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未知との遭遇 Close Encounters of the Third Kind (1977)

世界各地で起きる謎の現象と未確認飛行物体の出現によりあるイメージが頭から離れなくなった電気技師らが体験する異星人との接近遭遇を描く、監督、脚本スティーヴン・スピルバーグ、主演リチャード・ドレイファスフランソワ・トリュフォーテリー・ガーメリンダ・ディロン他共演によるSF映画の秀作。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


SF

スティーヴン・スピルバーグ / Steven Spielberg 作品一覧


スタッフ キャスト ■
監督:スティーヴン・スピルバーグ

製作
ジュリア・フィリップス

マイケル・フィリップス
脚本:スティーヴン・スピルバーグ
撮影:ヴィルモス・ジグモンド
編集:マイケル・カーン
美術・装置
ジョー・アルヴェス

ダニエル・ロミノ
フィリップ・アブラムソン
特殊撮影:ダグラス・トランブル
音楽:ジョン・ウィリアムズ

出演
ロイ・ニアリー:リチャード・ドレイファス

クロード・ラコーム:フランソワ・トリュフォー
ロニー・ニアリー:テリー・ガー
ジリアン・ガイラー:メリンダ・ディロン
デビッド・ロフリン:ボブ・バラバン
バリー・ガイラー:ケイリー・ガフィー
ラリー・バトラー:ジョセフ・ソマー
ロバート:ランス・ヘンリクセン
ブラッド・ニアリー:ショウン・ビショップ
トビー・ニアリー:ジャスティン・ドレイファス
チームリーダー:メリル・コナリー

プロジェクトリーダー:J・パトリック・マクナマラ
ワイルドビル:ウォーレン・J・ケマーリング

ベンチリー少佐:ジョージ・ディセンツォ
ハリス夫人:メアリー・ギャフリー
農夫:ロバーツ・ブロッサム

アメリカ 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ

1977年製作 135分
1980年:特別編 132分
1998年:コレクターズ・カット版 137分
公開
北米:1977年11月16日
日本:1978年2月25日
製作費 $19,400,870
北米興行収入 $132,088,640
世界 $303,788,640


アカデミー賞 ■
第50回アカデミー賞

・受賞
撮影・特別賞(音響効果編集)
・ノミネート
監督
助演女優(メリンダ・ディロン
編集・美術・特殊効果・録音・作曲賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
メキシコソノラ砂漠
第二次大戦中の1945年に行方不明になった戦闘機が、新品同様のまま見つかる。

調査団のフランス人科学者クロード・ラコーム(フランソワ・トリュフォー)や、地図の作製者デビッド・ロフリン(ボブ・バラバン)らは、機体が現れた時の目撃者の老人が、顔に火傷を負っていることに注目する。

そして老人は語る、”太陽が現れ、歌った・・・”と。

インディアナポリス航空管制センター。
レーダーが未確認飛行物体をキャッチし、管制官は偵察機に対し、正式にUFOと報告するかを確認するが、目撃者のパイロットは報告を控える。

インディアナ州、マンシー
郊外のジリアン・ガイラー(メリンダ・ディロン)の家で、眠っていた息子バリー(ケイリー・ガフィー)のおもちゃが突然、動き始める。

ジリアンとバリーは異変に気づくが、バリーは何かに誘われるように家の外に出て走り去り、ジリアンがそれを追う。

電気技師ロイ・ニアリー(リチャード・ドレイファス)は、地域の停電で呼び出される。
...全てを見る(結末あり)

