1974年に発表されたスティーヴン・キングのデビュー作でもある同名小説の映画化。 同級生達に嫌がらせを受ける超能力を持つ女子高生の運命を描く、監督ブライアン・デ・パルマ、主演シシー・スペイセク、パイパー・ローリー、ナンシー・アレン、ウィリアム・カット、エイミー・アーヴィング、ジョン・トラヴォルタ共演によるホラー・ムービーの秀作。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ブライアン・デ・パルマ
製作:ポール・モナシュ
原作:スティーヴン・ キング”キャリー”
脚本:ローレンス・D・コーエン
撮影 マリオ・トッシ
編集 ポール・ハーシュ
音楽 ピノ・ドナッジオ
出演
シシー・スペイセク:キャリー・ホワイト
パイパー・ローリー:マーガレット・ホワイト
ナンシー・アレン:クリス・ハーゲンセン
ウィリアム・カット:トミー・ロス
エイミー・アーヴィング:スー・スネル
ベティー・バックリー:コリンズ
ステファン・ギーラシュ:モートン
ジョン・トラヴォルタ:ビリー・ノーラン
シドニー・ラジック:フロム
マイケル・タルボット:フレディ・デロイス
アメリカ 映画
配給
ユナイテッド・アーティスツ(1976-1981)
MGM(1982~)
1976年製作 98分
公開
北米:1976年11月3日
日本:1977年3月3日
製作費 $1,800,000
北米興行収入 $33,800,000
■ アカデミー賞 ■
第49回アカデミー賞
・ノミネート
主演女優賞(シシー・スペイセク)
助演女優賞(パイパー・ローリー)
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
高校生のキャリー・ホワイト(シシー・スペイセク)は、内気な少女で、校内では疎外されていた。
ある日、体育授業後にシャワーを浴びていたキャリーは、17歳で初潮を迎え、クラスメートはそれをからかい、彼女は学校中の笑い者になってしまう。
教師コリンズ(ベティー・バックリー)は、キャリーがこれを機会に強くなってくれればと思いつつ、 校長のモートン(ステファン・ギーラシュ)に相談して、彼女をその日は早退させようとする。
それを伝えようとしたモートンだったが、キャリーは動揺し、自分の名前も間違える彼に苛立ち、デスクの上の灰皿を、手も触れずに動かし落として割ってしまう。
帰宅しようとしたキャリーは、自分をバケモノ呼ばわりする、自転車に乗っている少年を睨み転倒させてしまう。
キャリーは、母マーガレット(パイパー・ローリー)と2人暮しだったが、母は狂信的なキリスト教信者で、性に罪悪感を感じ、体の成長や異性との交際などは邪悪なことだと考えていた。 そしてキャリーには、興奮状態の極限に達すると、物を動かし壊したりもする超能力が備わっていた。 翌日コリンズが、キャリーの事件を起こした生徒のクリス・ハーゲンセン(ナンシー・アレン)やスー・スネル(エイミー・アーヴィング)らに、1週間の放課後の補修をさせることを伝え、サボった者は停学3日とプロムへの参加禁止を言い渡す。 クリスはコリンズに反抗し、一人プロムの参加を禁止されてしまう。 キャリーへの嫌がらせに後悔し始めたスーは、プロムの相手がいない彼女のために、ボーイフレンドのトミー・ロス(ウィリアム・カット)にエスコート役を頼み、彼を説得する。 その頃クリスは、ボーイフレンドのビリー・ノーラン(ジョン・トラヴォルタ)に、キャリーへの復讐の手助けを迫る。 翌日、トミーはキャリーを誘い、彼女はからかわれているだけだと思い、それをコリンズに相談する。 コリンズは、スーとトミーを呼び出して真意を問うのだが、キャリーを救いたいという、2人の言葉を信じることが出来ない。 そして、トミーは真剣にキャリーを誘い、彼女は母のことが気になり申し出を断るが、強引な彼に押し切られてしまう。 その夜ビリーとクリスは、フレディ・デロイス(マイケル・タルボット)を誘い豚舎に侵入して豚を殺す。 キャリーは、母マーガレットに、トミーからプロムに誘われたことを告げるが、参加を禁止される。 興奮したキャリーは超能力を使ってしまい、マーガレットは、それを悪魔の仕業と罵る。 同じ頃クリスとビリーは、豚の血をプロムの会場に仕掛ける。 フレディはクリスの指示で、プロムのキングとクイーンを決める進行係を手伝い細工をしようとする。 プロムの当日、自分で縫ったドレスを身に着けて着飾り、トミーを待つキャリーに、マーガレットは笑いものになるだけだと、会場に向かうのを諦めさせようとする。 しかし、キャリーは超能力で母を黙らせ、迎えに来たトミーと会場に向かう。 トミーが、キャリーを伴い会場に現れ、皆は羨望の眼差しで2人を見つめる。 キャリーは、満面に笑みを浮かべて楽しい時を過ごし、コリンズにも声をかけられ、そしてトミーとダンスを踊る。 二人はキスしながら踊った後、ベストカップルの候補になっていることを知り、テレながら自分達に投票する。 