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BUG/バグ Bug (2006)

1996年に初演された、トレイシー・レッツの舞台劇”Bug”を基に製作された作品。
元夫から逃れて暮らす女性と体内に虫を埋め込まれたと思い込む男性の異常な体験を描く、監督ウィリアム・フリードキン、主演アシュレイ・ジャッドマイケル・シャノンリン・コリンズハリー・コニックJr.ブライアン・F・オバーン他共演のホラー。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


スリラー/ホラー


スタッフ キャスト
監督:ウィリアム・フリードキン
製作
ホリー・ウィーアズマ
キンバリー・C・アンダーソン
マルコム・ペタル
ゲイリー・ハッカベイ
マイケル・バーンズ
アンドレアス・シャルト
製作総指揮
マイケル・オホーヴェン
ジム・セイベル
原作:”Bugトレイシー・レッツ(戯曲)
脚本:トレイシー・レッツ
撮影:マイケル・グレイディ
編集:ダーリン・ナヴァロ
音楽:ブライアン・タイラー

出演
アグネス・ホワイト:アシュレイ・ジャッド
ピーター・エヴァンス:マイケル・シャノン
R.C.:リン・コリンズ
ジェリー・ゴス:ハリー・コニックJr.
スウィート医師:ブライアン・F・オバーン

アメリカ 映画
配給 ライオンズゲート
2006年製作 102分
公開
北米:2007年5月25日
日本:2008年7月5日
製作費 $4,000,000
北米興行収入 $7,025,800
世界 $8,095,660


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
ある部屋に死体が横たわる。
__________

オクラホマ州。
田舎町の安モーテルで暮らす、ゲイバーのウェイトレス、アグネス・ホワイト(アシュレイ・ジャッド)は、何度もかかってくる無言電話にウンザリしていた。

出所したはずの暴力的な元夫ジェリー・ゴス(ハリー・コニックJr.)からの電話だと思い、アグネスは怯える日々を送っていた。

買い物に出かけたアグネスは、失踪した息子ロイドのことを考える。

ある夜アグネスは、バーの同僚でレズビアンのR.C.(リン・コリンズ)が連れて来た、元兵士だと言う流れ者のピーター・エヴァンス(マイケル・シャノン)を紹介される。

ドラッグと酒を楽しんだアグネスは、無口なピーターを気にしながら、R.C.にジェリーの電話のことを話す。

用事ができたR.C.は帰り、去ろうとするピーターと話をしたアグネスは、女は苦手で興味がないと言う彼と過ごすことにする。
...全てを見る(結末あり)

