1984~1985年に発表された、クライヴ・バーカーのホラー・フィクション”Books of Blood”の中の短編”The Forbidden”を基に製作された作品。 伝説の殺人鬼キャンディマンに襲われる女性の恐怖を描く、監督、脚本バーナード・ローズ、主演ヴァージニア・マドセン、トニー・トッド、ザンダー・バークレー他共演のホラー。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:バーナード・ローズ
製作
スティーヴ・ゴリン
アラン・プール
シガージョン・サイヴァッツォン
製作総指揮:クライヴ・バーカー”The Forbidden”
原作:クライヴ・バーカー
脚本:バーナード・ローズ
撮影:アンソニー・B・リッチモンド
編集:ダン・レイ
音楽:フィリップ・グラス
出演
ヘレン・ライル:ヴァージニア・マドセン
キャンディマン:トニー・トッド
トレヴァー・ライル:ザンダー・バークレー
バーナデット”バーニー”ウォルシュ:カシー・レモンズ
アン=マリー・マッコイ:ヴァネッサ・A・ウィリアムズ
アーチー・ウォルシュ:バーナード・ローズ
フランク・ヴァレント刑事:ギルバート・ルイス
バーク医師:スタンリー・デサンティス
ビリー:テッド・ライミ
フィリップ・パーセル:マイケル・カルキン
ハロルド:エリック・エドワーズ
女性警察官:ラスティ・シュウィマー
ジェイク:デファン・ガイ
ステイシー:キャロリン・ローリー
アメリカ 映画
配給
トライスター・ピクチャーズ
PolyGram Filmed Entertainment
1992年製作 99分
公開
北米:1992年10月16日
日本:1993年7月10日
製作費 $6,000,000
北米興行収入 $25,792,300
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
シカゴ。
都市伝説をリサーチして論文の準備をしている大学院生のヘレン・ライル(ヴァージニア・マドセン)は、殺人鬼”キャンディマン”の話に興味を持っていた。
イリノイ大学。
都市伝説についての講義を終えた大学教授の夫トレヴァー(ザンダー・バークレー)の元に向かったヘレンは、彼が女学生のステイシー(キャロリン・ローリー)を意識していることを気にする。
ヘレンは、友人バーナデット”バーニー”ウォルシュ(カシー・レモンズ)と共に論文を書く予定の都市伝説について、講義しない約束だったことをトレヴァーに確認する。
妻であるヘレンの頼みでも、講義は延期出来ないとトレヴァーは答える。
その後、キャンディマンを知っているという大学の掃除婦から、彼が公営団地にいると聞いたヘレンは、実際にあった事件のことも聞き過去の新聞記事を調べる。 自分のアパートも公団が建てた建物だと気づいたヘレンは、バーニーにそれを伝え、その証拠であるバスルームの鏡の裏が隣部屋と繋がっているのを確認する。 ヘレンとバーニーは、5回呼ぶと現れるというキャンディマンの名前を唱えるが、何も起きなかった。 その夜、眠っていたヘレンは何者かが襲いかかってきたために驚くが、それは酔って帰ったトレヴァーだった。 翌日、事件の起きた団地に向かおうとするヘレンだったが、同行するバーニーは危険地帯だと言って過剰に警戒する。 ヘレンに格好の研究材料だと言われたバーニーは、心を決めて団地に向かうことにする。 車から降りた二人は、居住者の黒人達にからかわれながら団地に入り、内部の写真を撮る。 殺人が起きた部屋を調べたヘレンは、自分の部屋と間取りが同じことを確認してバスルームの鏡の奥に向う。 5分で戻るとバーニーに伝えて中に入ったヘレンは、カメラのフィルムがなくなってしまう。 フィルムがないかを聞きに戻ったヘレンだったが、恐怖に耐えられないバーニーに帰ると言われる。 二人は、そこに現れた住人のアン=マリー・マッコイ(ヴァネッサ・A・ウィリアムズ)に不審者に思われるが、彼女から話を聞こうとする。 生れたばかりの子供と二人暮らしのアン=マリーは白人を警戒し、下の住人と自分は違うことをヘレンとバーニーに伝える。 事件のことを思うと不安であり、キャンディマンに怯えていることをアン=マリーは話す。 