マーク・メドフの戯曲を自身とヘスパー・アンダーソンとで脚色し、実際に聾唖者であるマーリー・マトリンが見事な演技でアカデミー主演賞を受賞した。 聾唖学校の教師と心を閉ざす聾唖者の女性の愛と心の葛藤を描く、主演ウィリアム・ハート、パイパー・ローリー共演、監督ランダ・ヘインズによる感動のドラマ。 |
・ウィリアム・ハート / William Hurt / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:ランダ・ヘインズ
製作
バート・シュガーマン
パトリック・パーマー
原作:マーク・メドフ
脚本
ヘスパー・アンダーソン
マーク・メドフ
撮影:ジョン・シール
編集:リサ・フラクトマン
音楽:マイケル・コンヴァーティノ
出演
ウィリアム・ハート:ジェームズ・リーズ
マーリー・マトリン:サラ・ノーマン
パイパー・ローリー:ノーマン夫人
フィリップ・ボスコ:カーティス・フランクリン
アリソン・ゴンフ:リディア
ジョン・F・クリアリー:ジョニー
ジョン・ベイシンガー:アラン・ジョーンズ
アメリカ 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ
1986年製作 118分
公開
北米:1986年10月3日
日本:1987年3月
北米興行収入 $31,853,080
■ アカデミー賞 ■
第59回アカデミー賞
・受賞
主演女優賞(マーリー・マトリン)
・ノミネート
作品
主演男優(ウィリアム・ハート)
助演女優(パイパー・ローリー)
脚色賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ニューイングランド。
田舎町の聾唖学校に、ジェームズ・リーズ(ウィリアム・ハート)が赴任してくる。
ジェームズは、名門校を渡り歩いてきた野心家であり、少し風変わりなところもあった。
校長のカーティス・フランクリン(フィリップ・ボスコ)は、高望みはせずに、地道に歩むようにとジェームズに忠告する。
その後、奇抜なアイデアで授業を始めたジェームズは、昼食の時間に、食堂の厨房で調理師に息巻く、サラ・ノーマン(マーリー・マトリン)という、掃除係の聾唖の女性を見かける。
ジェームズは、気性が激しく、心を閉ざしているようなサラに興味を抱く。 自分の教育方針が、フランクリンに受け入れられないジェームズだったが、彼は一向にそれを気にしない。 ある日、ジェームズは、サラに自己紹介して会話をしようとするが、彼女に相手にされなかった。 生まれつき耳に障害があるサラは、頭脳明晰であったのだが、殻に閉じこもったまま、誰にでも反抗的だった。 既に成人して働く身のサラだったが、フランクリンは、ジェームズの要望で、彼女に会話を教えることを許可する。 しかし、フランクリンに、ジェームズの元に連れてこられたサラは、彼の手話の能力の低さを指摘して帰ってしまう。 その後、何とかサラを食事に誘ったジェームは、多少会話らしきものをした後、耳の聞こえない彼女が、感覚でダンスを踊る姿に見とれてしまう。 何か協力したいことを、サラ伝えたジェームズだったが、彼女は、無理だと言ってそれを聞き入れようとしない。 数日後ジェームズは、サラの母親のノーマン夫人(パイパー・ローリー)の元を訪れる。 母親は、ジェームズを迷惑そうに迎えるが、8年もの間サラに会わないのは言葉が通じないからで、彼女が姉の男友達と付き合ったりもしたことを伝える。 見かけは普通の女性と変わらないサラに、何かがあったということを、ジェームズは母親から聞く。 学校に戻ったジェームズは、姉が作ったリストに従い、男友達と関係を持たされたことを、サラから知らされる。 ジェームズは動揺するが、サラは彼にも下心があって、自分に近づいたと伝え、立ち去ってしまう。 その後ジェームズは、サラへの協力心が愛情に変わり、彼女にその想いを伝え、やがて二人は愛し合うよ そんなある日、”家族の集い”で、クラスの生徒と楽しく過ごしているジェームズを見て、嫉妬したサラは手を5針縫う怪我をしてしまう。 それが自分の責任だと、フランクリンから責められたジェームズは、サラの仕事を辞めさせて、自分と生活させることにする。 真剣に付き合っていることを、フランクリンに伝えたジェームズだったが、そんな関係が続くわけがないと言われてしまう。 