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支那海 China Seas (1935)

南シナ海航路で起きる金塊強奪計画を阻止しようとする船長と彼に関係する女性との恋を描く、製作アーヴィング・タルバーグ、監督テイ・ガーネット、主演クラーク・ゲーブルジーン・ハーロウウォーレス・ビアリールイス・ストーンロザリンド・ラッセルC・オーブリー・スミスロバート・ベンチリー他共演のアドベンチャー・ロマンス。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


アクション/アドベンチャー

クラーク・ゲーブル / Clark Gable / Pinterest


スタッフ キャスト ■
監督:テイ・ガーネット

製作総指揮:アーヴィング・タルバーグ
原作:クロスビー・ガースティン”China Seas”
脚色
ジュールス・ファースマン

ジェームズ・ケヴィン・マッギネス
撮影:レイ・ジューン
編集:ウィリアム・レヴァンウェイ
音楽:ハーバート・ストサート

出演
アラン・ギャスケル:クラーク・ゲイブル

ドリー”チャイナ・ドール”ポートランド:ジーン・ハーロウ
ジェームジー・マッカードル:ウォーレス・ビアリー
トム・デイヴィッズ:ルイス・ストーン
シビル・バークレー:ロザリンド・ラッセル
ドーソン:ダドリー・ディッグス
ガイ・ウィルマーディング卿:C・オーブリー・スミス
チャーリー・マケイレブ:ロバート・ベンチリー
ポール・ロマノフ:エイキム・タミロフ
ロックウェル:ウィリアム・ヘンリー
ティモンズ:エドワード・ブロフィー
ティモンズ夫人:リリアン・ボンド
イザベル・マッカーシー:ハティ・マクダニエル
乗客:ドナルド・ミーク

アメリカ 映画
配給 MGM

1935年製作 87分
公開
北米:1935年8月9日
日本:1936年1月
製作費 $1,138,000
北米興行収入 $2,867,000


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
香港
定期船”キンルン”は、シンガポールに向けて出航準備をしていた。

現れたアラン・ギャスケル船長(クラーク・ゲイブル)は、二日酔いの件などについてを航路会社の重役ガイ・ウィルマーディング卿(C・オーブリー・スミス)から追及される。

しかし、危険地域である南シナ海の航行にはギャスケルが必要であった。

ギャスケルは、25万ポンドの金塊がスチーム・ローラーに隠してあることを銀行家に言われ受取書にサインする。

船長室に向かったギャスケルは、愛人であるドリー”チャイナ・ドール”ポートランド(ジーン・ハーロウ)が居たため船から降ろそうとする。

しかし、ドールがチケットを持って行ったため、ギャスケルは仕方なく乗船を認める。

長い船長経験もあるベテランのトム・デイヴィッズ(ルイス・ストーン)が現れ、三等航海士に任命されたことをギャスケルに伝える。
...全てを見る(結末あり)

若くて屈強な航海士を希望していたギャスケルは不満だったが、デイヴィッズを乗船させる。

ドリーは、知人である豚商人のジェームジー・マッカードル(ウォーレス・ビアリー)がその場にいることを知り喜ぶ。

ギャスケルは、怪しい男であるジェームジーに探りを入れて警戒する。

その直後に不審な女達に気づき、それが男であることを見破ったギャスケルは、彼らを捕えて下船させる。

あることを企んでいたジェームジーは、仲間だった男達が捕えられたため次の手を考える。

ギャスケルは、ギャスケルの元恋人で貴族のシビル・バークレー(ロザリンド・ラッセル)が乗船したために驚き、簡単な言葉を交わす。

船は、いつも酔っている作家のチャーリー・マケイレブ(ロバート・ベンチリー)などを乗せて出航する。

親しげに話すギャスケルとシビルの姿を目撃していたドリーは、彼女の話をギャスケルから聞き、自分が相手にされないため苛立つ。

メイドのイザベル・マッカーシー(ハティ・マクダニエル)から、貴婦人には見えないためギャスケルを早く諦めるべきだとも言われたドリーは憤慨する。

食事の際にドリーは、寄り添って現れ同席したギャスケルとシビルの話に割って入る。

気分を害したシビルは席を立ち、ギャスケルもそれに続く。

ドリーはギャスケルを追い謝罪するのだが、ギャスケルは、シビルを侮辱したことを責めて、二度と自分達に近づくなと言ってその場を去る。

その後、ドリーは、ジェームジーがいるため寂しくないと言って、ギャスケルの部屋に置いてあったタバコを持ち帰ろうとする。

しかし、ギャスケルに皮肉を言われたドリーはタバコを戻す。

シビルと話したギャスケルは、生きる世界は違ったものの惹かれていたことを語る。

シビルも、実はギャスケルを捜して旅を続けていたことを伝える。

二人は愛を確かめ合い、ギャスケルはシンガポールで船を降りることを伝え、シビルはイングランドサセックスで暮らすことを彼に提案する。

ドーソン(ダドリー・ディッグス)他、船員達から、かつて海賊に襲われ生き残った船長ということで卑怯者と言われていたデイヴィッズだったが、若いロックウェル(ウィリアム・ヘンリー)だけは彼に優しく接した。

