警察ロボットとして開発されたAI(人工知能)を搭載するドロイドが人間の”意識”を持ち進化しながら犯罪に巻き込まれる姿を描く、監督、脚本ニール・ブロムカンプ、主演シャールト・コプリー、デーヴ・パテール、ニンジャ、ヨーランディ・ヴィッサー、ヒュー・ジャックマン、シガニー・ウィーバー他共演のSFアクション。 |
・SF
■ スタッフ キャスト ■
監督:ニール・ブロムカンプ
製作:サイモン・キンバーグ
製作総指揮:ベン・ウェイスブレン
脚本
ニール・ブロムカンプ
テリー・タッチェル
撮影:トレント・オパロック
編集
ジュリアン・クラーク
マーク・ゴールドブラット
音楽:ハンス・ジマー
出演
チャッピー:シャールト・コプリー
ディオン・ウィルソン:デーヴ・パテール
ニンジャ:ニンジャ
ヨーランディ:ヨーランディ・ヴィッサー
アメリカ:ホセ・パブロ・カンティージョ
ヴィンセント・ムーア:ヒュー・ジャックマン
ミシェル・ブラッドリー:シガニー・ウィーバー
ヒッポ:ブランドン・オーレット
ピットブル:ジョニー・セレマ
本人:アンダーソン・クーパー
アメリカ 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ
2015年製作 120分
公開
北米:2015年3月6日
日本:2015年5月23日
製作費 $49,000,000
北米興行収入 $31,569,270
世界 $102,069,270
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
あるジャーナリストは、”チャッピー”のような予想外の進歩はあり得ると考え、MITの認知科学者は、これほど早く現実化されるとは思わなかったという意見を述べる。
18か月前、南アフリカ、ヨハネスブルグ。
犯罪が多発する街の治安を守るために、警察にAI/人工知能を搭載した世界初のロボット警官隊が配備される。
CNN”アンダーソン・クーパー360°”。
アンダーソン・クーパーは、ロボットを開発した大手兵器メーカー”テトラバール”を特集し、CEOのミシェル・ブラッドリー(シガニー・ウィーバー)の取材の様子などを伝える。
テトラバール側は、心配されるハッキング対策もガードキーによって万全であると発表している。
エンジニアのヴィンセント・ムーア(ヒュー・ジャックマン)は、AIには信仰的に反対し、人間が操作するロボット”ムース”を開発していた。 警察ロボット”スカウト”のAIを開発したディオン・ウィルソン(デーヴ・パテール)の今後の活躍が期待される。 ギャングのニンジャ(ニンジャ)、ヨーランディ(ヨーランディ・ヴィッサー)、アメリカ(ホセ・パブロ・カンティージョ)は、警察に追われたためにヒッポ(ブランドン・オーレット)の仕事をしくじり、7日以内に2000万ランドを払うようにと言われる。 仲間のピットブル(ジョニー・セレマ)を射殺されたニンジャは、脅されて抵抗できなくなる。 そこに、スカウトを乗せたヘリコプターが現れる。 ヒッポは抵抗し、ニンジャは撃たれたアメリカとヨーランディと共に車で逃げる。 テトラバール。 同僚に称えられるディオンを見つめながら、ミシェルからの電話を受けたヴィンセントは、ムースの開発予算を更にカットされてしまう。 ディオンは、現場で損傷した”スカウト022”をチェックし、再利用不能だと判断する。 アジトに戻ったニンジャは、ヒッポからの連絡を受けて、金を払わなければ命はないと言われて再び脅される。 アメリカの傷の手当てをしながら、ヨーランディから、最後のデカいヤマでヒッポに金を返して足を洗うことを提案されたニンジャは、現金輸送車を襲うことを考える。 スカウトに追われることを想定して、それを操作するリモコンを盗むため、ヨーランディは開発者を誘拐することを考え、ディオンのことを調べる。 人間の意識に近づく新たなプログラムを開発したディオンは、廃棄予定のスカウトを再利用しようとする。 ミシェルに会ったディオンは、より人間に近い新たなAIの誕生を伝えて開発許可を求めるものの、それを却下される。 納得いかないディオンは、廃棄される”スカウト022”とプログラムのインストールに必要なガードキーを持ち出して家に向かう。 その途中でディオンは、ニンジャらに誘拐されてしまう。 ミシェルと共にムースを警察に売り込むヴィンセントだったが、攻撃能力過剰、大き過ぎるボディ、高価だと言われて必要とされなかった。 ディオンを脅して指示に従わせようとしたニンジャらは、バンの中にドロイドと部品があることに気づく。 