サイトアイコン That's Movie Talk!

はじまりへの旅 Captain Fantastic (2016)

森の中で自給自足生活を送る男性が6人の子供達と共に亡くなった妻の望みを叶えようとする姿を描く、監督、脚本マット・ロス、主演ヴィゴ・モーテンセンフランク・ランジェラジョージ・マッケイキャスリン・ハーンスティーヴ・ザーンアン・ダウド他共演のコメディ・ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(コメディ)


スタッフ キャスト
監督:マット・ロス

製作
モニカ・レヴィンソン
ジェイミー・パトリコフ
シヴァニ・ラワット
リネット・ハウエル・テイラー
脚本:マット・ロス
撮影:ステファーヌ・フォンテーヌ
音楽:アレックス・サマーズ

出演
ベン・キャッシュ:ヴィゴ・モーテンセン
ジャック・バートラング:フランク・ランジェラ
ボウドヴァン“ボゥ”キャッシュ:ジョージ・マッケイ
キーラー・キャッシュ:サマンサ・アイラー
ヴェスパー・キャッシュ:アナリース・バッソ
レリアン・キャッシュ:ニコラス・ハミルトン
サージ・キャッシュ:シュリー・クルックス
ナイ・キャッシュ:チャーリー・ショットウェル
ハーパー:キャスリン・ハーン
デイヴ:スティーヴ・ザーン
アビゲイル・バートラング:アン・ダウド
ジャスティン:イライジャ・スティーヴンソン
ジャクソン:テディ・ヴァン・イー
レスリー・アビゲイル・キャッシュ:トリン・ミラー
クレア・マキューン:エリン・モリアーティ
エレン・マキューン:ミッシー・パイル

アメリカ 映画
配給
ユニバーサル・ピクチャーズ
Bleecker Street
2016年製作 118分
公開
北米:2016年7月8日
日本:2017年4月1日
製作費 $5,000,000
北米興行収入 $5,879,740
世界 $22,787,000


アカデミー賞
第89回アカデミー賞

・ノミネート
主演男優賞(ヴィゴ・モーテンセン


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
ワシントン州。
実社会を離れ森の中で暮らすベン・キャッシュ(ヴィゴ・モーテンセン)と6人の子供達は、自然の中で自給自足生活をしていた。

左翼思想のベンによる日々の厳しい訓練と教育により、子供達は野生児のように逞しく育ち、何か国語も話せる高い教養を身につけた。

長男のボウドヴァン“ボウ”(ジョージ・マッケイ)は、ナイフで鹿に襲い掛かって仕留め、少年から男になったことをベンは認める。

長女のキーラー(サマンサ・アイラー)と次女のヴェスパー(アナリース・バッソ)は持ち帰った鹿をさばき、次男のレリアン(ニコラス・ハミルトン)は火を起こす。
...全てを見る(結末あり)

