メル・ギブソンが製作、監督、主演した意欲作。 イングランドの侵略に抵抗したスコットランド独立の英雄ウィリアム・ウォレスの誇りを懸けた戦いを描く、ソフィー・マルソー、パトリック・マクグーハン、ブレンダン・グリーソン、ブライアン・コックス他共演によるロマンスとアクションを合わせ持った歴史劇の超大作。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:メル・ギブソン
製作
アラン・ラッドjr.
ブルース・デイヴィ
メル・ギブソン
脚本:ランドール・ウォレス
撮影:ジョン・トール
編集:スティーヴン・ローゼンブラム
衣装デザイン:チャールズ・ノード
音楽:ジェームズ・ホーナー
出演
メル・ギブソン:ウィリアム・ウォレス
ソフィー・マルソー:イザベラ
パトリック・マクグーハン:エドワード1世
キャサリン・マッコーマック:ミューロン・マククラノー
ブレンダン・グリーソン:ハミッシュ・キャンベル
アンガス・マクファーデン:ロバート1世/ロバート・ブルース
ピーター・ハンリー:エドワード王子
トミー・フラナガン:モリソン
デヴィッド・オハラ:スティーブン
アラン・アームストロング:モーネイ
イアン・バネン:第6代アナンデイル卿ロバート・ドゥ・ブルース
ブライアン・コックス:アーガイル・ウォレス
アメリカ 映画
配給
20世紀FOX(世界)
パラマウント・ピクチャーズ(北米)
1995年製作 177分
公開
北米:1995年5月24日
日本:1995年10月14日
製作費 $53,000,000
北米興行収入 $75,609,950
世界 $210,409,950
■ アカデミー賞 ■
第68回アカデミー賞
・受賞
作品・監督・撮影・メイクアップ・音響編集賞
・ノミネート
脚本・編集・作曲・衣装デザイン・録音賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1280年、スコットランド。
少年ウィリアム・ウォレスは、残虐で冷酷なイングランド王エドワード1世(パトリック・マクグーハン)の侵略で、家族を失う。
その後ウォレスは、叔父のアーガイル・ウォレス(ブライアン・コックス)に引き取られる。
ロンドン。
エドワード1世は、王位継承者のエドワード王子(ピーター・ハンリー)のために、敵国フランスの王女イザベラ(ソフィー・マルソー)を皇太子妃に迎える。
国王は、スコットランドの貴族を支配する目的で、領地内で結婚の決まった花嫁を領主が奪い取る、“初夜権”という悪法を制定する。
成長したウォレス(メル・ギブソン)は故郷に帰り、親友のハミッシュ・キャンベル(ブレンダン・グリーソン)と再会して、手荒い歓迎を受けながら友情を確かめ合う。 早速、”初夜権”を行使された村では、モリソン(トミー・フラナガン)が抵抗するものの、花嫁は自ら領主の元に向かう。 やがてウォレスは、幼馴染のミューロン・マククラノー(キャサリン・マッコーマック)と恋に落ちる。 農民として生きる道を決めて、戦う意思のないウォレスは、ミューロンの父親に、彼女との交際を禁じられてしまい、そのため、二人だけの結婚式を挙げてしまう。 その後ミューロンは、イングランド兵に襲われ、抵抗して逃げようとするものの兵士を傷つけてしまう。 ウォレスが、ミューロンを助けて森に逃がすが、捕えられた彼女は領主に殺されてしまう。 兵士を倒して逃げたウォレスだったが、ミューロンの死を知り、投降すると見せかけてイングランド兵に襲いかかる。 ウォレスは、ハミッシュやモリソン他、村人の協力で敵を倒して領主を殺し、ミューロンの仇を討ち、彼は人々に称えられる。 農民として生きる道を捨てたウォレスは、ミューロンを埋葬して、彼女の父親にも許される。 その後、ウォレスの元に人々は集まり、やがて、それは巨大な反乱軍として、イングランドの脅威となる。 フランスに向かうエドワード1世は、スコットランドの反乱を鎮圧させることをエドワード王子に命ずる。 