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チャイルド44 Child 44 (2015)

2008年に発表された、トム・ロブ・スミスの小説”チャイルド44”を基に製作された作品。
”楽園”の共産主義国家ではあり得ないとされる子供の連続殺人事件を追う保安局員の苦闘を描く、製作リドリー・スコット、監督ダニエル・エスピノーサ、主演トム・ハーディノオミ・ラパスヨエル・キナマンゲイリー・オールドマンヴァンサン・カッセルジェイソン・クラークパディ・コンシダイン他共演のミステリー・スリラー。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(サスペンス/犯罪)

ゲイリー・オールドマン / Gary Oldman / Pinterest


スタッフ キャスト
監督:ダニエル・エスピノーサ
製作
リドリー・スコット
マイケル・シェイファー
グレッグ・シャピロ
製作総指揮
アダム・メリムズ
エリーシャ・ホームズ
ダグラス・アーバンスキー
ケヴィン・プランク
モリー・コナーズ
マリア・セストーン
サラ・E・ジョンソン
ホイト・デヴィッド・モーガン
原作:トム・ロブ・スミスチャイルド44
脚本:リチャード・プライス
撮影:オリヴァー・ウッド
編集
ピエトロ・スカリア
ディラン・ティチェナー
音楽:ヨン・エクストランド

出演
レオ・デミドフ:トム・ハーディ
ライーサ・デミドワ:ノオミ・ラパス
ワシーリー・ニキティン:ヨエル・キナマン
ネステロフ将軍:ゲイリー・オールドマン
クズミン少佐:ヴァンサン・カッセル
アナトリー・ブロツキー:ジェイソン・クラーク
ウラジミール・マレヴィッチ:パディ・コンシダイン
アレクサンドル:ジョセフ・アルティン
ティアプキン医師:サム・スプルエル
検死官:ネッド・デネヒー
アレクセイ・アンドレイエフ:ファレス・ファレス
イワン・スコフ:ニコライ・リー・カース
デミドフ:マーク・ルイス・ジョーンズ
セミヨン・オークン:マイケル・ナードン
グラチョフ少佐:チャールズ・ダンス
イネッサ・ネステロヴァ:タラ・フィッツジェラルド
ニーナ・アンドリーヴァ:アグニェシュカ・グロホフスカ
フョードル:ペトゥル・ヴァネク

イギリス/イギリス/チェコ共和国/ルーマニア/ロシア/アメリカ 映画
配給
サミット・エンターテインメント
ライオンズゲート
2015年製作 137分
公開
北米:2015年4月17日
日本:2015年7月3日
製作費 $50,000,000
北米興行収入 $1,224,330
世界 $12,951,090


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
1933年、ソ連ウクライナ
スターリン政権が招いた飢饉で、日に25000人が餓死した。
この”ホロドモール”は多くの孤児を生んだ。

孤児院から逃げ出した少年は赤軍に保護され、将校のデミドフ(マーク・ルイス・ジョーンズ)から名前を訊かれる。

名は捨てたと言う少年は、デミドフから”獅子/レオ”という名を与えられ、その後、彼の養子になる。

1945年、ベルリン
第二次大戦末期、成長したレオ・デミドフ軍曹(トム・ハーディ)が所属する部隊は、攻め入った国会議事堂を占拠する。

議事堂の頂上に赤旗を掲げたレオは英雄となる。
ライヒスタークの赤旗
...全てを見る(結末あり)

