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ブリット Bullitt (1968)

ある事件の証人の警護を任された刑事の執念の捜査を描く、監督ピーター・イェーツ、主演スティーブ・マックィーンロバート・ヴォーンジャクリーン・ビセットロバート・デュヴァル他共演による犯罪サスペンス・ドラマの秀作。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(サスペンス/犯罪)

スティーヴ・マックイーン / Steve McQueen 作品一覧
スティーヴ・マックイーン / Steve McQueen / Pinterest


スタッフ キャスト
監督:ピーター・イェーツ
製作総指揮:ロバート・E・レリア
製作:フィリップ・ダントーニ
原作:ロバート・L・パイク
脚本
アラン・トラストマン
ハリー・クライナー
撮影:ウィリアム・A・フレイカー
編集:フランク・P・ケラー
音楽:ラロ・シフリン

出演
フランク・ブリット:スティーブ・マックィーン
ウォルター・チャルマース上院議員:ロバート・ヴォーン
キャシー:ジャクリーン・ビセット
デルゲッティ:ドン・ゴードン
ワイズバーグ:ロバート・デュヴァル
サム・ベネット警部:サイモン・オークランド
ベイカー警部:ノーマン・フェル
ウィラード医師:ジョーグ・スタンフォード・ブラウン
アルバート・レニック:フェリチェ・オーランディ
ジョニー・ロス:パット・レネラ
カール・スタントン:カール・リンデル
マイク:ポール・ジェンジ
フィル:ビル・ヒックマン
エディ:ジャスティン・タール

アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ
1968年製作 113分
公開
北米:1968年10月17日
日本:1968年12月28日
製作費 $5,500,000


アカデミー賞
第41回アカデミー賞

・受賞
編集賞
・ノミネート
録音賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
シカゴ

ある夜、組織の金を奪ったジョニー・ロス(パット・レネラ)は、逃亡する。

サンフランシスコ
タクシーで移動するロスに扮する男アルバート・レニック(フェリチェ・オーランディ)は、ホテルに向かうようドライバーのワイズバーグ(ロバート・デュヴァル)に指示して車を止めさせる。

ホテルのフロントに向かい、ロス宛ての手紙があるか確認したレニックは、自分を印象付ける。

タクシーに戻ったレニックからチップを受け取ったボーイは、彼の情報を電話で伝える。

行動する指示のメモをチェックするレニックは、車を止めさせて、ウォルター・チャルマース上院議員(ロバート・ヴォーン)に電話をする。

サンフランシスコ市警のフランク・ブリット警部補(スティーブ・マックィーン)は、相棒のデルゲッティ(ドン・ゴードン)に起こされ、彼と共にチャルマースの元に向かう。
...全てを見る(結末あり)

チャルマースは、月曜に開かれる小委員会の証人である、シカゴの組織員ジョニー・ロスの警護をブリットに依頼する。

ロス(レニック)が滞在するホテルに向かったブリットは、デルゲッティとカール・スタントン(カール・リンデル)と共に、交代で40時間の警護を始める。

その後、建築家である恋人のキャシー(ジャクリーン・ビセット)を迎えに行き、友人らと共に食事をするためレストランに向かったブリットは、最初の警護をするデルゲッティに電話をして居場所を知らせる。

