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バス停留所 Bus Stop (1956)

ウィリアム・インジの2つの舞台劇”People in the Wind ”と”Bus Stop”をカンサス州のトンガノクシーの人々に会った際の彼の体験談を基に脚色して映画化された作品。
そのウィリアム・インジと前年「ピクニック」で組んだ、監督ジョシュア・ローガンの意欲作。
酒場の女と無鉄砲な田舎育ちの青年の恋を描く、主演のマリリン・モンローの演技が高く評価された、ドン・マレーアーサー・オコンネルベティ・フィールド共演の恋愛ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(ロマンス)

マリリン・モンロー / Marilyn Monro / Pinterest


スタッフ キャスト ■
監督:ジョシュア・ローガン

製作:バディ・アドラー
原作:ウィリアム・インジ
脚本:ジョージ・アクセルロッド
撮影:ミルトン・クラスナー

編集:ウィリアム・H・レイノルズ
音楽:アルフレッド・ニューマン

出演
マリリン・モンロー:シェリー
ドン・マレー:ボーデガード”ボー”デッカー
アーサー・オコンネル:ヴァージル・ブレッシング
ベティ・フィールド:グレース
ロバート・ブレイ:カール
アイリーン・ヘッカート:ヴェラ
ホープ・ラング:エルマ・ダックワース

アメリカ 映画
配給 20世紀FOX
1956年製作 94分
公開
北米:1956年8月31日
日本:1956年11月21日


アカデミー賞 ■
第29回アカデミー賞

・ノミネート
助演男優賞(ドン・マレー


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
モンタナ
牧場で育ったボーデガード”ボー”デッカー(ドン・マレー)は、21歳になるまで住んでいる土地から一歩も出たことがない田舎者だった。

ボーは、アリゾナフェニックスで行なわれるロデオ大会に参加するため、相棒のヴァージル・ブレッシング(アーサー・オコンネル)と、生まれて初めて旅に出ることになる。

ヴァージルに、そろそろ”女”を手に入れろと発破を掛けられながら、ボーは乗合バスに乗りフェニックスに向かう。

ボーは、自分だけの”エンジェル(天使)”を、野生馬をねじ伏せるように捕まえてみせると、ヴァージルに自信を示すのだが、現実を見て学べと助言される。
...全てを見る(結末あり)

翌朝、乗客への迷惑や礼儀も無視して、早くからバスの中で騒ぐボーは、運転手のカール(ロバート・ブレイ)に注意される。

そして一行は、グレース(ベティ・フィールド)のバス停留所兼レストランに立ち寄る。

ボーは、生肉のハンバーガー3個を平らげ、牛乳を瓶ごと1本飲み干して、またもや礼儀知らずな暴言を吐きながらバスを出発させようとする。

グレースはボーに噛み付くが、彼女に心を惹かれたヴァージルが謝罪する。

同じくグレースに惹かれるカールは、ヴァージルの行動を気にしながらバスを出発させる。

バスに乗った、若い女性のエルマ・ダックワース(ホープ・ラング)に目を付けたヴァージルは、ボーに彼女を薦める。

しかし、ボーは彼女のような普通の女性では不足だった。

フェニックスに着いたボーとヴァージルは、ホテルに部屋を取り、向かいの酒場”ブルー・ドラゴン”に繰り出そうとする。

酒場の歌手シェリー(マリリン・モンロー)は、無理矢理に接客までさせられていることを、同僚のウエイトレス、ヴェラ(アイリーン・ヘッカート)に嘆いていた。

そんなシェリーは、ハリウッドで映画に出ることを夢見ていることをヴェラに語る。

店に出たシェリーは、一目で田舎者と分かるヴァージルを、カモにするために彼の席に着く。

しかしヴァージルは、シェリーが酒と偽りお茶を飲んでいることのに気づき憤慨する。

シェリーはステージに呼ばれてショーを始め、そこにボーが現れる。

ボーは、一目でシェリーが気に入り、”エンジェル”を見つけたとヴァージルに告げる。

シェリーの歌を聞かない客達を黙らせたボーは、彼女にショーを続けさせて酒場は歓声に揺れる。

ステージを降りたシェリーを捕まえたボーは、自己紹介を始め、時間がないと言って彼女を外に連れ出す。

シェリーを”チェリー”と呼び強引に口説いたボーは、結婚を決めたことをヴァージルに告げる。
もちろんシェリーは、それを承知していないのだが、そんなことはお構いなしに、ボーは寝る時間だと言ってホテルに帰ろうとする。

