テキサス州の出生証明書から私生児という言葉を削除するための運動をしたエドナ・グラッドニーの半生を描く、監督マーヴィン・ルロイ、主演グリア・ガーソン、ウォルター・ピジョン、フェリックス・ブレサート、マーシャ・ハント他共演の伝記ドラマ。 |
・ドラマ
■ スタッフ キャスト ■
監督:マーヴィン・ルロイ
製作:アーヴィング・アッシャー
原作:ラルフ・ウィールライト
脚本:アニタ・ルース
撮影
カール・フロイント
W・ハワード・グリーン
編集:ジョージ・ベームラー
美術・装置
セドリック・ギボンズ
ユーリー・マックリアリー
エドウィン・B・ウィリス
音楽:ハーバート・ストサート
出演
エドナ・カーリー・グラッドニー:グリア・ガーソン
サム・グラッドニー:ウォルター・ピジョン
マックス・ブレサート医師:フェリックス・ブレサート
シャーロット・カーリー:マーシャ・ハント
カーリー夫人:フェイ・ホールデン
ジョージ・カーリー:サミュエル・S・ハインズ
サラ・キーツ夫人:キャスリーン・ハワード
キーツ:ジョージ・レッシー
アラン・キーツ:ウィリアム・ヘンリー
ハートフォード判事:ヘンリー・オニール
デイモン・マクファーソン:ジョン・エルドリッジ
ジーク:クリントン・ローズモンド
クレオ:テレサ・ハリス
G・ハリントン・ヘッジャー:チャールズ・アーント
ギルワース夫人:セシル・カニンガム
ローリング夫人:アン・モリス
サミー:リチャード・ニコルズ
トニー:パット・バーカー
ラヴァーン:マーク・ローレンス
アメリカ 映画
配給 MGM
1941年製作 99分
公開
北米:1941年6月26日
日本:1951年11月30日
製作費 $1,112,000
北米興行収入 $1,272,000
世界 $2,658,000
■ アカデミー賞 ■
第14回アカデミー賞
・受賞
美術・装置賞(カラー)
・ノミネート
作品
主演女優(グリア・ガースン)
撮影賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
20世紀初頭、ウィスコンシン州、グリーンベイ。
裕福なカーリー家の長女エドナ(グリア・ガーソン)と義妹シャーロット(マーシャ・ハント)は結婚を控え、2人のためにパーティーが開かれる。
エドナの父カーリー(サミュエル・S・ハインズ)は、2人の娘がいなくなることを寂しく思うものの、妻(フェイ・ホールデン)から、娘は一生、娘だと言われて納得する。
外出から戻ったエドナは、父の銀行の窓口にいた男性から、婚約者デイモン・マクファーソン(ジョン・エルドリッジ)の指輪を見て外すようにと言われたことを、シャーロットに苛立ちながら話す。
男性から、”自分が君の相手だと・・・”と言われたと話すエドナは、その男性に興味を示すシャーロットに、デイモンの方が数段素敵だと伝える。
シャーロットはエドナの両親の親切に感謝し、孤児だった自分に幸せを与えてくれたと言いながらエドナを抱きしめる。
デイモンとシャーロットの婚約者アラン・キーツ(ウィリアム・ヘンリー)が到着する。
パーティーは始まり、主役のエドナとシャーロットは、楽しい時間を過ごす。
そこに、銀行の窓口の男性サム・グラッドニー(ウォルター・ピジョン)が現れ、エドナは、厚かましい彼のことを父に話す。 父から優秀な銀行員だと言われたエドナは、強引なサムに誘われて踊る。 明日、仕事でテキサスに帰ると言うサムは、その場でエドナに求婚して、列車の出発時間を彼女に教える。 デイモンは、何も知らないままエドナからサムを紹介される。 駅でエドナを待っていたサムは、彼女が現れないために、走り出して列車に飛び乗る。 シャーロットと共にホームに着いたエドナは、気がついたサムに手を振る。 車両に戻ったサムはエドナに手紙を書き、2人の文通は続き、やがて愛し合うようになる。 その後、戻ったサムとの結婚が決まったエドナは、母やシャーロットに祝福される。 カーリーに挨拶したサムは、小麦事業が順調だということを報告する。 書斎ではキーツ家との話し合いが行われていたが、アランの父キーツ(ジョージ・レッシー)と母親サラ(キャスリーン・ハワード)は、シャーロットが孤児だったことを問題視しする。 サラはシャーロットを侮辱するが、アランの気持ちは変わらなかった。 ショックを受けたシャーロットは、自分の部屋に向かおうとしてエドナに声をかけられて、ブレスレットは上げると言って投げ捨てる。 