翌日、ドリーはシビルに騒いだことを謝罪するが、彼女とギャスケルがシンガポールで結婚することを知り気分穏やかではいられない。

ギャスケルの部屋に向かったドリーは、一応、結婚を祝福するのだが、自分を忘れられないはずだと言い気りその場を去る。

ガイ卿は、自分の後を継いでほしかったことをギャスケルに伝えるが、船を降りると言う彼はそれに興味を示さない。

ドーソンに船長を任せるしかないと言うガイ卿の言葉を聞き、ギャスケルはそれに同意するものの動揺する。

嵐が近づき警戒させるギャスケルは、ジェームジーと飲みながら楽しく過ごすドリーが気になる。

海は大荒れとなり、乗客に救命胴衣を着けさせたギャスケルは、姿の見えないドリーが海に落ちた可能性を知らされる。

泥酔状態のジェームジーの部屋にいたドリーは、彼の財布から、ゲームで勝った分の金を抜こうとする。

そこに100ポンド札の半分と裏に中国語の印を見つけたドリーは、ジェームジーが海賊の一味だと気づきその場を去ろうとする。

船が揺れたため目覚めたジェームジーは、ドリーが100ポンド札に気づいたことを知り、船内にある金塊を奪う仲間に加わるよう強要する。

そこに、鍵のかかったドアを壊してギャスケルが押し入り、ドリーを抱きかかえてサロンに避難する。

ジェームジーは、ギャスケルには何も言わぬようドリーに警告する。

船体は傾きスチーム・ローラーを固定していた鎖が切れ、何人かがそれに轢かれる。

船員はスチーム・ローラーを海に落とそうとするが、ギャスケルはそれを制止する。

海に落ちそうになりながらスチーム・ローラーを何とか固定したギャスケルは、怯えて命令に従えなかったデイヴィッズを謹慎処分にする。

嵐は収まるものの、多くの人々が犠牲となった。

ギャスケルはデイヴィッズを呼び、解任を伝えて入港まで部屋を出ないように命ずる。

怯えるドリーはジェームジーの件をギャスケルに話そうとするが、疲労困憊の彼は話を聞こうとしない。

部屋に戻ったドリーを、裏切ったと言って追求したジェームジーは、彼女が武器庫の鍵を奪ってきたために許す。

ジェームジーは、武器庫を開けて銃を仲間のマレー人に渡し、ギャスケルが眠っている間に海賊船が近づき船は占拠される。

デイヴィッズは抵抗するものの捕えられ、足首を折られてしまう。

目覚めて現状を知り捕えられたギャスケルは、救命ボートに誰かが乗っていることに気づく。

ギャスケルは、英語が通じない海賊のリーダーを相手に、救命ボートの者に聞こえるように爆弾のことを話す。

ボートでそれを聞いていたデイヴィッズは、その場で怖気ずくドーソンを見て爆弾を取りに向かう。

ジェームジーが通訳となり、仕方なく金庫を開けさせたギャスケルは、誰かが爆弾の場所に向かったことを確認する。

金庫に金塊がなかったため、ギャスケルは拷問を受けて失神してしまう。

ジェームジーは金塊はないのかもしれないと考え、海賊は船に戻る。

目覚めたギャスケルは、デイヴィッズが這いながら爆弾を持ってきたことを確認し手榴弾を受け取る。

ギャスケルは手榴弾でドアを爆破し、デイヴィッズは、銃弾を受けながら海賊船に落下して自爆する。

部屋から出たギャスケルは、海賊船を攻撃して撃沈する。

翌日、航海日誌にデイヴィッズの功績を記したギャスケルは、武器庫が鍵により開けられたことを知る。

ドリーとジェームジーを呼んだギャスケルは、部屋に出入りしていた彼女を追及する。

タバコに隠してあった100ポンドは確認済みだったギャスケルは、半分が海賊の死体にあったことを伝え、その場にいたガイ卿にそれを見せる。

それに記されているのがジェームジーの会社の印であることから、ギャスケルは彼にその理由を聞く。

ジェームジーは白を切るが、既に仲間が金塊強奪計画を吐いていた。

誰が武器庫の鍵を持ち出したかを問うギャスケルは、ドリーとジェームジーをシンガポール警察に引き渡そうとする。

ドリーは興奮して全てを話してしまい、知らせようとしたにも拘らず聞いてくれなかったと言ってギャスケルを責める。

ジェームジーは、ドリーに罪はないと言いながら愛を告げて服毒自殺をする。

シンガポール
船は帰港し、ドリーは所持品や洋服をイザベルに与える。

ギャスケルは、事件の後始末で数週間は忙しいことをシビルに伝える。

