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ロビイストの陰謀 Casino Jack (2010)

ブッシュ政権を支えていた大物ロビイストのジャック・エイブラモフによる汚職詐欺事件を題材にした、主演ケヴィン・スペイシーケリー・プレストンレイチェル・レフィブレバリー・ペッパージョン・ロヴィッツ他共演、監督ジョージ・ヒッケンルーパーによる社会派風刺ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(社会派)

ケヴィン・スペイシー / Kevin Spacey / Pinterest


スタッフ キャスト ■
監督:ジョージ・ヒッケンルーパー

製作総指揮
デイナ・ブルネッティ

パトリシア・エバリー
オスカー・ジェネラーレ他
製作
ゲイリー・ホーサム

ビル・マークス
ジョージ・ザック
脚本:ノーマン・スナイダー
撮影:アダム・スウィカ
編集:ウィリアム・スタインカンプ
音楽:ジョナサン・ゴールドスミス        

出演
ジャック・エイブラモフケヴィン・スペイシー

パム・エイブラモフ:ケリー・プレストン
エミリー・J・ミラーレイチェル・レフィブレ
マイケル・スキャンロンバリー・ペッパー
アダム・キダンジョン・ロヴィッツ
ケヴィン・A・リングジョン・デヴィッド・ワーレン
オスカー・カリーロ:ヤニック・ビッソン
バーニー・スプレイグ:グラハム・グリーン
チーフ・ポンチョ:エリック・シュウェイグ
ビッグ・トニー:モーリー・チェイキン
トム・ディレイスペンサー・ギャレット
ラルフ・E・リードJr.クリスチャン・キャンベル
アンソニー・フェラーリ:ジョー・ピングー
コンスタンティノス”ガス”ブーリスダニエル・カッシュ
ボブ・ネイ:ジェフ・パスティル
ルース・マーシャルスーザン・シュミット
カール・ローヴ:デヴィッド・フレシャー
グローヴァー・ノルキスト:ジェフリー・R・スミス

カナダ 映画
配給 Art Takes Over Films
2010年製作 108分
公開
北米:2010年12月17日
日本:2012年9月29日
製作費 $15,000,000
北米興行収入 $1,042,960
世界 $1,083,680


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
ワシントンD.C.
大物ロビイストのジャック・エイブラモフ(ケヴィン・スペイシー)は、警察の拘置所に収監される。

2年前。
ブッシュ政権を支えていたエイブラモフは、カジノ経営をする先住民チペワ族に目を付け、ビジネス・パートナーのマイケル・スキャンロン(バリー・ペッパー)と共に部族の首長チーフ・ポンチョ(エリック・シュウェイグ)を伴い、接待旅行のためスコットランドに向かう。

部族が金の使い道に疎いことに気づいたスキャンロンは、それをワシントンD.C.に流用する方法を考えていることをエイブラモフに伝える。

やや不安を感じながらも、エイブラモフはポンチョに探りを入れ、彼から巨額の手数料でビジネスを広げるチャンスを提供する。
...全てを見る(結末あり)

ギリシャ人のコンスタンティノス”ガス”ブーリス(ダニエル・カッシュ)の運営するフロリダのカジノ客船が法に触れて、悪化する経営を知ったエイブラモフは、それの売り手を合法的に見つけるよう上司に指示される。