その夜、バーニーを含め、トレヴァーと同僚教授のフィリップ・パーセル(マイケル・カルキン)と食事をしたヘレンは、団地に行ったことを話す。 キャンディマンのことを知るパーセルは、ヘレンらのしていることをからかいながら話を始める。 奴隷だったキャンディマンは、父親が南北戦争後に靴の大量生産機を考案し巨万の富を築いたため、一流の教育を受け上流社会で育った。 絵の才能もあったキャンディマンに、富裕層の人々は肖像画を描くことを依頼したのだが、地主の娘を描いた際に彼は恋に落ちてしまった。 娘が妊娠たため許せない地主は悪党を雇い、彼らは、後に団地が立つ場所でキャンディマンの右手を切り落とした。 付近にあった養蜂場から巣を盗みキャンディマンを大量の蜂で殺し、死体は焼かれ灰は野に撒かれたのだった。 翌日も団地に向い現場の写真などを撮ったヘレンは、アン=マリーが留守だったために、廊下にいた少年ジェイク(デファン・ガイ)にキャンディマンの話を聞く。 キャンディマンが少年を殺したという公衆トイレに向かったヘレンは、ジェイクからその事件の内容を聞く。 内部を調べたヘレンは、便器の中の大量の蜂を確認する。 ジェイクは、歩み寄って来たキャンディマンに気づく。 ヘレンは、現れた男達に近づくなと警告するが、キャンディマンだと言う男に殴られて気を失う。 警察に向かったヘレンは、逮捕された犯人を確認し、以前から目をつけていた男を捕えるための証人となってもらえることでフランク・ヴァレント刑事(ギルバート・ルイス)に感謝される。 その場で待っていたジェイクから、キャンディマンに殺されると言われたヘレンは、犯人は捕まったため、それが架空の人物だったと伝える。 団地の事件や少年殺害犯と思われる男が逮捕されたことで気が楽になったヘレンは、バーニーから現場で撮った写真を渡され、今回の件が本になる可能性も知らされる。 駐車場で車に乗ろうとしたヘレンは、異様な雰囲気の男に声をかけられ、彼がキャンディマン(トニー・トッド)だと気づきカギ手を確認する。 気を失ってしまったヘレンはアン=マリーの叫び声で目覚め、血まみれのまま、彼女の愛犬の首が床に転がっているのを見つける。 その場に落ちていたナイフを拾ったヘレンは、子供が姿を消したため泣き叫ぶアン=マリーから犯人に疑われる。 アン=マリーに襲われたヘレンは、ナイフで彼女の腕を傷つけてしまい、その場に現れた警官に取り押さえられ連行される。 状況証拠により逮捕するとヴァレントに言われたヘレンは、起きたことが理解できない。 トレヴァーに電話をしたヘレンだったが、彼が出ないためにメッセージを残す。 翌日、弁護士と共にヘレンを迎えに来たトレヴァーは、保釈された彼女を連れ帰る。 何も覚えていないと言うヘレンは、大学に向かおうとするトレヴァーに、昨夜なぜ電話にでなかったのかを問う。 ぐっすり眠っていたと答えたトレヴァーは、ヘレンを気遣いながら出かける。 事件現場のスライドをチェックしたヘレンは、洗面台の鏡にキャンディマンが映っていることに気づく。 その後ヘレンは、現れたキャンディマンに自分の存在を否定したことを非難され、一緒に来なければ預った子供を殺すと言われる。 更にヘレンは、恐怖伝説を守るために殺しに来たとキャンディマンに言われる。 バーニーが来たことに気づいたヘレンは、彼女に去るよう伝えようとするが、体の自由がきかない。 キャンディマンは、部屋に入って来たバーニーを殺す。 帰宅したトレヴァーは、血だらけでナイフを手にして倒れているヘレンに気づき驚く。 目覚めたヘレンは手錠をかけられ警官に監視されていることに気づき、バーニーが惨殺されたことを知る。 病院に運ばれるヘレンは、子供が団地の事件現場にいると考え、守ってほしいと神に祈る。 精神科病棟のベッドに拘束されたヘレンは、現れたキャンディマンに脅される。 その後、バーク医師(スタンリー・デサンティス)の診察を受けたヘレンは、1か月間、鎮静剤を投与し様子を見たことを知らされる。 第一級殺人罪に問われているヘレンに、アパートで何があったのかを尋ねたバークは、キャンディマンがいると言って騒ぐ彼女の監視映像を見せる。 何も映っていないために動揺するヘレンは、自分がバーニーを殺していないことを証明することを伝える。 キャンディマンを呼ぶと言うヘレンは、その名前を5回唱え、バーク医師は現れたキャンディマンに殺害される。 