シャーロットが部屋に入った直後に銃声が響き、彼女が自殺したことを知ったエドナは泣き崩れる。 テキサス、シャーマン。 エドナが出産することを知ったサムは、マックス・ブレサート医師(フェリックス・ブレサート)の世話になる。 無事に男の子を出産したエドナはサムと共に喜ぶが、子供が産めない体になってしまう。 数年後のクリスマス。 サムの母親がサミーを迎えに来て、2人は馬車に乗るために出かけようとする。 エドナは、叔母のルイーズから届いた花瓶を、使用人のクレオ(テレサ・ハリス)から渡される。 馬のぬいぐるみを渡されたサミーは、両親に見送られながら祖母と共に馬車で出かける。 その後、使用人のジーク(クリントン・ローズモンド)に呼ばれたエドナは、サミーが事故に遭ったことを知る。 エドナとサムは、サミーの死を確認して悲しむ。 結婚8周年を迎え、事業も順調なサムとエドナは何不自由ない贅沢な生活をしていた。 パーティーの最中、エドナは、サムとブレサートの考えで少女を養子にすることを提案される。 それを拒むエドナが苦しむ姿を見たサムは、彼女を気遣う。 サムの気持ちを察したエドナは、働く女性のために子供たちを預かるサービスを始める。 エドナをサポートしていたサムは、訪ねて来たG・ハリントン・ヘッジャー(チャールズ・アーント)と話し、製粉工場を任せているフレイザーからの伝言を受け取る。 サムは、小麦相場の下落に伴い、これ以上、融資を受けられないことを知り、その後、破産した彼は家財を売却することになる。 家財は競売にかけられて、託児所は地元の女性たちに引き継がれ、サムとエドナはフォートワースに移り住むことになる。 エドナは、後を任せる女性たちから、競売に出された叔母の花瓶を渡され、その親切に感謝しながらサムと共に旅立つ。 フォートワース。 そんなサムのことを心配していたエドナは、裁判所で、孤児の子供たちがもののように扱われている姿を見て、施設の開設を考える。 帰宅したサムが連れて来たジークとの再会を喜ぶエドナは、寝る場所さえあればいいと言われ、2人に、空いていた部屋にいる幼い子供たちのことを知らせる。 エドナは裁判所で見たことを話し、里親が見つからないトニーともう1人を預かったとサムに伝える。 託児所を始めたエドナは、ジークとクレオに手伝ってもらい、忙しい日々を過ごしていた。 ある日エドナは、何人かの来客に対応しながら病気の子供の治療もしていた。 エドナは、トニーの脚が治らないことをブレサートに相談する。 孤児を引き取りたいギルワース夫人(セシル・カニンガム)と話をしたエドナは、トニーの具合を見るために席を外す。 代わりに話を聞くブレサートの質問を侮辱と捉えたギルワース夫人は、気分を害して帰ってしまう。 その後エドナは、地区の条例に従った認可を、施設が受けていないことを指摘され、運営できなくなる。 サムが過労で倒れたことを知ったエドナは、ベッドで休んでいた彼の元に向かい、開発した技術が売れたことを知らされる。 子供たちのために闘うようにとエドナに言い残したサムは、静かに息を引き取る。 悲しむ間もなくエドナは、テキサス中を回り寄付を集め、やがて子供の家を開設する。 トニー(パット・バーカー)は成長するものの、ギブスをしないと歩けなかった。 エドナは、預かっている乳児フレデリックの父親ラヴァーン(マーク・ローレンス)を呼び、親子で一緒に暮らすことを勧める。 妻を亡くしたラヴァーンにそのつもりがないことを知ったエドナは、子供がいないので気持ちが分からないと言う彼の言葉に気分を害し帰ってもらう。 大金を寄付しに来たヘレンと話をしたエドナは、孤児だと言う彼女が、それが原因で結婚できなかったことを知る。 シャーロットの事件を思い出したエドナは、ヘレンのバッグを調べ、自殺を考え睡眠薬を持っていることを知る。 エドナは、テキサス州の出生証明書から私生児という言葉を削除させる運動をすることを決意し、結婚して幸せのために闘うようにとヘレンに伝えて励ます。 エドナは、私生児という言葉を証明書からなくすことこそが、自分に与えられた使命だと気づく。 その後、自分の主張を不道徳だと言う婦人たちから抗議を受けたエドナだったが、考えを変える気はなかった。 私生児の件が州議会で議題にあがることになり、エドナはオースティンに向かう考えをブレサートに伝える。 現れたラヴァーンと話をしたエドナは、子供を養子に出した際に受け取った金を要求され、法廷で争うことになる。 