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ビッグケーヒル Cahill, United States Marshal (1973)

悪事に加担した息子達に手を焼きながら悪党に立ち向かう連邦保安官の戦いを描く、ジョン・ウェイン主演、監督アンドリュー・V・マクラグレンジョージ・ケネディゲイリー・グライムズネヴィル・ブランド他共演の西部劇。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


西部劇

ジョン・ウェイン / John Wayne 作品一覧
ジョン・ウェイン / John Wayne/Pinterest


スタッフ キャスト ■
監督:アンドリュー・V・マクラグレン

製作:マイケル・ウェイン
原作:バーニー・スレイター
脚本
ハリー・ジュリアン・フィンク

リタ・M・フィンク
撮影:ジョセフ・F・バイロック
編集:ロバート・L・シンプソン
音楽:エルマー・バーンスタイン

出演
ジョン・ウェイン:J・D・ケーヒル連邦保安官
ジョージ・ケネディ:エイブ・フレイジャー
ゲイリー・グライムズ:ダニエル”ダニー”ケーヒル
ネヴィル・ブランド:ライトフット
マリー・ウィンザー:ヘティ・グリーン
クレイ・オブライエン:ビリー・ジョー・ケーヒル
ダン・ヴァディス:ブラウニー
モーガン・ポール:ストラザー
ローヤル・ダーノ:マクドナルド
スコット・ウォーカー:ベン・ティルディ
ハリー・ケリーJr.:ハンク
ハンク・ウォーデン:アルバート
ウォルター・バーンズ:グレディ保安官
ポール・フィックス:老人
ジャッキー・クーガン:チャーリー・スミス

アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ
1973年製作 102分
公開
北米:1973年7月11日
日本:1973年10月13日


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
連邦保安官J・D・ケーヒル(ジョン・ウェイン)は、一仕事を終え久しぶりに町に戻ろうとする。

その頃、泥酔して牢屋に入れられていたケーヒルの息子のダニー(ゲイリー・グライムズ)は、弟のビリー・ジョー(クレイ・オブライエン)と、その場にいたエイブ・フレイジャー(ジョージ・ケネディ)やブラウニー(ダン・ヴァディス)、ストラザー(モーガン・ポール)らにそそのかされて銀行強盗に加担する。

ビリー・ジョーが納屋に火をつけ、グレディ保安官(ウォルター・バーンズ)とハンク(ハリー・ケリーJr.)は、火を消そうと現場に向かう。

グレディ保安官は、銀行強盗に気づきその場に向かうが、フレイジャーに射殺されてしまう。
...全てを見る(結末あり)

