1941年12月。
日本軍による真珠湾攻撃でアメリカは参戦し、エセルはテディとの別れを悲しみ、彼は、二人だけで結婚式を挙げる提案をして指輪を渡す。

1991年、ブラナガン。
エセルはテディのことを想いながら、父親チャックの死を嘆いてほしいというマリーに、自分は21歳で人生が終わったと伝える。

マリーは、それが父親と結婚する前だと言ってエセルを追求するものの、答えようとしない母に追い払われてしまう。

ジャックの元に向かったマリーは、”21歳で人生が終わった”というエセルに、何があったのかを尋ねる。

ジャックは、戦争が始り、友人に戦死者が出たとだけ語り、詮索をするべきでないことを伝えて、エセルと同じようにマリーを追い払う。

ベルファスト
いつものように丘を歩いていたジミーは、金の指輪を見つけて家に持ち帰り、それに、”エセル・アンド・テディ”と刻まれていることに気づく。

1941年、ブラナガン。
出撃を前にしたテディは、自分が戦死した場合にエセルの面倒を見てくれるようにと、彼女に恋してはいないとそれを断ったジャックに代わり、チャックにそれを頼む。

1991年。
エセルを訪ねたジャックは、彼女が夫チャックとの寝室から”秘密”のある部屋に移ったことを知り、動揺してその場を去る。

そこに、ベルファストのジミーから電話が入り、マリーは、”ミセス・ゴードン”を呼び出されたために、電話を切ろうとする。

ジミーが、”ロバーツ”と言ってエセルの旧姓を語ったために、マリーは、母に電話をつなごうとする。

部屋に閉じ籠っていたエセルは、電話に出ようとしなかったが、ベルファストからだと言われ受話器を取る。

エセルに指輪を見つけたことを伝えたジミーだったが、公衆電話で小銭が切れたために切ってしまう。

ここ数日、テディとの想い出のことばかりを考えていたエセルは、思わぬ事態に動揺する。

ベルファスト
クインランを訪ねたジミーは、指輪を見つけて、アメリカの退役軍人省に問い合わせ、持ち主のB-17の乗組員を調べて、恋人か妻らしき女性に電話をかけたことを伝える。

