第二次大戦下、ノルマンディー上陸作戦決行に反対したイギリス首相/ウィンストン・チャーチルの苦悩を描く、監督ジョナサン・テプリツキー、主演ブライアン・コックス、ミランダ・リチャードソン、ジョン・スラッテリー、ジェームズ・ピュアフォイ他共演のドラマ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジョナサン・テプリツキー
製作
ニック・タウシグ
ポール・ヴァン・カーター
クローディア・ブリュームフーバー
ピアース・テンペスト
製作総指揮
ティム・ハスラム
ヒューゴ・グランバー
ジョー・バムフォード
イアン・バーグ
ピーター・ハンプデン
フィル・ハント
イアン・ハッチンソン
ジギー・カマサ
ニック・マンジー
ノーマン・メリー
マイケル・ミリロ
クリストファー・J・レイノルズ
アンドレア・レイノルズ
コンプトン・ロス
ロンネル・ショウ
マイク・スター
脚本:アレックス・フォン・タンゼルマン
撮影:デヴィッド・ヒッグス
編集:クリス・ギル
音楽:ローン・バルフ
出演
ウィンストン・チャーチル:ブライアン・コックス
クレメンタイン・チャーチル:ミランダ・リチャードソン
ドワイト・D・アイゼンハワー:ジョン・スラッテリー
バーナード・モントゴメリー将軍:ジュリアン・ワダム
ヤン・スマッツ将軍:リチャード・ダーデン
ヘレン・ギャレット:エラ・パーネル
アラン・ブルック将軍/アランブルック子爵:ダニー・ウェッブ
トラフォード・リー=マロリー将軍:ジョナサン・アリス
バートラム・ラムゼー提督:ジョージ・アントン
ジェームズ・スタッグ大佐:スティーヴン・クリー
ジョージ6世:ジェームズ・ピュアフォイ
エイサ・ブリッグス:ピーター・オーモンド
ケイ・サマーズビー:アンジェラ・コステロ
ファンショー:ケヴィン・フィンドレー
ハワード副官:ミロ・テプリツキー
イギリス 映画
配給 Cohen Media Group
2017年製作 98分
公開
イギリス:2017年6月16日
北米:2017年6月2日
日本:2018年8月18日
製作費 $6,400,000
北米興行収入 $1,281,260
世界 $6,724,370
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1944年6月。
フランスはナチスの占領下にあり、連合国が”西部戦線”に勝つには解放しなければならなかった。
イギリス首相のウィンストン・チャーチル(ブライアン・コックス)は、海岸で考え込む。
チャーチルは、先の大戦での”ガリポリの戦い”の指揮官として、多くの若者を死なせてしまったことを思い出し動揺する。
妻クレメンタイン(ミランダ・リチャードソン)に声をかけられたチャーチルは、ロンドンに向かう。
首相官邸別館、第二次大戦 1736日目。
アドバイザーである陸軍のヤン・スマッツ将軍(リチャード・ダーデン)と共に出かけるチャーチルは、クレメンタインから、新しい秘書ヘレン・ギャレット(エラ・パーネル)を紹介される。
会議が行われる場所に到着したチャーチルは、連合軍最高司令官ドワイト・D・アイゼンハワー(ジョン・スラッテリー)、イギリス陸軍/アラン・ブルック将軍/アランブルック子爵(ダニー・ウェッブ)、バーナード・モントゴメリー将軍(ジュリアン・ワダム)らに迎えられる。
