第二次大戦時に裏切り者に同僚を殺されたアメリカ”OSS/戦略情報局”工作員の復讐を描く、監督ミッチェル・ライゼン、主演アラン・ラッド、ワンダ・ヘンドリックス、フランシス・レデラー、ジョセフ・カレイア他共演の犯罪サスペンスであるフィルム・ノワール。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ミッチェル・ライゼン
製作:リチャード・メイボーム
原作:マーサ・オルブランド”After Midnight”
脚本:ロバート・ソーレン
撮影:ジョン・F・サイツ
編集:アルマ・マクロリー
音楽:ヒューゴ・フリードホーファー
出演
ウェブスター・ケアリー大尉:アラン・ラッド
ジュリア・デ・グレフィ男爵夫人:ワンダ・ヘンドリックス
ロッコ・デ・グレフィ男爵:フランシス・レデラー
ルナティ医師:ジョセフ・カレイア
フランチェスカ・デ・クレシ伯爵夫人:セリア・ラヴスキー
カルロ・デ・クレシ伯爵:リチャード・アヴォンデ
ルイージ:フランク・プーリア
サンドロ:ルイス・アルバーニ
セラフィナ:アンジェラ・クラーク
マンフレード・アクート:ローランド・ウィンタース
フランク:ポール・リーズ
ナンシー:ジェーン・ナイ
ピエトロ:ラス・タンブリン
アンジェリーナ:バージニア・ファーマー
盲目の音楽家:デヴィッド・レオナルド
刑事:エルヌー・ヴェレベス
シモンズ:レイ・ウォーカー
村人:アルゼンチン・ブルネッティ
村人:ジノ・コラード
アメリカ 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ
1950年製作 83分
公開
北米:1950年2月21日
日本:1951年7月10日
■ アカデミー賞 ■
第23回アカデミー賞
・受賞
歌曲賞”Mona Lisa”
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1944年、第二次世界大戦、ナチス・ドイツ占領下のイタリア。
アメリカの”OSS/戦略情報局”工作員グループは、ドイツが支配する鉄道システムを破壊しようとしていた。
オルタ。
OSSのウェブスター・ケアリー大尉(アラン・ラッド)とフランク(ポール・リーズ)は、協力者ルイージ(フランク・プーリア)の家で待機していた。
ケアリーは、ルイージの息子マリオの危険を知らせる”モナ・リザ”の曲で警戒する。
マリオの妻セラフィナ(アンジェラ・クラーク)から、パルチザンとここで会わないでほしいと言われケアリーは、ルナティ医師(ジョセフ・カレイア)の家で待ち合わせることにする。
フランクと共に船で島のクレシ家の城に向かったケアリーは、愛し合うジュリア・デ・クレシ(ワンダ・ヘンドリックス)に迎えられ、隠れ家の地下で、入手した敵の列車の配置予定表を確認する。 壁の裏の隠し部屋にあった島の絵を手にしたジュリアは、結婚したら暖炉の上に飾りたいとケアリーに伝える。 敵兵が城に侵入し、それに気づいたジュリアはケアリーに知らせる。 裏切られたことに気づいたケアリーは、同盟局に撤退すると打電するようフランクに指示し、ジュリアを逃がして隠し部屋を封鎖する。 ジュリアは敵兵に捕まり、ケアリーとフランクは銃撃される。 意識が朦朧とするケアリーは、ジュリアの叫び声の後で銃声を聴き気を失う。 ニューヨーク。 ケアリーは、美術館が3万ドルの値を付けた絵に何の価値があるのか尋ねるナンシーに、2人が死亡して自分は3か月入院したことを話し、絵を売った男を捜して殺すと伝える。 オルタに戻ったケアリーは、盲目の音楽家(デヴィッド・レオナルド)がアコーディオンで弾くモナ・リザが気になる。 ルイージに再会したケアリーは、彼の船で島に向かう。 クレシ家の城に着いたケアリーは、使用人のアンジェリーナ(バージニア・ファーマー)に迎られ、ジュリアの兄カルロ(リチャード・アヴォンデ)に挨拶し、祖母である伯爵夫人フランチェスカ(セリア・ラヴスキー)と話をする。 絵のことを話したケアリーは、地下が司令部に使われていたと知っていたためにそれを追及する。 