自分の家でサラと同居を始めたジェームズは、彼女と幸せな日々を過ごすようになる。 ジェームズと、フランクリンの家のポーカーの集まりに招待されたサラは、本で覚えたという見事な腕を披露する。 楽しい夜を過ごして帰宅した二人だったが、自分の名前を呼んでくれという禁句を、ジェームズはつい口に出してしまう。 それが叶えばと落ち込むサラと、後悔するジェームズだった。 しかしサラは、自分が同居してから、音楽を聴いてないというジェームズに、それを体で表現して欲しいと伝えて理解しようとする。 その後、あるパーティーに招待された二人だったが、聾唖者の天才数学者と同席したサラは、何の能力もない自分を哀れむ。 帰宅したサラは、ジェームズが、自分を普通の人間にして、操りたいだけだと言い出す。 愛しているだけだと反論するジェームズに、あるがままの自分を受け入れなければ、同じ沈黙の世界には入れないとサラは伝える。 哀れみを拒絶して一人で生きたいのなら、読唇術を学び言葉で表現してみろと、強い口調でジェームズに言われたサラは、悲鳴のような言葉を発して彼の元を去ってしまう。 その後、サラは母親を訪ね、距離を置いていた二人は率直に話し合い、わだかまりを捨て一緒に暮らすことになる。 ジェームズは母親の元に連絡するものの、彼女はサラがいないことを伝える。 その間ジェームズは、サラと同じ、沈黙の世界を理解しようとして苦しむ。 ジェームズは、母親の元にいるはずのサラを訪ねるのだが、大学進学のために働く彼女の様子を見ただけで、彼はその場を立ち去る。 帰宅したサラが、寂しさを伝えたため、ジェームズが会いに来たことを母親は娘に伝える。 母親はサラを固く抱きしめ、自分に正直に行動すればいいと助言する。 サラは、夏休み前の学校のパーティーに現れ、それを知ったジェームズは動揺する。 そして、ようやく二人は理解し合い、お互いを必要としていることを強く感じる。
...全てを見る(結末あり)
うになる。
*(簡略ストー リー)
ニューイングランド。
田舎町の聾唖学校に赴任してきたジェームズ・リーズは、気性の激しい掃除係の聾唖の女性サラ・ノーマンが気になる存在になる。
頭のよさそうなサラが、何にでも反抗的で心を閉ざしているのを見たジェームズは、彼女との心の触れ合いを試みる。
しかし、ジェームズはサラに相手にされず、彼女の真意が理解できないまま苦悩する。
長い間サラと疎遠になっていた、彼女の母親に会ったジェームズは、あるヒントを得て学校に戻る。
サラは少女の頃、見かけだけが普通の子ということを姉に利用された、暗い過去を背負っていたのだった。
サラへの気持ちが、既に興味から愛情に変わっていたジェームズは、彼女に愛を伝えるのだが・・・。
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「ドクター」(1991)でもウィリアム・ハートと組む監督のランダ・ヘインズは、落ち着いた雰囲気の中にも、激しくぶつかり合う主人公達の心の葛藤を、力強く描いている。
第59回アカデミー賞では、マーリー・マトリンが、主演女優賞を受賞した。
・ノミネート
作品
主演男優(ウィリアム・ハート)
助演女優(パイパー・ローリー)
脚色賞
そのアカデミー賞授賞式で忘れられないのは、マーリー・マトリンにオスカーを渡したのが、ウィリアム・ハートであり、手話で彼女に受賞を伝えた様子は実に感動的だった。
*本作をきっかけにして二人はパートナーとなる。
さらに、翌年の授賞式で、プレゼンターとして登場したマーリー・マトリンは、発生練習の成果を披露し、候補者の名前を読み上げ、場内から大喝采を受けた。
また、のどかな雰囲気のドラマの設定地である、ニューイングランド(実際のロケはカナダ)が、美しい感動のドラマの舞台として見事に効果を上げている。
見事に手話を習得した、アカデミー主演賞にノミネートされたウィリアム・ハートの、役者魂と熱演も光る。
娘をどう扱ってよいかわからず、仕方なく学校に預けるしかなかった、辛い胸の内を秘めながら、温かく娘を見守る、同じくアカデミー助演賞候補になったパイパー・ローリーの名演は、娘役マーリー・マトリンと共に特に印象深い。
保守的かと思えば、砕けた一面も見せる校長フィリップ・ボスコ、主人公のクラスの生徒アリソン・ゴンフ、ジョン・F・クリアリーなどが共演している。