1962年に公開された「恐怖の岬」のリメイク。 正当な弁護を受けられず受刑した男の弁護士と家族に対する復讐を描く、製作総指揮スティーヴン・スピルバーグ、監督マーティン・スコセッシ、主演ロバート・デ・ニーロ、ニック・ノルティ、ジェシカ・ラング、ジュリエット・ルイス、ジョー・ドン・ベイカー、旧作の出演者ロバート・ミッチャム、グレゴリー・ペック、マーティン・バルサム共演によるサスペンス・スリラー。 |
・スティーヴン・スピルバーグ / Steven Spielberg 作品一覧
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■ スタッフ キャスト ■
監督:マーティン・スコセッシ
製作総指揮
キャスリーン・ケネディ
フランク・マーシャル
スティーヴン・スピルバーグ
原作:ジョン・D・マクドナルド”The Executioners”
製作:バーバラ・デ・フィーナ
脚本:ウェズリー・ストリック
撮影:フレディ・フランシス
編集:セルマ・シューメーカー
音楽
バーナード・ハーマン
エルマー・バーンスタイン
出演
ロバート・デ・ニーロ:マックス・ケイディ
ニック・ノルティ:サム・ボーデン
ジェシカ・ラング:リー・ボーデン
ジュリエット・ルイス:ダニエル・ボーデン
ジョー・ドン・ベイカー:クラウド・カーセク
フレッド・トンプソン:トム・ブロードベント
ロバート・ミッチャム:エルガート警部補
グレゴリー・ペック:リー・ヘラー
イリーナ・ダグラス:ローリー・デーヴィス
マーティン・バルサム:判事
アメリカ 映画
配給 ユニバーサル・ピクチャーズ
1991年製作 128分
公開
北米:1991年11月13日
日本:1991年12月21日
製作費 $35,000,000
北米興行収入 $79,091,970
世界 $182,291,970
■ アカデミー賞 ■
第64回アカデミー賞
・ノミネート
主演男優賞(ロバート・デ・ニーロ)
助演女優賞(ジュリエット・ルイス)
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
婦女暴行罪により、14年の刑期を終えたマックス・ケイディ(ロバート・デ・ニーロ)は出所する。
弁護士サム・ボーデン(ニック・ノルティ)は、妻リー(ジェシカ・ラング)と娘ダニエル(ジュリエット・ルイス)と共に平穏な暮らしをしていた。
ある日、ボーデンは家族で映画を見に行くが、映画館で葉巻を吹かし、自分達の飲食物の代金を支払った気味の悪い男(ケイディ)を見かける。
ボーデンは、裁判所職員のローリー・デーヴィス(イリーナ・ダグラス)と浮気をしていたが、彼女と会った帰りにケイディに声をかけられる。
映画館にもいたケイディを思い出したボーデンだったが、気にもせずその場を立ち去る。
その夜、リーは、自宅の塀から屋敷を見ているケイディを見つけボーデンに知らせるが、既に彼の姿はなかった。 上司のトム・ブロードベント(フレッド・トンプソン)に相談したボーデンは、14年前にケイディを弁護したことを思い出す。 ボーデンは、被害者の心情を考え、本来弁護士がとらなければならない、公正な弁護をしなかったとことに対しての、ケイディの嫌がらせに気づく。 そして、ケイディは街角でボーデンを見つけ、14年間の辛い刑務所生活について彼に話して聞かせる。 ボーデンは金でけりをつけようとするが、ケイディは彼を相手にせずに去っていく。 仕事中のボーデンはリーからの報せで帰宅すると、飼い犬が毒殺されていた。 ケイディの仕業だと察したボーデンは、警察のエルガート警部補(ロバート・ミッチャム)に相談する。 エルガートは、ケイディを放浪罪ででも逮捕すると言い切るが、拘束した彼に決定的な罪を科せられないでいた。 そしてボーデンは、パレードで妻リーを見つめるケイディを見つけ殴り倒してしまう。 その後ケイディは、ボーデンの愛人ローリーに近づき、暴行する。 エルガートから、ケイディが暴行事件を起こしたとの連絡を受けたボーデンは、被害者がローリーだと知り驚いてしまう。 このような事件の被害者の辛さを知る、裁判所職員であるローリーは、ケイディの仕返しを恐れ、さらに恥をさらすのも嫌い、彼を訴えることを拒絶してしまう。 警察がやたらに手を出せないことを、エルガートから聞かされたボーデンは、私立探偵クラウド・カーセク(ジョー・ドン・ベイカー)を雇いケイディについて探らせる。 ケイディの影に怯え神経質になるリーは、夫のローリーとの浮気に気づき取り乱してしまう。 そんな両親を見て、娘のダニエルも精神的に参ってしまう。 ケイディに尾行を気づかれたカーセクは、彼を罵り脅しをかけるが、彼は全く怯まない。 そしてケイディは、リーの前に姿を現し彼女を牽制する。 カーセクは、ケイディが手強いことをボーデンに伝え、男達を雇い腕づくで脅す提案をする。 しかし、ボーデンは、立場上それを承諾するわけにはいかなかった。 リーから、ケイディが現れたことを聞いたボーデンだったが、その頃、ケイディは、サマースクールの演劇教師に扮して、ダニエルに近づこうとしていた。 ダニエルは、ケイディに講堂に呼び出され話しをするうちに、彼が両親に嫌がらせをしている男だと思い始めるが、それに動ずることなく、ケイディはダニエルを誘惑する。 それを知ったボーデンは激怒し、カーセクに男達を雇うことを告げ、ケイディを痛めつけようとする。 ケイディに会い脅しをかけたボーデンは、彼に悪意を感じないダニエルを、強引に自分に従わせようとしてしまう。 