その後、トミーとキャリーは、クリスがフレディに頼み手を回してあったためにベストカップルとなり、会場の皆から祝福される。 ステージの下ではクリスとビリーが待機し、参加していないスーも会場に現れて、トミーとキャリーを見守る。 キャリーはプロムのクイーンとなり、ステージ上で夢み心地でいたが、それを脇で見ていたスーが、頭上のバケツに気づく。 ステージの下で、誰かがバケツとつながったロープを引こうとしていることを知ったスーだったが、彼女の不審な行動を見たコリンズが歩み寄る。 スーはクリスとビリーに気づくが、コリンズが彼女をステージから引き離し、会場から追い出してしまう。 次の瞬間、クリスはロープを引き、頭上から真っ赤な豚の血がキャリーにふりかかる。 トミーは憤慨するが、落ちてきたバケツが頭に当たり気を失ってしまう。 一転、会場の者達はキャリーを嘲り笑い、彼女は母親の警告を思い出しながら、極限の興奮状態に達する。 クリスとビリーらは会場を去り、ドアはキャリーの超能力で閉められる。 消防ホースの放水と電気のショートによる出火などで、その場にいた、コリンズら教師を含めた生徒全員が死亡する。 キャリーは会場を出て、難を逃れたクリスとビリーは、彼女を車で轢き殺そうとする。 しかし、キャリーは車を横転させてしまい、2人はそのまま爆死する。 帰宅したキャリーは、体の血を洗い落とし、母マーガレットに救いを求める。 祈りを捧げ続けていたマーガレットはは、キャリーの父親に抱かれた自分が、快楽を求めてしまったことを話す。 マーガレットは、キャリーを神に捧げるべきだったと言って、彼女を抱きしめながら刺し殺そうとする。 驚くキャリーは、傷つきながらも超能力を使い、母の体中に刃物を突き刺す。 母を殺して後悔するキャリーは、家に火を放ち倒壊させて、自ら命を絶つ。 一人生き残ったスーは、自宅に篭りうなされていた。 スーはキャリーの家が建っていた場所に向かい、花を手向けようとする。 その時、地中から突き出た血だらけの手が、スーの腕を掴む。 目覚めたスーは、キャリーの悪夢に怯える毎日を送る。
...全てを見る(結末あり)
参考:
「キャリー」(2013)
*(簡略ストー リー)
内気な高校生キャリー・ホワイトは、校内では嫌われ孤立していたが、教師のコリンズが彼女の力になろうとする。
キャリーは、狂信的なキリスト教信者の母マーガレットと2人暮しだったが、母は性に罪悪感を感じ、体の成長や異性との交際などは邪悪なことだと考えていた。
そんな時、キャリーを毛嫌いして嫌がらせを続けるクリスは、コリンズの指導に反抗する。
プロムへの参加禁止を、コリンズに言い渡されたクリスは、ボーイフレンドのビリーを誘い、キャリーへの復讐を計画する。
同じクラスメイトのスーは、キャリーへの嫌がらせを後悔し始め、ボーイフレンドのトミーに、彼女をプロムに誘うよう説得する。
コリンズは、スーとトミーを呼んで真意を問い、トラブルになることを警戒する。
キャリーは、トミーの誘いに戸惑いながらも、それを承知して期待に胸を弾ませる。
そして、クリスが復讐の準備を整えたプロムの会場に、トミーにエスコートされ、着飾ったキャリーが現れるのだが・・・。
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当時、「エクソシスト」(1973)以後、その亜流のような作品が多発していたのだが、本作はそれらとは一線を画する、ホラー映画の傑作とも言える作品。
既に15年以上のキャリアがあったブライアン・デ・パルマにとっても、30代半ばにして、その才能が認められた作品でもある。
柔らかい感じを受ける映像と、赤を基調としたショッキングなシーンのギャップ、スローモーションを駆使したスリリングなショットなど、デ・パルマの演出は冴え渡っている。
第49回アカデミー賞では、主演女優(シシー・スペイセク)、助演女優(パイパー・ローリー)にノミネートされた。
親子を演じた2人の演技は高く評価された。
本作をきっかけに、演技派女優として躍進するシシー・スペイセクの、内気だが知性を感じる超能力少女キャリーは、この後のホラー映画の代名詞となり、彼女は鬼気迫る熱演を見せる。
キャリーとは違うパワーを感じる、母親役のパイパー・ローリーの、自分の弱さを隠し通せずに、娘を殺害してしまおうとする怖さは凄まじいものがある。
美しいが、憎らしいことこの上ないクラスメイト、この後デ・パルマと結婚するナンシー・アレン、本気でキャリーをエスコートするナイスガイのウィリアム・カット、キャリーを好意的に思い、唯一人生き残るのだが、恐怖の悪夢にうなされるエイミー・アーヴィング、キャリーを優しく見守るが、結局は裏切り者とみなされ殺されてしまう教師のベティー・バックリー、校長のステファン・ギーラシュ、そして、やはり本作をきっかけに、その後大ブレイクしていくジョン・トラヴォルタ、教師シドニー・ラジック、キャリーへの復讐に加担するマイケル・タルボットなどが共演し、今見るとかなり豪華な顔ぶれとなっている。