驚いたヴァージルは、シェリーが自分を騙したことをボーに知らせるが、無鉄砲な彼は聞く耳を持たない。

翌朝、ロデオの準備を済ませたボーは、シェリーの元に向かい、彼女をたたき起こす。

絶対にボーとは結婚しないというシェリーに、ボーは”知性を感じさせる男”の証としてリンカーンの演説を語り始める。

ボーとシェリーはロデオのパレードに向かい、彼女は会場でヴェラと出くわし、仕方なくボーのロデオを見学することになる。

競技で大活躍するボーは興奮するが、シェリーは婚姻届にサインしてしまったことをヴェラに話す。

さらにシェリーは、プレゼントされた指輪に加え、ボーが婚約指輪まで買ったことをヴェラに伝える。

そんな時、会場にいた雑誌”ライフ”の記者は、連勝を続けるボーが声を掛けるシェリーに目をつける。

しかし、それを意識したシェリーは口紅を落とし、顔を売るチャンスを逃してしまう。

そしてシェリーは、ボーが本気で会場で結婚式を挙げようとしていることを知り、その場から逃げ出してしまう。

ボーはシェリーを捜すが、ヴァージルが彼女を見つけ出すという約束で、ボーは決勝の競技に戻る。

酒場でシェリーを見つけたヴァージルは、一応ボーに会い、適当にあしらって逃げるよう助言する。

その後、賞金4000ドルを手にしたボーが現れ、シェリーをモンタナに連れて行こうとする。

シェリーは段取り通り楽屋に逃げ込もうとするが、ボーに嘘がつけず、結婚せずにモンタナにも行かないことを彼に告げる。

シェリーの言葉はボーには通じず、彼はシェリーの衣装を破ってしまう。

憤慨したシェリーは、ボーに嫌気が差し楽屋に逃げ込み、ヴェラに別れを告げてバスに乗り、ロサンゼルスに向かおうとする。

しかし、結局シェリーはボーに捕まり、モンタナ行きのバスに乗せられてしまう。
シェリーは、バスに乗り合わせたエルマに逃亡の手助けを求めるが、バスは、グレースの店の入り口で積雪のため立ち往生してしまう。

ボーが眠っていたため、シェリーとエルマはグレースの店に逃げ込むが、道路閉鎖のため、乗客は店で一晩過ごすことになる。

バスに置き去りにされていたボーは、シェリーを見つけてがなり立てる。

それを見た運転手のカールが、ボーの態度を非難するが、彼は尚もカバンを持っていたシェリーを追求する。

ボーのしつこさに我慢ならないカールは、二人の間に入ろうとする。

シェリーが、結婚しないと言っても聞き入れないボーは、彼女を担ぎ上げて、吹雪の中、牧師の元に向かおうとする。

ヴァージルはボーを痛烈に非難し、カールは力ずくでそれを制止しようとする。

ボーとカールは外で殴り合いとなり、若い頃、レスリングで鍛えたカールがボーを叩きのめす。

プライドを傷つけられたボーは、シェリーを追い払った後、カールに負けを認める。

翌朝、ボーはヴァージルに説得されて、今までの無礼をグレースやエルマに謝罪する。

カールは眠っていたため、ボーは勇気をだしてシェリーにも謝罪して別れを告げる。

道路が開通したという連絡が入り、起こされたカールは、出発の準備を始める。

シェリーは落胆するボーに歩み寄り、自分が、彼が思っているような女でないことを、ボーも女のことは知らないということを、お互い正直に伝え合うる。

準備を終えたカールは、ボーとわだかまりを捨てた握手を交わす。

ボーは、その場に残るはずのシェリーに、別れのキスをする許しを請い、彼女はそれを了承する。

そしてボーは、心を込めてシェリーにキスをする。

その後ボーは、シェリーと意外にうまくいくかもしれないとヴァージルに助言され、もう一度、誠意を持って彼女に求婚する。

シェリーはボーの優しい言葉に、初めて心から愛されたことを実感し、彼の求婚を受け入れる。

夢見心地のボーは、ハリウッド行きのために用意していた地図を捨てたシェリーを連れてバスに向かう。

ヴァージルは、ボーと別れることを決意し、二人を見送ろうとする。

ボーはヴァージルを連れて行こうとするが、シェリーに説得され、彼に別れを告げる。

そしてボーは、シェリーに気配りを見せながら優しく接し、バスに乗りモンタナへと向かう。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
モンタナの牧場からロデオ大会出場のため、生まれて初めて旅に出た、破天荒な青年ボーは、気のいい相棒のヴァージルとフェニックスへ向かう。
そろそろ女を見つけろと、ヴァージルに助言されたボーは、フェニックスの酒場で、歌手シェリーに一目惚れしてしまう。
礼儀知らずで一本気なボーは、シェリーの同意を得ずに結婚を決め、彼女をモンタナに連れて行こうとする。
しかし、女心などを気にせず、強引に事を進めるボーを見て、ヴァージルや周囲がストップをかける。
失意の内にシェリーを諦めたボーだったが、誠意を見せた彼の気持ちが、彼女にも伝わり始める・・・。
__________

世間知らずの田舎者の荒くれ男と節度のある相棒、酒場の売れない歌手に、気の強いレストランの女主人、正義感のあるバスの運転手や地味な女性など、多くの魅力ある登場人物を、見事に使い分けて個性を生かす、ジョシュア・ローガンの演出は、正に舞台出身監督らしい技量が窺える。

第29回アカデミー賞では、ドン・マレーが助演男優賞にノミネートされた。

テンポの良い、アルフレッド・ニューマンの音楽も軽快で心地よい。

演技に目覚め、アクターズスタジオで修行を積んだマリリン・モンローの熱演は出色だ。

既に精神の安定を欠き、トラブル続きの彼女だったが、本作の演技は批評家にも絶賛された。

演技はもとより、その愛くるしい表情は、信じ難い程の美しさだ。

デビュー作にしてアカデミー助演賞候補にもなり、とてつもない能天気な男を演じたドン・マレーの愛すべきキャラクターは、呆れ果てるほどでもあるが、実にアメリカ人らしく痛快だ。

朝食に、生肉のハンバーガー3個食べて、2Lはありそうな牛乳を一気飲みするシーンが特に印象的だ。

相棒アーサー・オコンネルも、息子のような相棒の行き過ぎを制御する役を好演している。

ドン・マレーの役が強烈過ぎる中で、一息つかせてくれるバス停留所の女主人ベティ・フィールドと地味なホープ・ラング、また良識ある頼もしいバスの運転手ロバート・ブレイもなかなかいい味を出している。

同じ年の「傷だらけの栄光」(1956)で、シリアスな演技を見せてくれた、アイリーン・ヘッカートが、モンローの同僚の役をユーモラスに演じているのも注目だ。


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