事態を解決させるために、ドリーが自分に伝えようとしたことを無視してしまったことをギャスケルは後悔し、自分も同罪であるとシビルに話す。

全てを理解したシビルは、住む世界が違うと言って帰国することをギャスケルに伝える。

それを言いたかったと伝えたギャスケルは、昔の自分はもういないと付け加えてシビルと別れる。

ガイ卿に今後のことを聞かれたギャスケルは、今すぐ辞職すると言ってその場を去る。

ギャスケルは、金塊の引き渡しを要求されたものの砂の詰まった箱しかなかったと報告する船員に、スチーム・ローラーの工具箱にあると言って鍵を渡す。

ドリーを呼びに行ったギャスケルは、警察に引き渡しても味方だと言って気落ちする彼女を励ます。

同情を嫌うドリーは、シビルと結婚することをギャスケルに確認する。

言い合いになった二人だったが、ギャスケルはドリーをより愛していることを伝える。

迷惑をかける自分は変わらないと言うドリーに、ギャスケルは結婚すれば変わると答える。

ドリーは警察署長に連行され、ギャスケルは、ガイ卿に酒を勧められるものにおそれを断り、船員に小言を言ってその場を去る。

船員は愚痴をこぼすが、ガイ卿は、ギャスケルは厳しいが、何事もやり遂げる男だと語る。

そしてギャスケルは、連行されていくドリーを笑みを浮かべながら見守る。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
香港からシンガポールに向かう定期船”キンルン”の船長アラン・ギャスケルは、金塊を運ぶことを銀行に依頼されていたが、それを誰にも伝えなかった。
愛人のドリーが乗船していことを知り彼女を降ろそうとしたギャスケルだったが、彼女がチケットを持っていたため仕方なくそれを許可する。
そんなギャスケルは、元恋人で貴族のシビルが乗船したことに驚く。
それを知ったドリーは苛立ち、豚商人の知人ジェームジーとの時を過ごす。
その後、ギャスケルはシビルとの愛を確認し、シンガポールに到着後、下船してイングランドに向かうことを決意する。
やがて海は嵐となり、ジェームジーが、金塊を狙う海賊の仲間だと知ってしまったドリーは、それをギャスケルに話そうとするのだが・・・。
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1931年に発表された、クロスビー・ガースティンの著書”China Seas”を基に製作された作品。

大筋ではアクション・アドベンチャー映画に分類され、男のロマンを感じさせながら、ユーモアを絡めたロマンス、そしてサスペンス・タッチの部分もある、娯楽の要素満載の作品に仕上がっている。

サイレント時代から始まりトーキー映画、そしてテレビ界でも活躍したテイ・ガーネットの、多彩な登場人物の個性を生かした、無駄のないシャープな演出が見所の作品でもある。

愛し合いながらも終始揉めている主人公とヒロインの関係は、一捻りしたスクリューボール・コメディのような雰囲気だ。
主人公が、愛人には傲慢とも言える態度で、元恋人の貴婦人には常に紳士的に接しながら、中盤の嵐と金塊強奪計画も見事に切り抜ける逞しさは、女性ならずとも惹かれてしまう。

主演のクラーク・ゲーブルは、言動や仕草に無駄のない彼らしい演技で、30代前半とは思えない周囲を圧倒する雰囲気を持つ船長を熱演している。

クラーク・ゲーブルの相手役としては、このくらいインパクトがあって丁度いいとも言える、”チャイナ・ドール”という愛称も怪しい不思議な魅力を漂わせるジーン・ハーロウ、金塊強奪を企むウォーレス・ビアリー、辛い過去を引きずりながら、最後には勇気を見せる三等航海士ルイス・ストーン、主人公のかつての恋人で、貴婦人を清楚な美しさで演ずるロザリンド・ラッセル、航路会社の重役C・オーブリー・スミス、周囲の状況を全く理解していない、終始酔っている作家という愉快な存在のロバート・ベンチリー、ベテランの船員ダドリー・ディッグス、若い船員ウィリアム・ヘンリー、乗客のエイキム・タミロフエドワード・ブロフィーリリアン・ボンドドナルド・ミーク、ドリー(ジーン・ハーロウ)のメイド、ハティ・マクダニエルなどが共演している。


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