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プルートで朝食を Breakfast on Pluto (2005)

女性の心を持つ青年の母を捜そうとする波乱の人生を描く、製作、監督、脚本ニール・ジョーダン、主演キリアン・マーフィーリーアム・ニーソンスティーヴン・レイブレンダン・グリーソンルース・ネッガ他共演のコメディ・ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(コメディ)


スタッフ キャスト
監督:ニール・ジョーダン
製作
ニール・ジョーダン
アラン・モロニー
スティーヴン・ウーリー
製作総指揮
ブレンダン・マッカーシー
フランソワ・イヴェルネル
キャメロン・マクラッケン
マーク・ウッズ
原作:パトリック・マッケーブBreakfast on Pluto
脚本
ニール・ジョーダン
パトリック・マッケーブ
撮影:デクラン・クイン
編集:トニー・ローソン
音楽:アンナ・ジョーダン

出演
パトリック“キトゥン”ブレイデン:キリアン・マーフィー
リーアム神父:リーアム・ニーソン
バーティ・ヴォーン:スティーヴン・レイ
ジョン・ジョー・ケニー:ブレンダン・グリーソン
ウォリス刑事:イアン・ハート
チャーリー:ルース・ネッガ
アーウィン・カー:ローレンス・キンラン
バイカー:リアム・カニンガム
ビリー・ハチェット:ギャヴィン・フライデー
アイリー・バーギン:エヴァ・バーシッスル
シルクのひもの男性:ブライアン・フェリー
ブレイデン夫人:ルース・マッケイブ
キャロライン・ブレイデン:シャーリーン・マッケンナ
ラウトレッジ刑事:スティーヴン・ウォディントン
ディスコの兵士:ドミニク・クーパー

イギリス/アイルランド 映画
配給 ソニー・ピクチャーズ・クラシックス
2005年製作 129分
公開
イギリス:2006年1月13日
アイルランド:2006年1月13日
北米:2005年11月16日
日本:2006年6月10日
北米興行収入 $828,700
世界 $3,942,250


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
第1章 私は捨てられる

北アイルランド、タイリーリン。
ある女性が、リーアム神父(リーアム・ニーソン)の家の玄関に赤ん坊を置いて立ち去る。

子供を預けることにしたリーアム神父は、そのことで悩み、姿を消した”ミッツィ・ゲイナー”に似た家政婦のことを考える。

第2章 育ての母の靴

キトゥンを養子にしたパブを経営するブレイデン夫人(ルース・マッケイブ )と娘のキャロライン(シャーリーン・マッケンナ)は、女装や化粧を好む彼を叱る。

そのことをキトゥンから懺悔室で聞いたリーアム神父は頭を抱える。

第3章 紹介:友人達

そんなキトゥンだったが、知恵遅れのローレンス、アーウィン・カー、チャーリーらと仲良くなり楽しく遊ぶ。
...全てを見る(結末あり)

