1955年にブロードウェイで上演されたテネシー・ウィリアムズの戯曲の映画化。 無気力な夫に苛立つ妻と家族の愛憎を描く、監督、脚本リチャード・ブルックス、主演エリザベス・テイラー、ポール・ニューマン、バール・アイヴズ他共演のドラマ。 |
・ドラマ
・エリザベス・テイラー / Elizabeth Taylor / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:リチャード・ブルックス
製作:ローレンス・ウェインガーテン
戯曲:テネシー・ウィリアムズ
脚本
リチャード・ブルックス
ジェームズ・ポー
撮影:ウィリアム・H・ダニエルズ
編集:フェリス・ウェブスター
出演
エリザベス・テイラー:マギー・ポリット
ポール・ニューマン:ブリック・ポリット
バール・アイヴズ:”ビッグ・ダディ”ポリット
ジュディス・アンダーソン:アイダ”ビッグ・ママ”ポリット
ジャック・カーソン:クーパー”グーパー”ポリット
マドレーヌ・シャーウッド:メイ・フリン・ポリット
ラリー・ゲイツ:ボー医師
ボーン・テイラー:ディーコン・デイヴィス
アメリカ 映画
配給 MGM
1958年製作 107分
公開
北米:1958年9月18日
日本:1959年4月7日
製作費 $3,000,000
北米興行収入 $17,570,320
■ アカデミー賞 ■
第31回アカデミー賞
・ノミネート
作品・監督
主演男優(ポール・ニューマン)
主演女優(エリザベス・テイラー)
脚色・撮影賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ミシシッピ。
大邸宅の家主”ビッグ・ダディ”ポリット(バール・アイヴズ)が療養から戻り、誕生日を迎えるということで、歓迎のパーティーが開かれることになる。
次男ブリック(ポール・ニューマン)の妻マギー(エリザベス・テイラー)は、ビッグ・ダディが余命短いことを察していた。
長男グーパー(ジャック・カーソン)と、その妻メイ(マドレーヌ・シャーウッド)が父の財産を狙い、屋敷からブリックを追い出そうとしていることにマギーは気づく。
しかし、ブリックは、そんな話にもマギーにも興味がなく、仕事を辞めてから酒浸りで、おまけに前の夜、足を骨折して松葉杖をついていた。
自分に無関心で、いつまでも過去のことを許そうとしないブリックに、マギーは金切り声を上げる。 いつも、”熱いトタン屋根の猫”の気分だからと言い訳をするマギーに、ブリックは、猫なら屋根から飛び降りろと言う。 しかし、マギーは出来るだけそこにいて、”勝ってみせる”と自信あり気にブリックに語る。 自家用機で空港に到着した、ビッグ・ダディと付き添ったアイダ/ビッグ・ママ(ジュディス・アンダーソン)を、我先にとグーバー一家とマギーが出迎える。 ビッグ・ダディはグーバー一家を無視し、お気に入りのマギーの車で屋敷に帰る。 躾の悪い、化け物のようなグーバーの子供達に対し、ヒステリーを起こすマギーを見て、アイダは、子供のできない彼女に、率直に息子ブリックとの性生活を問い質す。 ビッグ・ダディの主治医ボー医師(ラリー・ゲイツ)は、ブリックに、父親が悪性腫瘍だということを伝える。 一家の食事が始まっても、父に会おうとしないブリックは、荷物をまとめてニューオリンズに帰ろうとする。 それを止めようとするマギーだったが、ビッグ・ダディが、本当に死ぬということを聞かされショックを受ける。 貧しい家の出の自分が、金持ちの機嫌をとるのに、どれだけ苦労して嫌な思いをしたかを、しみじみとブリックに語る。 マギーは、ブリックが、友人のスキッパーのことで自分を恨んでいるのは分かっていたが、それを、もう過去のものにしようとする。 誕生パーティーが始まるが、ブリック以外を追い出したビッグ・ダディは、彼流のやり方で、息子を立ち直らせようとする。 そしてビッグ・ダディも、ブリックの酒が、スキッパーが原因だと言い出す。 ブリックは、何があったかを、マギーに話させようとする。 プロ・フットボールの花形選手だったブリックと、同僚のスキッパーの親密な関係を疑ったマギーは、彼の滞在していたホテルを訪ねた。 