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マイ・ブラザー Brothers (2009)

スザンネ・ビア監督のデンマーク映画「ある愛の風景」(2004)のハリウッド版リメイク。
戦場で捕虜になり過酷な体験をして心に傷を負った兵士と家族の苦悩を描く、監督ジム・シェリダン、主演トビー・マグワイアジェイク・ジレンホールナタリー・ポートマンサム・シェパードキャリー・マリガン他共演のドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ


スタッフ キャスト
監督:ジム・シェリダン
製作総指揮:タッカー・トゥーリー
製作
ライアン・カヴァノー
シガージョン・サイヴァッツォン
マイケル・デ・ルカ
脚本:デイヴィッド・ベニオフ
撮影:フレデリック・エルムス
編集:ジェイ・キャシディ
音楽:トーマス・ニューマン
主題歌:U2Winter

出演
サム・ケイヒル大尉:トビー・マグワイア
トミー・ケイヒル:ジェイク・ジレンホール
グレース・ケイヒル:ナタリー・ポートマン
ハンク・ケイヒル:サム・シェパード
エルシー・ケイヒル:メア・ウィニンガム
イザベル・ケイヒル:ベイリー・マディソン
マギー・ケイヒル:テイラー・ギア
ジョー・ウィリス二等兵:パトリック・フリューガー
キャシー・ウィリス:キャリー・マリガン
ジョン・カヴァゾス少佐:クリフトン・コリンズJr.
ティナ:ジェニー・ウェイド
ユスフ:オミッド・アブタヒ
ムラド:ナヴィド・ネガーバン
アーメド:エナヤット・デラウェア
スウィーニー:イーサン・サプリー
A.J.:アーロン・シヴァー
オーウェン:レイ・プレウィット

アメリカ 映画
配給
ライオンズゲート
Relativity Media
2009年製作 105分
公開
北米:2009年12月4日
日本:2010年6月4日
製作費 $26,000,000
北米興行収入 $28,501,651
世界 $43,318,349


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
2007年10月7日。
海兵隊員のサム・ケイヒル大尉(トビー・マグワイア)は、4日後のアフガニスタンへの出発を控え、妻グレース(ナタリー・ポートマン)に遺書を書き、上官のジョン・カヴァゾス少佐(クリフトン・コリンズJr.)にそれを託す。

帰宅したサムは、娘イザベル(ベイリー・マディソン)とマギー(テイラー・ギア)の様子を見て刑務所に向かう。

家族の問題児で弟のトミー(ジェイク・ジレンホール)が出所し、迎えに行ったサムは、彼を町に送る。

食事をすることになっていたトミーはサムの家に向かい、家族に迎えられる。

義母エルシー(メア・ウィニンガム)には歓迎されたトミーは、自堕落な自分を嫌う父ハンク(サム・シェパード)に、戦場の英雄サムと比較されて苛立つ。

食事を終えたトミーは、サムの無事を祈りながらその場を去る。

サムは、いつものように指輪を外してグレースに渡す。
...全てを見る(結末あり)