1953年、モスクワ
国家保安省MGB)のエリート将校として大尉となったレオは、ライーサ(ノオミ・ラパス)と結婚する。

レオは、反体制派の追跡と逮捕を任務とする部隊を指揮していた。

スパイ容疑で獣医アナトリー・ブロツキー(ジェイソン・クラーク)を捜すレオの部隊は、彼の友人である農夫セミヨン・オークン(マイケル・ナードン)の家に押し入る。

セミヨンからブロツキーの居場所は知らないと言われたレオは、妻が動揺していることが気になり、逃げるブロツキーを見つける。

ブロツキーを追い詰めたレオは、撃てと言って騒ぎ始めた彼を痛めつける。

二人は格闘になり、レオは、同僚将校のアレクセイ・アンドレイエフ(ファレス・ファレス)を呼ぶ。

ナイフを奪ったブロツキーは自分のわき腹を刺し、レオはアレクセイらと共に彼を取り押さえる。

レオの部下ワシーリー・ニキティン(ヨエル・キナマン)は、見せしめのためにレナとセミヨンを射殺し、娘二人に銃を向ける。

それを制止したレオは、臆病者であるにも拘わらず子供に銃を向けたワシーリーを、非難して殴り倒す。

ワシーリーに銃を向けて罵倒したレオは、アレクセイに制止される。

孤児だったレオは娘達に同情して共に涙するが、慰めようがなかった。

アレクセイの息子ユーラは、線路で男性から声をかけられる。

レオに尋問されたブロツキーは自白剤を投与され、ワシーリーが、イギリス大使館の情報を伝えた者全員の名前を聞き出そうとする。

夜中に呼び出されたレオは、クズミン少佐(ヴァンサン・カッセル)から、アレクセイの息子ユーラの死体が発見されたことを知らされる。

ワシーリーと同じくベルリンで共に戦ったアレクセイを守る必要があると言われたレオは、息子の死を悲しむ彼が、殺人だと主張していることを知る。

”殺人は資本主義の病”というスターリンの言葉に従い、クズミンが列車事故として処理しようとしていることを知ったレオは、反逆罪に問われる可能性があるアレクセイを何とかするよう指示される。

アレクセイを訪ねたレオは、家族の前で正式な事故報告を伝えるものの、アレクセイの妻ニーナ(アグニェシュカ・グロホフスカ)は納得しなかった。

席を外したレオは、クズミンが温情で自分をよこしたことと、家族のために報告書の内容を受け入れるべきだとアレクセイに伝える。

レオは、ユーラの遺体に会うことも許されないと嘆くアレクセイに、”共産主義の楽園では殺人はあり得えない”と伝えて彼を説得する。

アレクセイは、ユーラを連れ去った男を目撃した者がいることをレオに伝える。

クズミンに呼ばれたレオは、ブロツキーの捜索時にワシーリーと揉めたことで注意されるが、アレクセイを説得した件は評価される。

ブロツキーがすべてを自供したことも知らされたクズミンは、彼が処刑されたことを悟る。

クズミンから、ブロツキーが7人の名前を挙げたと言われたレオは、担当する者の資料を受け取り、それがライーサだったために驚く。

教師のライーサの監視を始めたレオは、同僚のイワン・スコフ(ニコライ・リー・カース)と行動する彼女を尾行する。

養父デミドフにライーサのことを相談したレオは、1人の死か家族全員かを考えるようにと言われて迷う。

そこに、週一度、顔を見せるライーサが現れ、家族で食事をすることになる。

病院に行ったと話すライーサは、妊娠したことをレオらに伝えて祝福される。

翌日、学校に向かうライーサを見送ったレオは、自宅の部屋を調べる。

そこにクズミンの指示を受けたワシーリーらが現れ、レオと共に調べ始める。

その頃、線路で遊んでいた少年は、近づいて来た男性に声をかけらてついて行く。

同僚が連行される姿を見て動揺するライーサは帰宅し、その件をレオに話す。

ブロツキーが自分の名を挙げたことをレオから知らされたライーサは、スパイかと訊かれ、それを否定する。

翌日、検視官(ネッド・デネヒー)に会ったレオは、別の少年が殺され、ユーラと同じ状態で発見されたことを知る。

付近に川はなかったが溺死で、絞殺時のような目の内出血が確認され、胃を切除されていたということだった。

その後レオは、ライーサがスパイだったという証拠がなかったことをクズミンに報告する。

その夜、押し入って来たアレクセイに、レオとライーサは連行される。

処刑場に連れて行かれたレオは、取り乱すライーサを落ち着かせ、現れたワシーリーに脅された彼女は失神してしまう。

左遷されるレオは、ライーサを告発するべきだったと言うワシーリーから、田舎町で民警をするよう指示され列車に乗り南に向かう。

ヴォリスク
迎えに来た上官のネステロフ将軍(ゲイリー・オールドマン)と共に町に向かったレオとライーサは、劣悪な環境で暮らすことになる。

翌日、地元の学校に向かったライーサは、校長から掃除婦の仕事を与えられる。

ネステロフと話したレオは、彼と共に少年の死体が発見された森に向かう。

モスクワの事件との関連性を考えたレオは、少年の目の内出血を確認してティアプキン医師(サム・スプルエル)に伝え、溺死かもしれないと言われるものの、川は6キロ先にしかなかった。

