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俺たちに明日はない Bonnie and Clyde (1967)

大恐慌下、強盗や殺人を繰り返した実在の銀行強盗ボニーとクライドの波乱の人生を描く、監督アーサー・ペン、製作、主演ウォーレン・ビーティフェイ・ダナウェイマイケル・J・ポラードジーン・ハックマンエステル・パーソンズ他共演によるアメリカン・ニューシネマの先駆けにして代表作となった傑作。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(サスペンス/犯罪)


スタッフ キャスト ■
監督:アーサー・ペン
製作:ウォーレン・ビーティ
脚本
デヴィッド・ニューマン
ロバート・ベントン
撮影:バーネット・ガフィ

編集:デデ・アレン
衣装デザイン:セアドラ・ヴァン・ランクル
音楽:チャールズ・ストラウス

出演
ウォーレン・ビーティクライド・バロウ
フェイ・ダナウェイボニー・パーカー
マイケル・J・ポラード:C・W・モス
ジーン・ハックマンバック・バロウ
エステル・パーソンズブランチ・バロウ
デンヴァー・パイルフランク・ヘイマー
ダブ・テイラー:アイヴァン・モス
エヴァンス・エヴァンス:ヴェルマ・デイヴィス
ジーン・ワイルダー:ユージン・グリザード

アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ=セヴン・アーツ
1967年製作 111分
公開
北米:1967年8月13日
日本:1968年2月17日
製作費 $2,500,000
北米興行収入 $50,000,000
世界 $70,000,000


アカデミー賞 ■
第40回アカデミー賞
・受賞
助演女優(エステル・パーソンズ
撮影賞
・ノミネート
作品・監督
主演男優(ウォーレン・ビーティ
主演女優(フェイ・ダナウェイ
助演男優(ジーン・ハックマン/マイケル・J・ポラード
脚本・衣装デザイン賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
1931年。
強盗で2年間服役していたクライド・バロウ(ウォーレン・ビーティ)は、ボニー・パーカー(フェイ・ダナウェイ)の母親の車を物色中、彼女に見つかり声をかけられる。

ボニーは一目でクライドが強盗だと分かるが、刑務所帰りの彼に興味を持つ。

拳銃をちらつかせたクライドボニーに挑発され、雑貨店に押し入り金を奪い、路上にあった車で逃走する。

平凡なウエイトレス生活に飽き飽きしていたボニーは、刺激を求めてクライドど旅をすることを決心する。

無鉄砲なクライドだったが、意外にも奥手で人情味もある彼に、ボニーは次第に惹かれていく。

銀行を襲うことにした2人だったが、倒産した銀行に押し入ってしまい、襲った食料品店では抵抗に遭い、どうにか逃走できる始末だった。
...全てを見る(結末あり)

盗んだ車を乗り継いでいたクライドボニーは、ある田舎町のガソリンスタンドで、車に詳しい男C・W・モス(マイケル・J・ポラード)に出会い、彼を仲間に引き入れる。

その頃、食料品店を襲った2人の捜査が始まり、被害者の証言で、クライドが犯人だということが判明する。

その後、3人は銀行を襲い、現金を奪うことに成功するが、追ってきた行員をクライドは射殺してしまう。

動揺したクライドボニーを逃がそうと考えるが、彼女はそれを拒否し2人は求め合う。

不能であるクライドは、ボニーは抱くことが出来なかったが、彼女はそれを責めなかった。

クライドは、兄バック・バロウ(ジーン・ハックマン)と妻ブランチ(エステル・パーソンズ)を仲間に加える。

荒っぽいバックと、ヒステリー気味のブランチを鬱陶しく思うボニーは、警察の襲撃に遭い取り乱すブランチを罵倒する。

逃亡途中、車を止めさせたボニーは、クライドに不満を訴え、ベッドの上の彼のことも持ち出す。

しかし、ショックを受けるクライドを見て、ボニーは気を取り戻し車に戻る。

一行は”バロウ・ギャング”として銀行やスーパーを襲い、殺人を繰り返し、その名を全米に轟かせるようになる。

ある日、一行を追い詰めたテクサス・レンジャーフランク・ヘイマー(デンヴァー・パイル)は、クライドに見つかり捕らえられてしまう。

自分をからかうボニーに、ヘイマーはつばを吐きかけ、怒ったクライドは、彼を叩きのめしボートで池に放置してしまう。

その後も犯行を繰り返した一行だったが、貧しい者には手を出さず、大恐慌下の不況で喘ぐ人々からは、彼らを英雄視する声も出始める。

分け前のことで、ブランチがヒステリーを起こしたために、再びボニーと揉めるところをクライドがなだめる。

車の故障があることが分かり、一行はユージン・グリザード(ジーン・ワイルダー)の車を奪い逃走する。

ユージンと恋人ヴェルマ・デイヴィス(エヴァンス・エヴァンス)は一行を追うが、警察に通報するため引き返す。

それを追った一行は2人を捕らえるが、意外にも彼らは、クライドらと意気投合してしまう。

しかし、ユージンが葬儀屋だと分かったボニーは、それを不吉に思い2人を車から降ろしてしまう。

突然故郷の母親に会いたくなったボニーのために、彼女の故郷に帰ったクライドと一行だったが、彼らを歓迎する親戚達とは違い、ボニーの母親は、悪に手を染めた娘に冷たい眼差しを向けて別れを告げる。

