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炎のランナー Chariots of Fire (1981)

ユダヤ人に対する偏見を走ることで拭いさろうとする青年と神のためにひたすら走る実在した2人の伝説的ランナーの闘いと心の葛藤を描く、監督ヒュー・ハドソンベン・クロスイアン・チャールソンイアン・ホルムジョン・ギールガッド他共演によるイギリス映画の秀作。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(スポーツ)


スタッフ キャスト ■
監督:ヒュー・ハドソン

製作総指揮
ジェイク・エバーツ

ドディ・アルファイド
製作:デヴィッド・パットナム
脚本:コリン・ウェランド
撮影:デヴィッド・ワトキン
衣装デザイン:ミレーナ・カノネロ
編集:テリー・ローリングス
音楽:ヴァンゲリス

出演
ハロルド・エイブラハムスベン・クロス

エリック・リデルイアン・チャールソン
サム・マッサービニイアン・ホルム
アンドリュー・リンゼイ卿:ナイジェル・ヘイヴァース
オーブリー・モンタギューニコラス・ファレル
ヘンリー・スタラードダニエル・ジェロール
ジェニー・リデル:シェリル・キャンベル
シビル・ゴードンアリス・クリーグ
J.J.トムソン/トリニティー・カレッジ学寮長:ジョン・ギールガッド
キーズ・カレッジ学寮長:リンゼー・アンダーソン
バーケンヘッド卿:ナイジェル・ダベンポート

チャーリー・パドックデニス・クリストファー
ジャクソン・シュルツブラッド・デイヴィス
イギリス皇太子/エドワード8世デイヴィッド・イエランド

イギリス 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ/20世紀FOX

1981年製作 123分
公開
イギリス:1981年3月
北米:1981年10月9日
日本:1982年8月21日
製作費 $5,500,000
北米興行収入 $58,972,900


アカデミー賞 ■
第54回アカデミー賞

・受賞
作品・脚本・作曲・衣装デザイン賞
・ノミネート
監督
助演男優(イアン・ホルム
編集賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
1919年10月10日、ケンブリッジ大学キーズ・カレッジ
ハロルド・エイブラハムス(ベン・クロス)は、ユダヤ人としての自意識過剰な青年だった。

1920年、スコットランド
宣教師の家庭で育ったエリック・リデル(イアン・チャールソン)は、ラグビー選手としても活躍し、秀でた脚力でオリンピック候補の呼び声が高かった。

リデルは、父の後を継ぎ宣教師になるつもりだったが、伝道のために衆目を集めることも必要ということで、今は神のみ名とみ技を世に広め走り続けることを、その父に命ぜられる。

エイブラハムスは、ユダヤ人に対する偏見を払拭するかのように、短距離ランナーとしての才能を発揮し、栄光のために走り続けれる。
...全てを見る(結末あり)

1923年6月、スコットランドフランス陸上競技会。
視察したエイブラハムスは、転倒しながらも勝利したリデルの走りに圧倒される。

その競技場で、陸上トレーナーのサム・マッサービニ(イアン・ホルム)と出会ったエイブラハムスは、彼にコーチを依頼する。

しかし、マッサービニは、エイブラハムスを観察して、時がきたら判断するという返事にとどめる。

その後、オペラ”ミカド”のヒロイン、シビル・ゴードン(アリス・クリーグ)に一目惚れしたエイブラハムスは、彼女と交際を始める。

ロンドン
競技会でリデルと対決したエイブラハムスは、彼に完敗して愕然とする。

シビルは、立ち直れないほど落ち込むエイブラハムスを励まし、そしてマッサービニが彼のコーチを申し出る。

マッサービニは、エイブラハムスの、短距離選手としての欠点、オーバー・ストライドを指摘し、打倒リデルを目標に厳しいトレーニングを始める。

リデルは、妹のジェニー(シェリル・キャンベル)が心の支えだったのだが、彼女は兄の考える道を心配する。

ジェニーを散歩に誘ったリデルは、将来の中国での伝道を彼女に約束するが、もう一つ神から授かった走ることの才能を試してみたいことを伝える。

トリニティー・カレッジの学寮長J.J.トムソン(ジョン・ギールガッド)とキーズ・カレッジの学寮長(リンゼー・アンダーソン)は、エイブラハムスのコーチマッサービニがプロだということが、アマチュア・スポーツ精神に反すると批判する。

走ることに全てを懸け、それを探求しているエイブラハムスは、二人のスポーツに対する考えを否定し席を外す。

その直後エイブラハムスは、障害物のアンドリュー・リンゼイ(ナイジェル・ヘイヴァース)、中距離のオーブリー・モンタギュー(ニコラス・ファレル)とヘンリー・スタラード(ダニエル・ジェロール)らと共に、ケンブリッジ4人組としてパリ・オリンピック代表選手に選ばれる。