チャーチルらは、到着した国王ジョージ6世(ジェームズ・ピュアフォイ)を迎え、アイゼンハワーが”オーヴァーロード作戦”について説明して意見を求める。 チャーチルは、史上最大の軍事作戦を無謀な戦いだと言って反対し、リスクを分散させる他の作戦を行う考えを伝える。 第一次大戦の失敗を繰り返したくないチャーチルは、既に作戦の準備を進めていると言われても考えを変えない。 アイゼンハワーから作戦内容を書面で知らせると言われた国王は、進水式があるためにその場を去る。 その後、あくまで新たな作戦を策定しようとするチャーチルは、ブルックと共にアイゼンハワーの元に向かう。 作戦を強硬しても悲惨な結果が待っていると言い張るチャーチルは、先の大戦や経験を話すものの、アイゼンハワーは現在の戦いの違いを彼に伝える。 戦いのことは任せて政治に専念し、国民の士気を高めてほしいと言われたチャーチルは、自分の作戦が軍には受け入れないと知り、落胆しながらその場を去る。 官邸に戻ったチャーチルは、戦争のことは経験豊富なアイゼンハワーに任せて従うべきだと考えるクレメンタインに、国民を勝利に導く義務があると言って反論する。 D-デイ 3日前。 上陸作戦の説明だけするつもりのモントゴメリーは、その内容について意見するチャーチルに憤慨し、国家に対する裏切りだと言って非難する。 兵士を集めたモントゴメリーは、チャーチルが見ている前で、士気を高揚させて戦いに備える。 それを見たチャーチルは演説をやめて、満足したことをモントゴメリーに伝えて海岸に向かう。 自分も戦いに参加すべきだと考えるチャーチルだったが、前線で勝利するのが指導者ではなく、最前線からでは指揮はできないとスマッツに意見され、再びアイゼンハワーと話をしようとする。 チャーチルは、軽巡洋艦”ベルファスト”に乗船して作戦に参加することをアイゼンハワーに伝えるものの、それを拒まれる。 考えを変えないチャーチルは、国王と共に戦地に向かい指揮を執るとアイゼンハワーに伝えてその場を去る。 その後、国王を迎えたチャーチルは、巡洋艦には乗れないと言われ、自分たちは行くべきではないと説得される。 互いの義務を果たすべきであり、大陸には向かうなと言われたチャーチルは、それに従うことを国王に伝える。 クレメンタインがアイゼンハワーに頼まれて国王を呼んだことを知ったチャーチルは、彼女の考えを理解せずに侮辱してしまい、頬を叩かれる。 D-デイ 2日前 午前4時。 スタッグから明日の朝、一時的に天候が回復するが、24時間は回復は見込めないと言われたアイゼンハワーは、決行を延期して出撃部隊を呼び戻すことにする。 その様子を見ていたチャーチルは笑みを浮かべ、明朝も会合が開かれることになる。 アイゼンハワーに声をかけたチャーチルは、勝利のためにはこのような状況にもなると言われ、ドイツに負けたら世界がどうなるか分からないという考えで意見は一致する。 モントゴメリーから、明日の上陸は止められないと言われたチャーチルは、天候が止めるかも知れないと考える。 その後、ギャレットがタイプでミスしたことで憤慨したチャーチルは、彼女を罵倒する。 その様子を見ていたクレメンタインに呼ばれたチャーチルは、”SHAEF/連合国最高司令本部”のアイゼンハワーらの邪魔をしているだけだと言われたために、興奮しながら反論する。 休んでくると言って寝室に向かったチャーチルは、明日の最悪の天候を願い、若者たちを救うために祈りを捧げる。 D-デイ 1日前。 悩んだ末に総合的に判断したアイゼンハワーは、作戦決行を決意する。 その直後に記念撮影をしたアイゼンハワーは、モントゴメリーと握手する。 アイゼンハワーを呼び止めたチャーチルは、明日、大勢が死ぬと言いながら、一人も無駄に死なせないでほしいと伝えて勝利を祈る。 官邸に戻ったチャーチルは、上陸することをクレメンタインに伝え、耐えきれなく取り乱してしまう。 殺人と同じだと言うチャーチルは、生きている気になれないとクレメンタインに伝えるものの、酔っているだけだという彼女はその場を去る。 我慢の限界に達したクレメンタインはスマッツを呼び、放心状態のチャーチルの様子を見に行く。 スマッツは演説の原稿を作る準備を始め、ギャレットを寝室に呼び、作戦開始を国民に知らせる内容をタイプさせる。 