アパートに戻りキャシーと眠ろうとしたブリットは、スタントンと交代するデルゲッティからの連絡を受ける。

キャシーから仕事のことを訊かれても何も話さないブリットは、彼女と愛し合おうとする。

チャルマースと友人が来たという連絡を受けたスタントンは、ブリットに電話をしてそれを伝える。

夜中の1時だということで不審に思ったブリットは、直ぐ向かうことをスタントンに伝えて、誰も入れるなと指示する。

ドアの近くにいたロスに離れていろと伝えたスタントンは、チェーンが外されていることに気づく。

次の瞬間、殺し屋のマイク(ポール・ジェンジ)に脚を撃たれたスタントンは、もう一人のフィル(ビル・ヒックマン)に蹴られて意識を失い、ロスも銃撃される。

現場に駆け付けたブリットはデルゲッティから状況を知らされ、病院に運ばれるロスに付いて行くよう指示する。

その様子を監視していたマイクとフィルは、救急車を追う。

無事だったスタントンが運び込まれた救急車に乗り込んだブリットは、襲撃の様子を訊く。

殺し屋二人の人相や武器などを話したスタントンは、ロスがドアのチェーンを外し、誰かを待っていたこともブリットに伝える。

病院の治療室に運ばれたスタントンが心配ないことを確認したブリットは、一命を取り留めたもののロスが助かるか分からないとデルゲッティから知らされる。

ロスの治療を見守ったブリットは、担当医のウィラード医師(ジョーグ・スタンフォード・ブラウン)から状況を聞く。

治療を受けたスタントンには、妻が付き添っていた。

上司のサム・ベネット警部(サイモン・オークランド)が到着し、ブリットは、経過を説明しする。

ブリットは、ロスが自分でチェーンを外し殺し屋を部屋に入れたことを疑問に思うベネットから、今回の件を知ったチャルマースが不満を抱いていると言われる。

最善を尽くすようにとベネットから指示されたブリットは、援護はすると言われる。

その後、病院に現れたチャルマースから説明を求められたブリットは、誰に居場所を教えたかを尋ねる。

犯人がチャルマースを名乗ったと伝えたブリットは、誰かが情報を漏らしたはずであり、警察ではないと伝える。

ブリットは、権力を利用して圧力をかけてくるチャルマースに対して憤りを感じる。

責任者を呼んだチャルマースは、ウィラードが経験不足であるため自分が医師を推薦することを婦長に伝えてその場を去る。

病院に現れた殺し屋のマイクは、集中治療室のロスの元に向かう。

不審者の連絡を受けたブリットは、人相が犯人の一人であることを確認し、デルゲッティにそれを伝えて警戒する。

非常階段で看護師に見つかったマイクは逃亡し、ブリットは彼を追うものの見失う。

その後、様態が急変したロスは死亡し、ブリットは、ウィラードの協力でロスの死を誰にも知られないようにして、デルゲッティと共に遺体を病院から運び出し遺体安置所に向かう。

翌日、病院に向かったチャルマースは重体のはずのロスが姿を消したことを知り、ブリットを疑った彼は、それを同行したベイカー警部(ノーマン・フェル)に伝える。

ブリットと連絡が取れたチャルマースは、ロスを匿っていることを知らされるが、何も話さないためにベイカーと電話を代わる。

電話を切ってしまったブリットを処分するよう、チャルマースはベイカーに指示する。

朝食を用意してくれたキャシーに感謝したブリットは、事件現場のホテルに向かい部屋を調べる。

デルゲッティと捜査を始めたブリットは、タクシー・ドラーバーのワイズバーグの情報を得て彼に接触する。

ロス(レニック)を乗せたワイズバーグに、その際の行き先を順番に回らせたブリットは、情報屋のエディ(ジャスティン・タール)に連絡してロスのことを調べさせる。

マイクとフィルは、ブリットを監視していた。

ベネットに会ったチャルマースは、ブリットの処分を迫る。

今回の件はブリットに一任し部下を信頼すると言うベネットに人身保護令状を渡したチャルマースは、ロスの引き渡しを要求する。

エディに会ったブリットは、ロスが組織の約200万ドルを横領したため、命を狙われていることを知る。

ロスの逃亡を警戒して、組織は港や空港を見張っているということだった。

エディに感謝したブリットは、逮捕された友人を釈放することを約束する。

その後、ワイズバーグのタクシーを降りたブリットは、不審な”ダッジ・チャージャー”(R/T440 Magnum)に気づき、愛車(フォード・マスタング/390CID Fastback)に乗り警戒する。

尾行されたブリットは、”チャージャー”の背後に回り込み、運転するフィルとマイクを追う。

逃走する二人を追うブリットは、市街から郊外に抜けて彼らを追い詰める。

並走して車体をぶつけたブリットは、発砲するマイクの銃弾を避ける。

再びぶつけられた”チャージャー”は弾き飛ばされ、ハンドルを誤り猛スピードのままガソリンスタンドに突っ込み、マイクとフィルは爆死する。

ベネットとベイカーに呼ばれ、デルゲッティと共に署に向かったブリットは、今回の件を追及されたため、ロスが死んだことを二人に伝える。

事故で爆死した二人も無関係かもしれないとベイカーから言われたブリットは、彼らがロスを襲った犯人だと断言する。

手がかりであると言うブリットは、ロスが電話をした女性”ドロシー・シモンズ”に会う許可をベネットから得て、キャシーの車(ポルシェ・356)で彼女と共にサンマテオ近郊に向かう。

ホテルに着いたブリットは、キャシーを車で待たせてドロシーの部屋に向かう。

暫くすると、ロスが部屋から逃げる。

パトカーが現れたため、ブリットのことを心配したキャシーは部屋に向かい、ドロシーの死体を見てしまう。

動揺するキャシーに気づいたブリットは、彼女を連れだして車でその場を離れる。

ブリットが停車させた車から降りたキャッシーは、暴力と死の隣り合わせで生きる彼に疑問を投げかける。

避けられないことだと言うブリットに、生きる世界が違うと伝えたキャシーは、将来のことを尋ねる。

ブリットは、今から始まると答えるしかなかった。

ドロシーの荷物を調べたブリットとデルゲッティは、殺された彼女が”アルバート・レニック”という男の妻だということを知る。

現れたチャルマースを無視してレニックの写真を入手したブリットは、殺された男がレニックでロスの替え玉だったことが分かる。

セールスマンだったレニックをチャルマースが警護させたことを、彼そしてベネットとベイカーに話したブリットは、ロスが、高飛びするつもりだということに気づき、デルゲッティと共に”サンフランシスコ国際空港”に向かう。