スキッパーに、言い寄られそうになったマギーはそれを拒み、その後、彼は自殺した。 ブリックは、試合でミスして落ち込むスキッパーからの電話を無視したのが原因で彼が自殺し、それ以来、彼はアルコール依存症になり、マギーも受け入れられなかった。 人生から逃げてはいけないと、ブリックを救おうとするビッグ・ダディだったが、息子から、自分の死が近いことを知らされてしまう。 ショックを受けたビッグ・ダディを気遣う妻アイダにも、ボー医師から死期が近いことが知らされる。 アイダは取り乱し、”一人息子”とブリックの名を呼び、マギーに彼を立ち直らせてくれるよう頼む。 グーバーとメイは黙っていられず、自分達の権利を主張する。 それを聞いていたブリックは、地下室のビッグ・ダディの元に向かい、父親の愛が欲しかったことを告げて泣き崩れ、父の愛が偽りのものだと罵ってしまう。 ビッグ・ダディは、貧しい労働者の父親と貨物車で暮らした思い出と、お互いに愛し合っていたことをブリックに伝えて居間に戻る。 相続の書類を、母アイダに見せていたグーバーとメイに対し、嘘と死の臭いがすると言い放ったビッグ・ダディに、マギーはプレゼントを贈ろうとする。 マギーはブリックとの間に子供が出来たことを告げ、ビッグ・ダディは、彼に財産を譲ることを決める。 2人の妊娠が嘘だとわめき散らすメイに、ブリックは、それが本当だと告げて、グーバーはメイを黙らせる。 ブリックは2階にマギーを呼び寄せ、彼女の嘘を真実にするため、ドアの鍵をかけさせる。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
ミシシッピ。
大邸宅の家主”ビッグ・ダディ”ポリットが病気療養を終え、誕生日を迎えるパーティーが開かれる。
次男ブリックの妻マギーは、ビッグ・ダディが余命短いこと察し、長男グーパー夫婦が、父の財産を狙い自分達を追い出そうとしていることに気づく。
しかし、ブリックは、そんな話にも妻のマギーにも興味がなく、仕事を辞めてから酒浸りで、足を骨折して松葉杖をついていた。
そんな、無気力な夫ブリックに苛立ちながら、マギーはクーパー達との戦いに備え、気に入られているビッグ・ダディを迎えに行く。
帰宅したビッグ・ダディは、誰よりも愛情を注ぐブリックを気をかけるのだが、彼は死の近い父を避けてしまい・・・。
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テネシー・ウィリアムズの舞台はエリア・ カザンが演出を担当して、その年のピューリッツァー賞を受賞した。
ビッグ・ダディのバール・アイヴズと、メイ役のマドレーヌ・シャーウッドは、舞台のオリジナル・キャストでもある。
第31回アカデミー賞では作品賞をはじめ6部門にノミネートされた。
・ノミネート
作品、監督賞
演男優(ポール・ニューマン)
主演女優(エリザベス・テイラー)
脚色、撮影賞
ジリジリと熱く焼けたトタン屋根の上でもがいているかのような、人間のエゴ、醜さ欲望そして嫉妬など、凄まじい争いや心の葛藤を鋭く描いた、脚本も手がける、社会派リチャード・ブルックスの、シャープで迫力ある演出が光る秀作。
主な登場人物が、それぞれその役柄を生かし、激しくぶつかり合う展開は、正に舞台劇らしく見応え十分だ。
美貌だけでなく、若くして既に実力も認められていたエリザベス・テイラーの、力強い演技は注目で、さらなる彼女のキャリア・アップに向けて、転機になった作品とも言える。
まだ、”駆け出し”に近いと言うには、あまりにも魅力的なポール・ニューマンの、親子、夫婦、友人との愛に苦悩する、心内の表現力は見事で、端整なマスクも実に印象的だ。
実はまだ40代だった、バール・アイヴズの迫力には圧倒されるが、この役をさらに上回る名演を見せた、同年の「大いなる西部」(1958)で彼は見事にアカデミー助演賞を獲得した。
夫ビッグ・ダディに負けない勝気な妻ジュディス・アンダーソン、頼りない長男ジャック・カーソンと強欲なその妻で、舞台同様、憎まれ役を好演するマドレーヌ・シャーウッド、医師ラリー・ゲイツなどが共演している。