虫の声が聴こえたピーターは気になり、コオロギだと言うアグネスとそれを探す。

壊れた火災報知機の中に虫がいることに気づいたアグネスは、それを外したピーターから、放射性物質が含まれているので処分を任せる。

帰ると言うピーターを引き止めたアグネスは、ソファで眠ることになった彼が、歯痛で苦しむのを気の毒に思う。

夜中に目覚めたピーターは、床で眠ることをアグネスに伝える。

翌朝、目覚めたアグネスは、ジェリーがシャワーを浴びていたために驚く。

用事でよその町に行き戻ってくると言うジェリーは、自分を裏切り怒らせるようなマネはするなとアグネスに伝える。

アグネスから電話のことを訊かれるものの、自分ではないと答えたジェリーは、部屋にいた男(ピーター)の話しをして苛立つ。

やり直す気のあるジェリーに、ロイドの話をしたアグネスは殴られ、態度を改めるようにと言われ、従うしかなかった。

ピーターが戻り、名を名乗ったジェリーは、アグネスのバッグから金を持ち出す。

直ぐに戻るとアグネスに伝えたジェリーは、ピーターを威嚇してその場を去る。

アグネスを気遣うピーターは家族の話を聞き、子供はいないことを知り、ジェリーが戻ってくることを知り対策を考えようとする。

親しくしてくれるものの、自分を疑っている様子のアグネスに、眼力があると言うピーターは、子供のことでウソをついたと伝える。

ウソではなく、今はいないと言うアグネスは、10年前にスーパーにいた時にいなくなった、6歳の息子ロイドのことを話す。

数年前に捜すのをやめたが、夢の中では捜し続けていると言うアグネスは、夜が怖いので今晩も泊まってほしいとピーターに伝える。

ピーターから、長い間、女とは寝ていないが自分とは寝たいと言われたアグネスは、彼をベッドに誘い愛し合う。

その後、眠っていたピーターは、虫に噛まれたと言って探し始め、アグネスは、虫のことを語り教養を感じさせる彼の話に興味を持つ。

そこに電話がかかり、アグネスからジェリーだと言われて出たピーターは、彼ではないと思いながら受話器を置く。

再び虫を見つけたピーターは駆除する気になり、自分は追われていると言ってもアグネスが信じないために、気分を害して出て行く。

独りになりたくないアグネスは苛立ち、戻って来たピーターは、軍で問題を起こしたと言って、シリアの砂漠に派遣された時のことを話し始める。

医師に薬を投与されて幻覚症状が現れ、体調を崩し帰国して空軍基地の病院に収容され、様々な医者から研究材料にされて薬を与え続けられと、ピーターはアグネスに伝える。

人体実験に耐えられず逃亡したことを話っすピーターから、傍にいたいと言われたアグネスは、出て行かないでほしいと伝える。

翌日ピーターは、殺虫剤を用意して、ハエとり紙を部屋中に吊るす。

顕微鏡で虫を観察していたピーターは、現れたジェリーにそれを見せて、血液中の虫を調べていると伝える。

ジェリーからアグネスには手を出すなと言われて脅されたピーターは、ここは狙われ寄生されていると伝える。

R.C.と戻ったアグネスは、ここに住むと言うジェリーを追い出す。

アグネスに顕微鏡の虫を見せようとしたピーターは、R.C.が警察に通報しようとしたために、それを制止する。

虫が自分の身体に寄生していると言うピーターだったが、R.C.はそれを信じない。

アグネスから、虫のことをモーテルの支配人に話したと言われたピーターは、余計なことをした彼女を非難する。

アグネスに虫がいることを認めさせたピーターは、R.C.に虫に噛まれた腹部を見せる。

虫はいないと言い張るR.C.は、ピーターの精神状態を疑い、アグネスは自分で守ると伝える。

R.C.から、スウィート医師が捜していると言われたピーターは、アグネスから誰なのか訊かれ、軍の医師だと答える。

医師が、バーでピーターを捜していたことをグネスに伝えたR.C.は、ピーターから虫の存在を否定するのは許さないと言われて、動揺するアグネスと共にその場から去ろうとする。

その時、虫がいると言ってもがき興奮するピーターを落ち着かせたアグネスは、R.C.を殴り、彼と引き離そうとする彼女を非難して追い出す。

その夜、アグネスと今回のことを話し合ったピーターは、皮膚に埋め込まれた虫の卵のうのせいで殺されると言いながら、ペンチで痛む歯を抜こうとする。

歯医者に行くのは危険だと言うピーターは、痛みに耐えながら歯を抜き、顕微鏡でその中の虫を確認し、アグネスにも見せる。

その後、ピーターと共に部屋の中をアルミホイルで覆い、複数の虫よけを吊るしていたアグネスは、押し入ってきたスウィート医師(ブライアン・F・オバーン)と話をする。

虫が攻撃してくると言うアグネスは、アルミホイルは虫が送る信号を妨害するとスウィートに伝える。

スウィートは、4年間、軍の病院に監禁されていたピーターは、妄想型統合失調症と診断され、危害を加える恐れがあるとアグネスに話す。

人体実験の話をされたスウィートは、軍とCIAがピーターを追っているが、自分は関係ないとアグネスに伝える。

その場にあったドラッグを吸ったスウィートは、アグネスからガソリンタンクがあることを知らされる。

虫は妄想だと言うスウィートは、アグネスが捕まえた虫を見せられ、どこから来たか尋ねる。

ピーターの体内からだと言われたスウィートは、自分が卵を埋め込んだと信じるアグネスに、ピーターが去れば虫はいなくなると伝える。

監視されていると言って怯えるアグネスに、自分が話しをつけ、卵のうを摘出すると伝えたスウィートは、ピーターを助けたいので、彼を病院を戻さないことを約束する。

実験をした理由を訊いたアグネスは、自分の過ちを認めるスウィートから何も知らなかったと言われて、電話番号を教えてもらう。

ピーターが軍に捕らえられれば未来はないと言うスウィートは、自分を疑うアグネスに息子のロイドのことを話し、自分なら助けられると伝える。

驚くアグネスに、ロイドが生きていることを伝えたスウィートは、ピーターに会わせてくれたら息子を連れてくることも約束する。

そこに全身傷だらけのピーターが現れ、息子を取り戻せると言うアグネスに、スウィートが新型のロボットだと伝える。

注射器を手にしたスウィートだったが、ピーターにナイフでめった刺しにされ殺される。

取り乱すアグネスに、息子の話はウソで、スウィートはプログラムされた機械だと言い張るピーターは、金融、産業、政界のトップを集めた、世の中のすべてを操り体制を維持するための会議が1954年から行われていることを話す。

