富豪夫人から転落した女性がどん底から抜け出そうとする姿を描く、監督、脚本ウディ・アレン、主演ケイト・ブランシェット、アレック・ボールドウィン、サリー・ホーキンス、ピーター・サースガード他共演のコメディ・ドラマ。 |
・ウディ・アレン / Woody Allen 作品一覧
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■ スタッフ キャスト ■
監督:ウディ・アレン
製作
レッティ・アロンソン
スティーヴン・テネンバウム
エドワード・ウォルソン
製作総指揮
レロイ・シェクター
アダム・B・スターン
脚本:ウディ・アレン
撮影:ハビエル・アギーレサロベ
編集:アリサ・レプセルター
出演
ジャネット“ジャスミン”フランシス:ケイト・ブランシェット
ハル・フランシス:アレック・ボールドウィン
ジンジャー:サリー・ホーキンス
アル・マンシンガー:ルイ・C・K
チリ:ボビー・カナヴェイル
オーギー:アンドリュー・ダイス・クレイ
ドワイト・ウェストレイク:ピーター・サースガード
フリッカー医師:マイケル・スタールバーグ
ジェーン:タミー・ブランチャード
エディ:マックス・カセラ
ダニー・フランシス:アルデン・エーレンライク
アメリカ 映画
配給 ソニー・ピクチャーズ・クラシックス
2013年製作 99分
公開
北米:2013年8月23日
日本:2014年5月10日
製作費 $18,000,000
北米興行収入 $33,404,870
世界 $99,206,220
■ アカデミー賞 ■
第86回アカデミー賞
・受賞
主演女優賞(ケイト・ブランシェット)
・ノミネート
助演女優(サリー・ホーキンス)
脚本賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ニューヨークからサンフランシスコに到着したジャネット“ジャスミン”フランシス(ケイト・ブランシェット)は、お互い里子だったために血はつながっていない妹ジンジャー(サリー・ホーキンス)と一緒に暮らすことになる。
実業家である富豪の夫ハル(アレック・ボールドウィン)とセレブ生活を満喫していたジャスミンだったが、詐欺師だった彼が逮捕されたため、財産他、全てを失ったのだった。
空港からジンジャーのアパートに着いたジャスミンは、留守だったために、ジンジャーに電話をして鍵が預けられている場所を教えてもらい部屋に入る。
庶民的ではあるが、その狭さに驚いたジャスミンは、ハルと共に豪邸で暮らしたことを思い出す。
別れた夫オーギー(アンドリュー・ダイス・クレイ)の家に息子達を迎えに行ったジンジャーは、ジャスミンとハルに金を奪われた話になり彼と口論になる。 戻って来たジンジャーと甥達との再会を喜ぶジャスミンは、一文無しで、この場しか頼るところがないことを伝える。 アルコール依存症で抗うつ剤を飲み続け、心の不安と莫大な借金を抱えるジャスミンだったが、ファーストクラスで来たことを知ったジンジャーは驚き、贅沢が身についていると言われる。 ジンジャーとオーギーはニューヨークを訪ね、ジャスミンとハルは、気が重い5日間を過ごすことになる。 便利屋として一応、地道に働いていたオーギーは、事業を始めることをジャスミンとハルに話す。 ニューヨークに来た理由を語り始めたジンジャーは、宝くじで20万ドルを当てたことをジャスミンとハルに話し、起業についての意見を求める。 その20万ドルをハルに預ければ、何倍かにしてもらえるとジャスミンに言われたオーギーだったが、自分はギャンブラーではないと答える。 まず50%の税金を逃れる方法を考えることだとハルに助言されたオーギーは、カリブ海のホテル・チェーンに投資することを勧められる。 翌日、オーギーとジンジャーは、手配されたリムジンで市内観光に出かける。 停車中にジンジャーは、ハルが女性と密会している姿を目撃してしまう。 ジャスミンの誕生パーティーに出席したジンジャーは、昼間の女性レイリーンと親しそうにしているハルのことでジャスミンと話をするが、夫は浮気をするようなタイプでないと言われる。 ホテルに戻ったジンジャーは、ハルのことをオーギーに伝えるが、彼も紹介されたレイリーンと話したと言われる。 同じ頃、ジャスミンも、レイリーンのことをハルに話して牽制する。 サンフランシスコ。 不躾で下品なチリとエディの話についていけないジャスミンだったが、その後も彼らと過ごす。 エディと付き合ってみないかとチリに訊かれたジャスミンは、歯医者の受付の仕事があるとも言われるが、それを断る。 ジンジャーからも受付の仕事を勧められたジャスミンは、今更、雑用などできないと言って苛立つ。 ファッションセンスを生かしてデザイナーの仕事に就くことをジンジャーから提案されたジャスミンは、ネットで講座を受けていた友人のことを思い出し、まずパソコン教室に通うことを考える。 それからインテリアの勉強をするのでは時間がかかるとジンジャーに言われたジャスミンは、仕方なく歯科医フリッカー(マイケル・スタールバーグ)のクリニックで働くことにする。 