内臓が摘出されている可能性があり、犯人は外科医だと指摘するレオの様子を見たネステロフは、MGBが何か企んでいるのではないかと疑う。

自分や部下たちに不利な報告をしたら殺すとレオを脅したネステロフは、死体の少年の身元が分かったと言われ、50キロ先に住む小学生であることを知る。

死体の発見者である駅員アレクサンドル(ジョセフ・アルティン)と話したネステロフは、同性愛者である彼が、いかがわしいことをしていたのではないかと考え、彼を逮捕する。

ワシーリーからの電話を受けたライーサは、レオを捨ててモスクワに戻ることを勧められる。

それを断ったライーサは脅され、仕方なく駅に向かう。

列車を待つライーサを説得して家に連れ戻したレオは、彼女から、妊娠は告発を逃れるためのウソだったと言われて愕然とする。

結婚も、MGBの自分が怖かったために仕方なく承諾したと言われたレオは、ショックを受ける。

ネステロフに尋問されたアレクサンドルは、同じ同性愛者の名を挙げるよう強要され、それに従う。

町の同性愛者は次々と逮捕され、罪を感じたアレクサンドルは列車に飛び込み自殺する。

アレクサンドルは犯人ではないとライーサに伝えたレオは、今回の少年とユーラを殺したのは同一犯だと考え、それを証明しようとする。

それはこの国では危険な行為だと言うライーサに、既に自分たちは死んでいると伝えたレオは、ネステロフの元に向かう。

犯人は旅行者であり、さらに犠牲者は出ると言うレオは、党の指示に従っているだけでは、自分たちは殺人に加担していることになるとネステロフに伝える。

モスクワで情報を収集するつもりのレオから、子供の殺人事件の記録を調べてほしいと言われたネステロフは、納得できない。

ネステロフの妻イネッサと話したライーサは、森を通る子供の通学のことを尋ね、事件以来、同伴していたと言う彼女に、犯人は逮捕されたのだから、子供だけで学校に行かせられるはずだと伝える。

