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カプリコン・1 Capricorn One (1977)

巨大権力が関わる陰謀に巻き込まれる報道記者とそれに利用される人類初の有人火星飛行の宇宙飛行士の戦いを描く、監督、脚本ピーター・ハイアムズ、主演エリオット・グールドジェームズ・ブローリンブレンダ・バッカロサム・ウォーターストンO・J・シンプソンハル・ホルブルックカレン・ブラックテリー・サバラス他共演のサスペンス。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(サスペンス/犯罪)


スタッフ キャスト ■
監督:ピーター・ハイアムズ

製作:ポール・N・ラザルス三世
脚本:ピーター・ハイアムズ

撮影:ビル・バトラー
編集:ジェームス・ミッチェル
音楽:ジェリー・ゴールドスミス

出演
ロバート・コールフィールド:エリオット・グールド

チャールズ・ブルーベイカー:ジェームズ・ブローリン
ケイ・ブルーベイカー:ブレンダ・バッカロ
ピーター・ウィリス:サム・ウォーターストン
ジョン・ウォーカー:O・J・シンプソン
ジェームズ・ケロウェイ博士:ハル・ホルブルック
エリオット・ウィッター:ロバート・ウォールデン
バーゲン博士:ダレル・ツワーリング
ジュディ・ドリンクウォーター:カレン・ブラック
アルベイン:テリー・サバラス
ホリス・ピーカー:デヴィッド・ハドルストン
ウォルター・ローリン:デヴィッド・ドイル
プライス副大統領:ジェームズ・カレン
大統領:ノーマン・バートルド

アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ
1977年製作 124分
公開
北米:1978年6月2日
日本:1977年12月17日
製作費 $5,000,000


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
1月4日。
人類初の有人火星飛行に向かう宇宙船”カプリコン1”の発射が近づく。

クルーのチャールズ・ブルーベイカー空軍大佐(ジェームズ・ブローリン)、ピーター・ウィリス空軍中佐(サム・ウォーターストン)、そしてジョン・ウォーカー海軍中佐(O・J・シンプソン)が船内に乗りこむ。

発射を見学するためにプライス副大統領(ジェームズ・カレン)と夫人が到着して、下院議員ホリス・ピーカー(デヴィッド・ハドルストン)の隣に座る。

クルーは最終チェックを終えて、指令船のハッチが閉められる。

今回の計画責任者ジェームズ・ケロウェイ博士(ハル・ホルブルック)は状況を見守る。

ところが、発射直前にクルーは船内から降ろされる。

ヒューストン宇宙センター”管制室は、発射の準備を完了する。
...全てを見る(結末あり)

クルーは発射台を離れ、ヘリコプターとジェット機で移動する。

そして、ロケットは発射されて順調な飛行を続ける。

席を立ったピーカーは、大統領が世界の覇権を握ろうとしていることなどを語り、プライス副大統領を牽制する。

クルーは、砂漠にある廃墟となった元”アメリカ陸軍航空隊”基地に到着する。

戸惑う三人は、現れたケロウェイから、宇宙計画に対する国民や周囲からの批判などを、大統領が恐れていることなどを知らされる。

失敗は許されない状況でそれが現実となり、生命維持装置に欠陥が見つかり、このままでは計画中止となり、全ては無駄になるということだった。

ケロウェイは三人を連れて、火星を再現したスタジオに向かう。

着陸船の設置されたそのセットで、三人はテレビ中継のために演技をすることを指示される。

帰還後の司令船回収のことも話したケロウェイは、これによって宇宙計画が続けられると言って、この場で行われることの重要性を伝える。

理想のために自分を裏切ることはできないと言うブルーベイカーだったが、これには強大な権力が絡んでいることをケロウェイは語る。

家族が空路ヒューストンに向かうことを知らされたブルーベイカーは、自分達の返事次第でそれが爆発することになっているとも言われる。

ケロウェイは、それを阻止する力は自分にはないと付け加える。

報道記者のロバート・コールフィールド(エリオット・グールド)は、リポーターのジュディ・ドリンクウォーター(カレン・ブラック)らと共に、ブルーベイカー夫人ケイ(ブレンダ・バッカロ)にインタビューをする。

3月16日、ヒューストン
アラート担当のエリオット・ウィッター(ロバート・ウォールデン)は、テレビ電波が計算よりも早くキャッチされ、近くから届いているように思えることに疑問を感じ、それをバーゲン博士(ダレル・ツワーリング)に伝える。