苦労しながらパソコン教室にも通うジャスミンは、精神的に限界に達するものの、何んとか乗り切ろうとしてニューヨーク時代を思い出す。 空き時間にパソコン講座の勉強をしていることが、仕事の妨げになるのでやめてもらいたいとフリーッカーに言われたジャスミンは、彼に誘われてバーに向かう。 恋人がいると伝えてあったジャスミンだったが、フリッカーに甘い言葉で迫られる。 義理の息子ダニー(アルデン・エーレンライク)は、父親の詐欺罪の発覚でショックを受け、通っているハーバード大学を中退すると言い出し、ジャスミンの説得も聞こうとしない。 休日に家で勉強していたジャスミンは、チリと友人らがテレビでボクシング観戦をして騒いでいるため苛立つ。 チリに嫌みを言われたジャスミンは、彼らを追い払ってくれたたジンジャーに、まともな男と付き合い、子供のためにもこんな場所から出ることを考えるべきだと伝える。 セクシーでいいところもあるチリの長所を伝えたジンジャーは、泥棒のハルよりはましだとジャスミンに嫌みを言う。 今後が心配になり去った仲間のことを気にするジャスミンだったが、ハルは、今、撤退したら莫大な損失が出ると言って彼女を安心させる。 ようやく仕事も慣れて来たジャスミンだったが、フリッカーに無理矢理迫られ、クリニックを辞めてしまう。 パソコン講座で知り合ったシャロンに、まともな男性を紹介してほしいと伝えたジャスミンは、パーティーに誘われたため、ジンジャーに付き添いを頼む。 友人の妻である弁護士のエイミーと浮気していることをジャスミンから追及されたハルは、それを否定して彼女を納得させる。 パーティーに出席したジンジャーは、サウンド・エンジニアのアル・マンシンガー(ルイ・C・K)とダンスをして、姉のジャスミンに誘われて来たことを話しいい雰囲気になる。 ドワイト・ウェストレイク(ピーター・サースガード)に話しかけられたジャスミンは、彼の妻が他界したことを知る。 外交官だと言うドワイトに夫のことを訊かれたジャスミンは、自分も未亡人だと伝える。 赴任地がウィーンで、数年後には戻り下院議員に出馬するつもりだと言うドワイトから夫の仕事を訊かれたジャスミンは、外科医だと答えてしまう。 死因がストレスによる心臓発作だと話したジャスミンは、アート関係の仕事でないかと言われ、インテリア・デザイナーだと伝える。 購入した家を見てインテリアの助言をしてほしいと頼まれたジャスミンは、それを快く引き受ける。 アルと関係を持ってしまったジンジャーは、今はフリーだと言ってしまう。 約束していたドワイトからの連絡がないため、ジャスミンは苛立つ。 現れたチリからパーティーのことで問い詰められたジンジャーは、男とダンスをしてキスしていた言われ、それを否定する。 尚も追及するチリは、ジャスミンを疫病神扱いして罵り、かかって来た電話がジンジャーの相手だと思い、受話器を壊してしまう。 ジンジャーは、ジャスミンを罵倒するチリを追い払う。 携帯電話の呼び出し音で相手がドワイトだと気づいたジャスミンは、彼に誘われて出かける。 ドワイトの家に案内されたジャスミンは、様々なデザインの構想を思い浮かべ、彼に迫られて愛し合う。 ジンジャーがアルとデートしている間、子供達の相手をしたジャスミンは、夫がペテン師と知り浮気も発覚して人生が終わりかけたと思ったものの、ドワイトと出会えたために全てが過去のことになったと話す。 結婚を考えてほしいとドワイトに言われたジャスミンは、今後の計画を彼から聞いて動揺する。 ジャスミンは、どれほどこの時を待っていたかとドワイトに伝える。 スーパーマーケットのレジ係だったジンジャーは、現れたチリから、アルと寝ていることは知っていると言われ、全てジャスミンのせいにされる。 ジンジャーを失いたくないと言って泣き出したチリは、店長に慰められる。 帰宅したジャスミンは、明日、ドワイトと婚約指輪を買いに行くことをジンジャーに伝える。 フランスの香水をつけたジンジャーが、アルに早く会いたいと言う言葉を聞いたジャスミンは、ハルの浮気を知った時のことを思い出す。 ハルの浮気相手がフランス人留学生だと知らないのは自分だけだと友人から言われてショックを受けたジャスミンは、他に何人も相手がいることも知らされて動揺する。 待ち合わせの場所にアルが現れないために電話をしたジンジャーは、彼には妻がいてバレてしまったことを知らされる。 ドワイトと宝石店に向かったジャスミンは、オーギーに出くわす。 妹の元夫だとジャスミンに紹介されたドワイトは、オーギーが彼女と夫のハルに騙されたという話を聞く。 未だに根に持つオーギーから、義理の息子のダニーが、オークランドの楽器店にいることをジャスミンは知らされる。 ダニーは結婚もして、ハルの自殺から立ち直ったと伝えたオーギーは、過去の恨みは簡単には忘れられないと言い残してその場を去る。 ジャスミンが嘘をついていたことを知ったドワイトは憤慨し、結婚は無理だとジャスミンに伝える。 