三女のサージ(シュリー・クルックス)もナイフを使いこなし、三男のナイ(チャーリー・ショットウェル)も護身術をボウから教わる。

3か月前に去った母レスリー(トリン・ミラー)のことを気にする子供達に、妻は精神の病気だとベンは伝える。

ボウと共に”スティーヴ”と名付けたバスに乗って町に向かうベンは、レスリーのことは確認してくると子供達に伝えて納得させる。

町に着いたボウは、店から出て来た少女達と言葉を交わすことができない。

郵便局に向かったボウは、アイビー・リーグ各校に加えてスタンフォードMITからの合格通知を受け取り喜ぶものの、通える望みはなかった。

妹のハーパー(キャスリン・ハーン)に電話をしたベンは、涙する彼女から、レスリーが手首を切って自殺したことを知らされてショックを受ける。

その夜ベンは、レスリーが自殺したことを子供達に話し、何も変わらず、今まで通りに生活するだけだと伝える。

子供達は涙し、ナイフを手にしたレリアンは、クローゼットを傷つけながら叫び声を上げる。

レスリーの遺言状を確認したベンは、その内容に驚く。

翌日、ゴルフ場を経営するレスリーの父親ジャック・バートラング(フランク・ランジェラ)に電話をしたベンは、娘の人生を不安定にしたと言われて責められる。

仏教徒のレスリーが遺書で火葬を望んでいたと言うベンは、葬儀に参列することを拒まれる。

ジャックは電話を妻のアビゲイル(アン・ダウド)に代わり、ベンは、5日後にニューメキシコの教会で葬儀が行われることを知る。

来れば警察に逮捕されると言った、ジャックの考えに従うようにとレスリーから指示されたベンは、電話を切る。

母の葬儀に参列できないことに納得いかない子供達だったが、行けば逮捕される可能性があるベンと、今後は暮らせられなくなるかもしれなかった。

翌朝、出発する準備をした子供達の行動を許さないベンは、訓練のために岩山を登る。

足を滑らせてロープに宙吊りになったレリアンは、右手を怪我してしまうものの、ベンから、自分で何とかするようにと言われて岩にしがみつく。

岩山から下りたベンは、授業をすると言ってスティーヴに向かう。

家に向かう途中で停車したベンは、戦いを諦めなければならない時があるが、今回は違うと言って、子供達に戦闘開始だと伝える。

子供達は喜び、家族はニューメキシコに向かうことになる。

子供達は外の世界を見て驚き、パトカーに止められたために、ベンから訓練通り対処するようにと言われる。

警官から左のテールランプが切れてると言われたベンは、子供達の学校のことを訊かれて、休みだと答える。

不審に思った警官は車内を調べ、意味不明なことを話しだしたボウと子供達が歌い始めたために、何もせずにその場を去る。

その後ベンは、食糧を手に入れるために動物を探し、車を降りたキーラーが弓矢で羊を狙うものの、矢を射ることができなかった。

母のことを想う子供達は悲しみ、キーラーとヴェスパーが”エスペラント語”で話し始めたために、ベンは、全員が理解できない外国語は話すなと言ってそれを禁ずる。

ベンは、ドイツ語北京語ならいいと二人に伝える。

空腹の子供達のためにレストランに寄ったベンだったが、食べさせていいものがないと言って店を出る。

スーパーマーケットに寄ったベンは、心臓発作を装い騒ぎを起こし、その隙に子供達が食料をスティーヴに運ぶ。

子供達と共に川辺に向かったベンは、哲学者の”ノーム・チョムスキー”を祝うと言医ながらケーキを見せて皆を喜ばせ、それぞれに武器のナイフを渡す。

チョムスキーではなくクリスマスを祝うべきだと言うレリアンに、架空のエルフを祝いたい理由を訊いたベンは、彼にその説明を求めるものの答えは返ってこなかった。

ハーパーの家に着いたベンは、彼女と夫のデイヴ(スティーヴ・ザーン)に歓迎され、息子のジャスティン(イライジャ・スティーヴンソン)とジャクソン(テディ・ヴァン・イー)と共に食事をする。