それを組み立てて、自分達の思い通りに動かせるようにプログラムさせることを考えたニンジャらは、ディオンに協力させる。 ドロイドを組み立てて、ガードキーを使いプログラムをインストールしたディオンは電源を入れる。 初期状況では人間の赤ん坊のようなドロイドは、優しく接するディオンやヨーランディから、様々なことや言葉を学び始める。 ヨーランディはドロイドに”チャッピー”という名前を付けて、警戒するニンジャはディオンに銃を向ける。 チャッピーを訓練するにはディオンが必要だと言うヨーランディだったが、ニンジャは彼を追い払う。 その頃、ガードキーがないことに気づいたヴィンセントは、ディオンが持ち出したと考え、スカウト022にガードキーが使われたことを確認する。 翌朝、焦るニンジャはチャッピーに銃の撃ち方を教えるが、ヨーランディから、ディオンが指示していた、まず物事に順応させることが先決だと言われる。 ヒッポに脅されているために時間がないニンジャは、金を稼ぐために出かける。 出社したディオンは、ネットで赤ん坊の育て方を知ろうとする。 そこに現れたヴィンセントは、ガードキーを使いたいことをディオンに伝えるものの、それを拒まれたために彼を銃で脅す。 スカウトのせいでムースの開発費が削られたと言うヴィンセントだったが、ガードキーを貸すことを再び断られ、銃には弾はなくジョークだったとディオンに伝えてその場を去る。 ディオンが会社を出たことを確認したヴィンセントは、彼の車を追う。 チャッピーの知識欲と学習能力に驚くヨーランディとアメリカは、現れたディオンが学習用の教材を持ってきたことを知る。 汚い言葉や態度を学んでしまったチャッピーに再教育しようとするディオンは、アメリカを非難する。 ディオンは、チャッピーに本を渡して絵を描かせ、正しい教育を始める。 その場に着いたヴィンセントはその様子を目撃し、ディオンが新たなプログラムを開発したことを知る。 戻ったニンジャは、馬鹿げたことをチャッピーに教えているディオンを非難する。 憤慨したディオンはニンジャに反論し、創造性を大事にしろとチャッピーに伝えてその場を去る。 ヨーランディから、チャッピーが人を撃つだけの愚かなロボットではないと言われたニンジャは、金を払わないとヒッポに殺されると彼女に伝える。 そこに、明後日、6億ランドの現金が運ばれるという情報が入り、それを奪うことを考えたニンジャは、アメリカに爆弾を用意させる。 チャッピーに現実世界を見せようとしたニンジャは、彼を連れてアメリカと共に車で街に向かう。 無法地帯に置き去りにされたチャッピーは、少年ギャングに痛めつけられて逃げる。 帰宅したディオンは会社の警備課からの電話を受け、持ち出したガードキーを今日中に返却しないと報告すると言われる。 チャッピーの位置を確認したヴィンセントはその場に向かい、機能を停止させてトラックに運ぶ。 暴れるチャッピーの左腕を切断したヴィンセントは、ガードキーを外す。 抵抗するチャッピーは逃げ出すが、ガードキーを手に入れたヴィンセントは彼を追わなかった。 戻ったチャッピーの状態に驚いたヨーランディは、街に置き去りにしたニンジャを責める。 少年達に襲われ、バンに乗せられて男に体を壊されたと言うチャッピーは、予備の腕をアメリカにつけてもらい喜ぶ。 自分を”ママ”と呼ぶチャッピーを子供だと思い接するヨーランディは、彼に本を読んであげる。 翌日ディオンは、銃砲店に向かい拳銃を手に入れる。 チャッピーに謝罪したニンジャは、彼に再び戦闘を教えようとするが、犯罪はしないと創造者と約束したと言われる。 アメリカが教え方を変えて、ナイフや手裏剣などを習ったチャッピーは、ニンジャと共に街に向かう。 ニンジャから、盗まれた車を奪い返すよう指示されたチャッピーは、それに従うものの、車を壊して運転していた男を痛めつけてしまう。 車は無傷のまま売ると教えたニンジャは、もう一度やらせてほしいと言うチャッピーが、思い通りに行動するようになったために満足する。 廃墟ビルを占拠するギャングのボスであるキングに会い、車は届けたことを伝えたニンジャは、約束の爆弾を受け取る。 廃棄処分されるボディをディオンが再生したことを知ったチャッピーは、ニンジャから、バッテリーが切れるので新しいボディを手に入れる必要があると言われる。 アジトに向かったディオンは、チャッピーが完全に犯罪者モードになってしまったことを知り話し合う。 廃棄されるボディで自分を作ったために、バッテリーが亡くなれば数日で死ぬことをディオンに確認したチャッピーは、その通りだと言われる。 