古代エジプト”プトレマイオス朝”最後のファラオ”クレオパトラ7世”の共和制ローマの権力者を巻き込む野望を描く、製作、監督セシル・B・デミル、主演クローデット・コルベール、ウォーレン・ウィリアム、ヘンリー・ウィルコクソン、C・オーブリー・スミス他共演の歴史劇。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:セシル・B・デミル
製作:セシル・B・デミル
脚本
ウォルデマー・ヤング
ヴィンセント・ローレンス
バートレット・コーマック
撮影:ヴィクター・ミルナー
編集:アン・ボーチェンズ
音楽:ルドルフ・G・コップ
出演
クレオパトラ7世:クローデット・コルベール
ジュリアス・シーザー:ウォーレン・ウィリアム
マーク・アントニー:ヘンリー・ウィルコクソン
ヘロデ大王:ジョセフ・シルドクラウト
オクタヴィアン:イアン・キース
カルプルニア:ガートルード・マイケル
グナエウス・ドミティウス・イーノバーバス:C・オーブリー・スミス
アポロドラス:アーヴィング・ピシェル
ガイウス・カッシウス・ロンギヌス:イアン・マクレーン
マルクス・ユニウス・ブルータス:アーサー・ホール
セルヴィリウス・カスカ:エドウィン・マックスウェル
ポタイナス:レオナルド・ムディエ
オクタヴィア:クラウディア・デル
シャーミアン:エレノア・フィリップス
マルクス・アエミリウス・レピドゥス:ウィリアム・ファーナム
市民:ジョン・キャラダイン
奴隷:デヴィッド・ニーヴン
アメリカ 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ
1934年製作 100分
公開
北米:1934年10月5日
日本:1934年11月
製作費 $842,908
北米興行収入 $1,929,160
■ アカデミー賞 ■
第7回アカデミー賞
・受賞
撮影賞
・ノミネート
作品・助監督・録音・編集賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
紀元前48年。
共和政ローマの執政官ジュリアス・シーザーは、共同統治するプトレマイオス13世と姉クレオパトラ7世が王位を争うエジプトに向かう。
クレオパトラ(クローデット・コルベール)の侍女シャーミアン(エレノア・フィリップス)は、女王が誘拐されたことを知る。
摂政のポタイナス(レオナルド・ムディエ)に砂漠に連れて行かれたクレオパトラは、従者のアポロドラス(アーヴィング・ピシェル)と共に置き去りにされることになる。
アレクサンドリアに戻れば殺すと言われたクレオパトラは、まもなく到着するシーザーに会うことをポタイナスから知らされる。
置き去りにされたクレオパトラは、アポロドラスから、シーザーにエジプトが奪われてしまうと言われる。 引き下がる気のないクレオパトラは、アレクサンドリアに戻りシーザーを利用して王位を自らのものにしようと考える。 アレクサンドリア。 ローマの庇護が必要ならば100万デナリウス他を納めることを要求されたポタイナスは、それを承諾する。 プトレマイオスを王と認める書面を作成するシーザーは、届けられた絨毯の中から現れた女(クレオパトラ)に、今は相手にしていられないと伝える。 ポタイナスは動揺し、自分はクレオパトラだと言う女の言葉にシーザーは驚く。 クレオパトラからポタイナスの陰謀を知らされたシーザーは、手続きを済ませようとするポタイナスに、調停はローマに戻ってからにすることを伝える。 ポタイナスを下がらせたシーザーは、仕事があるためクレオパトラを相手にしない。 アポロドラスに提案され、シーザーに黄金の国インドの話をしたクレオパトラは、それに興味を持った彼に、ローマ軍を100年は持たせられる金がある国だと伝える。 