混乱するジャスミンは、全て自分のせいにするようなことをドワイトに言われて車を降りる。 チリと寄りを戻したジンジャーは、ジャスミンがもうすぐ出て行くので問題ないと伝え、愛を確かめ合う。 オークランド。 ハルに浮気の件を追及するジャスミンは、冷静に話し合おうとする彼から、今回は真剣に愛し合っていると言われて驚く。 取り乱すジャスミンを見たハルは、ホテルに泊まると言って出て行く。 ジャスミンはFBIに連絡を入れて、捜査官がハルを逮捕する。 父には幻滅したが、それ以上にジャスミンを恨んだと言うダニーは、電話した瞬間に後悔したと弁解する彼女と、それ以上話す気にはなれない。 自分にはあなたが必要だとダニーに伝えたジャスミンだったが、今の生活に立ち入らないでほしいと言われて追い払われる。 家に戻ったジャスミンは、寄りを戻したことをジンジャーとアルから知らされる。 ましな男はいるのに負け犬を選ぶ、自尊心がないジンジャーを批判するジャスミンは、だからこんな生活から抜け出せないのだと説教する。 最悪の負け犬と結婚して、人の掴んだチャンスを潰したことを責めるジンジャーは、良い投資を勧めただけだとジャスミンに言われる。 今日、出て行くと言うジャスミンは、ドワイトと結婚して一緒に暮らすとジンジャーに伝える。 いちゃつくジンジャーとチリを無視して家を出たジャスミンは、通りのベンチに座る。 過去の生活を振り返るジャスミンは、周囲を気にせずに、それを語り続ける。
...全てを見る(結末あり)
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婚約者のチリ(ボビー・カナヴェイル)と友人エディ(マックス・カセラ)をジンジャーから紹介されたジャスミンは、今後のことを訊かれ、大学に戻る考えを話す。
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ダニーの中古楽器店を訪ねたジャスミンは、全てを知った彼から、驚いた顔はしないでほしいと言われる。
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*(簡略ストー リー)
実業家の富豪ハルが詐欺罪で逮捕されたため全てを失ったジャネット“ジャスミン”フランシスは、ニューヨークからサンフランシスコに到着する。
妹のジンジャーを頼るしかなかったジャスミンは、アルコールと抗うつ剤に頼りながら、何とか生活の基盤を築こうとする。
ジンジャーの婚約者チリに会ったジャスミンは、歯医者の受付を勧められ、仕方なくその仕事を始めながら、パソコンを習いインテリア・デザイナーの勉強をしようとする。
贅沢が身についていたジャスミンは、周囲に馴染めず精神的にも限界を感じ、セレブ生活を送っていた時代を振り返りながら、どん底から抜け出す方法を模索するのだが・・・。
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ニューヨークの富豪夫人から転落し、情緒不安定的な状態で妹の家に身を寄せながら再出発を考える女性を描く、シリアスドラマに近いコメディ。
設定や登場人物などがテネシー・ウィリアムズの「欲望という名の電車」(1951)に酷似しているため、批評家の間で比較された作品。
かつて、ケイト・ブランシェットはブランチ・デュボワを、アレック・ボールドウィンはスタンリー・コワルスキーを、それぞれ舞台で演じたことがある。
ニューヨークも登場するものの、舞台がサンフランシスコだというところがウディ・アレン作品としては珍しい試み。
北米興行収入は約3300万ドルで、全世界では1億ドルに迫るまずまずのヒットとなった。
物語の状況からして、主人公がセレブに復帰できるのは、その精神状態からしてほぼ不可能なのは明らかだ。
そのため、純真な外交官と出会った時点で、自分をさらけ出し素直に付き合えば丸く収まる展開にも拘らず、過去のセレブ感が邪魔をして全てをぶち壊すという、ウディ・アレンの皮肉を込めた演出は、主人公の”不幸”を描きつつも愉快に感じてしまう面白さがある。
これまでもあらゆる役柄を完璧にこなし、誰もが認める実力派のケイト・ブランシェットの本作の演技も絶賛され、混乱しながら再起を目指す元セレブ女性を熱演し、第86回アカデミー賞では、ついに主演女優賞を受賞した。
他、助演女優(サリー・ホーキンス)と脚本賞にもノミネートされた。
それほど悪人には見えないところが真の詐欺師の特徴だろうか・・・主人公の夫を演ずるアレック・ボールドウィン、主人公の妹を好演するサリー・ホーキンス、彼女と関係するルイ・C・K、彼女の婚約者ボビー・カナヴェイル、その友人マックス・カセラ、彼女の元夫アンドリュー・ダイス・クレイ、主人公と親交を深める外交官ピーター・サースガード、主人公に迫る歯科医のマイケル・スタールバーグ、主人公の友人タミー・ブランチャード、主人公の義理の息子アルデン・エーレンライクなどが共演している。