2007年10月12日。
アフガニスタンに着任したサムは、ヘリコプター(ブラックホーク)でヘルマンド州に移動し、途中で攻撃を受ける。

サムの死を知らされたグレースはショックを受け、酔って車を返しに来たトミーにそれを伝える。

トミーは、知らせなかったグレースを非難してその場を去る。

家に戻ったトミーは、サムは亡き母と一緒だと言うエルシーに慰められる。

基地には半旗が掲げられ、サムの死を悼み町中は喪に服す。

サムら戦没者のためのミサが教会で行われ、グレースはカヴァゾスからサムの遺書を受け取る。

トミーが酔っていることに気づいたハンクは、車を運転すると言う彼と口論になり、サムの死を嘆く。

その夜グレースは、サムの遺書を読む気になれなかった。

その頃、ヘリは撃墜されたものの、一命を取り留めていたサムは、部下のジョー・ウィリス二等兵(パトリック・フリューガー)と共にタリバンの捕虜になっていた。

バーで酒代が払えずにいたトミーは、グレースに電話をして迎えに来てもらう。

その夜はグレースの家に泊めてもらったトミーは、翌朝、訪ねて来たハンクと話をする。

先日のことを謝罪したハンクは、才能があるにも拘らず、いつも途中で諦めてしまうところがサムと違うとトミーに話しながら、息子を想い涙する。

自分が身代わりになりたかったと言うトミーの話を聞いたハンクは、酷いキッチンを見て嘆く。

地面の下に拘束されたサムとジョーは、逃げることができなかった。

その後トミーは、仲間のスウィーニー(イーサン・サプリー)、A.J.(アーロン・シヴァー)、オーウェン(レイ・プレウィット)らと共に、グレースに相談もせずにキッチンのリフォームを始めてしまう。