第4章 紹介:母親

ローレンスの父ベニーから本当の母親アイリー・バーギン(エヴァ・バーシッスル)の話を聞いたキトゥンは、彼女がロンドンに行ったことを知らされる。

父親のことは知らないと言われたキトゥンは、アイリーが”ミッツィ・ゲイナー”にソックリだったということだった。

第5章 父親

成長したキトゥン(キリアン・マーフィー)は、相変わらず化粧をしていた。

ある日キトゥンは、養母がリーアム神父から金を受け取っていることを知り、懺悔室で彼に、”ミッツィ・ゲイナー”に似ていた”アイリー・バーギン”のことを尋ねる。

世界一の都市ロンドンに行ったアイリーが、リーアム神父の家政婦だったことを知っていたキトゥンは、その場から出て行った彼に住所が知りたいだけだと伝える。

第6章 私は過ちから生まれた子

カトリック系の高校に通うキトゥンは、作文の課題で、母とリーアム神父が出合い愛し合ったことを書いてしまい、激怒した教師は彼を学部長の元に連れて行く。

第7章 聖キトゥン

どう対処すればいいか考える学部長にキトゥンは、体育の授業の代わりに家庭科とお裁縫の授業を受けたいと伝える。

希望がかなったキトゥンは、チャーリー(ルース・ネッガ)と共に裁縫の授業を受ける。

第8章 ダンスのお金

養母からダンスとコーヒーのお金をもらったキトゥンは、チャーリーやローレンス、そしてアーウィン(ローレンス・キンラン)らと共にクラブに向かう。

第9章 星のハイウェイ

クラブに入れてもらえず、バイカー(リアム・カニンガム)に声をかけたキトゥンは乗せてもらい、仲間達と共に楽しい時間を過ごす。

第10章 変化

生徒達から自由な意見を求めた学部長だったが、キトゥンの汚らわしい考えに流石に激怒する。

チャーリーからその内容を訊かれたキトゥンは、性転換手術の上手な医師を教えてほしいと書いたと答える。

学校で厳しく指導されたキトゥンは、帰宅後も養母に叱られ、キャロラインにもバケモノ呼ばわりされる。

家を出る決心をしたキトゥンは、”グラムロック”バンド”モホークス”のバスに乗せてもらう。

第11章 紹介:モホークス

リーダーのビリー・ハチェット(ギャヴィン・フライデー)に気に入られたキトゥンは、彼らのライブを楽しむ。

ビリーに惹かれたキトゥンは、メンバーの視線も気にせずに旅を続ける。

第12章 私のショウビズ・キャリア

その後キトゥンは、女装をしてバンドに加わりステージに上がるようになる。

しかし、メンバーや客のことを考えたビリーは、キトゥンをバンドから外して、彼を母親が遺してくれたトレーラーハウスに連れて行く。

第13章 秘密の場所

喜んだキトゥンは、その場を掃除している際に床下に隠してある銃を見つける。

キトゥンは、IRAに協力していたビリーが、その場を銃の隠し場所として使っていたことを知る。

第14章 とてもとても真剣

IRAに協力することをキトゥンにからかわれたアーウィンは、恋人のチャーリーからその意図を追求され、新聞を配るだけだと伝える。

そんな時、車に仕掛けられた爆弾が見つかり町は騒然となり、ローレンスが爆破に巻き込まれて死亡する。

リーアム神父により、ローレンスの葬儀が行われる。

第15章 深い湖

ショックを受けたキトゥンは、隠してあった銃を湖に投げ込んでしまう。

それを知ったビリーは驚き、キトゥンを責めて隠し場所を知ろうとするっものの分からず、焦りながらその場を去る。

IRAの行動をチャーリーに批判されたアーウィンは、無関係だと言って別れたいなら構わないと伝える。

第16章 身のほど知らず

夜中に現れたIRAのメンバーに、なくなった銃の在りかを訊かれたキトゥンは、ビリーが埋めたと伝える。

その場を掘るものの銃は見つからず、キトゥンは殺されそうになり、アーウィンの名前を出したために、彼を知っている理由を訊かれる。

殺してほしいと言うキトゥンを、殺す価値もないと考えたメンバーはその場を去る。

第17章 報復

爆弾を作った場所を襲撃することに加担したアーウィンは、人が殺されたたために動揺してしまう。

ロンドンで母を捜す決心をしたキトゥンは、それをチャーリーとアーウィンに伝える。

第18章 闘争で荒れるアイルランドを去り・・・大海原を越える

ロンドン
”ファントム・レディ”アイリー・バーキンを捜すキトゥンは、役所に向かい二つの住所を知る。

第19章 あなたの住む街角?