その場にいたロッコ・デ・グレフィ男爵(フランシス・レデラー)から、絵と何の関係があるのか訊かれたケアリーは、裏切り者が持ち出したに違いないと答える。 ジュリアの姿を見たケアリーは驚き、生きていた彼女がロッコの妻だということを知る。 説明しようとするロッコの話を聞く気になれないケアリーは、その場を去る。 城にいたルナティに声をかけられたケアリーは、裏切り者を見つけて復讐しても意味がないと言われるが、フランクのためだと彼に伝える。 町に戻ったケアリーは、人々が自分を避けていることに気づき、襲撃の夜、27人がナチに銃殺されたというルイージの話を聞く。 ケアリーは、自分は生き延びて仲間は死んだと住民が思っていることを知る。 街灯のロープを指差すルイージは、皆に疑われたマリオが住民に殴り殺され、7日間も吊るされたことをケアリーに話す。 ケアリーは、襲撃の前日にマリオが、裏切り者からの手紙をドイツの高官に届けたことを知る。 ルイージもその裏切り者を知りたかったが、ケアリーは何もできないと伝える。 マリオの息子ピエトロ(ラス・タンブリン)が、今でも裏切り者の息子と言われていることを知ったケアリーは、ルイージに協力を求められるものの、それを断る。 サンドロ(ルイス・アルバーニ)のホテルに泊まることにしたケアリーは、現れたロッコと話す。 ケアリーは、クレシ家は絵の売買に関与していないとジュリアから聞いていると言うロッコに、すべてに興味をなくしたと伝える。 部屋に向かったケアリーは、その場にいたジュリアと話し、襲撃された日に、気がつくと祖母と共に収容所に入れられ、自分は死んだと思っていたという彼女の話を聞く。 解放されてスイスに向かい、以前から知っていたロッコと再会し、祖母が彼との結婚を望んだことを話すジュリアは、帰国後に隠れ家で、プレゼントした聖者のチェーンを見つけたとケアリーに伝える。 それを返してもらったケアリーは、ジュリアにあげたネックレスを見せてもらう。 ジュリアはその場を去り、ケアリーは、外から聴こえるモナ・リザが気になる。 その夜、叫び声が聞こえたケアリーは、入り口でルイージが刺殺されていることに気づき、サンドロに知らせてルナティを呼ぶ。 ルナティと共に警察に向かったケアリーは、凶器がアメリカ製のナイフだと知る。 サンドロも刑事に質問され、宿泊客のケアリー、そしてロッコとジュリアがホテルに来たことを話す。 ケアリーは、事件が解決するまで町にいるようにと言われ、外で待っていたルナティに、凶器はフランクのナイフで絵と関連があり、犯人と裏切り者は同じだと伝える。 それを知っていたルイージは死んだが、マリオの妻セラフィナが何かを知っていると考えるケアリーは、30人目の犠牲者になるなと忠告するルナティと別れる。 窓から植木鉢が落ちてきたためにケアリーは警戒し、住人たちに石を投げつけられる。 フランチェスカがそれを制止し、ケアリーと話をする。 ホテルに戻ろうとしたケアリーは、盲目の音楽家から、セラフィナに会い、裸足の男のことを聞くようにと言われ、彼女の家を訪ねる。 犬に襲われたケアリーは、銃を手にするセラフィナにマリオのことを訊こうとする。 ケアリーを追い払おうとしたセラフィナは、ピエトロが裏切り者の息子のままでいいのかと言われ、彼に謝罪して、息子と共に4年間犯罪者扱いされて、辛い思いをしていることを伝える。 セラフィナに疑わしき者はいないか尋ねたケアリーは、何も知らないと言われ、そこにジュリアが現れる。 セラフィナは、自分が何を話したか気にするジュリアや城の住人は、ナチの手先だとケアリーに伝えるものの、信じてもらえない。 収容所から無傷で帰ったジュリアを疑うセラフィナは、ルイージが、船でファシストを城に連れて行ったとケアリーに伝える。 それが、ミラノから来てホテルに泊まった男だと知ったケアリーは、6月30日だったことを確認したジュリアから、フランチェスカが発作を起こした日なので、誰か来れば気づいたはずだと言われ、セラフィナに男が靴を履いていたか尋ねる。 セラフィナに見ていないことを確認したケアリーは、ジュリアと共にその場を去る。 ケアリーは、家族は潔白であり、セラフィナがウソをついていると言うジュリアに、ミラノに行き調べることを伝える。 