奇跡を見せると言うキャンディマンはヘレンの拘束を解き、窓を突き破って姿を消す。 ヘレンは窓から外に逃れ、隣の病室に入り病院から脱出してアパートに向かう。 部屋に入ったヘレンは、模様替えのため壁を塗っていたトレヴァーの浮気相手トレイシーに気づく。 ヘレンが現れたため驚くトレヴァーは、裏切ったことを責められる。 動揺するヘレンはその場を去り、皆に見放された彼女は、キャンディマンの元に行くしかないと考える。 団地に向かったヘレンは事件現場の部屋に入り、眠っていたキャンディマンをカギ手で傷つける。 目覚めたキャンディマンは、子供を返してほしいと言うヘレンに、自分の物になれと伝える。 大量の蜂に襲われたヘレンは、キャンディマンと一体化して気を失う。 目覚めたヘレンは、自分が壁画に描かれていることに気づく。 子供の声が聞こえ、空き地に山積みされた不要物の山にいることを知ったヘレンは、子供を助けようとする。 ジェイクと少年達は、カギ手を持っているヘレンを見てキャンディマンだと考え、その場に火を放とうとする。 子供を抱きかかえたヘレンは、現れたキャンディマンに羽交い絞めにされ、その場には火が放たれる。 自分と共に灰になるとキャンディマンに言われたヘレンは、子供を救うために、彼に焼けた木材を突き刺す。 ヘレンは炎に包まれながらもその場から這い出し、子供をアン=マリーに渡す。 キャンディマンは瓦礫の下敷きになり、全身に火傷を負ったヘレンも息を引き取る。 ヘレンの葬儀が行われ、その場にアン=マリーと共に団地の住民が現れる。 キャンディマンのカギ手を墓穴に落としたジェイクは、アン=マリーと共に立ち去る。 その後、ヘレンのことが忘れられないトレヴァーは、バスルームに現れた彼女に殺害される。 一緒に暮らし始めていたステイシーは、トレヴァーの死体を発見して叫び声をあげる。
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*(簡略ストー リー)
シカゴ。
都市伝説をリサーチして論文の準備をしている大学院生のヘレン・ライルは、殺人鬼”キャンディマン”の話に興味を持っていた。
かつて公団住宅で起きたキャンディマンによる殺人事件を知ったヘレンは、友人バーニーと共に現場に向かう。
洗面台の鏡の奥の部屋に向かったヘレンは、異様な雰囲気に驚きながら、住人のアン=マリーから事件の話などを聞く。
その後、キャンディマンだと言う男に襲われたヘレンは、彼が逮捕されたことで、やはり殺人鬼は伝説だったと考える。
しかし、キャンディマンはヘレンの前に現れ、気を失った彼女は、アン=マリーの部屋で血まみれで目覚める。
そしてヘレンは、アン=マリーの愛犬を殺し、彼女の子供が姿を消したことで警察に逮捕されてしまう。
何も覚えていないヘレンは犯人として疑われ、駆けつけた大学教授の夫トレヴァーにより保釈されるのだが、彼女の前に再びキャンディマンが現れる・・・。
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イギリスのホラー小説作家の第一人者クライヴ・バーカーの原作で、彼自身が製作総指揮を担当している。
伝説の殺人鬼”キャンディマン”の存在が事実であるかというところから物語は始まり、それを調査する大学院生がとり憑かれたように変貌していくという、バーナード・ローズの細やかな演出と心理サスペンス的展開も楽しめる。
キャンディマンそのものの恐ろしい存在を徹底的に強調するため、ホラー作品ならではの残虐シーンも度を越していないところが特徴だ。
ホラー映画としての評価は高く、アヴォリアッツ映画祭とサターン賞で数々の賞を受賞した。
主演のヴァージニア・マドセンは、知的で美しい大学院生を熱演し、上記の両賞で主演女優賞を授賞した。
196cmの長身でその存在感を示すキャンディマンを演ずるトニー・トッド、主人公の夫で大学教授のザンダー・バークレー、主人公と共にリサーチを続ける友人カシー・レモンズ、団地の住人ヴァネッサ・A・ウィリアムズ、刑事ギルバート・ルイス、医師スタンリー・デサンティス、大学教授マイケル・カルキン、女性警察官ラスティ・シュウィマー、団地に住む少年デファン・ガイ、主人公の夫の浮気相手キャロリン・ローリー、冒頭で登場する伝説の被害者テッド・ライミ、そしてバーナード・ローズも出演している。