それを見ていたダニーとビリー・ジョーは、フレイジャーに脅されて口封じされ、その後アリバイを作るため牢屋に戻る。

ダニーは、自分と弟ビリー・ジョーの世話もせずに、任務に出かけてしまう父ケーヒルに反発し、腹いせにフレイジャーと手を組んでしまったのだった。

町に戻ったケーヒルは、ダニーを牢屋から出すが、彼は父に逆らい自ら牢屋に戻る。

その後ケーヒルは、クレディ保安官が殺されたことをハンクから知らされる。

ケーヒルは、捜索隊の報告から犯人が町にいると考え、牢屋にいたフレイジャーらを疑う。

ダニーを助手にしたケーヒルは、ビリー・ジョーを下宿屋のヘティ・グリーン(マリー・ウィンザー)に預け、犯人の捜索に向かう。

町を出る際にケーヒルは、ダニーがフレイジャーを気にすることを不審に思う。

途中ケーヒルは、コマンチのライトフット(ネヴィル・ブランド)を雇い同行させるが、彼の妻に敬意を払わないダニーを、容赦なく馬から突き落とす。

その夜ライトフットは、ダニーがケーヒルを嫌っている理由を知り、彼がどれだけ尊敬できる男かを彼に語る。

山で大金を持っていた、老人(ポール・フィックス)4人組を見つけたケーヒルは、モルモン教徒の家畜商からそれを奪ったと言う、彼らを痛めつけて逮捕する。

それを見たダニーは動揺し、ケーヒルに隠し事があるのかと問い詰められる

一方、ビリー・ジョーは、金の隠し場所を変えたことで、それをフレイジャーらに追求されるが、なんとか彼らから逃れることができる。

先を急いでいた、ケーヒルらの前に自警団が現れ、犯人の引渡しを要求するが、彼は強引にそれを突破する。

町に戻ったケーヒルは、ビリー・ジョーが病気だということを知り、下宿屋に向かい診察を待つ間、ダニーに自分の仕事への理解を求める。

医師から、ビリー・ジョーが軽い肺炎だと聞いたケーヒルは、彼を励まして保安官事務所に戻る。

その後ビリー・ジョーは、金の隠し場所を変えたために、フレイジャーらに襲われたことをダニーに知らせる。

暫くすると、フレイジャーがダニーとビリー・ジョーの前に現れ、二人は2週間以内に金を渡せと脅される。

その間、ケーヒルが捕まえた、銀行強盗殺人では無実の4人の処刑が近づいてくる。

数日後、ダニーは父ケーヒルには相談せずに、自分達の力でこの件を解決しようとする。

ライトフットに息子達を探らせたケーヒルは、金の隠し場所の墓場から、金を掘り起こした二人を捕まえようとするが、彼らに逃げられてしまう。

足を折ってしまったライトフットは、家に帰ると言い出すのだが、ケーヒルは強引に彼を息子達の追跡に同行させる。

フレイジャーとの約束の場所に着いたダニーは、自分達のせいで死刑になる4人のことを思い苦悩する。

息子達を追うケーヒルらだったが、ブラウニーの待ち伏せに遭いライトフットが銃撃されてしまう。

ライトフットはブラウニーに重傷を負わせるが、ケーヒルに家族のことを託し息を引き取る。

フレイジャーらに金を渡した兄弟は、帰り道でケーヒルに馬車を止められ、隠した分け前を掘り出すよう命ぜられる。

ケーヒルは、二人を囮にしてフレイジャーらを誘き出し、傷を負いながらも、ダニーの助けを借りて彼らを倒す。

そして、現金を取り戻したケーヒル一家は、親子の絆を確め、無実の4人の処刑を止めるために町に向かう。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
追跡していた犯人を逮捕して、久し振りに町に戻った連邦保安官のJ・D・ケーヒルは、銀行強盗があったことを知る。
ケーヒルは、息子のダニーが、悪党のフレイジャーと牢屋にいたことを気にしながら、彼を助手にして犯人の捜索に向かう。
ダニーは、自分達を置き去りして仕事を続ける父ケーヒルに反発して、フレイジャーらの犯行に弟のビリー・ジョーを巻き込み加担したのだった。
コマンチのライトフットを雇い同行させたケーヒルは、山中で大金を持つ4人組を見つけ、彼らを強引に逮捕してしまう。
その後ケーヒルは、ダニーが何かを隠していることを察しながら4人を町に連行する。
ダニーは、無実の罪で処刑されることになる4人組を見て苦悩する。
そして、奪った金の隠し場所を変えたビリー・ジョーとダニーに、フレイジャーの魔の手が迫る・・・。
__________

1970年代に入っても、西部劇に拘り出演し続けたことだけでも尊敬に値する、ジョン・ウェイン晩年の作品。

作品の雰囲気やロケが、ジョン・ウェイン主演の「勇気ある追跡」(1969)にやや似ているのは、エルマー・バーンスタインの音楽や、途中の挿入歌、または子供が重要な役割を果たすからだろう。

ジョン・フォード一家の欠かせない存在ヴィクター・マクラグレンを父に持ち、フォードに可愛がられた監督アンドリュー・V・マクラグレンにとっても1960年代の初めからコンビを組んだウェインとは最後の作品となった。

ウェインの、迫力や存在感を十分に生かす、彼のフォード仕込みの演出は見応え十分。

特に、銀行強盗の容疑者4人を連行して町に帰る途中、彼らをリンチにかけようとする数十人の自警団に対して、”寒さと空腹と疲れで気が短くなっている・・・どけ!、面倒だ!”と言い放ち、その連中を無視して立ち去っていく、強引さと迫力で他を圧倒するのシーンは、実にウェインらしい演出だ。

衣装やバンダナを何度も変えるウェインは、貫禄だけでなく、いつもながらコスチュームにこだわりを見せている。

A・V・マクラグレンを含め、まるでジョン・フォードへのオマージュのように、フォード一家を支えた二人、ハリー・ケリーJr.ハンク・ウォーデンの登場シーンを、短いながらも丁寧に撮っているところも注目だ。

作品の内容はどうあれ、ファンとしては彼らが出演するだけで嬉しい。

ウェインの敵役としては、このくらいの巨漢でなければ釣り合いがとれないとも言える、ウェイン作品「エルダー兄弟」(1965)でも悪役を演じたジョージ・ケネディも迫力では負けていない。

いつもは極悪人が良く似合うネヴィル・ブランドが、ウェインの相棒として好演していたのが印象的だ。

実際には60代半ばであるウェインの息子というより、孫のような息子役ゲイリー・グライムズとクレイ・オブライエンも、なかなか奮闘している。

ウェイン作品では、子供と交流する作品が多く、熊のような巨漢のウェインと、小さな子供が意外に絵になり、厳しく育てる場面を取り入れながら、作品に和やかなムードを漂わせる、子役の使い方が実にうまい。

下宿屋の女主人マリー・ウィンザー、悪党一味のダン・ヴァディスモーガン・ポール、殺される保安官ウォルター・バーンズ、捕らえられる4人組の老人ポール・フィックス、主人公に馬を売る農夫のローヤル・ダーノチャップリンの「キッド」(1921)の少年役ジャッキー・クーガンも出演している。


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