犯罪多発地帯で暮らす黒人青年達のそれぞれの考えや人生を描く、監督、脚本ジョン・シングルトン、主演キューバ・グッディングJr.、モリス・チェストナット、アイス・キューブ、ローレンス・フィッシュバーン、アンジェラ・バセット他共演の青春ドラマの秀作。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジョン・シングルトン
製作:スティーヴ・ニコライデス
脚本:ジョン・シングルトン
撮影:チャールズ・ミルズ
編集:ブルース・キャノン
音楽:スタンリー・クラーク
出演
トレイ”トレ”スタイルズ:キューバ・グッディングJr.
リッキー・ベイカー:モリス・チェストナット
ダーリン”ダウボーイ”ベイカー:アイス・キューブ
ジェイソン”フューリアス”スタイルズ:ローレンス・フィッシュバーン
ブランディ:ニア・ロング
リーヴァ・スタイルズ:アンジェラ・バセット
ブレンダ・ベイカー:ティラ・フェレル
シャリカ:レジーナ・キング
トレイ”トレ”スタイルズ(10歳):デジ・アーネス・ハインズ2世
アメリカ 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ
1991年製作 112分
公開
北米:1991年7月12日
日本:1992年2月8日
製作費 $6,500,000
北米興行収入 $57,504,070
■ アカデミー賞 ■
第64回アカデミー賞
・ノミネート
監督・脚本賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1984年、ロサンゼルス、サウス・セントラル。
学校で教師をからかった10歳のトレイ”トレ”スタイルズ(デジ・アーネス・ハインズ2世)は、自分で授業をするようにと言われる。
人類の祖先はアフリカ人であることを話し始めたトレは、それをまともに聞かないクラスメイトと喧嘩になり騒ぎを起こす。
トレの母リーヴァ(アンジェラ・バセット)は、息子が3日間の登校禁止となることを担任から知らされるが、別れた夫に引き取らせることを伝える。
帰宅したトレに、彼がそれに従うことを約束した契約書を見せたリーヴァは、息子を夫ジェイソン”フューリアス”(ローレンス・フィッシュバーン)の家に連れて行く。 大学の修士課程を終えて仕事に就いたら家を買うと言うリーヴァは、再び一緒に暮らすことを約束してトレと別れる。 トレを近所の不良の様にさせたくないフューリアスは、愛を伝えながらも厳しく躾けようとする。 その夜、就寝中のフューリアスは侵入者に気づき、容赦なく銃を発砲する。 犯人は逃亡し、1時間後にようやく現れた警官にフューリアスは不満を伝える。 翌日、向いのブレンダ・ベイカー(ティラ・フェレル)の家に遊びに行ったトレは、父親が違う兄弟リッキーとダーリン”ダウボーイ”から、近所に住む少女ブランディのことを知らされる。 クリスを誘ったトレらは放置された死体を見に行き、その場に現れた年上の少年達に、リッキーがフットボールを奪われてしまう。 それを奪い返そうとしたダウボーイは痛めつけられるが、少年の一人がリッキーにボールを返す。 岩場で釣りをしながら、フューリアスから様々なことを教わったトレは、自宅に戻ると、ダウボーイとクリスがスーパーで盗みをしたため、警官に連行される姿を目撃する。 7年後。 刑務所の出入りを繰り返すダウボーイに説教するようブレンダから頼まれたトレは、彼と簡単な会話を交わす。 シャリカ(レジーナ・キング)は、クレンショー高校に通うトレが気になるが、ブランディ(ニア・ロング)が付き合っている相手だと知る。 家に戻ったトレは、フューリアスに愛し合った相手のことを聞かれ、病気には注意するようにと忠告される。 登校途中の車内で、経験があると言って父に嘘をついてしまったことをリッキーに話したトレは、恐くてできないという理由を伝えたため笑われてしまう。 父親になることが恐いと言うトレは、避妊をしてもブランディが受け入れてくれないことをリッキーに話す。 その後トレは、カトリックであることを理由に愛し合うことを拒むブランディを口説き続ける。 成功したリーヴァからの連絡を受けたフューリアスは、トレを連れ戻したいと言われ、本人が決めることだと伝える。 高校のフットボールのスターだったリッキーは、USC(南カリフォルニア大学)のスカウトと会うことになり、ダウボーイは、ブレンダに家から出るよう指示される。 リッキーは活躍した試合のビデオを見せて、経営学を専攻してコンピューターも学び、友人のトレと共にビジネスをしたいことをスカウトに伝える。 進学学力テストを受ける必要があるとスカウトに言われたリッキーは、息子がいることも話す。 スカウトが帰った後、ブレンダはリッキーを誇りに思い抱きしめる。 そして、トレもリッキーやブランディらと共にテストを受ける。 テストを終えたトレとリッキーは、住宅ローンの貸付業者であるフューリアスの職場を訪ねる。 二人を連れたフューリアスは、国内でも犯罪率が高い危険地帯のコンプトンに向かう。 地域の現実と問題に向き合う姿勢を自ら示したフューリアスの言葉に感銘を受けたリッキーは、自堕落な生活を送るダウボーイに聞かせたい話だったとトレに伝える。 ダウボーイを捜しに行ったトレとリッキーは、ストリートレーシングの会場に向かう。 その場であるギャングのフェリスらに因縁をつけられたリッキーは苛立つが、ダウボーイが銃を見せて追い払う。 