現場に向かったロイが踏み切りで停車すると、見たこともない光を放つ物体が、超常現象を起こすのを目撃する。

それ以後、ロイはその物体に魅せられてしまう。

その物体についての情報を無線で知ったロイは、現場に向かい、バリーを追ってきたジリアンと出会う。

既に街道には人が集まり、やがて美しい光を放つ飛行物体が飛び去っていく。

その物体を追跡するパトカーをロイも追うが、物体は大空へと消え去り、地域の停電は回復する。

帰宅したロイは、家族を連れて、飛行物体を見た現場に向かう。

しかし、何も現れない現場で妻のロニー(テリー・ガー)は、ロイがロマンチックなムードを味わうために、郊外の高台に自分を連れて来たものと思ってしまう。

モンゴルゴビ砂漠
消息を絶っていた貨物船が、砂漠の中で発見され、それをロフリンが確認する。

顔面の左半分が火傷のように日焼けしたロイは、飛行物体のことと、ある山の形が頭から離れなくなる。

それを、ロイはロニーに理解させようとするが、彼女は聞く耳を持たず、その後ロイは会社を解雇されてしまう。

インド北部、ダラムシャーラー
ラコームとロフリンは、ある5音階を奏でる民衆を調査に行き、どこからその音階が聞こえたかの問いかけに対し、民衆は空を指差す。

ラコームは、インドでの出来事を”コダーイ・ゾルターン”の手話を使い学会で発表する。

UFOに魅せられたロイは、同じ体験をしたジリアン達も、やはり山型の物体が頭から離れないことを知る。

そして、集まった人々の前に光の物体が現れるが、それは警戒中のヘリコプターだった。

ゴールドストーン電波望遠観測所
ラコームらは、5音階の信号を宇宙に向けて発信していたが、ある信号を受信する。

地図の専門家のロフリンは、それが地球の経緯度を示すものだということに気づく。

それがワイオミングを位置していることが判明し、新たな信号をラコームがキャッチする。

その頃、バリーはラコームの受けた信号と同じ音階を、おもちゃの木琴で奏でていた。

ジリアンは、ロイと同じように山型のイメージを描いていたが、空から光と共に現れた飛行物体に、バリーがさらわれてしまう。

ロイらUFOの目撃者は、空軍との事情説明会に臨むが、UFOや宇宙人の存在を空軍は認めなかった。

一方、アメリカ政府は、謎の信号が示した、ワイオミングデビルズ・タワーに現れるだろう、異星人との接触のための秘密計画を、軍を使って進める。

フランス人である科学者のラコーム、そしてロフリンもそれに参加する。

尚も山型が頭から離れないロイは、ノイローゼのようになるが、ある朝、それを断ち切ろうとUFOの資料などを捨てようとする。

粘土で作った山を処分しようとした時、上部が取れた形を見て、ロイはついにそのイメージを見つける。

突然ロイの行動はエスカレートし、近所にまで迷惑をかけ始めたため、妻ロニーと子供達は家を出て行ってしまう。

巨大な粘土の山を家の中に作ったロイは、鉄道事故で毒ガス騒ぎが起きたニュース報道を見て、自分が想い描いていた物が、それに映っていたデビルズ・タワーだというこに気づく。

