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椿姫 Camille (1936)

1848年に発表された、アレクサンドル・デュマ・フィスの小説”椿姫”を原作に1952年に上演された舞台劇の映画化。
椿姫と言われる社交界の華と青年の悲恋を描く、製作アーヴィング・タルバーグ、監督ジョージ・キューカー、主演グレタ・ガルボロバート・テイラーライオネル・バリモア他共演の恋愛ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(ロマンス)

グレタ・ガルボ / Greta Garbo / Pinterest


スタッフ キャスト ■
監督:ジョージ・キューカー

製作
アーヴィング・タルバーグ

バーナード・H・ハイマン
原作:アレクサンドル・デュマ・フィス椿姫
脚本
ゾーイ・エーキンズ

フランシス・マリオン
ジェームズ・ヒルトン
撮影
ウィリアム・ダニエルズ

カール・フロイント
編集:マーガレット・ブース
音楽:ハーバート・ストサート

出演
マルグリット・ゴーティエ:グレタ・ガルボ

アルマン・デュヴァル:ロバート・テイラー
デュヴァル:ライオネル・バリモア
ニシェット:エリザベス・アラン
ナニーヌ:ジェシー・ラルフ
ヴァルヴィル男爵:ヘンリー・ダニエル
オランプ:レノア・ウルリック
プリュダンス・デュベルノア:ローラ・ホープ・クルーズ
ガストン:レックス・オマリー
テレサ:エイリー・マリオン

アメリカ 映画
配給 MGM

1936年製作 109分
公開
北米:1936年12月12日
日本:1937年8月25日
製作費 $1,486,000
北米興行収入 $1,154,000
世界 $2,842,000


アカデミー賞 ■
第10回アカデミー賞
・ノミネート
主演女優賞(グレタ・ガルボ


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
1847年、パリ
椿の花を愛するため”椿姫”と呼ばれるマルグリット・ゴーティエ(グレタ・ガルボ)は、育ちもよくない病弱の身でありながら社交界の華として知られていた。

友人のプリュダンス・デュベルノア(ローラ・ホープ・クルーズ)は、そんなマルグリットに身を固めるよう助言し、大富豪のヴァルヴィル男爵(ヘンリー・ダニエル)を紹介しようとする。

劇場に向かったマルグリットは男性達の注目を集め、プリュダンスはヴァルヴィル男爵を自分達の桟敷席に招こうと手を回す。

予約した席に向かった二人だったが、そこには知人のオランプ(レノア・ウルリック)がいたため、プリュダンスは、男が来てしまうため席を替わってもらおうとする。

男爵はメッセージを確認して、自分の席に着き返事は後にする。

オランプは客席の男爵に気づき、それをマルグリットに伝える。

しかしマルグリットは、その場にいた青年アルマン・デュヴァル(ロバート・テイラー)を男爵だと思い彼が気になる。
...全てを見る(結末あり)

オランプが男爵に会うと言い出したため、プリュダンスはマルグリットを連れて自分達の席に向かう。

プリュダンスは男爵を席に案内するよう手配するが、彼はオランプに招かれてしまう。

マルグリットは、自分に気づいたアルマンと席に向い、彼から好意を示される。

そこに現れたプリュダンスから、オランプと同席しているのがヴァルヴィル男爵だと知らされてマルグリットは驚き、アルマンはその場を去ろうとする。

マルグリットはアルマンを引き留め、彼はやや気分を害しながら、頼まれたマロングラッセを買いに行く。

ヴァルヴィル男爵はマルグリットが気になり、彼女の席に向う。

アルマンはマロングラッセを買って席に戻るが、マルグリットの姿はなく、落ちていたハンカチを拾って立ち去る。

数か月後、マルグリットとヴァルヴィル男爵は親交を深め、彼は、馬を買いたいと言うマルグリットのために現金を渡してロシアに向かう。

競売上でオランプと争い馬を競り落としたマルグリットは、その場で友人のニシェット(エリザベス・アラン)に出くわす。

マルグリットは、弁護士になる男性と結婚すると言うニシェットに、理想を追う者より金持ちを選ぶよう助言する。
その場でマルグリットはアルマンと再会し、大切に持っていたと言うハンカチを返してもらう。

