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カヴァルケード(大帝国行進曲) Cavalcade (1933)

1931年にロンドンで初演された、ノエル・カワードによる同名舞台劇を基に映画化された作品。
ロンドンの名門マリヨット家とその使用人家族が愛する者を失いながら30数年にも及ぶ激動の時代を生き抜く姿を描く、製作、監督フランク・ロイドダイアナ・ウィンヤードクライヴ・ブルックハーバート・マンディン共演の一大叙事詩。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ


スタッフ キャスト ■
監督:フランク・ロイド

製作
フランク・ロイド

ウィンフィールド・シーハン
戯曲:ノエル・カワード
脚本:レジナルド・バークリー
撮影:アーネスト・パーマー
編集:マーガレット・クランシー
美術・装置:ウィリアム・S・ダーリング
音楽:ルイ・ド・フランチェスコ

出演
ジェーン・マリヨット:ダイアナ・ウィンヤード

ロバート・マリヨット:クライヴ・ブルック
アルフレッド・ブリッジス:ハーバート・マンディン
エレン・ブリッジス:ユーナ・オコナー
マーガレット・ハリス:アイリーン・ブローン
イーディス・ハリス:マーガレット・リンゼイ
ファニー・ブリッジス:アーシュラ・ジーン
クック:ベリル・マーサー
ジョー・マリヨット:フランク・ロートン
エドワード・マリヨット:ジョン・ウォーバートン
ファニー・ブリッジス(幼少期):ボニータ・グランヴィル

アメリカ 映画
配給 Fox Film Corporation

1933年製作 110分
公開
北米:1933年4月15日
日本:1933年12月
製作費 $1,180,280
世界 $8,000,000


アカデミー賞 ■
第6回アカデミー賞

・受賞
作品・監督・美術賞
・ノミネート
助演女優賞(ダイアナ・ウィンヤード


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
1899年12月31日。
イギリスは、”ボーア戦争”の地南アフリカで苦しみ窮地に立っていたが、繁栄する本国にも新世紀の荒波が押し寄せようとしていた。

ロンドン
新年を迎えようとするマリヨット家の家長ロバート・マリヨット(クライヴ・ブルック)は、妻ジェーン(ダイアナ・ウィンヤード)と幸せをかみしめていた。

しかしロバートは、使用人のアルフレッド・ブリッジス(ハーバート・マンディン)と共に、南アフリカの”ボーア戦争”に出征することになっていた。

ジェーンと、アルフレッドの妻で使用人のエレン・ブリッジス(ユーナ・オコナー)は、新世紀の訪れに喜びを感じるものの、遠方に向かう夫の身を案じて複雑な心境でいた。

ロバートは、寝かしつけていた子供達を起こし、100年に一度の大晦日を祝う。
...全てを見る(結末あり)

年が明け、ロバートとアルフレッドは妻達に見送られて、1万キロ以上彼方の戦地へと向かう。

その後、ジェーンとエレンは、戦争の犠牲者リストと便りを気にする毎日が続いていた。

ジェーンの友人マーガレット・ハリス(アイリーン・ブローン)は、塞ぎこむジェーンを気晴らしに食事や観劇などに誘う。

やがて、ロバートとアルフレッドは無事に戦地から帰還し、家族の元に戻り歓迎される。

喜びに溢れるマリヨットの屋敷だったが、街角で配られた号外にアルフレッドが目を止めると、ヴィクトリア女王危篤の報が記載されていた。

1901年1月22日。
ヴィクトリア女王は崩御し、国民は悲しみに暮れる。

その後、ロバートはナイトの称号を受け、アルフレッドはパブの経営者となる。

1908年。
アルフレッドは、人が代わったように、仕事に身を入れずに酒に溺れ、妻エレンや娘ファニー(ボニータ・グランヴィル)に辛く当たり、彼女らを悩ませる。

アルフレッドは不幸にも、酔った勢いで仲間達と喧嘩となり、街頭で馬車に轢かれ死亡してしまう。

1909年。
ロバートとジェーンの長男エドワード(ジョン・ウォーバートン)は成長し。オックスフォード大学に通っていた。

そしてエドワードは、ジェーンの友人マーガレットの娘であるイーディス(マーガレット・リンゼイ)と恋仲になる。

1912年4月14日。
結婚したエドワードとイーディスは、北大西洋航路に就航した、大型客船”タイタニック”でハネムーンに向かう。

その後タイタニックは、氷山に接触したことが原因で沈没し、エドワードとイーディスは命を落す。

1914年。
ヨーロッパでの戦争が裂けられない状況になり、子供時代から血気盛んだった、ロバートの次男ジョー(フランク・ロートン)は、国のために役に立ちたいことを父に伝える。