ベッドに横たわりながら話し始めたチャーチルは、第一次大戦の”ガリポリの戦い”の作戦の立案者として非難されたことを話し始める。 何万人もの兵士を死なせ、明日も半数は死ぬと言うチャーチルは、話を遮ったギャレットの婚約者も船団にいることを知り、その階級を尋ねる。 駆逐艦に乗る士官候補生だと答えたギャレットに、婚約者との出会いを訊いたチャーチルは、幼馴染だということを知る。 ギャレットは、第一次大戦に従軍した父は心を病み満足に働けず、婚約者が母親の世話をしてくれると言ってくれたと話す。 夫が死ぬか障害者になった母やその姉妹のようにならないように、帰還したら海岸の家で子供と暮らそうと婚約者が言ってくれた話すギャレットは、皆、無事で戻ってきてほしいとチャーチルに伝える。 最も勇敢な首相だと思っているチャーチルから”明日は死ぬ”などという言葉を聞きたくないと言うギャレットは、意見したことを謝罪する。 チャーチルはギャレットを気遣い、タイプの前に座らせる。 着替えたチャーチルはクレメンタインに強力を求め、職務を果たすことを伝える。 クレメンタインが出て行く気だと知ったチャーチルは、目的がない自分にどう協力していいか分からないと言われ、仕事に戻ろうとする。 海軍本部の状況を確認したチャーチルは、クレメンタインから明日の演説のことを訊かれ、ニュース次第だと答える。 それは良くないと言うクレメンタインは、2万人が死亡しても妻子や母親に無駄死にではないという希望と兵士の死に目的を与え、必ず勝利すると信じさせるべきだとチャーチルに伝える。 ともに勝利することを誓ったチャーチルは、それが自分の務めだとクレメンタインに伝える。 演説の原稿を書くと言うチャーチルは、明日の演説後は戦えなくなる、その後はどうなると思うかクレメンタインに尋ねる。 クレメンタインから、いつも自分たちを導く人だと言われたチャーチルは、ギャレットの元に向かう。 その後、ギャレットがタイプした原稿に満足したチャーチルは、ドイツが新型ロケットを開発したことをブルックから知らされ、それに屈しない対抗策を考えようとする。 チャーチルは、上陸した婚約者が無事であり、彼が愛していると伝えて来たことをギャレットに知らせて安心させる。 ギャレットに感謝されたチャーチルは、彼女と握手しながら、自分こそ感謝すると伝える。 6月6日 午前6時。 上陸した連合軍がドイツ軍を退去させ、解放の始まりであり、ヒトラーに徹底的に対抗する。 国民はその演説で勇気を与えられ、チャーチルも満足する。 その後、海岸を散歩していたチャーチルは、クレメンタインから、昨日は心配だったが素晴らしい演説だったと言われ、キャンパスの絵は完璧ではないが、これで我慢すると伝える。 週末は”チャートウェル”の家で絵を描きたいと言うチャーチルは、クレメンタインから戦争のことを訊かれ、アイゼンハワーとモントゴメリーに任せておくと答える。 チャーチルから、自分を捨てても責めないと言われたクレメンタインは、互いに心を開き、争うのはやめた方がいいと伝える。 争いはやめていると言うチャーチルは、戦争で最も大切なのは、高揚感と希望で人々に一体感を感じさせることだとクレメンタインに伝える。 チャーチルは、もう少し散歩することをクレメンタインに伝える。 海を見つめるチャーチルは、ステッキに帽子を乗せて振り高く掲げ、勝利を願い祈りを捧げる。 オーヴァーロード作戦は、西部戦線で戦う連合軍に勝利をもたらした。 1948年5月8日 ドイツは降伏してヨーロッパでの第二次大戦は終結する。 ウィンストン・チャーチルは、80歳になるまで保守党を率いた。 彼は、歴史上もっとも偉大な”ブリトン”だと言われている。
...全てを見る(結末あり)
チャーチルは、スマッツと共に出撃を控えるモントゴメリーの元に向かう。