ジュリアも一緒に行くことを希望し、ケアリーは、ホテルに泊まった男を調べようとする。 ホテルに戻り旅立つ支度をしたケアリーは、サンドロと話し、6月30日の宿帳を見せてもらい、数人の宿泊客をメモする。 ケアリーは、ジュリアが来たらセラフィナの家に行ったと伝えるようサンドロに指示し、刑事(エルヌー・ヴェレベス)に見張られながら部屋に向かう。 その後ケアリーは、バルコニーから抜け出してジュリアと合流し、車でミラノに向かう。 ミラノに着いたケアリーは、宿泊客の男に会い、全員が靴を履いていたことをジュリアに話す。 次にケアリーは、マンフレード・クート(ローランド・ウィンタース)のオフィスを訪ね、オウムがいる部屋で靴が脱いであることに気づく。 隣りの部屋に入ったケアリーとジュリアは、アクートがアクロバット・チームのコーチだと知り、絵について彼に尋ねる。 何も知らないと答えるアクートを疑うケアリーは、絵を盗みルイージを殺したと言って彼を追及する。 絵を密輸したことを認めたアクートは、領収書があると言って奥の部屋に向かう。 何者かが部屋に侵入してアクートをナイフで刺殺し、領収書を奪って逃げる。 オウムが騒いだために奥の部屋を見に行ったケアリーは、アクートが殺されて領収書が奪われていることに気づく アクロバット・チームの男が警察に電話をしたため、ケアリーは彼を叩きのめし、車でオルタに帰るようジュリアに指示して逃亡する。 ケアリーは街でルナティに出くわし、彼と共に車でオルタに戻る。 通報を受けた警察は、アメリカ領事館のシモンズ(レイ・ウォーカー)と共にサンドロのホテルに向かい、ケアリーの部屋を調べる。 バルコニーからホテルの部屋に戻ろうとしたケアリーは、盲目の音楽家のモナ・リザの演奏で危険を察し、その場から逃げる。 ボートで着いたロッコは、シモンズらに、スイスに向かうケアリーに道ですれ違ったと伝える。 ロッコのボートに隠れていたケアリーは、ジュリアが殺人者と知り合いでは困るので助けたと言われ、彼女に頼まれたことを知る。 国外への逃亡に手を貸すと言われたケアリーは、裏切り者を見つけるまではこの場を離れないとロッコに伝える。 ロッコは、ルイージとアクート殺しは警察が解決すると考え、隠れ家の密告者を知っていると言って、ジュリアが張本人だとケアリーに伝える。 それを確かめると言うケアリーは、ロッコと共に城に向かう。 網に隠れて2人の話を聞いていたピエトロは家に戻り、そのことをセラフィナに伝える。 ジュリアが裏切り者だと知ったセラフィナは、ピエトロと共に広場に向かう。 ロッコと城に着いたケアリーは、カルロに迎えられる。 酒を用意するカルロは、裏口を開けてケアリーの元に戻り、現れたホテルの従業員ジョバンニが、地下室の入り口に隠れる。 セラフィナは、町の人々にピエトロが聞いたことを話し、マリオが吊るされたロープを持って皆で城に向かう。 それを知ったルナティも、ボートで城に向かう。 ケアリーは、ロッコに連れて来られたジュリアに、裏切ったことを確認する。 動揺するジュリアは、ジョバンニがいることに気づきながら、それを認める。 ジュリアは、捕らえられ死刑が決まったカルロを救うために、隠れ家の情報をナチに伝えてことを話す。 それが信じられないケアリーは仕方なく納得するが、警察が来たことを知る。 ロッコはケアリーを地下室に連れて行き、ジュリアは泣き崩れる。 案内されたケアリーは、隠し部屋をチェックしようとする。 内部を調べたケアリーは、ジュリアがロッコを護るためにウソをついていることに気づく。 そこに、ナイフを手にしたジョバンニが現れ、ロッコは、殺人犯は彼で自分は指揮したとケアリーに話す。 隠し部屋はフランチェスカから聞いたと言うロッコは、カルロのことで頼られたのでナチと連絡を取り、マリオが運んだ手紙で隠し部屋の情報とカルロを交換できたとケアリーに伝える。 絵の密輸は金のためにやったと伝えたロッコは、逃げようとするケアリーに発砲し、ジョバンニが彼と格闘になる。 城に着いたセラフィナと人々は、押し入ろうとする。 裏口から現れたルナティは、ジュリアを地下室に避難させる。 