用意してくれた食事はすべてオーガニックだと言われたベンは、デヴからワイン受取る。

飲みたいと言うサージのグラスにワインを注ごうとしたベンはハーパーに制止され、消化にいいものでありクラックではないと伝える。

クラックが何かとサージから訊かれたベンは、その詳細な説明を始め、話が発展してもハーパーの家族には理解できない。

不躾で率直に物事を話すベンは、レスリーのことを残念に思うと言うデイヴに、彼女とは仲が悪かったはずだと伝える。

弁解するデイヴに気にしていないと伝えたベンは、レスリーの死因を訊くジャスティンに、精神病の”双極性障害”だと伝えてその説明をする。

苛立つハーパーはベンに詳細を語る必要はないと伝えて、補足したデイヴは、レスリーは病気になって死んだと話す。

レスリーは手首を切って自殺したと話すベンに呆れたハーパーは席を外し、デイヴが彼女の様子を見に行く。

ベンと子供達はグラスにワインを注ぎ、レスリーに捧げる。

食後に、ジャスティンとジャクソンがゲームをする様子を見ていたボウら子供達は驚く。

ハーパーから非難されたベンは、この家のルールに従わなかったことを謝罪する。

ベンの辛さを理解するハーパーは謝罪を受け入れるものの、彼と子供達が外で眠ろうとしたために驚く。

翌朝、子供達の教育のことでデイヴから意見され、ハーパーと再び口論になったベンは、生きる術を教えて何何不自由なく生きていることを伝える。

ハーパーが納得しないため、ジャスティンとジャクソンを呼んだベンは、高校生と13歳の二人に”権利章典”とは何かを問う。

二人がまともに答えられないためにサージを呼んだベンは、8歳の彼女に同じ質問をして完璧に答えさせる。

その後もベンがやめそうもないためにハーパーは納得し、彼らは出発する。

家族はトレーラー・キャンプに着き、ボウは、エレン・マキューン(ミッシー・パイル)と娘のクレア(エリン・モリアーティ)が気になる。

クレアに話しかけられたボウは、本名のボウドヴァンがおかしな名前だと言われるものの、夜まで話し込む。

音楽はバッハが好きだと言うボウは、出身はパリで父の研究のためにアメリカに来たと伝える。

ボウが”スポック博士の育児書”の話をしても”スタートレック”の”スポック”と間違えるクレアは意味が理解できず、彼が話を合わせる。

母のことを訊かれたボウは、政府の仕事をしているので話せないと答える。

そんなボウに惹かれたクレアは彼にキスして求め合うものの、エレンから夜中の12時だと言われる。

跪いていきなりクレアにプロポーズしたボウは、彼女とエレンを驚かせる。

エレンは洒落たジョークだと思い、明日また会えるので父の元に帰るようにとボウに伝える。

翌朝、クレアに別れを告げたボウは、家族と共に出発する。

教会に着いたベンは、その夜は駐車場で一夜を過ごす。

翌日、レスリーの葬儀は始り、その場に相応しくない服装で現れたベンと子供達に気づいたジャックとアビゲイル、ハーパーとデイヴ、そして参列者は驚く。

神父の話を遮りベンがスピーチを始めてレスリーの遺書を読み、仏教徒として火葬し歌やダンスで祝い、その後、遺灰は公共の場のトイレに流してほしいという内容の彼女の希望を伝える。

ジャックに指示された者達がベンを追い出し、葬儀は続行される。

式を終えたジャックは外にいたベンを非難するものの、娘や孫の意見を尊重しない理由を訊かれる。

それを無視したジャックは孫達と話し、アビゲイルも彼らを抱きしめる。

子供達は墓地に連れて行くと言うジャックは、ベンに屋敷に向かうよう指示し、それを拒む彼に警察は耳を貸さないと伝える。

しかし、子供達をスティーヴに乗せたベンは、土葬を阻止しようとする。

ボウから、自分まで失いたくないと言われたベンは仕方なく諦める。

その夜ボウは、今の生活が最高と思うかとレリアンから問われ、ベンに大学の合格通知を見せる。

驚くベンは感心しながら、図書館に通い自分に隠れて試験を受けたと考えるものの、レスリーがすべてを手伝ってくれたことをボウから知らされる。

大学に行きたいと言うボウに、6か国語を話し数学と論理物理学をマスターしているのに大学で何を学ぶ理由を問うベンは、皆から何も知らない変人だと思われていると伝える。

本で学んだこと以外は何も知らないと言われたベンは、何も答えられなかった。

レリアンがメモを残してジャックの屋敷に行ったことを知ったベンは、子供達と共にその場に向かう。

アビゲイルに迎えらてジャックの元に向かったベンは、その場にいたレリアンから、母は父が殺したと言われる。

森を出ることを考えたレスリーとベンが口論したことを知っていたレリアンは、子供のために何がベストか二人で決めたと言われるものの、ここで祖父母と暮らすことを伝える。

それを許さないベンは、反発して部屋を出たレリアンを追うが、ジャックがドアに弓を射る。

驚いたベンは、子供が学校に通っているのはウソで盗みも教えていると言われたために、訓練の一環だとジャックに伝える。

母親の死で子供達が落ち込んでいたため、ノーム・チョムスキーの祝いをしたと話すベンは、レリアンが岩登りで怪我をしたことなども追及される。

レリアンはアザだらけであり、児童虐待だと言われたベンは、このままでは子供達は社会に出られないと話すジャックに、そうしなくても同じことになると伝える。

選択権があるレリアンの意見を尊重すると言うジャックは、弁護士の名刺をベンに渡して養育権を争う考えを伝えるものの、彼が聞き入れようとしないために警察を呼ぶ。

レリアンを連れ出すことを考えたベンは、その部屋にヴェスパーを向かわせる。

屋根に登って部屋に近づくヴェスパーだったが、瓦が割れたために車庫の上から車に落下し、地面に叩きつけられる。

重傷を負ったヴェスパーを病院に運んだベンは、医師から、脳は損傷していないものの、左脚の脛骨腓骨が骨折していると言われる。

ネックカラーとギプスが必要だと医師から知らされたベンは、頸椎の骨折部分のX写真も見せられる。

数ミリずれていたら致命傷だったと言われたベンは流石に落ち込み、ジャックに世話になることを決めて、子供達と共に屋敷に向かう。

ゴルフ場に隣接する屋敷で、ジャックは孫達との時間を楽しみ、ベンは、アビゲイルからレスリーの遺品を見せられる。

自分が治療を提案する前に届いたというレスリーからの手紙をアビゲイルから渡されたベンは、”ベンや子供達と過ごす日々は最高に幸せであり、病気は必ずこの場で治る、人間は言葉より行動で決まる・・・”という内容を確認する。