町に買い物に行ったブランチとモスだったが、モスが拳銃を持っているのを客に見られてしまい、通報されて一行は宿泊先で警察に襲撃される。

激しい銃撃戦の末にバックは銃撃され、逃亡途中に再び襲われ彼は息を引き取り、ブランチは捕まってしまう。

クライドボニーも負傷するが、車を奪いモスと共に3人で逃げ延びる。

移住者のキャンプで水と食料を調達した3人は、モスの家に向かい、彼の父親アイヴァン(ダブ・テイラー)に介抱される。

マスコミは、潜伏中のクライドボニーが、犯行を続けていると騒ぎたてたため、クライドは激怒する。

テクサス・レンジャーヘイマーブランチを尋問し、彼女やバックに同情しているかに見せかけ、共犯のモスの名前を聞き出す。

モスの家で傷を癒している間、ボニークライドについての詩を綴り、感激したクライドボニーを抱きしめて愛し合う。

クライドボニーを、歓迎していたかのように見せていたアイヴァンは、ヘイマーと接触して2人の情報を流す。

アイヴァンは、息子を助けるためにヘイマーと取り引きしたのだった。

モスは、2人と行動を共にすることを父アイヴァンに伝える。

しかし、モスは父の言うことに従うことにして、町で2人の前から姿を消す。

街道で、パンクを直していたアイヴァンを見つけたクライドボニーは、車を止めて様子を見に行く。

通りすがりの車を見たアイヴァンは、その瞬間に自分の車の下に身を隠す。

危険を察知したクライドだったが、茂みからマシンガンの銃弾が彼とボニーを襲い、蜂の巣となった2人は死亡する。

そして、茂みから現れたヘイマーは2人の死を確認する。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
刑を終えて出所したばかりのクライド・バロウは、ボニー・パーカーの家の車を物色していたことがきっかけで、彼女に興味を持たれる。
2人は意気投合して旅立ち、お互いの長所を生かして、犯罪に手を染めていく。
失敗を繰り返しながら旅を続ける2人は、車に詳しいモスに出会い、仲間に引き入れる。
そんな時、銀行強盗で、ついにクライドは殺人を犯し、その後、兄のバックと妻ブランチを仲間に加える。
一行は、”バロウ・ギャング”として銀行など襲い、殺人も繰り返して、その名を全米に轟かせるようになる。
そんなクライドらは、貧しい者には危害を加えず、大恐慌で疲弊しきった人々からは、彼らを英 雄視する声も上がり始めるのだが・・・。
__________

期待の新星ウォーレン・ビーティと、同年スクリーンデビューを果たしたフェイ・ダナウェイ、そして、下積み生活の長かったジーン・ハックマンが才能を評価され、彼らの出世作となった作品でもあり、アーサー・ペンのシャープな演出も冴え渡る。

第40回アカデミー賞では、助演女優(エステル・パーソンズ)と撮影賞を受賞した。
・ノミネート
作品・監督
主演男優(ウォーレン・ビーティ
主演女優(フェイ・ダナウェイ
助演男優(ジーン・ハックマン/マイケル・J・ポラード
脚本・衣装デザイン賞

1992年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。

ゲームかスポーツをするように、犯罪を繰り返す若者像に、観客は奇妙な共感を感じてしまい、虐殺に近い衝撃的なラストで、それは頂点に達する。

今見ると物足りなさを感じる性描写などが、当時は批判されたのも事実で、武装していない民間人の銀行員の顔面を銃撃するシーンなども、人々に衝撃を与えた。

プレイボーイとして有名なウォーレン・ビーティが、性的不能者という設定も興味深く、また、弱冠30歳の彼が製作を手がけることで、若者の心を捉える映画作りに、大いに貢献したとも言える。

”衝撃的”と言えば、フェイ・ダナウェイの、冒頭の登場場面でまず圧倒される。
喜怒哀楽を変幻自在に表現する彼女の演技は、その後の活躍を予感させるのに十分な才能を見せつけてくれる。

小柄であり少年のような愛嬌のあるマイケル・J・ポラード、豪快な演技が「フレンチ・コネクション」(1971)の名キャラクター”ポパイ”役を髣髴させるジーン・ハックマン、ヒステリーなその妻で、見事にアカデミー助演賞を獲得したエステル・パーソンズ、主人公らにいたぶられ、復讐に燃えるデンヴァー・パイル、彼と取り引きするダブ・テイラー、そして、本作が映画デビューのジーン・ワイルダーは、短い出演ではあるが、コメディアンとしての才能の片鱗を見せてくれる。
その恋人でエヴァンス・エヴァンスなども共演している。


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