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キャバレー Cabaret (1972)

1946年に発表されたクリストファー・イシャーウッドの小説”The Berlin Stories”を基にした1951年のジョン・ヴァン・ドルーテンブロードウェイの戯曲”I Am a Camera”のミュージカル”キャバレー”(1966)の映画化。
監督ボブ・フォッシー、主演ライザ・ミネリマイケル・ヨークヘルムート・グリームジョエル・グレイマリサ・ベレンソン他共演。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(ミュージカル)


スタッフ キャスト ■
監督:ボブ・フォッシー

製作:サイ・フュアー
戯曲
ジョー・マスターロフ

ジョン・ヴァン・ドルーテンI Am a Camera
脚本:ジェイ・プレッソン・アレン

撮影:ジェフリー・アンスワース
編集:デイヴィッド・ブレザートン
美術・装置
ロルフ・ゼヘトバウアー

ハンス・ユルゲン・カイバック
ハーバート・ストラベル
音楽
ジョン・カンダー

ラルフ・バーンズ
フレッド・エッブ

出演
サリー・ボウルズ:ライザ・ミネリ

ブライアン・ロバーツ:マイケル・ヨーク
マクシミリアン・フォン・ヒューン:ヘルムート・グリーム
MC/司会:ジョエル・グレイ
ナタリア・ランダワー:マリサ・ベレンソン
フリッツ・ベンデル:フリッツ・ヴェッパー
ボビー:ゲルト・ヴェスパーマン

アメリカ 映画
配給 Allied Artists

1972年製作 123分
公開
北米:1972年2月13日
日本:1972年8月5日
製作費 $6,000,000
北米興行収入 $42,765,000


アカデミー賞 ■
第45回アカデミー賞

・受賞
監督
主演女優(ライザ・ミネリ
助演男優(ジョエル・グレイ
撮影・編集・録音・音楽・美術賞
・ノミネート
作品・脚色賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
1931年、ベルリン
今晩も大盛況の”キット・カット・クラブ”では、MC/司会(ジョエル・グレイ)が、見事な語り口でショーを始める。

ロンドンから来た語学生のブライアン・ロバーツ(マイケル・ヨーク)は、ベルリンに到着して部屋探しを始める。

ある下宿を訪れたブライアンは、そこに住みクラブに出演するアメリカ人歌手サリー・ボウルズ(ライザ・ミネリ)と知り合う。

奔放なサリーが気に入ったブライアンは、その下宿に済むことになり、彼女のクラブにも通うようになる。

ある日ブライアンは、クラブで、サリーの友人のフリッツ・ベンデル(フリッツ・ヴェッパー)を紹介され、彼に英語を教えることになる。
...全てを見る(結末あり)