死ぬように作ったことを責めるチャッピーは、生き続けてママ(ヨーランディ)といたいことをディオンに伝える。 ディオンはチャッピーに、今のような状態になることは想像できなかったと伝える。 会社に戻ったヴィンセントは、スカウトのファームウェアを”ジェネシス”に更新するためにガードキーを挿入して実行する。 街中のスカウトは機能を停止し、ニンジャに銃を向けて邪魔をさせないディオンは、倒れたチャッピーを連れてその場を去る。 スカウトがオフラインになったことを知ったヒッポは、街に向かい略奪を始める。 街は混乱し、警察は対処するために出動する。 ジェネシスを削除しようとしたヴィンセントは、ディオンが戻ったっために身を潜める。 ディオンはチャッピーのウィルスを除去し、スカウト022(チャッピー)の削除はエラーになってしまう。 元の状態に戻ったチャッピーは、その場にあったムースの制御方法などを知る。 正常なスカウトのボディを目の前にしたチャッピーは、それで自分が生きられるとディオンに伝える。 ディオンから、自分はデータと違い”意識”なのでコピーできないと言われたチャッピーは、それを解明して”意識”を特定し転送することを考える。 転送はできないと言うディオンの意見に納得しないチャッピーは、制御用のヘルメットを持ってその場を去る。 ミシェルからの電話を受けたディオンは、デスクに向かう。 警察が駆け付けたため、ヴィンセントはその場を離れる。 アジトに戻ったチャッピーは、ヘルメットを利用して”意識”を取り出し、ネットで人間の知識をすべて入手しようとして、ヨーランディに協力してもらう。 ミシェルから、スカウトを復旧させて会社の危機を救うようディオンが指示される様子を見ていたヴィンセントは、ムースで暴徒を制圧させるべきだと彼女に提案するものの、許可されなかった。 翌日、”意識”を取り出す方法が分かったチャッピーは、現金輸送車を襲う準備ができたニンジャに、その金でボディが手に入れられることを確認する。 ニンジャらはチャッピーと共に輸送車を襲い、現金を奪う。 その頃ディオンは、ファームウェアがジェネシスに更新され、ガードキーが挿入されたことを知り、ヴィンセントが実行したことに気づき彼を非難する。 ニュースでは、現金輸送車を襲う犯罪者にスカウト(チャッピー)が協力する様子が報じられ、信じられない光景を見た人々は驚く。 それを見たディオンは憤慨し、彼に責められたヴィンセントはミシェルの元に向かう。 スカウトのプログラミングに欠陥があると言うヴィンセントは、昨夜、見たドロイド(チャッピー)には知能があったことをミシェルに伝える。 今こそムースを使い、スカウトを処分してディオンを追放するべきだと伝えたヴィンセントは、それを許可したミシェルから、ドロイドを破壊するよう指示される。 機材と武器をバンに積んだディオンは、会社を離れる。 ニュースを見ていたヒッポは、輸送車を襲ったロボットを手に入れようと考える。 ヘルメットを被り制御を始めたヴィンセントは、ムースを出動させる。 大金を手に入れたニンジャは喜ぶが、新しいボディはないことを知り利用されたチャッピーは激怒する。 アジトに戻りニンジャを責めるチャッピーは、その場に現れたディオンから、自分を傷つけようとする者がいて、危険が迫っていることを知らされる。 武器を見せたディオンは、ボディが手に入れられないためにバッテリーがなくなり死ぬと言うチャッピーを励まそうとする。 そこに現れたヒッポは、現金だけでなくロボットも要求し、抵抗するニンジャと銃撃戦になる。 飛来したムースは、ヴィンセントの指示でアメリカを殺して攻撃を始め、ディオンに迫る。 しかし、ディオンが用意した武器でチャッピーが立ちはだかり、激しい戦いが繰り広げられる。 バンに乗ったディオンはヒッポに引きずり降ろされ、襲い掛かるニンジャは脚を撃たれる。 しかしニンジャは、ディオンに銃弾を浴びせたヒッポを撲殺する。 ディオンを抱きかかえたチャッピーはバンに乗り、ニンジャが運転して逃げる。 車から降りて機材の元に向かったチャッピーだったが、ムースの攻撃を受けてヘルメットが壊れてしまう。 チャッピーから、創造者をヘルメットがある場所に連れて行きたいと言われたニンジャは、自分がおとりになると伝えて、彼とヨーランディを逃がそうとする。 覚悟を決めたニンジャは立ち向かおうとするが、ヨーランディの攻撃を受けたムースは彼女を射殺する。 ヨーランディに駆け寄るチャッピーは、ムースを爆破する。 