途中で切れたために、電話をかけたいというジミーだったが、クインランは、彼の勝手な行動を避難する。

クインランは、仕方なく電話を貸そうとするが、ジミーは、彼の部屋に山積みされた資料や回収品に驚いてしまう。

第二次大戦中、ブラナガン。
負傷して帰還したチャックを看護師見習いのエセルは看病して、ジャックからの電話を受ける。

チャックと電話を代わったジャックは、彼にテディが戦死したことを伝える。

エセルは、チャックの顔色で、何かがあったことを察する。

1991年。
電話をかけたジミーは、エセルに指輪の話の続きを伝え、それの郵送を希望するかを尋ねる。

しかし、エセルはそれを望むことなく、未婚だと調べた彼に、自分達が結婚したことを伝えて電話を切ってしまう。

ジミーは、するべきことをしたことで納得して、その指輪をクインランに渡してその場を去る。

指輪を手にしたクインランは、涙を堪え切れなかった。

1941年。
エセルはテディと結婚することを決心し、ジャックを介添え人にチャックと共に式を挙げる。

テディから贈られた指輪に、二人の名前を刻んだエセルは、戦地に向かう彼にそれを渡す。

二人は、牧師見習いの友人の下、誓いの言葉を交わして夫婦となる。

ベルファスト
その後も丘を掘り起こしていたジミーは、腕時計と共に白骨化した遺体を見つけて驚いてしまう。

警察官に捕らわれたジミーは、遺体がIRAに殺された男で、丘を監視していたことを知らされ、ある男の情報を流すよう脅される。

帰宅したジミーが殴られていたため、祖母のエレノア(ブレンダ・フリッカー)は驚く。

ジミーは、クインランと、警察で見せられた写真の男がその場にいることを知る。

混乱するジミーは、丘をうろついたら殺すと言われて男に脅される。

男が去った後、クインランはジミーに金を渡し、暫く街を離れてアメリカに向かい、エセルに指輪を返すように伝える。

ジミーはエセルに電話をかけ、IRAが殺した男を見つけたため脅された自分を、助けてほしいことを伝える。

エセルは、自分を頼れとクインランに言われた、ジミーの頼みを聞き入れる。

第二次大戦中。
負傷したジャックは帰国してチャックに迎えられ、テディとの約束を果たそうとする。

1991年。
エセルを尋ねたジャックは、青年がベルファストから訪ねて来ると知り、迎えに行くことを彼女に頼まれる。

マリーと話し合うことを勧めるジャックは、それができなけらば、娘を失うとエセルに忠告する。

しかし、マリーがチャックに愛されて育ったことをジャックに伝えたエセルは、真実を話す気はないことを告げる。

第二次大戦中。
ジャックを迎えたエセルは、テディの遺体が見つかっていないことを知り、葬儀をすることを提案するチャックの意見を退ける。

エセルは、ジャックが持ち帰ったテディの荷物を見ようとする。

1991年。
ジャックに案内され、エセルの家を訪ねたジミーは彼女に歓迎され、マリーやその場にいたピーターに挨拶する。

マリーは、興奮しながら話し、持参したB-17の部品を見せるジミーを見て、何事なのかを疑問に思う。

指輪を見せようとするジミーは、それが、マリーの父親のものだと話したため、ジャックは、こんな形で真実が知れてもいいのかと、エセルに問い質す。

マリーは、自分の父親は”チャック・ハリス”だとジミーに知らせるが、エセルは、部屋の壁を壊そうとする。

第二次大戦中。
テディの遺品を確認したエセルは、部屋の壁に貼ってあった写真を外そうとせずに、ジャックとチャックにそこを塞いでもらう。

1991年。
50年前に自分が塞いだ壁を壊したジャックは、マリーに、”テディ・ゴードン”が誰なのかを聞かれる。

テディについて調べていたジミーは、それをマリーに伝えて、爆撃機B-17の墜落で、彼が1944年の6月に死亡したことを話す。

母エセルが、父チャックを愛さなかった理由を知ったマリーは、混乱してしまう。

テディの死んだ証拠もなく、わずかな遺品を受取ったことだけを語るエセルを理解できないマリーは、彼女を罵倒してピーターと共にその場を去る。

そして、ジミーは指輪をエセルに返す。

1944年、ベルファスト
テディと共に現地に着いたジャックは、エレノアと知り合い彼女と結婚すると言い出す。

エセルへの愛を否定しながら、彼女をチャックに渡したと言って、ジャックは、自分の結婚に反対するテディを責める。

エレノアを批判するテディに殴り掛かったジャックは倒されて、足に樽が落ちて骨折してしまう。

1991年。
ジャックは、チャックと同じく、自分もエセルを愛していたことをマリーに伝える。

4人のその後を語ったジャックは、エセルが、10年間チャックとの結婚を拒み、その5年後にマリーが産まれたことを話す。

一応納得したマリーは、母エセルとの結婚を望んだかをジャックに尋ねる。

しかし、その質問に動揺したジャックは、自分がテディに選ばれなかった辛さを語り涙する。

ジャックは、自分が負傷して任務に就けず、代わりにテディが飛び立った時のことを話す。

1944年6月。
テディの搭乗するB-17は、視界不良でベルファストの丘に墜落する。