その後、サリーとブライアンは、ナチスが台頭する街中で、それに目もくれず楽しい時を過ごす。

やがて、奥手のブライアンにサリーは迫るのだが、彼が女性との親密な関係に興味ないことが分かる。

それを理解したサリーは、ブライアンとは友達でいることにする。

数日後、デパート王の娘ナタリア・ランダワー(マリサ・ベレンソン)が、ブライアンの新しい生徒になる。

富豪令嬢に興味を持ったフリッツと、外出から戻ったサリーがナタリアを迎える。

しかし、ブライアンとフリッツは、ナタリアの美しさに驚き動揺してしまう。

フリッツは、たちまちナタリアに恋をしてしまい、父親のことでサリーを慰めたブライアンは、彼女と愛し合う気持ちになる。

ある日、ナタリアに呼ばれたサリーは、彼女にフリッツから求婚されたという相談を受ける。

ユダヤ人のナタリアは、クリスチャンで財産目当てかもしれないフリッツを、受け入れるべきか否か、苦悩していることをサリーに告げる。

そんな時サリーは、街角でマクシミリアン・フォン・ヒューン男爵(ヘルムート・グリーム)に出会う。

マクシミリアンとの関係が、スターへの近道と考えたサリーは、彼と親交を深め、ブライアンはそれを気にする。

そして、サリーとブライアンは、マクシミリアンの屋敷に招待され楽しい時間を過ごし、足を伸ばし、田舎のビアガーデンに立ち寄る。

三人は、ヒトラーユーゲントの少年が歌う”TomorrowBelongs To Me”が、客達を含めた大合唱になったのを嫌いその場を立ち去る。

一方、ナタリアに結婚を迫るフリッツだったが、ドイツの国内状況と宗教の違いを理由に、彼女はそれを拒んでしまう。

その後、男爵夫人になる可能性も考えられるという、サリーの子供じみた考えをブライアンは戒める。

サリーは、ブライアンが自分とマクシミリアンのことで妬んでいると思い込む。

そして、マクシミリアンと関係を持ったと言うサリーに、自分も彼と愛し合ったことをブライアンは告白する。

下宿を飛び出したブライアンは、街頭でビラ配りするナチス党員に八つ当たりするが、逆に痛めつけられてしまう。

ブライアンを介抱するサリーは、仕事でアルゼンチンに向かったという、マクシミリアンからの別れの手紙と現金が送られてきたことを彼に伝える。

しばらくして、サリーが妊娠したことが分かり、子供は育てられないという彼女だったが、多分ブライアンの子だということで二人はそれを祝う。

数日後、レッスンに現れたフリッツは、ブライアンからナタリアのことについて聞かれ、自分が実はユダヤ人だと伝える。

ベルリンで暮し易いように、プロテスタントに成りすましていたフリッツは、ユダヤ人であるナタリアを愛してしまい、それを告白し、ナチスに迫害されることを考え苦悩する。

そして、ブライアンの助言を受けたフリッツは、ナタリアに自分がユダヤ人であることを伝え、その後、二人は結婚することになる。

その後、サリーは中絶してしまい、それを責めるブライアンだったが、女優になる夢を捨てきれない彼女は、主婦にはなれないことを彼に告げる。

それを理解したブライアンは、ベルリンを去る決心をしてサリーと駅で別れる。

そして、MCに紹介された”キット・カット・クラブ”のスター、サリー・ボウルスは、ステージに上がりパフォーマンスを披露する。

サリーのステージの後、MCは、その日のショーの終わりを告げる。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
1931年、ベルリンのクラブに出演するアメリカ人歌手サリー・ボウルズは、同じ下宿に住むイギリス人語学生ブライアンとの親交を深める。
スターを夢見る奔放なサリーに興味を持つブライアンだったが、彼は女性との恋に興味を示さずに、彼女の愛を受け入れられない。
その後二人は、友達でいることで合意し、ブライアンはサリーの親友フリッツや富豪令嬢ナタリアに英語を教えることになる。
ナチスが台頭する中、それを気にもせず愛も芽生えたブライアンとサリーの前に、男爵マクシミリアンが現れ、彼は二人の関係に深くかかわってくる・・・。
__________

振付師ボブ・フォッシーが、監督デビュー作「スイート・チャリティー」(1968)に続き演出した、ナチズム台頭時期のベルリンを舞台に、その退廃的な世界観を描いた、ミュージカル・ドラマの秀作。

規律を遵守する、統制の象徴のように描写されているナチス党員と、道徳的観念を排除したかのように見えるクラブのショーの対比で、そのステージでは進行するドラマのキーポイントをパフォーマンスで強調して描写し、そして強烈な皮肉として映し出す、凄まじい表現力の豊かさに圧倒される。

1995年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品。

第45回アカデミー賞では10部門にノミネートされ、圧倒的な支持を得た「ゴッドファーザー」をも凌ぐ評価を受けて、監督、主演女優(ライザ・ミネリ)、助演男優(ジョエル・グレイ)、撮影、編集、録音、音楽、美術賞等8部門で受賞した。
・ノミネート
作品・脚色賞

ヴィンセント・ミネリ、母ジュディ・ガーランドの娘というサラブレッドとしての七光りに頼らず、苦難の生活も体験し、自らの手で栄光を掴んだライザ・ミネリのダイナミックな演技とパフォーマンスは出色だ。

ミュージカル”キャバレー”のオリジナル・キャストであり、トニー賞も受賞したジョエル・グレイの、メリハリの利いた身のこなし、本筋には関係しない、ステージの主役と言っていい彼の怪演も見ものだ。

バイ・セクシャルの語学生を淡々と演ずるマイケル・ヨークユダヤ人としての身を隠しつつ、同胞を愛してしまう皮肉に苦悩するヘルムート・グリーム、結局は彼と結ばれる富豪令嬢のマリサ・ベレンソン、男爵フリッツ・ヴェッパーなどが共演している。


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