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クレオパトラ Cleopatra (1963)

古代エジプトプトレマイオス王朝最後の女王クレオパトラ7世の半生を描く監督、脚本ジョセフ・L・マンキウィッツ、主演エリザベス・テイラーリチャード・バートンレックス・ハリソンロディ・マクドウォールヒューム・クローニンマーティン・ランドー他共演の歴史ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(歴史劇)

エリザベス・テイラー / Elizabeth Taylor / Pinterest


スタッフ キャスト ■
監督:ジョセフ・L・マンキウィッツ

製作:ウォルター・ウェンジャー
脚本
ジョセフ・L・マンキウィッツ

シドニー・バックマン
ロナルド・マクドゥガル
撮影:レオン・シャムロイ
編集:ドロシー・スペンサー
美術・装置
ジョン・デキーア

ジャック・マーティン・スミス
ウォルター・M・スコット
衣装デザイン
アイリーン・シャラフ

ヴィットリオ・ニーノ・ノヴァリーズ
レニー
音楽:アレックス・ノース

出演
エリザベス・テイラークレオパトラ

リチャード・バートンマーク・アントニー
レックス・ハリソンジュリアス・シーザー
ロディ・マクドウォールガイウス・ユリウス・カエサル・オクタヴィアヌス
ヒューム・クローニンソシゲネス
マーティン・ランドー:ルフィオ
アンドリュー・キアマルクス・ウィプサニウス・アグリッパ

ジョン・ドーセットアキラス
ケネス・ヘイグマルクス・ユニウス・ブルータス
キャロル・オコナーセルヴィリウス・カスカ
ジョージ・コール:ガイウス・フラヴィウス・アントニウス
チェザーレ・ダノーヴァ:アポロドーロス
リチャード・オサリヴァンプトレマイオス13世

グレゴワール・アスランポティナス
パメラ・ブラウン:巫女
フランチェスカ・アニス:エイラス

アメリカ 映画
配給 20世紀FOX
1963年製作 245分
公開
北米:1963年6月12日
日本:1963年11月2日
製作費 $44,000,000
北米興行収入 $48,000,000
世界 $62,000,000


アカデミー賞 ■
第36回アカデミー賞

・受賞
撮影(カラー)・美術(カラー)・衣装デザイン(カラー)・視覚効果賞
・ノミネート
作品
主演男優(レックス・ハリソン
編集・作曲・録音賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
紀元前48年8月9日、ファルサルス(現テッサリア)。
ジュリアス・シーザー(レックス・ハリソン)は、ポンペイウスを破り、彼が逃れたと思われるエジプトへ、王家の内紛を鎮圧するためにに向かう。
ファルサルスの戦い

エジプト王家は内乱を重ね、父プトレマイオス12世の遺言により、クレオパトラ7世(エリザベス・テイラー)と弟プトレマイオス13世(リチャード・オサリヴァン)は、国を共同統治していた。

しかし、宮廷官らにそそのかされたプトレマイオス13世は、クレオパトラを追放してしまう。

アレキサンドリア
プトレマイオス13世と宦官ポティナス(グレゴワール・アスラン)は、到着したシーザーを歓迎する。
...全てを見る(結末あり)