言葉を失ったイネッサはその場を去り、ネステロフは考え込む。

駅で少年に話しかけたウラジミール・マレヴィッチ(パディ・コンシダイン)は、切手収集が共通の話題となり、彼を連れて列車に乗り、薬入りのお菓子を食べさせる。

ネステロフは、危険を承知で、9歳から15歳までの死亡した子供の記録をすべて調べる。

ロストフ・ナ・ドヌの駅の近くで少年の遺体が発見されたことを知ったネステロフは、記録の集計結果をレオに伝える。

レオは、どれもほぼ同じ状態で発見された子供の数が44人であることを確認する。

ライーサにモスクワへの同行を求めるレオは、その後は好きなようにしていい、自分は姿を消すと言って彼女を説得する。

モスクワ
ライーサと共にアレクセイに会ったレオは、ユーラが事故死ではなかったことを伝え、検視報告書などを彼と妻ニーナに渡す。

ここからロストフ・ナ・ドヌまでの線路沿いで起きた連続殺人だと言うレオは、犯人を捕らえて法の裁きを下すとアレクセイに伝える。

それは不可能だと言うアレクセイは納得せず、犯人を見つけ次第、殺せとレオに伝える。

自分のためなら殺せるが、真相は分からずに終わると言われたアレクセイは、仕方なくレオとライーサに協力して、目撃者に会わす。

アレクセイとライーサと共に目撃者のガリーナと話したレオだったが、押し入って来た彼女の夫に追い出される。

ロストフ・ナ・ドヌ
駅に迎えに来た息子と共に帰宅したマレヴィッチは、妻アリシアを抱きしめる。

戦時中、ヒトラーの報復部隊が各地に残され、9人の子供が犠牲になったことを知ったネステロフは、子供を失った親たちに同情する。

モスクワ中央駅、東口。
列車に乗ることができないと考えたレオは、ライーサの元同僚イワンに助けを求めることになるが、彼を信用できなかった。

イワンに会い、少年の連続殺人について話したレオは、今の自分の立場を訊かれる。

危険が伴うことであるため慎重になるイワンは、知り合いに頼めば街を出れると言って、隠してあった電話を使おうとする。

それを不審に思ったライーサは、その場に同僚が逮捕された原因となった禁書があることに気づき、それをレオに伝える。

イワンに襲い掛かったレオは、彼を絞殺する。

その場を離れたレオは、イワンが、禁書を利用して反体制派を捕えようとしていたMGBだったとライーサに伝える。

自分と来なくてもいいとライーサに伝えたレオは、イワンの家に向かうワシーリーの様子を見つめながら、一緒に行くと言う彼女を連れてその場を去る。

ワシーリーは、イワンが殺されていることを確認する。

字が読めない兵士に身分証を見せて列車に乗ったレオとライーサは、ヴォリスクに戻る。

被害者が突出して多いロストフ・ナ・ドヌが要だとレオに話すネステロフは、行動範囲などを考えると、犯人はトラクター工場の労働者の可能性があると伝える。

帰宅したレオはライーサに迎らえるものの、その場で待っていたワシーリーと話をすることになる。

ネステロフも、イネッサがMGBの前で怯えていることを知る。

レオは拷問を受け、ワシーリーから、話した方が身のためであり、レオのことは諦めろと言われたライーサは彼に迫られる。

翌日、レオとライーサは護送列車に乗せられ、ワシーリーの指示を受けた二人の男に襲われる。

抵抗して男たちを殺したレオとライーサは、見張りの兵士に襲い掛かり、列車から飛び降りる。

列車を止めたワシーリーは、差し向けた男たちが殺されたことを確認する。

身勝手な行動をクズミンに非難されたワシーリーは、レオが、スパイ活動ではなく子供の殺人事件を追っていることをアレクセイに確認する。

死んだ子供のことをアレクセイに尋ねたワシーリーは、彼が、モスクワに来たレオを救おうとしていると考える。

家族は救えると言われたアレクセイは、殺人犯はロストフ・ナ・ドヌにいることが考えられるので、レオもその場に向かうと伝えて帰ろうとするものの、ワシーリーに背後から撃たれる。

