007シリーズ第21作。 1953年に発表された、イアン・フレミングの”ジェームズ・ボンド”シリーズ第1作”Casino Royale”を基に製作された作品。 ”007”としての最初の任務に挑むMI6諜報員ジェームズ・ボンドの活躍を描く、監督マーティン・キャンベル、主演ダニエル・クレイグ、マッツ・ミケルセン、エヴァ・グリーン、ジュディ・デンチ他共演のスパイ・アクション。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:マーティン・キャンベル
製作総指揮:
アンソニー・ウェイ
カラム・マクドゥガル
製作:
マイケル・G・ウィルソン
バーバラ・ブロッコリ
原作:イアン・フレミング
脚本:
ニール・パービス
ロバート・ウェイド
ポール・ハギス
撮影:フィル・メヒュー
編集:スチュアート・ベアード
音楽:デヴィッド・アーノルド
モンティ・ノーマン:ジェームズ・ボンドのテーマ
主題歌:クリス・コーネル”You Know My Name”
出演
ジェームズ・ボンド:ダニエル・クレイグ
ル・シッフル:マッツ・ミケルセン
ヴェスパー・リンド:エヴァ・グリーン
M:ジュディ・デンチ
フィリックス・ライター:ジェフリー・ライト
ルネ・マティス:ジャンカルロ・ジャンニーニ
スティーヴン・オバンノ:イザック・ド・バンコレ
アレックス・ディミトリウス:サイモン・アブカリアン
ソロンジュ・ディミトリウス:カテリーナ・ムリーノ
Mr.ホワイト:イェスパー・クリステンセン
ヴィリース:トビアス・メンジース
イギリス/アメリカ 映画
配給 ソニー・ピクチャーズ/MGM
2006年製作 144分
公開
北米:2006年11月17日
日本:2006年11月23日
制作費 $150,000,000
北米興行収入 $167,446,000
世界 $594,239,070
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
プラハ。
イギリスのMI6諜報員ジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ)は、裏切り者とその連絡員を殺害して、”00”殺しのライセンスを得る。
ウガンダ、ムバレ。
世界中のテロリストの資金運用をする銀行家ル・シッフル(マッツ・ミケルセン)は、ゲリラのリーダー、スティーヴン・オバンノ(イザック・ド・バンコレ)の資金を利用し、株取引で巨額な利益を得ようとする。
ル・シッフルは、その仲介をMr.ホワイト(イェスパー・クリステンセン)に依頼する。
オバノンとの取引を成立させたル・シッフルは、早速、行動を開始し、”スカイフリート航空”の株を大量に空売りする。
マダガスカル。
”007”(ボンド)の最初の指令は、国際的な爆弾製造組織を追い、組織の足取りをつかむことだった。
ボンドは、捜査中の爆弾の運び屋を追い詰めて殺し、大使館を爆破して、男の携帯電話から”エリプシス”という履歴を見つける。
その頃、イギリス諜報員がマダガスカルで起した事件をル・シッフルは知る。 ロンドンでは、マダガスカルでの騒ぎで国際問題まで起こしたボンドに、上司のM(ジュディ・デンチ)は怒り心頭だった。 ボンドはMの自宅に侵入し、彼女のコンピューター から”エリプシス”の情報を入手する。 帰宅したMはボンドに気づき、今回の件を非難するが、動じない彼は”エリプシス”を追いバハマへ飛ぶ。 バハマ、ナッソー。 監視カメラのデータを確認したボンドは、爆弾を持っていた男の電話の着歴時間から、アストンマーチン(DB5)に乗る謎の男アレックス・ディミトリウス(サイモン・アブカリアン)が”エリプシス”だということを突き止める。 ロンドンのMは、部下のヴィリース(トビアス・メンジース)から、ボンドがバハマにいるという報告を受ける。 そしてMは、自分のパスワードなどでボンドがサイトに侵入し、ディミトリオスの情報を入手していることも知る。 ボンドは、ディミトリオスの仲間ル・シッフルについても調べる。 その夜、ホテルのカジノに現れたボンドは、ディミトリオスに賭けで勝ち、彼のアストンマーチンを手に入れる。 ディミトリオスの妻ソロンジュ(カテリーナ・ムリーノ)に接近したボンドは、さらに情報を得ようとする。 バハマに現れたル・シッフルはディミトリオスを呼び出し、マダガスカルでの失敗を追求するが、ディミトリオスは他の人間を紹介することを約束する。 マイアミに向かったディミトリウスを追ったボンドは、気づかれたために彼を殺害する。 その後ボンドは、ディミトリウスのバッグを持ち去った男を追いマイアミ国際空港へ向かう。 その男を見失ったボンドはMに連絡を入れ、空港でテロが起きる可能性を伝える。 男は、スプリンクラーを作動させて空港を混乱させ、警備員に扮して滑走路に向かう。 