シーザーは、プトレマイオス12世の遺言を託されたローマの代表者として、内紛を鎮める義務があることを伝える。

その後シーザーは、殺されたポンペイウスの首をエジプト側から受け取るが、部下ルフィオ(マーティン・ランドー)らに、彼の遺体を捜し丁重に葬るよう命ずる。

その夜、クレオパトラが、家臣アポロドーロス(チェザーレ・ダノーヴァ)が運んできた貢物の絨毯に潜んでシーザーの前に現れ、自分を王位につけるよう彼に迫る。

クレオパトラを帰したシーザーは、部下ルフィオらと彼女についての情報を集める。

話し合いを終えた後にシーザーは発作を起こしてしまい、その様子を覗き見していたクレオパトラに、それを知られてしまう。

シーザーは、出撃の準備を始めたエジプト艦隊を焼き討ちし、アレキサンドリアに軍を終結させようとする。

火災は街に延焼し、”アレクサンドリア図書館”などに火が移り、クレオパトラの側近で天文学者ソシゲネス(ヒューム・クローニン)は、人類の遺産の焼失を嘆く。

クレオパトラシーザーの元に向かい、 彼の執った行動に激しく抗議する。

シーザーは、自分に従うようクレオパトラに伝え、彼女の唇を強引に奪ってしまう。

クレオパトラは抵抗せずにいたが、シーザーを自分のペースに巻き込む方法を見つける。

その後、シーザーアレキサンドリアを制圧し、援軍を派遣して、エジプト軍の司令官アキラス(ジョン・ドーセット)の軍を挟み撃ちにする。

そして、シーザーは宦官ポティナスを殺し、プトレマイオス13世を追放する。

発作にも冷静に対処し、自分を守り抜くことを約束してくれたクレオパトラの虜となったシーザーは、その後、彼女を王位に就かせる。

即位の際、クレオパトラシーザーにまで跪かせ、彼を誘惑し、やがて征服者となる彼の子を身ごもる。

そして、クレオパトラシーザーの子を産み、 その男の子は”シーザリオン”と名付けられる。

ローマ
元老院議員達の中には、”シーザリオン”をシーザーの子と認めない議員もいた。

そして、アフリカと小アジアで2年間戦ったシーザーは、 ようやくローマに凱旋する。

紀元前44年2月。
シーザー終身独裁官に就任し、3年間もエジプトで待っていたクレオパトラは、いよいよローマに乗り込もうとする。

クレオパトラローマ入りを元老院に許され、シーザーの腹心マーク・アントニー(リチャード・バートン)は、それを喜ばしいことだと考える。

クレオパトラは、シーザーの待つローマに、シーザリオンと共に現れ、民衆を圧倒する盛大なパレードを行い、歓迎を受ける。

やがて、シーザー元老院に皇帝位まで要求し、王にして神となることまで望み、彼の権力が増大することを恐れる動きが出始める。

元老院で、シーザーが”王”になることが動議されることになるのだが、アントニーは、それがイタリア以外のローマに限られることを伝える。

中途半端を嫌うシーザーは、クレオパトラアントニーに、後の支配への準備だと説得され、それを受け入れることを決める。

紀元前44年3月15日。
不吉な予感を感じながら、シーザー元老院に向かい、巫女(パメラ・ブラウン)の予言で、クレオパトラは彼に及ぶ危険を知ってしまう。

そしてシーザーは、カスカ(キャロル・オコナー)らにそそのかされた、ブルータス(ケネス・ヘイグ)ら数人の手によって暗殺されてしまう。

しかし、アントニーの扇動で市民は暗殺者達に怒りをぶつけ、シーザーを称える。

ローマに残る理由のなくなったクレオパトラは、アントニーに別れを告げ、シーザリオンを伴いエジプトに戻る。

アントニーは暗殺者を追い詰め、シーザーの後継者に指名されていたオクタヴィアヌス(ロディ・マクドウォール)と手を組み、フィリッピの戦いブルータスを倒す。

そして、アントニーオクタヴィアヌスレピドゥスは、三頭政治に合意し、ローマを統治することになる。

その後、各自は勢力を争うようになり、オクタヴィアヌスレピドゥスを追放してしまう。

アントニーは食料などの供給に悩み、クレオパトラに援助を乞うしかなくなってしまう。

キリキアタルソス
クレオパトラアントニーをじらし、エジプト領土からは出ないと言いながらも、彼の元に出向く。