ナチの科学者を利用したCIAの陰謀を語るピーターは、1982年生まれの者から監視用マイクロチップが埋め込まれ、やがて人工知能用のバイオチップが開発され、その実験用に選ばれたのが湾岸戦争の兵士だと伝える。

オクラホマシティ連邦政府ビル爆破事件”の主犯”ティモシー・マクヴェイ”も実験台になり、分たちは殺人マシンだと言うピーターは、チップには欠陥があると伝える。

伝染力のあるチップが理想であり、それができたことをアグネスに話すピーターは、息子との関係を訊かれ、記憶をたどるよう指示する。

興奮するアグネスは、ロイドが連れ去れた時のことを話し、ジェリーが犯人で、虫がいるピーターを連れて来たR.C.が関与していると考える。

ピーターはオスで自分に埋め込まれたのはメスだと言うアグネスは、交尾して虫が産まれ、すべてが自分から始まったことに気づく。

誘拐された息子は研究所で調べられ、自分が適合することを確認し、クイーンであるビッグマザーが出来上がると考え埋め込まれたと言うアグネスは、虫を殺さな蹴れば助からないとピーターに伝る。

頼んでいないピザの配達が現れ、ドア越しに金を支払いそれを部屋に入れたアグネスとピーターは、中身を取り出して顕微鏡で調べる。

監視のヘリコプターが現れたと思い込むアグネスとピーターは、押し入ろうとするジェリーを追い払う。

虫が出てきてと言うピーターとアグネスは、部屋にガソリンをまき全裸になり頭からかぶる。

互いに愛を告げた二人は、マッチで火を放つ。
__________

アグネスの息子ロイドのオモチャ床に置かれている、無傷の部屋の映像が映し出される。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
オクラホマ州。
田舎町の安モーテルで暮らすアグネス・ホワイトは、10年前に息子が失踪したことで苦しんだ過去を持ち、暴力的な元夫ジェリーの出所を気にしながら怯える日々を過ごしていた。
ゲイバーで働くアグネスは、同僚で友人のR.C.から流れ者の元兵士のピーターを紹介され、無口で真面目そうな彼と親交を深める。
アグネスの部屋で虫に噛まれたピーターは、それを駆除するために異常な行動を始め、軍が関係する秘密をアグネスに打ち明けるのだが・・・。
__________

鬼才ウィリアム・フリードキンが、脚本を兼ねるトレイシー・レッツの舞台劇”Bug”を基に演出した作品。

元夫の暴力から逃れて暮らす女性と、体内に虫を埋め込まれたと思い込む男性の異常な行動を描くホラー。

トラブルの予感を感じさせながらも、穏やかな雰囲気で始まる物語は、主人公の元に現れた平凡そうに見える男性の登場から緊張感が高まる。

男性に感化された主人公は、次第に異常な世界に紛れ込み、現実と虚構の区別がつかないまま、最悪の事態が起こりドラマは終わる。

クライマックスの主人公二人の”激突”、演技のぶつかり合いは見ものであり、凄まじい迫力で描写するウィリアム・フリードキンの演出は注目だ。

冒頭で、アルミホイルの部屋に横たわる医師の死体が数秒間映し出され、エンドクレジットでは、主人公の無傷の部屋の床にある息子のオモチャが描写される、結局は、どちらが”現実”を示しているかは不明のまま終わり、観客それぞれの考えで判断させようとしている。

主演のアシュレイ・ジャッドは、様々な問題を抱えながら異常な世界に引き込まれる女性を見事に演じ、彼女と親交を深める役のマイケル・シャノンは、平凡な男性から異常者に変貌する男性を熱演している。
マイケル・シャノンの祖父は、著名な昆虫学者のレイモンド・コーベット・シャノンである。

ゲイバーで働く主人公の同僚で友人のリン・コリンズ、ピーター(マイケル・シャノン)の主治医ブライアン・F・オバーン、主人公の元夫ハリー・コニックJr.などが共演している。


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