しかし、長男エドワードを失った今、ロバートは妻ジェーンのためにも、それを許す訳にはいかなかった。

両親の思いは届かず、ドイツとの開戦後、入隊したジョーは出征し、服役したロバートと共にフランスに向かうことになる。

ジョーはあるクラブで、ダンサーになっていた、アルフレッドとエレンの娘ファニー(アーシュラ・ジーン)と再会し、やがて二人は愛し合うようになる。

1918年。
激戦を生き抜いていたジョーは一時帰国し、ファニーや母ジェーンとの一時を過ごして、別れを惜しみながら戦地に戻る。

父ロバートの元に向かったジョーは、停戦の近いことを知らされ、お互いの無事を祈り別れる。

今では”夫人”と言われるようになったエレンは、ジェーンを訪ね、娘ファニーとジョーの関係を伝える。

有名になったファニーのお陰で、エレンは裕福になり、時代は変わり、使用人だった頃とは立場が違うことを、エレンはジェーンに強調する。

本人達の意志も聞かずに、二人の結婚を進めようとするエレンに気分を害したジェーンだった。

しかし、電報を受け取ったジェーンは、その心配が要らなくなったことをエレンに伝える。

そして、終戦と同時に、ジョーの死を知ったジェーンは卒倒してしまう。

軍縮か軍拡、政治や世の中の混乱は、再び戦争の危機を背負う状況になり、その世相を、大スターになったファニーが皮肉を込めて歌う。

1932年12月31日。
年老いたロバートとジェーンは、例年のように未来とお互いのために祝杯をあげ、母国が、威厳や偉大さ、そして平和を取り戻すことを祈りながら新年を迎える。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
1899年12月31日。
繁栄するイギリスは新世紀を迎えようとしていた。
名門マリヨット家の家長ロバートは、妻のジェーンと家族と共に、幸せをかみしめていた。
しかしロバートは、使用人のアルフレッドと共に南アフリカの”ボーア戦争”に出征する。
戦後、ロバートはナイトの称号を受け、アルフレッドはパブの経営者となる。
その後アルフレッドは、仕事に身を入れずに酒に溺れ、事故死してしまう。
ロバートとジェーンにも悲劇が訪れ、長男エドワードが”タイタニック”の処女航海事故で亡くなる。
時は流れ、第一次大戦が勃発し、ロバートの次男ジョーは、祖国のために出征を希望して、父と共にフランスに向かう。
ジョーは、現地のクラブでダンサーになっていた、アルフレッドの娘ファニーと偶然、再会し、愛し合うようになるのだが・・・。
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舞台では、映画と同じ20世紀明けからスタートして、ラストでは、1929年のニューイヤーズ・イヴとなっているが、映画は1933年の年明けで終わっている。

第6回アカデミー賞では作品、監督、美術賞を受賞し、ダイアナ・ウィンヤードが助演女優賞にノミネートされた。

当時としては破格の100万ドルを超す製作費をかけた大作で、サイレント時代から活躍するフランク・ロイドが、”The Divine Lady”(1929)に続き2度目となるアカデミー監督賞を受賞した。
彼らしい、スケールの大きい壮大なるドラマは見応え十分だ。

貧しき時や病める時でも、人々が祝杯に包まれる”ニューイヤーズ・イヴ”を、冒頭とラストで象徴的に使い、混迷する時代の犠牲者となる家族の悲劇的な運命の中で、希望を見出そうとする社会への訴えが力強く伝わってくる社会派ドラマとも言える、トーキー初期の映画史に残る傑作でもある。

印象的だったのは、”タイタニック”の悲劇の直接的な描写はないが、1997年の「タイタニック」の時でも登場した、楽団が演奏する賛美歌”主よ 御許に近づかん”が挿入され、悲劇を予感させる効果的な演出になっている。

しかし”タイタニック”の事故では、実際は、賛美歌の”秋/オータム”が演奏されたというのが真実らしい。

妻としては満ち足りた人生を送る一方、母として二人の息子を失うという、最悪の悲劇の中、絶望しかけながらも、希望を掴もうとする女性を、まだ20代半ばのダイアナ・ウィンヤードの熱演は光る。

二度の出征を生き抜くものの、子供達を亡くし残された妻を、温かく見守り支えるクライヴ・ブルック、その使用人、独立しながら不幸な死を遂げるハーバート・マンディンとその妻ユーナ・オコナー、大スターとなる娘役のアーシュラ・ジーン、その幼少期のボニータ・グランヴィル、主人公一家の友人アイリーン・ブローンと娘マーガレット・リンゼイ、主人公の屋敷の使用人ベリル・マーサー、若くして命を落す主人公達の息子フランク・ロートンジョン・ウォーバートン等が共演している。


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