話を聞きたいと言うシーザーに、自分の部屋で食事をしながら語り合いたいと伝えたクレオパトラは、身を守るための警護をつけられる。 シーザーを自分のペースに引き込むクレオパトラは、ポタイナスを追放してほしいと伝える。 インドの話を聞きたいと言われたクレオパトラは、カーテンの陰に隠れている者に気づき、今日は話はしたくないと伝えてシーザーを口説く。 結婚まで迫るクレオパトラは、愛していない妻とは離婚するべきだとシーザーに話ながら、自分と共に世界を征服することを提案する。 クレオパトラが自分の力になれるとは思わないシーザーだったが、隠れていたポタイナスを槍で刺す彼女の姿を見て見直し、一夜を共にする。 翌日、ポタイナスが死んだために調停は破棄するようにと参謀に指示したシーザーは、クレオパトラがファラオになるため滞在を伸ばすことを伝えて、ローマのマーク・アントニーに手紙を出す。 ローマ。 マルクス・ユニウス・ブルータス(アーサー・ホール)、セルヴィリウス・カスカ(エドウィン・マックスウェル)、ガイウス・カッシウス・ロンギヌス(イアン・マクレーン)らは、王になろうとしているシーザーの考えを阻止するために、彼の暗殺を考える。 カルプルニアは、シーザーの姪オクタヴィア(クラウディア・デル)と弟オクタヴィアン(イアン・キース)を歓迎する。 オクタヴィアから、夫アントニーの居場所が分からないと言われたカルプルニアは、シーザーからの便りがないことに苛立つオクタヴィアンの話を聞く。 自分はシーザーの後継者だと二人に伝えたオクタヴィアンは、オクタヴィアから、自分がシーザーでもアントニーに手紙を書くと言われる。 そこにアントニー(ヘンリー・ウィルコクソン)が現れ、シーザーが戻ってくることを皆に伝える。 カルプルニアを迎えに来たアントニーだったが、彼女はこの場で夫を待つことを伝え、オクタヴィアンは、ローマを見捨てる気のシーザーが何かを企んでいると考える。 凱旋して市民に迎えられたシーザーは、注目を集めるクレオパトラを従えていた。 預言者から3月15日に凶事が起きると言われたシーザーは、気にする様子はなかった。 シーザーが元老院で王と宣言すると考えるブルータスらは、クレオパトラがローマの女王となることを恐れる。 なんとしても共和制を維持したいブルータスらは、シーザー暗殺を実現させようとする。 翌日、元老院に向かうべきではないとアントニーから警告されたシーザーは、その指示を受ける気はなかった。 グナエウス・ドミティウス・イーノバーバス(C・オーブリー・スミス)からも女は災いの元だと言われたシーザーは、同じ意見のアントニーに女は嫌いなのかと伝えて笑い飛ばす。 クレオパトラが与える影響を気にするアントニーは、話を聞き入れようとしないシーザーが元老院に向かおうとする考えを変えないために、その場を去る。 イーノバーバスも同じ意見であるため、シーザーは、それならばアントニーについて行けと彼に伝える。 悪夢を見たカルプルニアからも止められたシーザーだったが、迎えに来たカスカと共に元老院に向かう。 途中、クレオパトラの元に寄ったシーザーは、演説後に戻ると彼女に伝える。 到着したシーザーは、再び預言者から警告されるものの、気にすることはなかった。 貢物のドレスをまとったクレオパトラは、シーザーの死を知り騒いでいる市民の声を、演説が終わったことを知らせる叫び声だと思う。 シーザーが暗殺されたことを知ったクレオパトラは驚き、”ブルータス”という名前を聞いたことだけを報告される。 元老院に向かおうとするクレオパトラを制止するアポロドラスは、シーザーに愛はなく、手に入れたかったのは黄金だけだと伝えて彼女を納得させる。 2週間後。 仕方なく、オクタヴィアンは指示には従うと元老院議員達に伝える。 