一軒目は既に家がなかったため二軒目に向かったキトゥンは、緊張しながらドアをノック知るものの、母の家ではなかった。

第20章 おとぎの話

テーマパーク内の家で一夜を過ごしたキトゥンは、翌朝、”ワォンブルズ”の着ぐるみを着たジョン・ジョー・ケニー(ブレンダン・グリーソン)に起こされる。

この場が”ワォンブルズ・ワールド”だと知ったキトゥンは、ジョンに踊り方を教わり、責任者のスティーヴンソンの許可を得て訓練を受けることになる。

癇癪もちで傲慢なジョンに気に入られたキトゥンは、クラブで酔い眠ってしまう。

第21章 香水

店を出たキトゥンは娼婦に追い払われそうになり、通りがかった男性(ブライアン・フェリー)の車に乗る。

”ファントム・レディ”である母を捜していたと伝えたキトゥンは、車を止めた男性に迫られ、咄嗟に”シャネルNo.5”を彼の目に吹き付けてその場から逃げる。

第22章 キトゥン、希望を見つける

翌朝、カフェで自分を見つめる男性バーティ・ヴォーン(スティーヴン・レイ)から声をかけられたキトゥンは、本を書いていることを伝える。

物語に登場する女性は”ファントム・レディ”で本名はアイリー・バーキンであり、自分の母親だとキトゥンはバーティに話す。

マジシャンのバーディと意気投合したキトゥンは、彼のショウに招待される。

第23章 ショウビズ・キャリア その2

キトゥンをステージに上げたバーディは、彼に催眠術をかけて観客に大いに受ける。

その後もキトゥンをパートナーにしたバーディは、観客を喜ばせてショウを成功させる。

第24章 ファントム・レディ

バーティに”ファントム・レディ”の話をしたキトゥンは、様々な考えを持つ彼女が、遥か彼方のプルート/冥王星で朝食を食べるのを望んでいることを伝える。

キトゥンに愛を伝えようとしたバーディは、彼から女ではないと言われる。

知っていると言うバーディは、だから”君のような女”と話したはずだとと伝える。

道化のように笑い者にされているキトゥンをショウの会場から連れ出したチャーリーは、彼をバーティから引き離す。

第25章 革命

チャーリーとアーウィンと共にディスコで楽しんだキトゥンは、ジョンがその場にいたために声をかける。

その場で仲間と会うアーウィンを見つめるチャーリーは、彼が革命に夢中だとキトゥンに伝える。

アーウィンが何かやる気だと考えるチャーリーは、秘密を抱えているように思える彼を失うかもしれないとキトゥンに話す。

自分に会いにロンドンに来たのは口実だではないかとチャーリーに尋ねたキトゥンは、アーウィンと関係があり妊娠したと言われる。

アーウィンは革命だけしか考えていないために感心がないと言うチャーリーは、産む気がないことに気づいたキトゥンに、堕ろすために来たことを伝える。

キトゥンから、アーウィンに知らせるべきだと言われたチャーリーは関心がないと伝える。

戻ってきたアーウィンに、ホームレスのために働いていることを確認するチャーリーだったが、彼は何も答えない。

第26章 中絶

キトゥンと共に病院に向かったチャーリーは、気が変わってしまう。

ロンドンを去るチャーリーとアーウィンを駅で見送るキトゥンは、二人に別れを告げる。

第27章 私のタイツがズタズタ

ディスコで楽しんでいたキトゥンは、陸軍工兵隊の青年(ドミニク・クーパー)から声をかけられる。

青年に誘われて踊っていたキトゥンは、その場が爆破されたために怪我をして病院に運ばれる。

その後、警察に連行されたキトゥンは、ウォリス刑事(イアン・ハート)に痛めつけられながら、爆破犯人として取り調べを受ける。

同席していたラウトレッジ刑事に供述を始めたキトゥンは、自分は秘密諜報部員だと言って適当に話を作る。

第28章 キトゥン、世界を救う

それを信じないウォリスとラウトレッジは、キトゥンが女装して爆弾を仕掛けて逃げたと考えるが、拘留期間があと一日に迫り、彼が口を割らないために焦る。

ロンドンに来た理由を訊かれたキトゥンは、姿を消したアイリー・バーキンを捜すためだと答え、ラウトレッジから協力すると言われるものの、消えた家にいたとしか話さない。

ラウトレッジは、仕方なくキトゥンを独房に入れる。

第29章 私の素適な狭い独房

拘留期間が過ぎたために釈放されることになったキトゥンは、居心地がよかったために、いさせてほしいと言ってラウトレッジとウォリスに頼む。

第30章 愛とはかくも素晴らしきもの

無理やり釈放されて、雨の中、街角で佇むキトゥンは、ある老紳士から声をかけられて誘われる。

それ以来、街娼となり過ごしていたキトゥンは、母親らしき女性を見かけるものの追いつけなかった。

ある夜、ウォリスに声をかけてしまったキトゥンは彼の車に乗り、生き方について意見される。

第31章 5人の優しき女達 コープ/協同

ウォリスに、元娼婦達が仲間で経営するピープ・ショウの店に連れて行かれたキトゥンは、そこで働き始める。

店に向かい、マイク越しにキトゥンと話したリーアム神父は、息子をどれだけ愛していたか言えなかったことで悔やんでいると伝える。

その内容で相手がリーアム神父だと分かったキトゥンは、母親を捜していることを知った自分に、せめて彼女の居場所を教えたいと思ったと言われる。

それを知りたがるキトゥンにリーアム神父は、アイリーは結婚し子供が二人いるので会いたがらないかもしれないと伝え、住所を教えてその場を去る。

第32章 あなたが本当に住む街角で

アイリーの家に着いたキトゥンは、通りで遊んでいた少年に声をかけられ、”ブリティッシュ・テレコム”の調査員だと伝えて、彼がアイリーの息子パトリックであることを知る。