オリンピックイギリス選手団長バーケンヘッド卿(ナイジェル・ダベンポート)は、同じチームとして戦うケンブリッジ4人組とリデルらを率いパリに向かう。

その船上、100メートルの予選が安息日の日曜日と知ったリデルは出場辞退を決め、それをバーケンヘッド卿に伝える。

バーケンヘッド卿は、予選日変更についてフランスを説得してみることをリデルに約束する。

フランス入りしたエイブラハムスらは、最強の敵、アメリカ選手団のチャーリー・パドック(デニス・クリストファー)やジャクソン・シュルツ(ブラッド・デイヴィス)らに注目する。

1924年5月4日。
パリ・オリンピックは華々しく開会し、早速、競技は始まり、先陣を切ったリンゼイが400M障害で銀メダルを獲得する。

パーティーの席上、イギリス皇太子/エドワード8世(デイヴィッド・イエランド)に呼ばれたリデルは、バーケンヘッド卿と共に出場を説得されるが、彼の決意は固くあくまでそれを拒む。

そこに、既にメダルを取ったアンドリューが現れ、400Mの出場をリデルに譲ることになる。

エイブラハムスは200Mで完敗し、100Mの準決勝でパドックに負けてしまい、マッサービニからの激励文とお守りを受け取り決勝に挑む。

そして、エイブラハムスは、アメリカのパドックシュルツを僅差で破り100Mを制する。

それを知ったマッサービニシビルは喜び、そしてJ.J.トムソンキーズ・カレッジ学寮長も祝杯を挙げる。
エイブラハムスはしみじみと勝利を味わい、マッサービニと夜明け近くまで酒を酌み交わす。

400M決勝。
ジェニーがスタンドで見守る中、シュルツからの神のメッセージを握り締めたリデルは、神の喜びを感じながら勝利する。

エイブラハムスら同僚と共に、リデルはヴィクトリーランを始め、スタンドのジェニーに喜びを伝える。

そして、イギリス国民は帰国した彼らの偉業を称える。

その騒ぎを嫌ったエイブラハムスは、出迎えてくれたシビルの元に向かう。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
ケンブリッジ大学キーズ・カレッジ
新入生のハロルド・エイブラハムスは、ユダヤ人として自意識過剰な青年で、その偏見を払拭するかのように、走る才能を生かそうとする。
宣教師の息子リデルは、秀でた脚力でオリンピック候補の呼び声が高かった。
やがて二人は国内でライバルとなり、エイブラハムスリデルへの対抗心を燃やし、究極の走りを追求するため最高のコーチ、マッサービニに指導を求める。
リデルは、伝道を疎かにするつもりもなく、もう一つの授かった才能で神の喜びを感じようとする。
そして、二人は共にイギリス代表として オリンピック・パリ大会に挑むことになり、それぞれの闘いを始める・・・。
__________

映像や音楽を含め、全てにおいて卓越した才能を結集して製作された見事な作品。

特に、1920年代を映し出すセットや衣装の素晴しさは出色だ。

原題の”Chariots of Fire”は、ウィリアム・ブレイクの”ミルトン”の序詩”And did those feet in ancient time”から引用している。

第54回アカデミー賞では、作品、脚本、作曲、衣装デザイン賞を受賞した。
・ノミネート
監督
助演男優(イアン・ホルム
編集賞

映画史上に残る、ヴァンゲリスの名曲”タイトルズ”をバックに、ランナー達の躍動感ある映像も素晴しい。

イギリスが世界の主導権を握っていた時代、ヒュー・ハドソンは、あえてそれを意識してか、その様子がかなり傲慢で排他的に描かれていたり、アマチュア精神に言及する場面などが興味深い。

全てを犠牲にしてまで出場したオリンピックのレースを、安息日を理由に辞退する主人公の、信仰の強さと勇気にも感銘を受ける。

ベン・クロスイアン・チャールソンの、生き方や走る目的が違う、対照的な描き方も面白い。

脇を固めるベテラン、アカデミー助演賞候補にもなった、コーチのサム・マッサービニ役のイアン・ホルムや、トリニティー・カレッジ学寮長J.J.トムソンジョン・ギールガッドの、重厚な演技がドラマに奥深さを与えている。
イアン・ホルムは撮影当時まだ49歳。

オリンピック・アメリカ代表選手役として、当時、売出し中だったチャーリー・パドック役でデニス・クリストファージャクソン・シュルツブラッド・デイヴィスなども出演している。

オリンピックでリデル(I・チャールソン)に400M走を譲るナイジェル・ヘイヴァース、同僚選手のオーブリー・モンタギューニコラス・ファレルヘンリー・スタラードダニエル・ジェロールリデル(I・チャールソン)の妹シェリル・キャンベルエイブラハムスの婚約者シビル・ゴードンアリス・クリーグ(実際はシビル・エヴァース)、キーズ・カレッジ学寮長役のリンゼー・アンダーソン、オリンピック選手団長バーケンヘッド卿役のナイジェル・ダベンポートエドワード8世デイヴィッド・イエランドなどが共演している。


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