エイブラモフは、大学時代の友人で、実業家のアダム・キダン(ジョン・ロヴィッツ)にそれを任せようとする。

エイブラモフの妻パム(ケリー・プレストン)は、どう見ても胡散臭いキダンのことが好きになれない。

チペワとの話し合いで、巨額の手数料の件で意見する部族評議会の副会長バーニー・スプレイグ(グラハム・グリーン)は、エイブラモフの契約提案を退ける。

エイブラモフは、スプレイグの影響力をなくすために、彼を評議会から排除する方法を考える。

危ない橋は渡りなくないキダンは、エイブラモフからの提案を断ろうとするが、スキャンロンと共にフロリダに向かい、ブーリスと会うよう指示される。

待たされた上に、映画のジョークでブーリスを怒らせてしまったスキャンロンだったが、連絡を受けたエイブラモフは、手をまわして相手を脅そうとする。

エイブラモフは、多額の献金をしている共和党議員ボブ・ネイ(ジェフ・パスティル)に根回して、ブーリスを叩くことに成功する。

その後エイブラモフは、下院議員トム・ディレイ(スペンサー・ギャレット)も抱き込む。

エイブラモフは、教育問題を考える末の決断として、学校建設を始める考えをパムに伝えるが、彼女は借金の滞納もある彼の計画の行く末を案ずる。

スキャンロンは古い屋敷を450万ドルで購入し、それを婚約者のエミリー・J・ミラー(レイチェル・レフィブレ)に見せて得意になるのだが、彼女はその行動を疑問に思う。

エイブラモフスキャンロンは、ある件で不利になるはずの最低賃金法が通っても、顧客がそれを潰そうとするために、自分達の手数料は増えると考え動じる気配もない。

ところが、悪い噂のあるキダンに、ブーリスの件を任せようとしたことで、エイブラモフは法律事務所を解雇されてしまう。

子供達を連れてパムに出て行かれたエイブラモフは、銃まで用意して、キダンに、隠し事があったことを問い詰めるが、ブーリスの件を合法的にまとめることで意見は一致する。

行動を開始したエイブラモフは、他の法律事務所に移籍し、ディレイとの密接な関係を保ちつつ注目される存在となる。

資金が、いくらあっても足りないエイブラモフだったが、スキャンロンが、石油採掘権の件で大統領に会いたいという先住民からの、手数料月100万ドルの目安がたったことを知らせ、キダンが、ブーリスの件をまとめたという報告も受ける。

さらに、チペワの評議会選挙で、スプレイグが落選したため、エイブラモフは、ポンチョに2000万ドルの手数料を請求するよう、現地のスキャンロンに伝える。

レストラン経営も始めたエイブラモフは、一大帝国を築く勢いだった。

ところが、一族をカジノで雇うことを要求するブーリスが、それを断るキダンを痛めつけてしまう。

エミリーは、動き回るスキャンロンが浮気をしていることを知り、エイブラモフは、面会を求めるスプレイグに会おうとしない。

スキャンロンブーリスに謝罪し、キダンが彼への送金も偽っていたことを知り、何んとか事態を鎮める。

その頃スプレイグは、カジノの会計検査で、エイブラモフ関係の不透明な金の流れに気づき、他の部族と共に、自分達が完全に食い物にされていることを知る。

キダンは、殺し屋ビッグ・トニー(モーリー・チェイキン)に会い、ブーリスの件の処理を依頼する。

エイブラモフは、同僚オスカー・カリーロ(ヤニック・ビッソン)の警告も無視し、無謀な行動を止めようとしない。

怒り心頭のエミリーFBI捜査官に会い、エイブラモフスキャンロンを追い続けていた、”ワシントン・ポスト”の記者ルース・マーシャル(スーザン・シュミット)に、情報を提供するために接触する。

フロリダ
ブーリスに会ったビッグ・トニーは、脅しをかけてきた彼の前から一旦引き下がる。

スプレイグがオフィスに押し入ろうとしたため、エイブラモフはポンチョに連絡を入れて、彼を役職に復帰させるように要求するが無駄だった。

侮辱されたビッグ・トニーは、キダンにはやり過ぎないように言われていたものの、結局は、ブーリスを殺害してしまう。

スキャンロンは、エミリーに浮気がバレたことで、全てを彼女に話していたため焦り、エイブラモフは、ブーリス殺害の件をキダンから知らされて動揺する。

ワシントン・ポスト”が、チペワのことをディレイに知らせたのだが、それが、自分の浮気を知ったエミリーの仕業だとスキャンロンエイブラモフに伝える。

エイブラモフを呼び出したディレイは、自分をトラブルに巻き込んだ彼を痛烈に非難する。

一連のことで窮地に立たされているエイブラモフにパムは言い寄るが、彼は追い込まれた自分の非を認める。

ディレイネイら議員は、一斉にエイブラモフ非難を始め、各メディアも、汚職と違反行為のスキャンダルを大きく報じる。

オスカーらに責められたエイブラモフは、事務所から退去するよう通達されるが、あるアイデアが浮かんだことで、彼は”パラマウント・ピクチャーズ”に連絡を入れる。

ハリウッド
映画好きのエイブラモフは、モーゼを主役にした物語で、その役をラッセル・クロウに、監督をリドリー・スコットで製作する映画のアイデアを”パラマウント”側に伝える。