Mから、スカイフリートの最新鋭機がターゲットだと知らされたボンドは、男を見つけて後を追う。 男は、タンクローリーを奪い新型機めがけて突進する。 ボンドがタンクローリーに飛び乗り、運転席の男と格闘になる。 男が車から飛び降りた後、ボンドがタンクローリーを機体の寸前で停止させて追突を阻止する。 男はタンクローリーに仕掛けてあった起爆装置のスイッチを入れるが、ボンドがそれを男のベルトに装着していたため、彼は自爆する。 ル・シッフルの謀略は失敗に終わり、大損害を受けた彼は、情報を漏らしたソロンジュを殺害する。 バハマに現れたMは、今回の事件の黒幕がル・シッフルだということをボンドに告げる。 911のテロで航空会社の株が暴落したのをヒントにして、ル・シッフルが、ゲリラの資金を株取引につぎ込んでいたのだった。 焦ったル・シッフルは、得意とする”テキサス・ ホールデム”で損失を取り戻すことを考え、モンテネグロの”カジノ・ロワイヤル”に富豪を集める。 Mにそのメンバーとして現地に派遣されたボンドは、財務省から預かった掛け金を任されたヴェスパー・リンド(エヴァ・グリーン)と合流してモンテネグロに向かう。 現地に着いたボンドとヴェスパーは、早速ホテルに部屋を取り、彼はMからアストンマーチン(DB5)を支給される。 現地の協力者ルネ・マティス(ジャンカルロ・ジャンニーニ)に接触したボンドは、ル・シッフルの情報などを得る。 ボンドは、ヴェスパーがオーダーしたタキシードに身を包み、”カジノ・ロワイヤル”に向かう。 そしてゲームは始まり、ボンドは、資金返済の焦りが見えるル・シッフルをじらす作戦に出る。 その後、休憩に入り、ボンドはル・シッフルの喘息の吸引器に発信機隠す。 部屋に戻ったル・シッフルは、待ち構えていたウガンダのゲリラ、オバンノに金の返済を迫られて脅される。 発信機でル・シッフルの部屋を知ったボンドは、出てきたオバンノに気づかれ、ヴェスパーの目の前で格闘になる。 ボンドは激闘の末にオバンノを倒し、死体の処理をマティスに任せる。 ゲームは再開してその日は終わり、ボンドが部屋に戻ると、殺しの現場を見たヴェスパーが動揺し怯えていた。 ボンドは、シャワー室に座り込むヴェスパーを優しく抱き寄せる。 マティスはオバンノの遺体の処置を済ませ、ボンドは次のゲームに備える。 そして2日目の勝負は始まり、ボンドはイギリス・財務省からの調達金1500万ドルを賭けるものの、ル・シッフルに負けてしまう。 ボンドは、500万ドルの追加で勝負には勝てるとヴェスパーに伝える。 しかし、その傲慢さをヴェスパーに非難されたボンドは、ナイフを手にしてル・シッフルを追う。 メンバーの一人であるCIAのフィリックス・ライター(ジェフリー・ライト)に制止されたボンドは、ル・シッフルを監視していた彼から、資金を提供されることになり再び勝負に挑む。 ゲームは再開するが、ボンドはル・シッフルに毒を飲まされてしまう。 MI6本部に連絡したボンドは、アストンマーチンの装備品で解毒処置を行うが気を失ってしまう。 そこにヴェスパーが現れ、瀕死のボンドを助け、彼はゲームに戻る。 復帰したボンドは、ル・シッフルとの一対一の勝負ですべてを賭ける。 ル・シッフルもそれに応じ、総額1億1500万ドルの勝負となり、フルハウスのル・シッフルは勝ちを確信する。 しかし、ボンドはストレート・フラッシュでル・シッフルに勝つ。 ヴェスパーに面目が立ったボンドは、CIAがル・シッフルを捕らえ移送することを知らされる。 しかし、ル・シッフルと通じていたマティスの裏切りで、ヴェスパーは誘拐されてしまう。 それに気づいたボンドは誘き出されて捕らえられ、拷問にかけられる。 そしてボンドは、賭けで勝った金額が入金される口座の暗証番号を吐かされそうになる。 そこにMr.ホワイトが現れ、ル・シッフルは、ゲリラとの仲介役の彼に金を返すことを約束する。 しかし、Mr.ホワイトは容赦なくル・シッフルを射殺してしまう。 療養施設に入ったボンドを訪れたマティスは、今回の件の情報を聞き出そうとするが、諜報部に連行されてしまう。 イギリス・財務省の口座に金を送金したボンドとヴェスパーは、やがて愛し合うようになる。 そして、ボンドは辞職することを決意し、ヴェスパーと共にヴェニスに向かう。 ヴェニス。 銀行に電話を入れたボンドは、何者かがその金をサンマルコ広場の支店から引き出そうとしていることを知らされる。 ヴェスパーを追ったボンドは、彼女が引き出した金をある人物に渡すのを目撃する。 それに気づいた殺し屋達は、ヴェスパーを連れて逃走し運河沿いの建物に隠れる。 ボンドは、建物を支えるエアーバッグを銃撃し、殺し屋を次々に倒すすものの建物は傾き始める。 ヴェスパーは、崩落する建物のエレベーターに閉じ込められ、彼女は自ら死を選び水中で息を引き取る。 ヴェスパーを助け出したボンドは、必至に蘇生処置をするものの、彼女が目を覚ますことはなかった。 それを確認したMr.ホワイトは、ヴェスパーの引き出した現金を持ってその場を立ち去る。 長年付き合っていた恋人を、ル・シッフルに捕らえられていたヴェスパーが仕方なく裏切ったことを、ボンドはMから知らされる。 そしてMは、ヴェスパーが自分の死が迫っていることを悟り、拷問の時に取引して命を助けたことをボンドに伝える。 ヴェスパーは良心の呵責から、ボンドに黒幕Mr.ホワイトの電話番号を携帯電話に残していた。 その後、Mr.ホワイトの前に現れ銃撃したボンドは名前を訊かれ、彼を威嚇して名乗る。 ”ジェームズ・ボンド”。