タルススでクレオパトラに会い、友好関係を結ぶと見せかけて、彼女を捕らえてローマに連れ戻すというのがアントニーの考えだった。 船でタルススに近づくクレオパトラは、自分を殺す気であり、話し合いを求めて来たアントニーの心を奪える自信があった。 会合場所で待たされたアントニーは苛立ち、自らクレオパトラの船に向かう。 クレオパトラから、迎えによこした兵士は泥酔していることを知らされたアントニーは、この場で誘惑するつもりだったと言われる。 美しいクレオパトラと用意された演出に魅了されたアントニーは、彼女に心を奪われる。 2か月後、ローマ。 自分がアントニーとクレオパトラを血祭りに上げると言うオクタヴィアンは、エジプトに向かう。 ユダヤの王ヘロデ大王(ジョセフ・シルドクラウト)を迎えたクレオパトラは、ローマの情報を知らされる。 実権を握ったオクタヴィアンが、アントニーが死ねばエジプトを庇護するつもりだと知ったクレオパトラは、アントニーと友人であるヘロデ大王の考えを探る。 アントニーと酒を酌み交わしたヘロデ大王は、クレオパトラに話したオクタヴィアンの考えを伝える。 ヘロデ大王から、クレオパトラに自分を毒殺させるつもりだと言われたアントニーは、思わず笑てしまう。 冗談としか思っていないアントニーからその話を聞いたクレオパトラは、エジプトのために彼を毒殺するようにと、アポロドラスに促されて苦悩する。 バラの花びらにまぶした毒の威力を、死罪を受けた殺人犯で試したクレオパトラは、アントニーを毒殺するなら、せめて苦しませたくないと考える。 クレオパトラが罪人で毒を試したことを知ったアントニーは警戒し、食事の席で酒を飲むのをためらう。 しかし、クレオパトラが自分の杯の酒を飲み干す姿を見たアントニーは、すべてが誤解であったと分かり、彼女と楽しもうとする。 アントニーが酒を満たした杯にバラを浸したクレオパトラは、彼と乾杯しようとする。 そこにローマからの伝書バトのメッセージが届き、クレオパトラはローマの宣戦布告を知る。 オクタヴィアンが自分を裏切り者呼ばわりしていることを知ったアントニーは、イーノバーバスらを呼び戦いの準備をしようとする。 アントニーを勇ましく思うクレオパトラは、杯を手にした彼を制止し愛を伝える。 現れたイーノバーバスから、部下の司令官達はローマ人であり、エジプトのために同胞を敵に回さないと言われたアントニーは、彼らがオクタヴィアンに寝返ったことを知らされる。 自分も戦う気はないと言うイーノバーバスは、英雄としてローマに戻るために、クレオパトラを殺すよう命字てほしいとアントニーに伝える。 それを拒まれたイーノバーバスは、アントニーに去ることを伝えて、共に戦った武勲により授けられた勲章を外す。 考えを変えようとしないアントニーに、世界一偉大な男になれたにも拘らず、女で身を滅ぼすと伝えたイーノバーバスは、彼に別れを告げてその場を去る。 クレオパトラと共に別れる気のないことを確認したアントニーは、徹底的に戦うことを誓う。 激しい戦いは始まり、”アクティウムの海戦”で敗れたアントニーは、アレクサンドリアで包囲されオクタヴィアンから降伏を迫られる。 アントニーを救うために、クレオパトラはオクタヴィアンの元に向かう。 ショックを受けたアントニーは絶望し、剣で自らを傷つける。 オクタヴィアンに降伏したクレオパトラは、アントニーには二度と会わないので、彼を助けてほしいと伝える。 それを拒むオクタヴィアンは、ローマに連れて行くことをクレオパトラに伝えて、アントニーとの別れの時間を許す。 宮殿に戻ったクレオパトラは、交渉は失敗したが逃亡する方法があることをアントニーに伝える。 傷つき苦しむアントニーが死を選んだことを知ったクレオパトラは、支配者となるオクタヴィアンの元に向かうよう指示される。 アントニーは息を引き取り、城門が破られることを知ったクレオパトラは覚悟を決める。 玉座に座るクレオパトラは、ローマにはいかないことをシャーミアンらに伝えて、毒蛇に胸を噛ませる。 真実の愛を探すようシャーミアンらに伝えたクレオパトラは、それが見つからなければ、何も与えないようにと言いながら朦朧とする。