しかし、クレオパトラアントニーの招待を受けず、船上で彼を待つ。

仕方なく、アントニーはプライドを捨てて彼女の元に向かうが、たちまちその魅力に心を奪われてしまう。

その後、政治や軍に興味を失ったアントニーを、ローマに呼び寄せたオクタヴィアヌスは、彼を姉オクタビアと強引に結婚させてしまう。

それを知ったクレオパトラは激怒し、彼女はローマへの援助を拒み、エジプトに出向いたアントニーは彼女に手玉に取られ、ローマの領土と結婚を迫られる。

アントニークレオパトラの要求を呑んでしまい、戦争も視野に入れたオクタヴィアヌスは、腰の重い元老院を巧みに操ろうとする。

オクタヴィアヌスは、アントニーローマを愛していることを考慮すべきだという議員に、”死の時はアレキサンドリアに埋めてくれ”という、特使として現れたソシゲネスが持参した彼の遺言を手に入れ、元老院の戦争への賛同を得る。

民衆の前で、オクタヴィアヌスエジプトに対しての宣戦布告を宣言し、その場にいたソシゲネスを槍で殺してしまう。

そして、ギリシャアクティウムの海戦で、オクタヴィアヌスアントニーを罠にはめ、彼の軍を包囲して打破る。

アントニーが死んだものと思い、クレオパトラは戦場から逃亡するが、生き延びていた彼はそれを追う。

クレオパトラに裏切られたと思い込み、アントニーは失意の日々を送り抜け殻となる。

オクタヴィアヌスの腹心アグリッパ(アンドリュー・キア)が、特使としてクレオパトラの元を訪れ、彼女のローマへの恭順を求める。

アントニーの引渡しも求められたクレオパトラは、アグリッパを追い返してしまう。

クレオパトラアントニーは、愛をもう一度確かめ合い、彼は再び奮起して軍の元に戻る。

その後、クレオパトラシーザリオンを国外に逃がし、自らは命を絶つ覚悟を、家臣アポロドーロスに伝える。

オクタヴィアヌスは、クレオパトラアントニーを生きたまま捕らえ、ローマの凱旋で引き回そうと考える。

アントニーは軍団に戻るが、寝てる間に腹心ルフィオは殺され、オクタヴィアヌスに軍を排除されてしまう。

オクタヴィアヌスの軍にたった一人で立ち向かったアントニーだったが、彼は殺されることなくクレオパトラの元に向かう。

シーザリオンを捕らえたオクタヴィアヌスも、アレキサンドリアに向かうことになる。

アポロドーロスから、クレオパトラが自害することを聞いたアントニーは、自ら命を絶とうとする。

アントニーは、瀕死の状態でクレオパトラの元に運ばれ、彼女の腕の中で息絶える。

アレキサンドリア入りしたオクタヴィアヌスは、アントニーの死を知る。

オクタヴィアヌスクレオパトラに対し、シーザリオンの命と引き換えにローマ行きを承諾させる。

そして、オクタヴィアヌスの考えを悟っていたクレオパトラは、毒蛇に指をかませ自ら命を絶つ。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
ローマ内戦の最中、ポンペイウスを破ったジュリアス・シーザーは、エジプトの王家の内紛の鎮圧のためアレキサンドリアに向かう。
シーザーは、追放されていたクレオパトラと接触して軍を集結させ、王位に就いたプトレマイオス13世を追い詰める。
やがて、クレオパトラの虜となってしまったシーザープトレマイオス13世を追放して、姉である彼女を王位に就ける。
その後、クレオパトラシーザーの子を産み、彼は2年振りにローマに戻り終身独裁官に就任する。
その後、元老院クレオパトラローマ入りを認めたため、彼女は息子シーザリオンと共にシーザーらの歓迎を受ける。
王そして神にまでなろうとするシーザーの野望に、危機感を感じた元老院議員は彼を暗殺してしまう。
しかし、シーザーの腹心マーク・アントニーは、民衆を扇動して暗殺者達の粛清を始める。
その後、シーザーの後継者となったオクタヴィアヌスアントニーレピドゥス三頭政治に合意するのだが、やがて争うようになる。
物資補給のため、クレオパトラに頭を下げなくてはならないアントニーは、プライドを捨てて彼女の元に向かう。
そして、アントニークレオパトラの魅力の虜になってしまう・・・。
__________