作戦決行を決めるための会議を開いたアイゼンハワーは、気象部のジェームズ・スタッグ大佐(スティーヴン・クリー)、モントゴメリー、イギリス空軍のトラフォード・リー=マロリー将軍(ジョナサン・アリス)、イギリス海軍のバートラム・ラムゼー提督(ジョージ・アントン)の意見を聞き、状況がよくないことを確認する。
チャーチルは雨に感謝し、その日の会合は始まり、スタッグは、明朝の天候が一時的に回復し昨日よりも状況はいいことを説明する。
チャーチルは、”BBC”の放送を通じて演説を始める。
新兵器の攻撃にも、兵士と同様、勇気をもって迎え撃ち抵抗し戦い、帰還した兵士と共に栄誉を分かち合う。
ヒトラーは4年前の”ザ・ブリッツ”(ロンドン大空襲)と同じく今回も間違いを犯す、我々は耐え戦いに挑み、ヒトラーは敗北を認めることになる。
我々、連合軍、そして私は、自由を勝ち取るまで戦い続け、決して屈服することはない。
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*(簡略ストー リー)
1944年6月、第二次大戦下。
連合軍によるヨーロッパ侵攻を開始する”ノルマンディー上陸作戦(オーヴァーロード作戦)”の決行が迫る中、イギリス首相のウィンストン・チャーチルは、先の大戦で多くの若者を失った経験からその悪夢を繰り返すことを恐れ、作戦計画の変更を提案する。
連合国最高司令本部の最高司令官アイゼンハワーにそれを却下されたチャーチルは、考えを変えることなく自分の信念を貫こうとするのだが・・・。
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第二次大戦下のウィンストン・チャーチルを描く「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」(2017)の7か月前に公開された本作は、同作の大戦初期に対して、その雌雄を決する”ノルマンディー上陸作戦”決行までが緊迫感溢れる内容で描かれている。
対ナチス強硬路線を邁進していたチャーチルだったが、第一次大戦で自分が指揮した”ガリポリの戦い”の悪夢を繰り返したくないために作戦に反対した、彼の苦悩を描いた作品。
当然ながら”連合国最高司令本部”の作戦決行会議の様子などが登場し、それらを含め、ノルマンディー上陸作戦を壮大なスケールで描いた戦争映画の名作「史上最大の作戦」(1962)も参考にして下さい。
ウィンストン・チャーチル役である主演のブライアン・コックスは、作戦決行までの苦悩の日々を見事に演じる熱演を見せてくれる。
個人的な意見だが、歴史的人物に似せるための過剰なメイクをせずに、本作のように役者本来の演技で本人を演じさせるべきだと思う。
主人公である夫の行動を見守りながら対立しながら激励し、彼と”連合国最高司令本部”の調整役となるクレメンタイン・チャーチルを好演するミランダ・リチャードソン、連合国最高司令本部最高司令官ドワイト・D・アイゼンハワーのジョン・スラッテリー、イギリス陸軍の総司令官バーナード・モントゴメリー将軍のジュリアン・ワダム、チャーチルのアドバイザーとして支えるヤン・スマッツ将軍のリチャード・ダーデン、チャーチルの秘書エラ・パーネル、イギリス陸軍/アラン・ブルック将軍/アランブルック子爵のダニー・ウェッブ、イギリス空軍/トラフォード・リー=マロリー将軍のジョナサン・アリス、イギリス海軍/バートラム・ラムジー提督のジョージ・アントン、気象部のジェームズ・スタッグ大佐のスティーヴン・クリー、国王ジョージ6世のジェームズ・ピュアフォイ、歴史家エイサ・ブリッグスのピーター・オーモンド、アイゼンハワーの個人秘書ケイ・サマーズビーのアンジェラ・コステロなどが共演している。