家に案内されたキトゥンは、アイリーに対面した瞬間に気を失ってしまう。

意識が戻ったキトゥンは、アイリーを前に動揺しながら簡単な調査の質問をしてその場を去る。

チャーリーからの手紙を受けとったキトゥンは、心細い自分に優しくしてくれたリーアム神父に住所を教えたことを知る。

麻薬容疑でチャーリーが逮捕され、警察がアーウィンを脅していることを知ったキトゥンは、故郷に向かう。

裏切り者と判断されたアーウィンは、仲間に射殺される。

第33章 じっとしていて、私の大事な人

タイリーリンに戻ったキトゥンは、父リーアム神父の家に向かい、母には会えたが自分のことは何も言わなかったと話す。

衰弱しきっているチャーリーに寄り添うキトゥンは、アーウィンが殺されたことを知り、自分が力になることを彼女に伝える。

キトゥンとリーアム神父は、父子の生活に幸せを感じる。

第34章 交通整理のおばさん

その後チャーリーは、キトゥンと出かけられるようになるが、二人を世話するリーアム神父の評判が悪くなる。

第35章 クリスマス・イヴ

リーアム神父の家は放火され、教会も全焼してしまう。

第36章 体が引き裂かれそう

教区を移されたリーアム神父は、保険の関係でイギリスで出産する予定のチャーリーと付き添うキトゥンを見送る。

チャーリーは無事に出産し、子供をベビーカーに乗せていたキトゥンは、病院の敷地内でパトリックに出くわす。

アイリーが妊娠したことを知ったキトゥンは、パトリックから名前を訊かれて、”ファントム・レディ”と答える

パトリックをチャーリーに紹介したキトゥンは、アイリーが出てきたことを彼に知らせる。

キトゥンは、”今度は女の子を”とアイリーに言ってほしいとパトリックに伝える。

アイリーとすれ違うものの、何も話さないキトゥンは、チャーリーと共にその場を去る。


解説 評価 感想
(簡略ストー リー)
北アイルランド、タイリーリン。
教会の入り口に捨てられた赤ん坊を里親に預けたリーアム神父は、成長したパトリック“キトゥン”ブレイデンが女の子の心を持つことを知る。
実は、家政婦アイリーとの間にできた子がキトゥンであったため、リーアム神父は、それを知ったキトゥンからその件を追求される。
キトゥンは、ロンドンに行ったアイリーのことをリーアム神父から話してもらえない。
高校で問題を起こすキトゥンは養母に見限られ、家を出る決心をして、母を捜すためにロンドンに向かうのだが・・・。
__________

女性の心を持つ純真な青年の母を捜す旅と波乱の人生を描くコメディ・ドラマ。

1960年代から1970年代にかけての当時のヒット曲などを挿入し、北アイルランド問題などで揺れ動く社会、文化ファッションなど、激動の時代を生き抜く青年の人生を、ニール・ジョーダンがユーモアを交えて軽妙に描く作品。

ニール・ジョーダンは「ブッチャー・ボーイ」(1987)でも、本作の原作者パトリック・マッケーブの作品を映画化している。

ファンとしては、ジョン・フォードジョン・ウェインが組んだ名作「静かなる男」(1952)のヴィクター・ヤングの楽曲が序盤で登場するのは嬉しい。

周囲の偏見の目も気にせず、奔放で明るい女性の心を持つ青年を熱演したキリアン・マーフィーの演技は絶賛され、ゴールデングローブ賞の主演男優賞(コメディ・ミュージカル)にノミネートされた。

神父でありながら主人公の父親として愛を伝えられずに苦悩するリーアム・ニーソン、主人公に惹かれるマジシャンのスティーヴン・レイ、”ワォンブルズ・ワールド”で主人公と知り合うブレンダン・グリーソン、主人公を取り調べるものの、彼の人生を気遣う刑事のイアン・ハート、その同僚スティーヴン・ウォディントン、主人公の親友ルース・ネッガ、その恋人でIRAの協力者ローレンス・キンラン、主人公が出合うバイカーのリアム・カニンガム、”グラムロック”バンド”のリーダーでIRAの協力者でもあるギャヴィン・フライデー、”ミッツィ・ゲイナー”に似ている(似ていない?)と言われる主人公の母親エヴァ・バーシッスル、主人公に迫る男性ブライアン・フェリー、主人公の養母ルース・マッケイブ、その娘シャーリーン・マッケンナ、主人公を誘う兵士のドミニク・クーパーなどが共演している。


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