しかし、エイブラモフスキャンロンキダン、そして、ビッグ・トニーやネイFBIに逮捕される。

エイブラモフは、拘置所内にいた男達に、自分のしたことを説明するのだが、彼らは、法的に認められているというロビー活動の、何が問題なのか理解できない。
釈放されたエイブラモフだったが、スキャンロンが、自分達の会話を録音し、買収の証拠などを司法側に渡して罪を逃れていた。

さらに、上院の先住民問題委員会が、エイブラモフを公聴会に召喚することも分かる。

ジョン・マケインが委員長を務める公聴会で、エイブラモフは、全ての質問で黙秘権を行使する。

ロビイストから多額の献金を受取る議員らを罵りながら、会場から追い出される自分を想像しながら、エイブラモフは、最後の質問も黙秘する。

エイブラモフは、先住民部族に2100万ドル以上、国税庁には170万ドルの支払いを命ぜられる。

2006年3月、キダンは、カジノ客船購入詐欺によりフロリダで6年の刑が確定する。

2008年1月、ボブ・ネイは、エイブラモフから賄賂を受け取った罪で懲役2年半の判決を受ける。

2005年、殺し屋ビッグ・トニーは、ブーリス殺害の容疑で起訴される。

2006年、トム・ディレイ院内総務を辞任して、地元テキサスの大陪審により起訴され議員辞職する。

捜査に協力して罪を免れたスキャンロンは、ライフガードの職に就き、その後、エイブラモフは彼を許す。

エイブラモフは、連邦矯正施設での6年の刑が始るのだが、結局は、ブッシュ政権を誕生させてしまったことが事の始まりだと、それを後悔する。

捜査に協力したエイブラモフは減刑が検討されるのだが、ブッシュ大統領は、それを拒否してしまう。

エイブラモフは、出所した際に、神が自分に新たな使命を与えると信じて、クリントン元大統領に、民主党の役に立てることを約束して、手助けを求める手紙を送る。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
ワシントンD.C.
大物ロビイストのジャック・エイブラモフは、ビジネス・パートナーのスキャンロンと共に、先住民チペワ族の経営するカジノ運営の杜撰さに目をつける。
エイブラモフは、その資金を政治家に流そうと考えるが、評議会のスプレイグに反対される。
共和党議員ボブ・ネイ院内総務トム・ディレイを抱き込み、スプレイグの影響力をなくしたエイブラモフは、部族から巨額の手数料を得る。
その後、ギリシャ人でカジノ客船を運営する、ブーリスの事業の買い手を探すように事務所から指示を受けたエイブラモフは、学友である実業家キダンにそれを任せて、うまく話しはまとまる。
ところが、裏社会との付き合いもある胡散臭いキダンを使ったことで、エイブラモフの周辺の雲行きが怪しくなる・・・。
__________

アメリカ政界史上最大のスキャンダルとして、あまりにも有名な事件を描いたドラマではあるが、製作国はカナダである。

監督のジョージ・ヒッケンルーパーは、鎮静剤とアルコール過剰摂取のため、2010年10月、北米公開の2カ月前に死亡し本作は遺作となった。(47歳没)

政界の中枢にまで及ぶこの大スキャンダルは、当時”ウォーターゲート事件”以上とまで言われたのだが、どこの国も同じ政治家の汚職など、内容自体はそれほどショッキングではなく、主人公ジャック・エイブラモフの人物像を奥深く描く人間ドラマとも言える。

北米では最高60館の公開に留まり、商業的に成功した作品ではないが、主人公を演ずる主演のケヴィン・スペイシーをはじめ、個性派共演者の演技はなかなか見応えある。

実力と人気を兼ね備えるケヴィン・スペイシーは、変幻自在の演技でジャック・エイブラモフを雰囲気たっぷりに演じ、ジョン・トラボルタ夫人のケリー・プレストンが妻役、主人公のビジネス・パートナー、マイケル・スキャンロンバリー・ペッパー、その恋人エミリー・J・ミラーレイチェル・レフィブレ、実業家アダム・キダン役のジョン・ロヴィッツ、先住民カジノ運営者評議会議員のグラハム・グリーン、首長エリック・シュウェイグ、殺し屋のモーリー・チェイキン共和党議員トム・ディレイスペンサー・ギャレットボブ・ネイのジェフ・パスティル、カジノ客船運営者コンスタンティノス”ガス”ブーリス役のダニエル・カッシュ、主人公らを追う”ワシントン・ポスト”の女性記者ルース・マーシャルスーザン・シュミットなどが共演している。


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