ブリットとデルゲッティは、ロスの目的地のローマ行きの搭乗ゲートに向かうものの、彼が現れないために直前に行き先を変更したことを知る。

ロスの乗る旅客機を監視するブリットは、その場に現れ、委員会の喚問に拘るチャルマースを相手にせず彼を追い払う。

ロスの搭乗した機を一時待機させたブリットは、機内に向かいロスを確認する。

ブリットは、自分に気づき機体から飛び降りて滑走路に逃げたロスを追う。

土手に隠れながらブリットに発砲し、滑走路から空港ターミナルに向かったロスは、チケットの確認を求められて動揺し、出口にいた警備員を銃撃する。

ロスを追い詰めたブリットは、尚も抵抗して発砲しようとする彼を射殺する。

人々が混乱する中、ロスの死を確認したブリットは、死体にジャケットをかける。

証人を失ったことを確認したチャルマースは、空港を後にする。

キャッシーの待つアパートに帰ったブリットは、眠っている彼女の様子を見ながら、警察官としての生き方を考える。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
組織犯罪に打撃を与えようとする野心家の上院議員チャルマースは、組織の金を奪い裏切ったロスを委員会の証人にしようとする。
そのため、ロスをサンフランシスコに呼び寄せたチャルマースは、市警のフランク・ブリット警部補にロスの警護を依頼する。
しかし、ロスは殺し屋に襲われて死亡し、捜査を始めたブリットも命を狙われる身となる。
権力を振りかざすチャルマースに従うことを拒むブリットは、独自の方法で捜査を続け、やがてロスの替玉を使った陰謀を暴くのだが・・・。
__________

1963年に発表された、ロバート・L・パイクの小説”Mute Witness”を基に、アラン・トラストマンハリー・クライナーが脚色して製作された作品。

30代後半を迎え、人気実力共にハリウッドの頂点に近づきつつあったスティーブ・マックィーンの快心作。

イギリス出身のピーター・イェーツのシャープで無駄のない演出と、マックィーンの魅力が見事に生かされた、犯罪サスペンス・アクションの傑作。

2007年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。

第41回アカデミー賞では、編集賞を受賞した。
・ノミネート
録音賞

なんと言っても、レーサーでもあるマックィーンピーター・イェーツが組んだカーチェイスシーンは、本作がその先駆けとなり、以後のカーアクションに大きな影響を与えた。

マックィーンの1968年型フォード・マスタング390CID Fastback、対する殺し屋の同年型ダッジ・チャージャーR/T440 Magnumの追跡シーンは、さすがにプロのこだわりが感じられ、映画史上に残る名場面となった。

サンフランシスコの坂道を効果的に使ったこの追跡シーンは、劇場で観た方なら体験しただろうが、画面に見入っていると気分が悪くなってしまうほどだ。

聞き惚れてしまう、ラロ・シフリンの粋なテーマ曲も素晴らしい。

どちらかといえば田舎臭いマックィーンなのだが、嫌味のないクールな魅力が男の目から見てもたまらない。
トレードマークとなった、タートルネックのセーターとジャケットが当時流行った。

マックィーンのアップが非常に多い作品で、苦労人を感じさせる表情と大きなブルーの目の鋭い眼差しは、世界の数億人を魅了できる。
それがスターの証なのだろう。

上院議員としての人気の維持と権力欲に固執するロバート・ヴォーンも好演している。

殺人や暴力と向かい合う恋人ブリットの生き方に次第に疑問を抱くものの、結局は彼から離れられない建築家のジャクリーン・ビセットの、洗練された美しさも際立つ。

パピヨン」(1973)や「タワーリング・インフェルノ」(1974)など、マックィーン作品には度々登場する同僚刑事のドン・ゴードン、部下ブリットを信頼する警部サイモン・オークランドと、上院議員寄りの上司ノーマン・フェル、タクシー・ドライバー役で、まだ脇役のロバート・デュヴァル、ブリットに協力する医師ジョーグ・スタンフォード・ブラウン、証人ロスの替玉フェリチェ・オーランディシカゴの組織員で逃亡を図るパット・レネラ、襲撃されるブリットの同僚カール・リンデル、殺し屋の二人ポール・ジェンジビル・ヒックマン、情報屋のジャスティン・タールなどが共演している。


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