自分に会いに来なかったアルマンが、実は花を届けに来ていたことをメイドのナニーヌ(ジェシー・ラルフ)から知らされたマルグリットは、彼を誕生パーティーに誘う。

翌日、アルマンを歓迎したマルグリットは、プリュダンスやオランプ、そして友人ガストン(レックス・オマリー)ら招待客と共に食事の席に着く。

その後も楽しむマルグリットだったが、咳き込んで寝室に向い、それに気づいたアルマンが彼女の様子を見に行く。

自分を気遣うアルマンに、わがままで気分屋で病気持ちだと伝えるマルグリットだったが、彼は再び好意を示す。

マルグリットは、愛を告げるアルマンを受け入れられないが、諦めない彼に、客を帰らせた後で会う約束をして部屋の鍵を渡す。

ナニーヌはプリュダンスらを帰らせて、マルグリットはアルマンを待つ準備をしていたが、そこにヴァルヴィル男爵が現れる。

一人でロシアに行く気になれなかったと言う男爵は、誰かが来る気配を感じながらマルグリットに探りを入れる。

そこにアルマンが現れ、入り口の鍵が開かないためにベルを鳴らすものの、誰も出てこなかった。

実家に戻ったアルマンは、父親(ライオネル・バリモア)に旅をしたいことを伝えて援助を受ける。

マルグリットは、旅に出ると言うアルマンからの手紙を受けてショックを受ける。

それを確かめたマルグリットは、愛を告げるアルマンに再び自分を諦めるよう伝える。

しかし、暫くの間、田舎で暮らそうというアルマンの提案に、マルグリットは同意する。

マルグリットは、男爵と別れようとしていることをプリュダンスに責められ、借金があることなどを指摘される。

そこに男爵が現れてプリュダンスは席を外し、マルグリットは4万フランの返済のために、彼から借金しようとする。

男爵はそれを断り、ロシアに行けば好きなだけ金をやると言うが、静養する彼女が相手を見つけたと判断し、金を渡して手を気りその場を去ろうとする。

マルグリットは男爵に口づけをして感謝するが、彼に殴られ軽蔑されたことで心を痛める。

アルマンとナニーヌと共に田舎に着いたマルグリットは、小さな家に滞在する。

別の場所に宿泊するアルマンと付近を散策していたマルグリットは、立派な城に気づくが、それがヴァルヴィル男爵の所有物であることを知る。

その後アルマンは、手紙を待つマルグリットが、男爵と連絡を取っていると考える。

しかし、ニシェットの結婚の祝いを考えていたマルグリットが、宝石を売っていたことを知ったアルマンは、彼女に疑ったことを謝罪する。

アルマンは、ニシェットの結婚式をこの場で挙げることをマルグリットに提案する。

ニシェットの結婚式は行われ、彼女はマルグリットに感謝する。

マルグリットとアルマンは愛を確かめるが、結婚を迫られた彼女はそれは拒む。

ある日、アルマンの父親デュヴァルが現れ、マルグリットは、彼を家に招き入れて話を聞く。

祖父の遺産を渡すようアルマンから頼まれたというデュヴァルは、男を破滅させるような女は息子には相応しくないと率直に伝え、その金をマルグリットが必要としているのではないかと尋ねる。

遺産を渡すべきではないと伝えたマルグリットは、別れるべきだというデュヴァルに不快感を示す。

デュヴァルは、永遠の愛を語るマルグリットを娼婦まがいの女とまで言って、あくまでアルマンとの関係を解消させようとする。

長く生きられないと言っても信じてもらえないマルグリットは、自分を変えてくれたアルマンが、愛の意味と男の誠実さを教えてくれたことをデュヴァルに伝える。

相手の過去が息子の将来を潰すことを心配するデュヴァルは、親の身になり考慮してもらいたいと言って、先の短い者のために犠牲になってほしいとマルグリットに伝える。

悩んだマルグリットは、別れることは辛いが、方法は一つあると言ってアルマンを返すことをデュヴァルに約束する。

報いたいと言うデュヴァルに、全てはアルマンのためであり、誤解しないでほしいとマルグリットは答える。

デュヴァルはマルグリットに感謝し、彼女は父親として当然のことをしたと言って、この件をアルマンには秘密にしてほしいと伝える。

アルマンには父親の励ましと慰めが必要だと言うマルグリットが、思慮深い女性であることを悟ったデュヴァルは、自分の発言を後悔しながら、神の祝福があることを祈り彼女と別れる。