しかし、フェリスらが銃を乱射し始め、ダウボーイ、トレ、リッキーらはその場から逃れる。 パトカーに止められたトレは、警官に悪党と思われて銃を向けられ脅される。 ブランディに会ったトレは、こんな場所で暮らしたくないと言って嘆く。 涙するトレに寄り添うブランディは彼を慰め、そして二人は愛し合う。 リーヴァに会ったフューリアスは、トレに干渉し過ぎる彼女を批判する。 席を立とうとしたフューリアスは、自分はトレの母親であると言うリーヴァの話を聞く。 母ブレンダに贔屓されているリッキーの態度が気に食わないダウボーイは、彼と喧嘩になる。 ブレンダがそれを制止し、彼女に殴られたダウボーイは納得できない。 軍のCMを見たリッキーは、軍隊に入ることをトレに伝えるが、考え直すよう言われる。 恋人に買い物を頼まれトレと共にスーパーに向かったリッキーは、対立するフェリスらの車に気づく。 裏通りに逃げた二人は別れることになり、彼らの危険を知ったダウボーイらが銃を持って現場に向かう。 リッキーが狙われていることに気づいたトレは叫び声をあげるものの、リッキーは背後からフェリスに銃撃される。 トレはリッキーに駆け寄り、車で駆け付けたダウボーイが弟を抱き寄せる。 ダウボーイとトレはリッキーを家に運び、シャニスとブレンダは取り乱す。 ブレンダは、ダウボーイのせいだと言って彼を責める。 ダウボーイと5分後に家で会う約束をしたトレは、近づいてきたブランディに家に帰るよう指示する。 戻って来たフューリアスは、リッキーが撃たれたことをブランディから知らされ、興奮する彼女を落ち着かせる。 フューリアスは、銃を手にしたトレにそれを渡すよう伝えて説得する。 銃を渡し涙するトレを抱きしめたフューリアスは、息子に愛を伝える。 ブランディを家に入れたフューリアスだったが、窓から外に出たトレは、ダウボーイらと共に車で走り去る。 しかし、トレは途中で車を降りる。 悲しみに耐えるブレンダは、リッキーのテスト結果の通知を見て合格したことを知る。 フェリスを見つけたダウボーイらは、彼らを銃撃する。 車を降りたダウボーイは、瀕死のフェリスらに止めを刺す。 帰って来たトレの様子だけを確認したフューリアスは、何も語らずに部屋に戻る。 翌日、ダウボーイに話しかけられたトレは、車を降りたのは正解だと言われる。 久し振りに早起きしたダウボーイは、世界中で起きている暴力事件のニュースを見たことを話すが、この街で起きていることにはなぜ触れないのかを考える。 ヤクを買いに来た子持ちの女を追い返したダウボーイは、皆殺しにしたのかをトレに聞かれ、なぜ殺したのか分からないと言って、終わりのない殺し合いだと答える。 いつかは死ぬ人生だが、リッキーの死は早すぎると語るダウボーイは、家に戻ろうとする。 ダウボーイを呼び止めたトレは、兄弟はもう一人いると伝え、その言葉に感謝する彼と抱き合う。 翌日、ダウボーイは弟リッキーの葬儀に出席した。 2週間後、ダウボーイは殺害された。
...全てを見る(結末あり)
ダウボーイ(アイス・キューブ)の出所を祝うパーティーが開かれ、ガールフレンドのシャニスとの間に子供もいるリッキー(モリス・チェストナット)は、トレ(キューバ・グッディングJr.)が現れたことに気づく。
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*(簡略ストー リー)
1984年、ロサンゼルス、サウス・セントラル。
学校で問題を起こした10歳のトレイ”トレ”スタイルズの母親リーヴァは、別れた夫のフューリアスに息子を引き渡す。
危険地帯でもある恵まれない環境の中で、フューリアスはトレに愛を伝えながらも厳しく躾ける。
7年後、隣人の兄弟で悪の道に足を踏み入れたダウボーイと弟リッキーと共に日々を送るトレは、フューリアスの教育のお蔭で優等生として成長する。
そんなトレだったが、時代の波と街にはびこる悪には逆らえない、厳しい現実が待ち構える・・・。
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アメリカの大きな社会問題である銃による多発する犯罪、その場で生きて行かなくてはならない人々の苦しみや悲しみ、そして逞しさを切実に描く秀作ドラマ。
アメリカ国内でも有数の犯罪地帯であるロサンゼルスのサウス・セントラルを舞台に、その場から逃れようのない日々を送る若者達の生活を生々しく描く、監督デビュー作であるジョン・シングルトンの感性と才能が光る。
厳しい現実の中で生きる人々の苦しい生活を描くジョン・シングルトン自身による見事な脚本も注目であり、人生経験の浅い、まだ30代前半の彼の深い演出が見所の作品。
ジョン・シングルトンは、第64回アカデミー賞で、監督、脚本賞にノミネートされた、各方面から絶賛された。
2002年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。
思慮深い父親ローレンス・フィッシュバーンの教育により厳しく育てられ、苦難を乗り越えながら成長する主人公を好演するキューバ・グッディングJr.、隣人である親友のモリス・チェストナット、悪の世界に足を踏み入れるその兄アイス・キューブ、主人公の母親アンジェラ・バセット、主人公のガールフレンド、ニア・ロング、隣人兄弟の母親ティラ・フェレル、女子高生レジーナ・キング、10歳の主人公デジ・アーネス・ハインズ2世などが共演している。