現場に向かったクインランは、危険を察してその場から避難する。

1991年、ベルファスト
エレノアとその場にいたクインランは、エセルを伴い帰国したジミーを迎える。

歓迎されたエセルは、エレノアがジャックに求婚された話を聞き、クインランに、この地を訪れた理由を聞かれる。

ブラナガン。
マリーとピーターは、エセルが旅立ったショックで酔い潰れるジャックに、彼女を迎えに行くよう伝える。

ベルファスト
ジミーを伴ったクインランに、墜落現場に案内されたエセルは、幸せな人生だったかを彼に聞かれる。

死を前にしなけらば分からないことを伝えたエセルは、死んだ者との約束も守れるかとクインランに尋ねる。

守れると答えるクインランに、一度した約束は、いつまでも付きまとう、たとえ破った後でもとエセルは語る。

翌朝、ベッドに写真を並べて指輪をはめたエセルは、街を警戒中のイギリス軍を確認する。

次の瞬間、兵士はIRAの爆破攻撃に遭い、エセルのいた部屋の窓が割れて、ジミーが彼女とエレノアを避難させようとする。

爆弾が残っているため、その場は警戒態勢となるが、エセルは、倒れている兵士に歩み寄る。

その場に現れたクインランは、それを見て驚き、ジャックも街に到着する。

ジミーは、丘から街を監視しているIRAの男の元に向かい、次の爆破を阻止しようとする。

ジャックはエレノアと再会し、エセルが爆破現場にいることを知り、クインランが彼女に近づく。

男はジミーを威嚇するが、彼は警戒していた警察官に銃撃される。

エセルを避難させようとするクインランは、彼女が、倒れている兵士にテディを投影させていることを知る。

説得するクインランは、墜落現場で、テディが生きていたことを語り、彼から指輪を渡されそうになったが、直後の爆破でそれができなかったことを伝える。

クインランは、指輪は受取れなかったが、エセルに会い真実を語るべきだったと言って、”自由に生きろ”というテディからの伝言を彼女に伝える。

謝罪するクインランの話に納得したエセルは、その場を離れるようジャックに言われる。

しかし、警官の銃撃を受けた瀕死の男は、爆弾の起爆装置のスイッチを押そうとする。

ジミーがそれを阻止しようとするが、街で爆発は起きる。

その後、平穏な日々に戻ったジミーは、クインランやエレノアと共に丘でピクニックを楽しむ。

心の荷を下ろしたエセルは、丘を散策しながらジャックの愛を受け入れる。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
1991年、ミシガン州、ブラナガン。
退役軍人の夫の死を悲しむことのないエセル・アン・ハリスは、彼女の真意を理解できない娘のマリーから、その理由を聞かれる。
”自分の人生は21歳で終わった”と言うエセルは、まともに答えようとせず、両親の友人で同じ退役軍人のジャックも、その件について口を閉ざす。
その頃、北アイルランドベルファストで、老人クインランが、50年前に丘に墜落した米軍機B-17の破片を掘り起こしていた。
それに興味を持った青年ジミーは、クインランを手伝い、ある日、搭乗員の遺品と思われる指輪を見つける。
ジミーはそれをクインランに知らせるが、指輪を見た彼は、動揺して涙する・・・。
__________

予備知識が全くないまま観ると、この邦題では、単なる恋愛映画しか連想できない・・・。
しかし、ドラマチックな物語は、サスペンスの要素も含む複雑なロマンスであり、その内容に驚かされる。

80歳を超えたとは思えない、リチャード・アッテンボローらしい丁寧な演出、輝かしい芸歴を誇るベテラン俳優達の重厚な演技など、見応え十分な作品に仕上がっている。

謎が解明されるように展開する、度々挿入されるフラッシュバック、その主人公達を演ずる若手スター達の演技も新鮮で、丁寧に描かれているところも注目だ。

IRAのテロを登場させ、北アイルランドの政情までを描写するのは、欲張り過ぎのようにも思えたが、それが主人公にどう関わっていくかなどの描写も、なかなかうまい演出だ。

50年間の心の重荷から解放され、ラストでしか笑顔を見せない、謎を秘めた老女を演ずるシャーリー・マクレーン、彼女を愛し見守り続けながら、辛い日々を過ごし、新たな恋の始りに喜びを隠せない、ラストの表情が印象的な名優クリストファー・プラマー、主人公の若年期を印象深く演ずる美しいミーシャ・バートン、恋人のスティーヴン・アメル、秘密を知らずに母親を理解できない主人公の娘ネーヴ・キャンベル、墜落現場にいち早く向かい、”秘密”を探し求める人生を送る老人を好演するピート・ポスルスウェイト、彼に協力して指輪を見つけ、主人公達の人生に大きく関わる青年マーティン・マッキャン、その祖母ブレンダ・フリッカー、主人公の友人ジャック(C・プラマー)の若年期グレゴリー・スミス、主人公の夫デヴィッド・アルペイ、ジャックの息子役アラン・ホウコー、クインラン(P・ポスルスウェイト)の若年期ジョン・トラヴァースなどが共演している。


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