グレースは勝手なトミーに呆れるものの、意見する気にもなれなかった。

過酷な状況に耐えられなくなったジョーは苛立ち、サムと共に移動させられる。

タリバンのリーダー、ユスフ(オミッド・アブタヒ)が、部下に捕虜を殺させる様子を見せられたジョーは、精神的に限界に達する。

何もする気になれないグレースはベッドに横たわっている時間が長かったが、トミーらと共にペンキ塗りをする娘たちを見て気分が晴れる。

服にペンキをこぼしたA.J.に、サムのシャツとズボンを渡したグレースは、彼のことを想いだし心が滅入る。

ジョーは、アメリカのアフガニスタンへの侵略を認めさせようとするタリバンの拷問を受ける。

リフォームは終わり、誕生日を家族や友人に祝ってもらったグレースは、娘たちがトミーに懐く様子を見て笑顔が戻る。

トミーと話をして心を許したグレースは、彼とキスするものの、それ以上は互いに求めなかった。

トミーはその場を去り、ベッドに入ったグレースは、サムの遺書を手にするものの、読む気になれなかった。

拷問を受けたジョーは価値のない者と判断され、パイプを渡されたサムは、ユスフの部下ムラド(ナヴィド・ネガーバン)に銃を向けられ、ジョーを殺すことを強要される。

殺すと脅されたサムは、仕方なくそれに従う。

翌日トミーは、気まずい雰囲気だったもののグレースを訪ね、子供たちに会いたいだけだと言って、キッチンの仕上げをする。

現れたハンクは、トミーの仕事ぶりに関心する。

その後、アメリカ軍の攻撃を受けたタリバンは撤退し、ユスフは逃げるもののムラドは射殺され、サムは救出される。

トミーが子供たちと雪遊びをする姿を見ていたグレースは、サムが生存していたという報告を受けて驚く。

サムを飛行場に迎えに行ったトミーは、家族と共に彼の帰還を喜ぶが、心中は複雑だった。

その後、ジョーの遺体も帰国することになり、ハンクはサムの様子がおかしいことに気づく。

ベトナムから帰還した時の話をするハンクは、妻と話せなかったと伝えてサムを気遣う。

サムは、恋人同士の様に接するトミーとグレースを見て、二人の関係を疑う。

許すので正直に話してほしいと言われたトミーは、明確に答えられない。

訪ねて来たジョーの妻キャシー(キャリー・マリガン)から、夫の死に際を訊かれたサムは、知らないと答える。

夜中にキッチンの片付けをするサムは、物音を聴き銃を手にして警戒する。

カヴァゾスに会ったサムは、戦場への復帰を希望して、自分を理解できない家族と過ごしても居場所がないことを伝える。

時々、塞ぎ込むサムを気遣うグレースは、トミーとの関係を訊かれる。

グレースは、寂しさからキスしただけと正直に答えるが、サムはそれを信じない。

ジョーの墓に向かったサムは考え込み、翌朝、家に戻る。

イザベルもサムの異変に気づき、抱きしめてはもらうものの悲しくなる。

ハンクの家でマギーの誕生日を祝う家族の食事会が開かれ、トミーは出会ったばかりの看護師のティナ(ジェニー・ウェイド)と共に現れる。

自分を叱るサムに腹を立てたイザベルは、死ねばよかったと言ってしまい、グレースがトミーを求めて寝ているとウソをつく。

帰宅したイザベルはグレースに謝罪し、異常に思える父サムは嫌いだと言ってトミーが好きだと伝える。

サムは治ると言われたイザベルはそれを信じ、グレースに感謝して愛を伝る。

グレースは、庭にいるサムが何かしそうな気配を感じ、エルシーに電話をして相談する。

トミーは、ハンクの制止を訊かずにサムの家に向かう。

キッチンに向かい取り乱したサムは、その場を壊しながらわめき散らし、現れたトミーに抱きしめられる。

トミーに銃を向けたサムは、グレースが通報した警官が現れたために外に出る。

興奮するサムは上空に向けて発砲し、アフガニスタンことを話そうとしながら、銃口をこめかみにあてる。

トミーに話しかけられたサムは、銃を捨てて警察に取り押さえられる。

グレースは、未開封だったサムの遺書を読み、その内容が、明らかに今の彼と違うと感じる。

逮捕後に精神科医療施設に入れられたサムは、トミーに電話をかける。

翌日、トミーに子供たちをのことを任せて、サムに会いに行ったグレースは、戦地で何があったのかを彼に尋ねる。

涙するサムは、ジョーを殺したことをグレースに伝えて、二人は固く抱き合う。

サムは、このまま普通の生活を続けられるのだろうかと自分に問う。


解説 評価 感想

*(簡略ストーリー)
海兵隊大尉のサム・ケイヒルは、アフガニスタンに向かう任務を受けて、妻グレースに遺書を書く。
サムは、戦場での移動中にヘリコプターを撃墜されてしまい、家族には彼が死亡したことが伝えられる。
ショックを受けて気力をなくしたグレースだったが、家族のお荷物で自堕落な毎日を送る、サムの弟トミーとの親交により癒される。
そんなグレースは、寂しさからトミーに心を許しかけるものの、それを思い止まる。
その頃、一命を取り留めていたサムは、部下のジョーと共にタリバンの捕虜になっていた。
サムは、拷問の末にジョーを殺すよう強要され、仕方なくそれに従う。
その後サムは、援軍に救出されて帰国するのだが、家族の喜びとは裏腹に、戦場での体験を思い苦悩し、そして、グレースとトミーの関係を疑う・・・。
__________

戦場での過酷な体験による心の傷、それを告白できず、家族崩壊を招いてしまう主人公の姿が痛々しい。

戦場体験による”PTSD/心的外傷後ストレス障害”を題材にした、アメリカ社会が抱える大きな問題を鋭く描いたジム・シェリダンの力作。

主演陣から脇役まで、若手実力派及びベテラン勢など、豪華スター競演も注目の作品でもある。

鬼気迫る演技で主人公熱演するトビー・マグワイアは、いつの間にか30代となり、今後も演技派として大いに期待される。

クセのある問題児として登場するが、中盤からは兄家族と親交を深める役柄をしっとりと演ずるジェイク・ジレンホール、見事な感情表現でドラマを支える主人公の妻ナタリー・ポートマンの好演も光る。

主人公兄弟の父親で、自堕落な次男を嫌うサム・シェパード、その再婚相手のメア・ウィニンガム、主人公の上官クリフトン・コリンズJr.、主人公の娘役ベイリー・マディソンテイラー・ギア、主人公が止むを得ず殺すことになる部下のパトリック・フリューガー、その妻キャリー・マリガン、トミー(ジェイク・ジレンホール)が家族との食事に同伴する女性ジェニー・ウェイドタリバンのリーダー、オミッド・アブタヒ、その部下ナヴィド・ネガーバン、トミーと共にキッチンの改装をするイーサン・サプリー、アーロン・シヴァー、レイ・プレウィットなどが共演している。


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