バーゲンは、計算違いか計器の故障だと指摘して、ウィッターの報告だけを聞く。

納得いかないウィッターは、自宅でもう一度データのチェックをする。

5月14日。
カプリコン1は火星着陸を控えて準備に入り、ケイら家族はヒューストンに到着し、全世界がそれを見守る。

着陸は成功するが、ウィッターは数値がおかしいことをケロウェイに伝える。

ケロウェイは、ウィッターが個人的にそれを調べていることを知る。

調査することをウィッターに伝えたケロウェイは、彼の処置についての連絡を入れる。

火星からの映像が届き、船外に出たブルーベイカーは、人類で初めてその地に立つ。

ブルーバイカーは地表の様子などを伝え、続いてウォーカーも船外活動を始め、大統領がメッセージを伝える。

ウィッターは、数値がおかしいことと、それを知っても真剣に取り合わない上司の態度が気になることを友人コールフィールドに話す。

交信電波がわずか300マイル地点から発信されていることを伝えたウィッターだったが、コールフィールドが電話に出ている間に姿を消す。

ブルーバイカーは、自分達の行っている行為に納得できず他の二人と話し合うが、その会話は盗聴されケロウェイに報告される。

ウィリスとウォーカーは、自分達だけでなく家族が危険にさらされることを考える。

その後、コールフィールドはウィッターとの連絡がつかなくなる。

7月22日。
クルーと彼らの妻達の交信が行われ、ケロウェイは何事も起きないことを願う。

ブルーベイカーは、ケイの読む息子の作文を聞き思いを巡らし、涙ながらに休暇旅行のことなどを話し、妻に愛を伝えて交信を終わる。

その様子を取材したコールフィールドは、ウィッターのアパートに向かうものの、住んでいたのは別人だった。

納得いかないコールフィールドは、部屋に押し入り内部を調べるが、確かにウィッターの住んでいる形跡はなかった。

車に戻り運転を始めたコールフィールドは、ブレーキやギヤチェンジが効かないことに気づく。

車は暴走して、コールフィールドは橋から川に落下してしまうが命は助かる。

9月19日。
カプリコン1は地球に帰還する準備に入り、クルーは回収地点に向かう。

その後の緊急事態で、大気圏に再突入した司令船は、耐熱シールドの異常のため消失したことがケロウェイによる記者会見で明らかになる。

基地に戻っていたブルーベイカーらは、自分達が死んだことにされて、このままでは殺されると判断しその場から脱出しようとする。

三人はジェット機を奪い、妨害されて左車輪を破損しながら飛び立つが、燃料がないことに気づく。

ブルーベイカーは平坦な土地を見つけて不時着し、装備品を分けて三人は別行動をとる。

その頃、コールフィールドは、ブルーベイカーと妻ケイの交信時の映像をチェックする。

ケイに会ったコールフィールドは、交信の映像でブルーベイカーが休暇の話をした際の彼女の表情が気になったことを伝える。

些細なことだと言うケイは、休暇で行った場所が違っていたことを疑問に思っただけだと答え、コールフィールドは納得して立ち去る。

ジェット機は発見され、それがケロウェイに報告される。

ブルーベイカー一家が休暇で訪ねた西部開拓の町”フラット・ロック”に向かったコールフィールドは、何者かに狙撃される。

ケイを訪ねたケロウェイは、追悼式典への出席を求め、一度は答えを渋るものの彼女はそれを承諾する。

渇きに耐えきれないウォーカーは、現れたヘリコプターに気づき照明弾を打ち上げる。

ケロウェイは一人を始末したという報告を受け、三人が別行動をとっていると考え捜す方角を指示する。

再びケイを訪ねたコールフィールドは、ブルーベイカーが、あえて”フラット・ロック”を意識させようとしたと考えていることを伝え、その場に行った際の8ミリフィルムを見せてれもらう。