その後、苦しむマルグリットは、ヴァルヴィル男爵に手紙を出す。

パリから戻ったアルマンは、ひと夏の恋などと語る変貌してしまったマルグリットに戸惑う。

マルグリットは男爵の待つ城に向かってしまい、アルマンは絶望する。

その後、賭博場でプリュダンスに声をかけられたアンマンは、マルグリットと男爵が来ることを知らされる。

マルグリットは、その場にアンマンがいたために驚き卒倒しそうになる。

気分が悪いため帰りたいと言うマルグリットの言葉を遮った男爵は、近づいて来たアルマンと牽制し合う。

男爵と共にテーブルに着き、バカラで勝負することになったアルマンは一人勝ちする。

マルグリットはアルマンを部屋に呼び、別れたのは男爵のせいではないと説明するが、金で動く女だと言われ軽蔑される。

それでも愛を伝えるアルマンは、干渉する権利のある者と別れることを約束したと言われる。

それが男爵であり、彼を愛しているとマルグリットに言われたアルマンは、扉を開けて皆を呼ぶ。

マルグリットの愛を信じたが裏切られたと言うアルマンは、彼女に札束を投げつける。

男爵から、イカサマ女の扱い方を心得ていると言われたアルマンは彼を殴り、二人は後日、決闘することになる。

決闘の場に駆け付けたマルグリットは、アルマンは無事で男爵が負傷したことをガストンから知らされる。

アルマンは国外に逃亡し、手紙を開封ぜずに戻されたマルグリットは、それを破り捨てる。

半年後、パリに戻ったアルマンは、劇場でプリュダンスらに会い、ガストンからマルグリットが病気だと知らされて動揺する。

マルグリットが生活に困り、プリュダンスらに宝石を売ったと知ったアルマンは、決闘の後、彼女が男爵に捨てられたという話を聞く。

アルマンは、マルグリットに会ってみる気はないかとガストンに言われるが、彼にはそんな勇気はなかった。

ガストンは、マルグリットの家に向い債権者を追い払い、彼女を見舞いバッグに現金を入れる。

翌朝、目覚めたマルグリットは、アルマンに会うことを願って生きていることをガストンに伝える。

現れたプリュダンスは、借金を返してほしいとマルグリットに伝え、バッグの中に1000フランがあるのを確認する。

ガストンが入れてくれたことを悟ったマルグリットは、アルマンがパリに戻ったことをプリュダンスから知らされる。

病気のことを話したが、アルマンは興味もないようだったと言うプリュダンスはその場を去る。

マルグリットは現金のことをガストンに感謝し、司祭を呼んでほしいと頼む。

司祭の祈りが捧げられている最中アルマンが現れ、マルグリットに会いたいことをナニーヌに伝える。

ナニーヌは、マルグリットにアンマンが来ていることを伝える。

マルグリットは、ナニーヌに手伝ってもらいアンマンに会う準備をする。

現れたアンマンに抱き寄せられたマルグリットは、幸せを噛みしめる。

病気と知りつつも会うのをためらってしまったことを謝罪したアンマンは、自分のために犠牲になったマルグリットの優しさに気づかなかったことを後悔する。

一緒にいるべきだと言うアンマンは、再び田舎に行くことを提案し、喜びを感じるマルグリットは、ナニーヌに出発の準備をさせる。

医師から絶対安静だと言われていたナニーヌは戸惑い、マルグリットは立てなくなってしまう。

今後は心の中で生きると言うマルグリットは、出発が無理なら、楽しかった日々を思い出そうと励ますアルマンの腕の中で息を引き取る。

そしてアルマンは、マルグリットの死を知り泣き崩れる。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
1847年、パリ
椿の花を愛するため”椿姫”と呼ばれる、育ちもよくない病弱の身のマルグリット・ゴーティエは、社交界の華として知られていた。
ある日マルグリットは、友人プリュダンスから大富豪のヴァルヴィル男爵を紹介されることになる。
しかしマルグリットは、その場にいた青年アルマンを男爵だと勘違いしてしまう。
アルマンに好意を示されたマルグリットだったが、男爵に声をかけられ、その後、二人は親交を深める。
男爵のロシア行きに誘われたマルグリットは、病気を理由にそれを断り、再会したアルマンから愛を告げられるものの、それを受け入れられない。
しかし、アルマンが旅に出ることを知ったマルグリットは、彼が愛しくなる。
そして、現れたアルマンに再び愛を告げられたマルグリットは、彼と共に暫くの間、田舎で暮らすことになるのだが・・・。
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原作者アレクサンドル・デュマ・フィスが交際していた高級娼婦”マリー・デュプレシ”がヒロインのモデルで、彼女自身も23歳の若さで肺結核により亡くなっている。

セリフにも出てくるが、育ちもよくない無学な娼婦まがいのヒロインは、美貌と気品漂う社交の華であり、その雰囲気を完璧に漂わせる女性として、グレタ・ガルボの魅力を最大限に生かした、若き日のジョージ・キューカーの演出力は光る。

品格、優美という言葉では表現しきれない、女性を超越したような存在であるグレタ・ガルボは、撮影当時30歳とは思えない、落ち着いた大人の女性の風格があり、第10回アカデミー賞で主演女優賞にノミネートされた本作を、彼女の最高作にあげる声も多い。

その相手役として、彫刻のような整った顔立ちは美しささえ感じる、20代半ばのロバート・テイラーの好演も印象に残る。

その父親役のライオネル・バリモア、ヒロインの友人エリザベス・アラン、ヒロインのメイドのジェシー・ラルフ、ヒロインの人生に大きく関わる男爵ヘンリー・ダニエル、ヒロインの友人レノア・ウルリックローラ・ホープ・クルーズレックス・オマリー、田舎の家のメイドエイリー・マリオンなどが共演している。


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