銃を拾ったジョバンニは、誤ってロッコを射殺してしまう。 人々は城に押し入り、ジュリアは捕らえられる。 ジョバンニに襲いかかり銃を奪ったケアリーは、彼を射殺する。 ジュリアを助けたケアリーは、ルイージとアクートを殺しを隠すために、ロッコがウソをついたことをセラフィナに伝える。 犯人のロッコはジョバンニが殺したと伝えたケアリーは、納得したセラフィナに、皆と共に帰れば死者も安眠できると伝える。 マリオの名誉も回復したと言うセラフィナは、ケアリーに感謝してピエトロを抱きしめ、皆と共にその場を去る。 ジュリアは、ロッコに今日、指示されたことをケアリーに伝える。 ケアリーは、謝罪しようとするフランチェスカに、償いの人生を送ればいいと伝える。 去ろうとするジュリアを呼び止めたケアリーは、警察に話をして帰国するが、これが届いたら戻ってくると伝えて、彼女にチェーンを渡す。 ジュリアを抱きしめたケアリーは、できるだけ早く送ってほしいと伝えて、去って行く彼女を見つめる。
...全てを見る(結末あり)
一命を取り留めたケアリーは戦後、帰国し、恋人ナンシー(ジェーン・ナイ)と街を歩いていた際に、骨董店のショウウィンドウに飾られた、隠し部屋に会った島の絵を見て驚く。
*(簡略ストーリー)
1944年、第二次世界大戦、ナチス・ドイツ占領下のイタリア。
アメリカの”OSS/戦略情報局”工作員ウェブスター・ケアリー大尉は、裏切りにより同僚と協力者だった恋人ジュリアを殺され負傷する。
戦後に帰国したケアリーは、戦地の隠れ家の城にあった絵を、街角のショウウィンドウで見つける。
その絵を売った者が裏切り者だと考えたケアリーはイタリアに向かい、現地で調査を始める。
隠れ家だった島の城に向かったケアリーは、生きていたジュリアが男爵ロッコと結婚したことを知り、危険を感じながら裏切り者を捜そうとするのだが・・・。
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1948年に発表された、マーサ・オルブランドの小説”After Midnight”を基に製作された作品。
第二次大戦時に、裏切られて同僚を殺されたアメリカ”OSS/戦略情報局”工作員の復讐を描く、犯罪サスペンスであるフィルム・ノワール。
美術監督、そしてコスチューム・デザイナーとしても活躍したミッチェル・ライゼンの監督作品であり、主人公が戦時中に使った城のセット、戦後の主人公のスーツの着こなしや貴族の衣裳などで、彼の才能が活かされている。
イタリア北部の町を舞台に、戦中から戦後の混乱期の中で、主人公が裏切り者を捜す執念の復讐劇が緊張感と共に描かれた、見応えあるサスペンスに仕上がっている。
冒頭から登場する、主人公に危機を知らせる曲”モナ・リザ”が効果的に使われ、第23回アカデミー賞では歌曲賞を受賞した。
また、本作公開直後にナット・キング・コールにより歌われたこの曲は、大ヒットしてスタンダード・ナンバーとなった。
主演のアラン・ラッドは甘いマスクでありながら、裏切り者を捜す復讐鬼のような男を熱演している。
アメリカ人にしては小柄(168cm)な彼だが、それを全く感じさせない、堂々たる雰囲気でスクリーンを支配する演技も注目だ。
戦中に主人公と愛し合い協力する島の城に住む貴族であり、陰謀に巻き込まれるワンダ・ヘンドリックス、その夫である男爵のフランシス・レデラー、主人公に協力的ではあるが、怪しい雰囲気の町医者ジョセフ・カレイア、ヒロインの祖母である伯爵夫人セリア・ラヴスキー、その孫リチャード・アヴォンデ、戦中の主人公の協力者フランク・プーリア、その息子の妻アンジェラ・クラーク、その息子ラス・タンブリン、ホテルのオーナー役ルイス・アルバーニ、絵の密輸に関与した男ローランド・ウィンタース、殺される主人公の同僚で工作員のポール・リーズ、帰国後の主人公の恋人ジェーン・ナイ、城の使用人バージニア・ファーマー、主人公に協力する盲目の音楽家デヴィッド・レオナルド、主人公を監視する刑事のエルヌー・ヴェレベス、アメリカ領事館員のレイ・ウォーカー、村人のアルゼンチン・ブルネッティとジノ・コラードなどが共演している。