...全てを見る(結末あり)
クレオパトラがシリアに逃亡したことにして、シーザー(ウォーレン・ウィリアム)にプトレマイオスを王と認めさせようとするポタイナスは、自分が仕組んだことではないかと疑われる。
貴族の間でクレオパトラのことが話題になる中、宴の主催者であるシーザーの妻カルプルニア(ガートルード・マイケル)は接客をする。
オクタヴィアンは、暗殺者を追いエジプトを処罰するという元老院の指示に従う考えのアントニーが、手柄を独り占めにして支配しようとしていると言って批判する。
アントニーが裏切り者であることを市民に訴えるオクタヴィアンは、エジプトを処罰せずクレオパトラと暮らしている彼を批判する。
*(簡略ストー リー)
紀元前48年。
共和政ローマの執政官ジュリアス・シーザーは、共同統治するプトレマイオス13世と姉クレオパトラ7世が王位を争うエジプトに向かう。
プトレマイオスの摂政ポタイナスに追放されるものの、アレクサンドリアに戻ったクレオパトラは、シーザーとの接触に成功して彼を魅了する。
クレオパトラと共にローマに凱旋したシーザーは、支配者になろうとしている考えを阻止しようとするブルータスらに暗殺されてしまう。
ショックを受けたクレオパトラは逃亡し、それを追うマーク・アントニーは、エジプトを処罰して彼女を捕らえようとする。
しかし、クレオパトラの罠にはまったアントニーは、彼女の美貌と魅力の心奪われてしまう・・・。
__________
世界制覇を目指すローマの権力者を、その美貌で魅了して阻止しようとする、エジプト”プトレマイオス朝”最後のファラオ”クレオパトラ7世”の野望を描く歴史ドラマ。
製作を兼ねるセシル・B・デミルの重厚な演出、豪華なセットやスケール感のある戦いのシーンなど、娯楽の要素満載の見応えある作品。
当時のハリウッドの財力と技術を結集した映像は迫力満点で、クレオパトラを演ずる美しいクローデット・コルベールをはじめ、個性を活かした共演陣の熱演も見逃せない。
第7回アカデミー賞では、作品賞以下5部門でノミネートされ、撮影賞を受賞した。
*ノミネート
作品・助監督・録音・編集賞
主人公のクレオパトラ7世を演ずるクローデット・コルベールは、妖艶な魅力で圧倒的な存在感で画面を支配する。
クレオパトラに魅了されるジュリアス・シーザーのウォーレン・ウィリアム、同じくクレオパトラの虜となり身を滅ぼすマーク・アントニーを演ずる、セシル・B・デミルのお気に入りの役者ヘンリー・ウィルコクソン、ユダヤのヘロデ大王のジョセフ・シルドクラウト、オクタヴィアンのイアン・キース、シーザーの妻カルプルニアのガートルード・マイケル、アントニーの腹心グナエウス・ドミティウス・イーノバーバスのC・オーブリー・スミス、クレオパトラの従者アポロドラスのアーヴィング・ピシェル、シーザーを暗殺する元老院議員のガイウス・カッシウス・ロンギヌスのイアン・マクレーン、同じくマルクス・ユニウス・ブルータスのアーサー・ホール、同じくセルヴィリウス・カスカのエドウィン・マックスウェル、プトレマイオス13世の摂政ポタイナスのレオナルド・ムディエ、オクタヴィアのクラウディア・デル、クレオパトラの侍女シャーミアンのエレノア・フィリップス、シーザーの補佐官マルクス・アエミリウス・レピドゥスのウィリアム・ファーナム、また、端役で市民のジョン・キャラダイン、奴隷のデヴィッド・ニーヴンなどが共演している。