...全てを見る(結末あり)
ボンドは、”エリプシス”について調べるためにホテルの警備室に侵入する。
休暇を過ごすボンドとヴェスパーだったが、彼女が財務省に送金したはずの金が確認できないとの連絡が、Mからボンドに入る。
*(簡略ストー リー)
イギリスの諜報員ジェームズ・ボンドは、裏切り者と連絡員を殺害し、”00”殺しのライセンスを得る。
世界中のテロリストの資金運用をする銀行家ル・シッフルは、ゲリラの資金を利用し、株取引で巨額な利益を得よることを企み、その仲介をMr.ホワイトに依頼する。
マダガスカルで、国際的な爆弾製造組織の足取りを掴むために大使館を爆破したボンドは、国際問題を起こしたことで上司Mの怒りを買う。
ロンドンに戻ったボンドは、Mの自宅に侵入して手がかりを得てバハマへ飛ぶ。
ナッソーについたボンドは、謎の男ディミトリウスが、ル・シッフルと関係することを知り、彼の企みを阻止する。
ゲリラの資金運用に失敗し、巨額の損害を出したル・シッフルは、得意としているカードの”テキサス・ ホールデム”でそれを取り戻そうと考え、モンテネグロの” カジノ・ロワイヤル”に富豪達を集める。
Mの指示で派遣されボンドも参加することになり、掛け金を財務省から預かったヴェスパーが彼に同行するのだが・・・。
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6代目ジェームズ・ボンドとしてダニエル・クレイグを起用し、シリーズのイメージを一新した内容となったスパイ・アクション大作。
ニュー・ボンドに抜擢されたダニエル・ クレイグだが、公開前には、ボンド役に適役だったかなどが話題になった。
結局は、全世界で6億ドルに迫る興行収入をあげる大ヒットになり、シリーズの記録を更新した。
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制作費 $150,000,000
北米興行収入 $167,446,000
世界 $594,239,070
「ミュンヘン」(2005)で好演したダニエル・クレイグを見て良い印象を受けていたので、このボンド役を非常に楽しみにしていた。
個人的には、歴代ボンドの中でショーン・コネリーに次ぐ適役だと思う。
”殺しのライセンス”を持つ男ジェームズ・ボンドの誕生を描く、原点に戻ったドラマ作りは、シリーズ全体のイメージを変える斬新さがある。
全てにおいて、かつての007作品を意識している。
初期作品に登場したアストンマーチンDB5などを再び使う懲りようだ。
また、クライマックスのヴェニスも、シリーズでは欠かせないロケ地でもある。
お馴染みサンマルコ広場も含め、作品全体で使われる各地のロケは、目を見張るような美しさだ。
予断だが、劇場で観た際に、字幕などを含め映像が異常にきれいだと感じた作品。
殺しのライセンス”00”を与えられたばかりの未熟な諜報員ぶりや、かなり女性に冷たい態度をとる、男の美学を感じさせる役柄を、ダニエル・クレイグは見事に演じている。
そして、小柄ながら逞しい彼の肉体は、秘密兵器に頼らないハードなアクションを、より現実味のあるものにしている。
歴代のボンド・ガールに比べ、やや地味ながら、知性、そして悲哀を感じさせるエヴァ・グリーンもなかなかの好演だ。
ル・シッフルを演ずるマッツ・ミケルセンは、表情や物腰が異様であり、シリーズの中でもかなり印象に残るボンドの敵役と言える。
新任の”00”諜報員ボンドの扱いに梃子摺る上司Mのジュディ・デンチ、ゲームに参加しながらボンドをサポートする、お馴染みのCIA諜報員フィリックス・ライター役のジェフリー・ライト、協力者であるが裏切る刑事のジャンカルロ・ジャンニーニ、ウガンダのゲリラのリーダー、イザック・ド・バンコレ、武器の密売人役サイモン・アブカリアン、その妻カテリーナ・ムリーノ、そして黒幕イェスパー・クリステンセンなどが共演している。
TVドラマの超大作「ROME ローマ」でブルータス役を熱演したトビアス・メンジースがMの部下役で登場するが、 やはりメジャー映画では、このくらいの役しか与えられないのかと驚きもした。
尚、本作にはレギュラーであるQやマネーペニーが登場しない。
というか、今回のボンドには、笑いを誘うような2人のキャラクターは合わないとも言える。