ワイオミングムーアクロフト
ジリアンが描いていた絵もそれと一致し、ロイは現場に向かい彼女と出くわす。

ロイとジリアンは、避難勧告が出ていた現場一帯の検問を突破し、ついにデビルズ・タワーにたどり着くが、軍に捕らえられてしまう。

ロイやジリアンを尋問したラコームとロフリンは、彼らが共通したイメージ(デビルズ・タワー)を想い描き集まったことに注目する。

ロイは毒ガスが嘘だと気づき、ジリアンとラリー・バトラー(ジョセフ・ソマー)と共に逃亡してデビルズ・タワーを登り始める。

それを目撃したラコームとロフリンは、ロイらが選ばれし者達だと確信する。

ロイ達を捜すために軍は捜索隊を出し、イメージではあるが、その場の地形を知る彼らは逃亡を続ける。

ラリーはロイとジリアンに遅れてしまい、催眠ガスを散布されて眠ってしまう。

そしてロイとジリアンは、デビルズ・タワーの裏側に作られた、異星人とのコンタクトをとる基地にたどり着く。

二人は、ラコームらのチームが、UFOとの接触に成功するのを目撃して驚く。

その時、夜空から巨大なマザー・シップが現れて基地に飛来し、最終的な接近遭遇が始まる。

ロイは基地に侵入し、マザー・シップとの音階を使った交信を見つめる。

その直後、船内から行方不明になっていた、第二次大戦中の戦闘機パイロット達やバリーらが姿を現す。

バリーに駆け寄ったジリアンは彼を抱きしめ、ロイに気づいたラコームは、彼の目的を確かめる。

ロイはマザー・シップに乗り込むことを許可され、船内から現れた異星人をラコームと共に見つめる。

このために準備されていた人類の代表達と共に、船内に向かおうとしたロイだったが、彼だけが異星人に招かれる。

そして、ロイはラコームに促され、異星人と共にマザー・シップに乗り込んでいく。

ロイは船内で、地球上では有り得ない、信じられないような光景を目の当たりにして感激する。

ラコームは異星人に対し、”コダーイ・ゾルターン”の手話で挨拶して別れを告げる。

そしてマザー・シップは、宇宙の彼方へと飛び立っていく。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
30年前の戦闘機や、行方不明になった貨物船などが世界の各地で発見される。
アメリカ国内でも、未確認飛行物体UFOが目撃され、電気技師ロイ・ニアリーやシングル・マザーのジリアンがそれを目撃して、二人はある山型のイメージを解明することに、のめり込んでしまう。
一方、科学者ラコームや地図製作者ロフリンは、宇宙からの信号をキャッチし、それがワイオミングの”デビルズ・タワー”を示していることが判明する。
ロイやジリアンの、想い描くイメージも同じ場所だと分かり、その場に向かった二人は、政府が、異星人との接近遭遇を試みようとしていたことを知る・・・。
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ジョーズ」(1975)で史上最高のヒットを記録した弱冠29歳のスティーヴン・スピルバーグが、監督、脚本を担当したSF映画の秀作。

異星人との”第三種接近遭遇”を、秘密裏に行おうとする政府機関と、UFOや”山型イメージ”に魅せられる主人公達が、侵略者ではない異星人と、友好的に接触する姿を描いたところが当時は斬新であり、特にラストの交流のシーンは、心打たれ感動を呼ぶ。

スピルバーグの、幼少期の体験が脚本に生かされ、巨大な”シャンデリア”のようなマザー・シップで、ピノキオの”星に願いを”のメロディにのり、宇宙へ旅立っていく幕切れも実に夢がある。

地球人よりも、遥かに進んだ文明からやってきた異星人が、ごく普通の市民との交流を望むという発想も好感が持てるし、軍や政府の役人が悪者に見えるところも興味深い、後年公開される同じスピルバーグの「E.T.」(1982)に通じる、心温まるテーマでもある。

第50回アカデミー賞では監督賞をはじめ8部門でノミネートされ、撮影賞と特別賞(音響効果編集)を受賞した。
・ノミネート
監督
助演女優(メリンダ・ディロン
編集・美術・特殊効果
録音・作曲賞

北米のみで、約1億3200万ドルの興行収入を上げ、全世界では3億ドルを超す大ヒットとなり、「ジョーズ」(1975)に続き、スピルバーグのヒットメイカーとしての地位を確立させた作品でもある。

アメリカ初のナシュナル・モニュメントデビルズ・タワーの圧倒的存在感が効果を上げ、ジョン・ウィリアムズの、テーマ曲を含めた楽曲の素晴らしさは際立っている。

ジョン・ウィリアムズは同年「スター・ウォーズ」(1977)でアカデミー作曲賞を受賞している。

ジョーズ」(1975)に続いてスピルバーグ作品に出演のリチャード・ドレイファスは、家族を犠牲にしてまでも目的を追い続けた執念が実り、唯一人宇宙の彼方へと旅立つ幸運を手にする男性を熱演している。
彼は、同年「グッバイガール」(1977)の好演でアカデミー主演賞を受賞した絶頂期であったが、結局は、その後は低迷してしまうことになる。

スピルバーグが尊敬する映画監督で、友情出演と言える科学者フランソワ・トリュフォー、謎のUFOに魅せられた主人公の元を去る妻役のテリー・ガー、素朴なシングル・マザー役の、アカデミー助演賞にノミネートされたメリンダ・ディロントリュフォーの助手兼通訳役のボブ・バラバン、撮影当時4歳の、異星人を全く怖がらない愛くるしいケイリー・ガフィーデビルズ・タワーで主人公達と逃亡するジョセフ・ソマー、科学者スタッフの一員として、端役で登場するランス・ヘンリクセン、ロイ(R・ドレイファス)の息子役で、実際の甥ジャスティン・ドレイファスなどが共演している。


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