すべては自分の過ちだったと子供達に話すベンは、森にいればレスリーが治ると思った自分の考えは間違いだったと伝える。

自分といたいと言う子供達に、それでは人生がダメになると伝えたベンは、数日後に電話すると伝えてスティーヴから荷物を降ろし、旅立とうとする。

ジャックに子供達のことを頼み、一流校に合格しているボウが大学に行きたがっていることを伝えたベンは、すべて任せるようにと言う彼と握手してその場を去る。

子供達を離れた辛さに耐えるベンは、立ち寄ったガソリンスタンドで伸ばしていた髭を剃る。

その夜、スティーヴを止めて焚火をしていたベンは、床の下に隠れていた子供達が姿を現したために驚き、レリアンから嫌いではないと言われる。

母を助けたかったと言うレリアンに自分もだと伝えたベンは、謝罪する彼を抱きしめて愛を伝える。

任務を遂行したいと言われたベンはそれを拒むものの、チョムスキーの言葉を引用するレリアンに説得され、皆の意見に同意して墓地に向かう。

レスリーの墓から棺を掘り出したベンと子供達は、それをスティーヴに運ぶ。

長髪を刈り上げたボウは、髭のないベンに微笑む。

海が見える場所に子供達と遺体を運んだベンは、レスリーに話しかけ、別れを告げて火を点ける。

子供達とベンは、レスリーが好きだった歌を歌う。

その後、空港に向かったベンと子供達は、トイレで遺灰を流す。

ナミビアに向かうことを決めたボウは、ベンから生きていくための教訓を教わり旅立つ。

町に近い場所に住居を移したベンは、自給自足の生活は続けたが子供達を学校に通わせる。

朝食を食べる子供達を見つめるベンは、物思いにふける。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
ワシントン州。
実社会を離れ森の中で暮らすベン・キャッシュと6人の子供達は、自然の中で自給自足生活をしていた。
精神を病んだ妻レスリーは去り、ベンの厳しい訓練と教育により、子供達は野生児のように育ち、何国語も話し高い教養を身につけた。
そんなある日、レスリーが自殺したことを知ったベンはショックを受け、彼女の死を自分のせいにする義父ジャックからは葬儀への参列を拒まれる。
子供達に母親の死を伝えたベンは彼らと共に悲しみ、仏教徒の彼女が火葬を望み、遺灰は公共の場のトイレに流してほしいという内容の遺書に驚く。
葬儀に参列できないことに納得いかない子供達の考えを尊重したベンは、レスリーの願いを叶えようとして旅立つのだが・・・。
__________

俳優としても知られるマット・ロスが脚本を兼ねた長編映画2作目の作品で、第69回カンヌ国際映画祭の”ある視点”部門で上映され監督賞を受賞した。

実社会を離れ森の中で暮らす男が、子供達と共に自給自足生活をしているという、文明国家アメリカでは考えられないような一家族の姿を描く内容は、マット・ロス自身が、妻と共に親としての行動に疑問を抱いたことからアイデアを得たと言われている。

権力を否定する左翼思想の主人公が、同じ考えの妻と共に、彼女の精神的な病を治す目的で、その生活を始めたことが序盤で分かり、厳しい環境下で、軍隊のような訓練により、幼い弟や妹を含めた子供達は逞しく育ち、並外れた教養を身につけているという超人一家の様子を映し出す描写が実に興味深い。

低予算で製作された本作は各映画祭などで絶賛され、サンダンス映画祭でプレミア上映された。

第89回アカデミー賞で主演男優賞にノミネートされた主人公を演ずるヴィゴ・モーテンセンは、一見、厳格にも思える人物なのだが、反社会的な思想の持ち主として、破天荒な行動もとる人間味あふれる人物を好演している。
ヴィゴ・モーテンセンは、ゴールデングローブ賞の主演賞(ドラマ)にもノミネートされた。

主人公と対立する義父のフランク・ランジェラ、主人公の長男ジョージ・マッケイ、長女サマンサ・アイラー、次女アナリース・バッソ、次男ニコラス・ハミルトン、三女シュリー・クルックス、三男チャーリー・ショットウェル、主人公の義母アン・ダウド、主人公の妹キャスリン・ハーン、その夫スティーヴ・ザーン、その息子達イライジャ・スティーヴンソンとテディ・ヴァン・イー、主人公の妻トリン・ミラー、ボウ(ジョージ・マッケイ)がトレイラー・キャンプで親交を深めるエリン・モリアーティ、その母親ミッシー・パイルなどが共演している。


モバイルバージョンを終了