自分を救ってくれたヨーランディを抱きかかえるニンジャは悲しみ、激怒するチャッピーは、ムースを制御していた男(ヴィンセント)の元に向かう。 テトラバールに着いたチャッピーは、銃撃してくるヴィンセントを追い詰めて叩きのめすものの、殺しはしなかった。 苦しむディランを連れて制御室に向かったチャッピーは、彼にヘルメットを被せて、彼の意識をその場にあったスカウトに転送する。 ディランは死亡するものの、ドロイドとして永遠に生きることをチャッピーは彼に伝える。 警官が内部に侵入しようとする中、ヴィンセントが端末からスカウトにウィルスを送ったことを思い出したディランは、その方法を利用してチャッピーの意識をもう一体に移そうとする。 スカウト039にチャッピーの意識を転送したディランは、警察が押し入る前に建物から逃げる。 路上で起き上がったスカウトがチャッピーだと確認したディランは、人間の体を捨てるしか救う方法はなかったと言われ、二体はその場を離れる。 ヨーランディの所持品などを処分していたニンジャは”ママの意識”と書かれたUSBメモリを見つける。 翌日ニンジャは、ディランとチャッピーと共にヨーランディを埋葬する。 警察はロボット警官の使用を中止して、人間の警官15万人の起用を決定し、チャッピーの目撃情報などを求める。 潜伏するチャッピーはテトラバールのシステムに侵入し、一体のドロイドを製造してヨーランディの意識を転送する。 ヨーランディの容姿に似ているドロイドは、目を開き起動する。
...全てを見る(結末あり)
ミシェルは、警察からスカウト100体の追加注文を受けたことを社員に伝える。
*(簡略ストー リー)
南アフリカ、ヨハネスブルグ。
犯罪が多発する街の治安を守るために、警察にAI(人工知能)を搭載した世界初のロボット警官隊が配備される。
警官ロボット”スカウト”のAIを開発した大手兵器メーカー”テトラバール”のエンジニアのディオンは、より人間に近い更なるプログラムの開発を、CEOのミシェルから許可されなかった。
納得いかないディオンは、廃棄されたドロイドとプログラム・インストール用のガードキーを持ち出して家に向かう途中、ギャングのニンジャらに誘拐されてしまう。
街を支配しようとするギャングのヒッポに脅されていたニンジャは、ドロイドを利用して現金輸送車の襲撃を考え、ディオンにそれを組み立てさせる。
”チャッピー”と名付けられた、今までとは違う”意識”をインストールされたドロイドは、赤ん坊のように知識を吸収していく。
一方、戦闘用のロボット”ムース”の開発予算を削られていたディオンの同僚であるエンジニアのヴィンセントは、ディオンを恨み行動を探り妨害しようとするのだが・・・。
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「第9地区」(2009)で世界的な名声を得て、「エリジウム」(2013)もヒットさせたニール・ブロムカンプが脚本も兼ねた注目作品。
ニール・ブロムカンプの出身地であるヨハネスブルグを舞台に、AI(人工知能)を搭載した警官ロボットと、そのプログラムを利用した犯罪に立ち向かう開発者の活躍を描くSFアクション。
単なるAIよりも更に進化した、人間の”意識”を持つ知能が開発されるという発想自体はありがちではあるが、それが搭載されたドロイドが、生まれたばかりの人間の赤ん坊のような状態から知識を吸収していく様子を描く描写が興味深い。
実写と合体させたドロイドの映像は自然だが、犯罪都市と化している街の雰囲気などは、ヨハネスブルグなど現地でロケをしているにも拘らず、どこかアメリカ的であるところに斬新さがない。
批評家の評価も低く、北米興行収入は約3200万ドルに留まったが、全世界では1億ドルを超すヒットとなった。
ニール・ブロムカンプと組むのは三作目となり、主人公であるドロイド”チャッピー”の声だけを担当するシャールト・コプリー、警官ロボット”スカウト”のAIの開発者で、新たに”意識”をプログラムして、チャッピーを犯罪者から救おうとするエンジニアのデーヴ・パテール、チャッピーを犯罪に利用しようとするギャングのニンジャ、その仲間で、母親のようにしてチャッピーに優しく接するヨーランディ・ヴィッサー、同じく仲間のホセ・パブロ・カンティージョ、ディオン(デーヴ・パテール)の開発の陰で戦闘用ロボットの予算を削られて彼を恨むエンジニアのヒュー・ジャックマン、その上司であるCEOのシガニー・ウィーバー、街を支配しようとするギャングのブランドン・オーレット、本人として登場するジャーナリストのアンダーソン・クーパーなどが共演している。