計画を実行に移したボーデンだったが、ケイディは男達を撃退し、刑事弁護士リー・ヘラー(グレゴリー・ペック)を雇い反撃に出る。 ボーデンは審問にかけられ、ケイディの500m以内に近づいてはならないこということを、判事(マーティン・バルサム)から言い渡される。 カーセクは、ボーデンが出張に出かけたと見せかけて、必ず家に現れるケイディを、待ち伏せて始末しようとする。 しかし、難なくボーデンの家に侵入したケイディは、家政婦を殺し、彼女に扮してカーセクも殺害する。 混乱したボーデン達は、ケープ・フィアーに避難することにするが、ケイディはボーデンの車に潜んで後を追い、一家を襲う準備を始める。 ケイディは、ハウスボートに避難したボーデンを襲い気絶させて、ダニエルを船底に閉じ込めリーに暴行しようとする。 意識の戻ったボーデンを、ボートに引き入れたケイディは、リーとダニエルの前で彼を痛めつける。 リーが機転を利かせ、ケイディの気持ちを理解するような素振りを見せる。 ケイディが油断をして葉巻を吸った瞬間、ダニエルが引火オイルをかけて、彼は火達磨になる。 悶えるケイディは川に転落し、嵐になったボートは流されてしまう。 大火傷を負ったケイディは、ボートに戻りボーデンに銃を突きつけ、14年前の裁判の証拠の隠ぺいをボーデンに告白させて、自らが裁こうとする。 その時、荒れ狂う激流に飲まれたボートはバランスを失い、ケイディは倒れこみ、ボーデン達は川に飛び込もうとする。 ケイディに引き戻されれたボーデンは、彼の足首に手錠をかけ、ボートに固定させて自分は脱出する。 ボートは座礁して大破してしまい、ボーデンはケイディを岩で殴り殺そうする。 しかし、ケイディは、狂ったように異言を発しながら、ボートの残骸と共に水中に飲み込まれていく。 そしてボーデン達は、ようやく悪夢から解放される。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
婦女暴行罪により14年の刑期を終えたマックス・ケイディは出所し、弁護士としての職務を果たさなかったことで恨みを持つ、サム・ボーデンの前に現れる。
ボーデンはケイディのことを思い出して、金で解決しようとするが相手にされなかった。
その後、ケイディの嫌がらせは、自宅そして妻リーや娘ダニエルにも及ぶ。
ボーデンは、警察のエルガート警部補に相談して、ケイディを拘束するものの、決定的な罪を科せられないでいた。
釈放されたケイディは、ボーデンの愛人ローリーに近づき暴行する。
しかし、ローリーはケイディを恐れ恥をさらすのも嫌い彼を訴えようとしない。
警察も安易に手を出せないことで困惑するボーデンは、私立探偵のカーセクを雇ってケイディについて探らせる。
しかし、リーは夫の浮気を知り取り乱し娘のダニエルも精神的に参ってしま。
尚も家族に近づくケイディを、ボーデンは力尽くで痛めつけ、そして抹殺しようと考えるのだが・・・。
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全編を通し、これでもかというほど見せてくれる恐怖を、マーティン・スコセッシは重厚ささえ感じるほどの緊迫感で見事に描き切っている。
狂気の復讐鬼を演ずるロバート・デ・ニーロの怪演が最大の注目だが、オリジナル版の主演グレゴリー・ペックとロバート・ミッチャム、さらにはマーティン・バルサムが再び出演しているのが嬉しい。
しかも、旧作では執拗な嫌がらせに遭うグレゴリー・ペックがケイディの弁護士、ケイディ役だったロバート・ミッチャムは弁護士を助けようとする警官役という、当時とは全く逆の立場の配役が凝っている。
グレゴリー・ ペックは「ブラジルから来た少年」(1978)の恐るべき”死の天使の”ヨーゼフ・メンゲレを髣髴させる、陰鬱な役柄が印象的だ。
北米では期待ほどのヒットとはならなかったが全世界では約1億8200万ドルのヒットとなった。
*北米興行収入 $79,091,969
アルフレッド・ヒッチコック作品の、「知りすぎていた男」(1956)、「めまい」(1958)、「サイコ」(1960)、「北北西に進路を取れ」(1959)、「鳥」(1963)などでお馴染みのバーナード・ハーマンの主題曲は、サスペンス映画のテーマ曲の傑作と言っていい。
*本作の編曲及び音楽担当はエルマー・バーンスタイン。
バーナード・ハーマンの遺作は、マーティン・スコセッシ作品の「タクシードライバー」(1976)だが、全くイメージが違うところが興味深い。
第64回アカデミー賞では主演男優(ロバート・デ・ニーロ)と助演女優(ジュリエット・ルイス)にノミネートされた。
ロバート・デ・ニーロの復讐鬼役はとにかく凄い。
まず、鍛えた体の刺青と面構えから発する恐怖感は半端ではない。
逮捕時には字も読めなかったという主人公が、タカ派の象徴的存在パットン将軍の写真と共に大量の書物を読破し、来るべき復讐の準備をしていたであろうということを連想させる牢獄の中のオープニングも迫力がある。
やや逃げ腰で弱みを持つ弁護士のニック・ノルティ、恐怖に脅える妻役のジェシカ・ラング、アカデミー賞候補にもなった娘役のジュリエット・ルイスの好演も、ストーリーに緊張感を与えている。
攻撃的な私立探偵役ジョー・ドン・ベイカー、ボーデン(ニック・ノルティ)を挑発するための犠牲になる愛人役のイリーナ・ダグラス、実際にも弁護士資格を持つ上司フレッド・トンプソンなども出演している。