ロストフ・ナ・ドヌ
ライーサと共にトラクター工場に向かったレオは、彼女を残して内部に入り、管理事務所の職員セルゲイを脅し、資料と一致する工員を特定させる。

その後の進展に不満なクズミンは、このままでは自分たちは終わりだとワシーリーに伝え、解決を急がせる。

セルゲイからマレヴィッチの資料を渡されてレオは、工場にいる彼を確認してその場を去る。

仕事を終えて工場を出たマレヴィッチを尾行するレオは、外で待っていたライーサと共に彼の車を確認する。

ロストフ・ナ・ドヌのトラクター工場の事務所で職員が襲われ、雇用者リストの一部が奪われたことを知ったワシーリーは、レオとライーサの仕業だと考える。

レオとライーサは、停車する車に近づき林の中に入る。

ライーサにその場で待つようにと伝え、マレヴィッチを捜したレオは、待ち構えていた彼から、自分のことを知っていると言われて驚く。

自分と同じ孤児院で育ち、戦争で英雄になったレオとは違い、単なる軍医だったと話すマレヴィッチは、モンスターも英雄も同じ人殺しだと伝える。

MGBの自分も子供を不幸にしたはずだと言われたレオは、マレヴィッチが気持ちを抑えられないことを知る。

マレヴィッチはライーサを捕えたワシーリーに射殺され、レオは銃を捨てるよう指示される。

それに従ったレオは、農家でセミヨンと妻を殺したことを話すワシーリーに侮辱され、殺されそうになる。

ライーサを殴ったワシーリーに襲いかかったレオは格闘になり、ナイフで刺される。

ライーサに殴られ抵抗したワシーリーは、襲いかかってきたレオに殺される。

兵士達が現れ、レオは、、犯罪者を捕えようとしたワシーリーが、非業の死を遂げたMGBの英雄だと伝える。

その後、MGBに復帰したレオは、クズミンが逮捕されたことを後任のグラチョフ少佐(チャールズ・ダンス)から知らされる。

昇進で新たに発足される保安組織(KGB)への配属と、将来のことをレオに伝えたグラチョフは、マレヴィッチのことを話す。

戦時中に2年間捕虜となり、ナチのエージェントとなり帰国したマレヴィッチは、ソ連がモンスターを生んだと思わせるため、敗戦の報復に送り込まれたとグラチョフは語る。

実際には、西側にいる間に汚れてしまったと言うグラチョフだったが、レオは、どちらの社会のせいでマレヴィッチが変わったかは判断できないと伝える。

昇進の件で、モスクワ殺人課の新設とその責任者を希望するレオは、それが必要なものなのか確認するグラチョフに、殺人は国を揺るがす陰謀だと伝える。

マレヴィッチのことを訊かれたレオは、やはり西側に洗脳され帰国したのだろうと伝え、その言葉にグラチョフは満足する。

レオから、経験豊富で有能なネステロフを新部署に迎えたいと言われたグラチョフは、何も答えずにその場を去る。

オフィスを整理したネステロフは、モスクワに向かうことになる。

孤児院を訪ねたレオとライーサは、セミヨンの娘エレーナとタマーラと話す。

ライーサは、エレーナとタマーラに家で一緒に暮らすことを提案する。

タマーラから、家に来た人かと訊かれたレオは、戸惑いながらそれを認める。

涙しながらライーサの話を聞くエレーナとタマーラに、両親は返すことはできないと伝えたレオは、二人に謝罪する。

無理強いはしないと言うライーサは、ここから出してあげるので、外で待つ間、よく考えるようにとエレーナとタマーラに伝える。

ライーサとレオはその場を去り、エレーナはタマーラの手を握る。

廊下で待つ間、レオは、今でも自分を恐ろしい男”モンスター”だと思うかとライーサに尋ねる。

微笑むライーサは、そうは思わないとレオに伝える。

荷物を持ち部屋から出てきたエレーナとタマーラと共に、レオとライーサはその場を去る。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
1953年、モスクワ
孤児院で育ち戦争の英雄として出世した国家保安省MGB)のエリート将校レオ・デミドフ大尉は、同僚である友人のアレクセイの息子の死を知る。
明らかに殺人であったものの、”楽園”である共産主義では殺人はあり得ないとされ、レオは、上官のクズミン少佐から事故として処理するよう指示される。
妻ライーサがスパイとして疑われ、その調査を指示されたレオは、それを否定する報告をしたために左遷されてしまう。
ヴォリスクの民警となったレオは、その場でも起きた少年の殺害事件に接して重大な事態だと考え、上官であるネステロフ将軍を説得して捜査を始めるのだが・・・。
__________

トム・ロブ・スミスでデビュー作である”チャイルド44”を原作に、リドリー・スコットが製作に参加し、ダニエル・エスピノーサが演出した作品。

”楽園”である共産主義国家ではあり得ないはずの、子供の連続殺人事件を追う保安局員の苦闘を描くミステリー・スリラー。

理想とはかけ離れた世の中を、建前で統制した当時のソ連の社会体制の中で、第二次大戦で敗北したナチス・ドイツが残した”報復作戦”が展開するという物語は、非常に興味深い内容だ。

その、深く大きな社会問題であるテーマを生かしきれず、細やかな演出にも欠ける内容は今一つ物足りない。

国際色豊かな実力派人気スターの競演も注目された作品ではあるが、批評家からは酷評された。

主演のトム・ハーディは、孤児として育ち、戦争の英雄となり国家保安省MGB)のエリート将校として将来を期待されながら、”殺人”が国家を滅ぼすと考え、体制に反し捜査を続ける主人公を熱演している。

保安局員の将校に逆らうことができずに結婚するものの、次第に夫を理解していく主人公の妻ノオミ・ラパス、主人公の戦友であり部下だったものの、彼に恨みを持ち復讐を考えるヨエル・キナマン、主人公の協力者となる地方の民警の責任者ゲイリー・オールドマン、その妻タラ・フィッツジェラルドMGBの主人公の上官ヴァンサン・カッセル、スパイ容疑で捕まる獣医ジェイソン・クラーク、戦時にナチに洗脳され報復部隊として帰国した連続殺人犯のパディ・コンシダイン、同性愛者であるヴォリスクの駅員ジョセフ・アルティン、その町の医師サム・スプルエル、検死官のネッド・デネヒー、主人公の同僚で友人であるMGB将校ファレス・ファレス、その妻アグニェシュカ・グロホフスカ、ヒロインの学校の同僚でMGBだったニコライ・リー・カース、主人公の養父マーク・ルイス・ジョーンズ、スパイを匿った農夫マイケル・ナードン、復帰後の主人公の上司チャールズ・ダンスなどが共演している。


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