三人の妻への手紙」(1949)と「イヴの総て」(1950)で2度アカデミー監督、脚本賞を受賞した、ジョセフ・L・マンキウィッツが再び監督兼脚本したスペクタクル歴史劇の超大作。

古代エジプトプトレマイオス王朝最後の女王であるクレオパトラ7世が、ジュリアス・シーザーと出会いアクティウムの海戦で破れたマーク・アントニーと共に自ら命を絶つまでを描く歴史ドラマ。

ハリウッドの伝説にもなった、当時としては天文学的な製作費である4400万ドル(現在の貨幣価値で約3億ドル)をかけて、撮影開始から公開までに約4年、度重なるスタッフの交代、主演のエリザベス・テイラーの100万ドルのギャラなども話題となり、同年公開作品でNo.1ヒットにはなったものの、あまりの巨額投資により利益が出ず20世紀FOXの経営を悪化させたほどの作品。

2本立ての構想もあったが、4時間半という上映時間を4時間強まで、さらに公開後は3時間弱にまでカットされてしまった。

第36回アカデミー賞では9部門にノミネートされるが、結局主要部門の受賞は逃した。
・受賞
撮影(カラー)・美術(カラー)・衣装デザイン(カラー)・視覚効果賞
・ノミネート
作品
主演男優(レックス・ハリソン
編集・作曲・録音賞

賛否両論、話題先行の作品ではあるが、スケールの大きな映像や絢爛豪華な舞台セット、そして見事な衣装など、他に類を見ないほどの圧倒的迫力や華やかさがある作品であることに間違いない。

アレックス・ノースの、優雅で勇壮な音楽も印象に残る。

リチャード・バートンとの不倫騒動も話題になった主演のエリザベス・テイラーは、派手な衣装を数限りなく着こなし熱演はするものの、そのイメージからか、傲慢な女性に描かれ過ぎているのは残念だ。
しかし、文字通り当時のハリウッドの”女王”に相応しい演技を見せてくれる。

この役はオードリー・ヘプバーンも候補に上がったのだが、彼女が全く同じように役を演じていたら、間違いなくミスキャストになっていたのではないだろうか。

上映開始から1時間しても登場しないアントニーリチャード・バートンは、シーザーの死後、正に主役に変貌して、後半は、その演技力で作品を引き締めてくれる。

シーザーを演ずるレックス・ハリソンも、威厳と統率力のある司令官そして指導者を好演し、アカデミー主演賞候補になった。

こちらも後半に大きな役割を果たす、後のローマ帝国初代皇帝アウグストゥスオクタヴィアヌス役を演じるロディ・マクドウォールは、親友エリザベス・テイラーの口添えで、この役を得たと言われている。

クレオパトラの相談役でオクタヴィアヌスアントニーの遺言書を届けながら槍で刺し殺されてしまう、天文学者ソシゲネス役のヒューム・クローニンシーザーの部下から彼の死後は、アントニーの右腕となる兵士マーティン・ランドーオクタヴィアヌスの腹心アグリッパアンドリュー・キアエジプト軍司令官のアキラス役のジョン・ドーセットシーザーの暗殺者の一人ブルータスケネス・ヘイグ、同じくカスカ役のキャロル・オコナーとフラヴィウスのジョージ・コールクレオパトラの家臣役のチェザーレ・ダノーヴァ、同、共に命を絶つフランチェスカ・アニス、巫女パメラ・ブラウンプトレマイオス13世役のリチャード・オサリヴァン、宦官ポティナスグレゴワール・アスランなどが共演している。


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