西部劇の撮影を体験できる現場で、作られた世界が本物のようで、こんな技術があれば人を簡単に騙せると言って夫が感心していたことをケイは話す。

崖を登り切ったウィリスは、その場にヘリがいることに気づく。

ブルーベイカーは2発目の照明弾を確認し、2人が殺されたと考える。

ウィリスの件を知らされたケロウェイは、、西に向かったはずのブルーベイカーの捜索を続行させる。

上司ウォルター・ローリン(デヴィッド・ドイル)に、NASAが絡む特ダネをものにしたと言うコールフィールドだったが相手にされない。

ローリンは、何の事件かをはっきり言わないコールフィールドに、24時間以内にネタを掴んで戻れと命ずる。

自宅にいたコールフィールドは、押し入って来たFBIに麻薬所持の現行犯で逮捕されてしまう。

翌日コールフィールドは、保釈金を払ったローリンに解雇されてしまう。

ジュディに協力を求めたコールフィールドは、半径300キロ以内にある基地を調べさせていた。

閉鎖された基地があることを知ったコールフィールドは、ジュディに現金と車を借りてその場に向かう。

上空のヘリに気づいたブルーベイカーは洞窟に身を隠し、蛇を捕えて食料にする。

ジャクソン・アメリカ陸軍航空隊基地。
現場に着いたコールフィールドは、赤土とケイがブルーベイカーに贈ったと思われるペンダントを格納庫内で見つける。

コールフィールドは、農薬散布業者のアルベイン(テリー・サバラス)を訪ね、飛行機をチャーターしてブルーベイカーを捜す。

ブルーバイカーは、閉鎖されたガソリンスタンドにたどり着き、こじ開けた自動販売機の小銭で自宅に電話をかけるが、ケイらは追悼式典に向かっていた。

コールフィールドとアルベインは、ヘリに遭遇してそれを追う。

ヘリに気づいたブルーバイカーは身を隠し、パイロットが内部を調べようとする。

コールフィールドとアルベインもその場に着陸し、パイロットを殴り建物から脱出したブルーベイカーを助けて離陸する。

ヘリに攻撃を受けながら逃げるアルベインは、農薬を散布する。

二機のヘリは、前方を確認できずに崖に激突する。

大統領(ノーマン・バートルド)も出席した、カプリコン1クルーの追悼式典は行われる。

その場に、コールフィールドに連れられたブルーベイカーが現れる。

ケロウェイやケイはそれに気づき、その場は騒然となる。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
人類初の有人火星飛行に向かう宇宙船”カプリコン1”の発射直前、ブルーベイカー、ウィリス、ウォーカーらクルーはその場から退避させられる。
閉鎖された基地に移送された三人は、計画の失敗が許されない中、生命維持装置の欠陥が見つかったことを責任者のケロウェイ博士から知らされる。
国家の威信がかかる計画の中止は考えられず、既に巨大権力が動いていたため、三人はその場に設置された火星着陸現場のセットで演技をすることを強要される。
それを拒否しようとしたブルーベイカーだったが、家族の命が危険にさらされていることを知り、仕方なく指示に従う。
その頃、報道記者のロバート・コールフィールドは、友人であるNASAのエンジニア、ウィッターから、カプリコン1の交信距離についての疑問点を知らされる。
その後、ウィッターが姿を消したため調査を始めたコールフィールドも命を狙われる・・・。



既にアポロ計画も終わり、地球軌道外の有人宇宙飛行計画も行われなくなっていた時代に製作された作品。

国家プロジェクトのアポロ計画ですら巨額の国費が問題視され、その継続意義が問われた事実もあり、世界の覇権国家としてのアメリカの威信が、陰謀として描かれるという内容が話題になった。

本作のお蔭でアポロ計画までもが嘘でなかったかと疑われ、結局は、その後の宇宙計画は1960年代の様な壮大な夢を追うものでなくなってしまったことが残念だ。

ピーター・ハイアムズの演出と脚本による、巨大権力に立ち向かう者達を描く、偽の宇宙計画が絡むサスペンスとしての面白さに加え、豪華キャスト競演も見逃せない。

ジェリー・ゴールドスミスの力強い音楽も印象に残る。

飄々とした雰囲気が彼らしい、陰謀を暴こうとする報道記者エリオット・グールド、カプリコン1船長のジェームズ・ブローリン、その妻ブレンダ・バッカロ、クルーのサム・ウォーターストンO・J・シンプソン、陰謀を指揮する科学者ハル・ホルブルック、異常に気づくエンジニア、ロバート・ウォールデン、科学者ダレル・ツワーリング、主人公に協力するリポーターのカレン・ブラック、農薬散布業者テリー・サバラス下院議員デヴィッド・ハドルストン、主人公の上司デヴィッド・ドイル、副大統領ジェームズ・カレン、大統領ノーマン・バートルドなどが共演している。


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