スコットランドには大軍が送り込まれるが、頭脳戦を展開するウォレスの軍は、イングランド軍を次々と撃破する。 その頃、スコットランドの次期国王の噂もある貴族ロバート・ブルース(アンガス・マクファーデン)は、父ロバート(イアン・バネン)に反乱を知らせる。 ロバートは、ウォレス側に付くよう、彼に興味を持つ息子に指示し、王になるための心得を伝授する。 スターリング。 イングランド側は、和平を求めて貴族を優遇する条件を出すが、ウォレスが横槍を入れて彼らを退かせ、モーネイらに戦う方法を伝える。 ウォレスは、挑発しながら敵を引き寄せ、槍を使い騎馬隊を倒し、勇敢に戦い勝利する。 寒村の平民であったウォレスは、スコットランドの貴族からナイトの称号を与えられ、イングランドに侵攻して、国民に自由を与えることを誓う。 王位を争う貴族達を前に、再び襲ってくる敵軍を出し抜き、ウォレスはイングランドに攻め入る考えを伝える。 民衆の自由をまず考える者こそ貴族であり、それに彼らが値しないと言い切ったウォレスは、自分がそれをやり遂げることも伝えてその場を去る。 ロバート・ブルースは、貴族の悩みをウォレスに伝えるが、彼は、人望が厚いロバートが戦う意思を見せれば、民衆、そして自分も従うことを告げる。 フランスから帰国したエドワード1世は、無能なエドワード王子を見限り、ウォレスの元に、停戦交渉のためにイザベラを送り込む。 政略結婚で嫁いだイザベラは、同性愛者の夫エドワード愛を受けられず、不遇な生活を強いられていたのだが、勇敢で逞しいウォレスの虜となってしまう。 エドワード1世の元に戻ったイザベラは、王が既に援軍を組織し、北方を攻めようとしていることを知り、ウォレスにその情報を彼に知らせる。 ウォレスは、スコットランドの貴族の援助を求め、ロバート・ブルースはそれを約束するものの、彼の父ロバートは、息子を国王にするために陰謀を企む。 フォルカーク。 イングランド軍に属していたアイルランド兵は、反乱軍派側に付き、ウォレスらは戦いを優位に進める。 しかし、スコットランドの貴族達の援護を得られず、結局、反乱軍は一気に劣勢となる。 エドワード1世はウォレスを捕えるよう命じて、勝利を宣言してその場を去る。 傷を負ったウォレスはエドワード1世を追うが、王を守ろうとしたのがロバート・ブルースであり、彼の裏切りを知り愕然とする。 ロバート・ブルースはウォレスを逃がした後、悲惨な戦場に向かい、自分のしたことを後悔して、それを父ロバートに伝え、二度と良心は裏切らないと涙ながらに語る。 傷の癒えたウォレスは、裏切られた貴族に単独で復讐を始め、その武勇伝が人々の間で広がる。 エドワード1世は、イザベラを、再び使者としてウォレスの元に送り、二人の心は通い合い、そして愛し合ってしまう。 貴族からの手を組む提案に、自分達だけでできる限界を感じたウォレスは、ハミッシュの罠だという忠告も聞かず、それに応じるため、単身ロバート・ブルースの元に向かう。 しかし、ロバート・ブルースの父ロバートの陰謀にはまり、ウォレスは捕らえられてしまう。 ロバート・ブルースは父を恨み、彼を見限り死を望む。 イザベラは、反逆罪で裁かれたウォレスに会い、王に忠誠を誓うよう説得するが、彼はそれを拒む。 病の床に就く、エドワード1世の元に向かったイザベラは、ウォレスに対して慈悲を与えるよう願い入れる。 それを聞き入れられないイザベラは、エドワード1世の血を引かぬ子を自分が身篭っていることを伝え、エドワード王子は、王座を追われることを告げてその場を去る。 1305年8月23日。 ハミシュやスティーブンに見守られながら、ミューロンを想い起すウォレスは処刑される。 1314年。
...全てを見る(結末あり)
貴族のモーネイ(アラン・アームストロング)らのために戦う価値があるか、人々は敵軍を前に怯むが、アイルランドのスティーブン(デヴィッド・オハラ)らを仲間にしたウォレスは、数倍の敵を相手に戦いを挑もうとする。
そしてウォレスは、ロバート・ブルースの援助がないまま、エドワード1世の大軍と戦うことになる。
*”フォルカークの戦い”
ウォレスは、民衆の前で拷問受けるものの、それに屈することなく、”我に自由を”と叫ぶ。
スコットランドの愛国者達は、飢えと劣勢をものともせず、ウォレスの遺志を継ぐ、国王になっていたロバート1世(ロバート・ブルース)の指揮下で、”バノックバーンの戦い”に勝利して自由を勝ち取る。
*(簡略ストー リー)
1280年、スコットランド。
残虐で冷酷なイングランド王エドワード1世の侵略により、家族を失ったウィリアム・ウォレスは、叔父の元で逞しく成長して故郷に戻る。
その後ウォレスは、幼馴染のミューロンと恋に落ち、愛し合うようになる。
その頃エドワード1世は、王位継承者のエドワード王子のために、敵国フランスの王女イザベラを皇太子妃として迎える。
国王は、スコットランドの貴族を支配する目的で、領地内の花嫁を、地主が奪い取るという悪法の“初夜権”制定する。
そのため、ウォレスとミューロンは、村人には秘密にして、二人だけの結婚式を挙げてしまう。
しかし、ミューロンはイングランドの兵士に襲われて、領主に殺されてしまう。
怒りを抑えきれないウォレスは、農民になろうとしていた気持ちを捨て、イングランド兵に襲い掛かり敵を倒し、救世主と呼ばれるようになる。
その後、ウォレスは、巨大な反乱軍を指揮するようになり、イングランドの脅威となる。
エドワード1世は、それを撃滅させるために、大軍をスコットランドに送り、ついに戦いは始まる・・・。
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第68回アカデミー賞では、作品、監督、撮影、メイクアップ、音響編集賞を受賞し、メル・ギブソンは、映画作家としても高い評価を受けることになる。
・ノミネート
脚本・編集・作曲・衣装デザイン・録音賞
イングランドだけでなく、自国の腐りきった貴族達から”自由”を勝ち取るために、多くの犠牲を払いながら勇敢に戦った、農民を中心にしたスコットランド国民達を力強く描いた見応えのある作品。
北米興行収入は約7600万ドルに留まるものの、全世界トータルでは、約2億1000万ドルのヒットとなった。
スコットランド独立の英雄で、ウィリアム・ウォレスを扱った作品であるものの、ドラマチックに描くために、事実とは違う内容も多くある。
例えば、後半の大きなテーマ、ウォレスとイザベラのロマンス、さらにイザベラがウォレスの子供を身篭っていたというのは、親子ほどの年齢差もあり、面識のないはずの二人なので、全く事実に反するドラマ用の脚色だ。
スコットランドや特にアイルランドで行われたロケは素晴らしい効果を上げている。
美しい野山がスクリーンに映える。
その雄大で見事な映像と共に、ジェームズ・ホーナーの流れるようなテーマ曲も素晴らしい。
また、公開当時から1990年代後半にかけて巻き起こる、スコットランドのイギリスからの独立という風潮に、少なからずも、影響を与えた作品とも言える。
メル・ギブソンは、英雄を熱演しているものの、その演技は、いつものアクション作品と、それほど代わり映えしない。
しかし、重厚なテーマの作品の監督と兼任ということを考えると、やはり高く評価したい。
約3時間の上映時間の中で、後半出番 が多くなるが、彼女の出演に期待してみていると、やや物足りない感じを受けるソフィー・マルソーだが、透き通るような美しさは、ドラマにアクセントを加えている。
残虐で卑劣なエドワード1世を好演するパトリック・マクグーハン、ラストで、亡くなったウォレスを天から迎えに来る妻役のキャサリン・マッコーマック、ウォレスの頼もしい右腕ブレンダン・グリーソン、ウォレスの意志を継ぐ国王ロバート1世、アンガス・マクファーデン、その父親で、息子を国王にするためにウォレスを陥れるイアン・バネン、ウォレスと共に戦う戦士達のデヴィッド・オハラ、トミー・フラナガン、エドワード王子のピーター・ハンリー、貴族アラン・アームストロング、これ以後、ハリウッドで活躍を始めるブライアン・コックスも、ウォレスの叔父役で出演している。