ハートフォード判事(ヘンリー・オニール)は、ラヴァーンの息子フレデリックを養子に出した先を教えることをエドナに指示し、従わなければ収監すると伝える。 収監を選ぶと言うエドナの答えに対して判事は、次回の公判で判決を下すことにする。 判事は、脅迫を罰する法もあることをラヴァーンに伝える。 エドナにオースティン行きを勧めた判事は、神が護ってくれると伝える。 オースティン、州議会。 議長に発言を許可されたエドナは、子供を手放さなければならない母親の気持ちを話し、法で決められた私生児などいないと訴える。 フォートワースに戻ったエドナは、トニーがギブスなしで歩けるようになったことを知り、それを喜び彼を抱きしめる。 電報を受け取ったエドナは、出生証明に関する新法が成立したことを知り、それをブレサートに伝える。 訪ねて来たエルドリッジと話したエドナは、最近、子供を亡くした彼から、それ以来、妻が病気になったことを知らされる。 回復の見込みがない妻は、もう一度、自分の子を抱けば治る可能性があると医者から言われたと話すエルドリッジは、ブレサートからトニーを養子に勧められたことをエドナに伝える。 幼いころから育てたトニーを手放す気になれないエドナはそれを断り、仕方なく納得するしかないエルドリッジは、彼女に名刺を渡してその場を去る。 ブレサートは、トニーに必要なのは両親と家庭であり、施設ではないと言ってエドナを説得する。 施設から手を引くことを決めたエドナは、ウィスコンシンに帰りトニーと暮らすとブレサートに伝える。 わが子を亡くしても、多くの子を神が授けてくださったと言ったサムの言葉をエドナに伝えたブレサートだったが、彼女が考えを変えないために諦める。 トニーと共に旅立つ準備をしていたエドナは、警官が幼い子供2人を連れて来たことに気づく。 1人が発熱していたために、エドナは看病する。 その後、エルドリッジ夫妻を呼んだエドナは、眠っていたトニーを起こして2人に引き渡す。 眠っている子供たちの部屋に向かったエドナは荷物を戻し、発熱した子のベッドにサミーの馬のぬいぐるみを置き、彼の手を握り締める。
...全てを見る(結末あり)
その後、エドナと結婚したサムは製粉会社の経営者となる。
サムとエドナは、成長したサミー(リチャード・ニコルズ)と共に楽しい時間を過ごしていた。
サムは小さな工場を経営し、新種の小麦の開発のために働き続ける。
激しい議論が繰り広げられる中、傍聴席からエドナが意見する。
*(簡略ストーリー)
20世紀初頭、ウィスコンシン州、グリーンベイ。
裕福なカーリー家の長女エドナは、孤児だった義妹シャーロットと共に結婚を控えていた。
父の銀行の行員サムに強引に迫られ、彼と結婚することになったエドナだったが、婚約者の両親に孤児だったことを知られたシャーロットは、ショックを受けて自殺してしまう。
サムと結婚したエドナはフォートワースに向かい、会社経営をする彼と共に豊かな生活をしながら男の子を出産する。
しかし、息子サミーは事故死してしまい、エドナはサムから養子を取ることを提案される
一旦はそれを断ったエドナは、働く女性のための託児所を開設するのだが・・・。
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若くして才能を発揮し、既に多くの作品を手掛けていたマーヴィン・ルロイが監督し、グリア・ガーソンとウォルター・ピジョンが共演したことで話題になった作品。
名コンビとして知られるグリア・ガーソンとウォルター・ピジョンにとっては、本作が初共演作であり、2人は計9作で共演した。
テキサス州の出生証明書から、”私生児”という言葉を削除するための運動をしたエドナ・グラッドニーの半生を描くドラマ。
上記のように、名コンビとなる2人が演じる主人公の愛のドラマであり、私生児にも平等の権利を与えるという考えではなく、その言葉自体を削除しようとした、エドナ・グラッドニーの執念とも言える活動を描く、社会性のある内容も興味深い。
そのエドナ・グラッドニーを熱演するグリア・ガーソンの美しさが際立つ、鮮やかなカラー映像も印象に残る。
妻を支える夫を演ずるウォルター・ピジョンの好演も見逃せないのだが、ドラマの半ばで過労で亡くなってしまう役柄はやや寂しい。
孤児であることで悩み自殺してしまう、主人公の義妹を演ずるマーシャ・ハントも、序盤で姿を消してしまうのは残念だ。
第14回アカデミー賞では、作品賞以下4部門にノミネートされ、美術・装置賞(カラー)を受賞した。
・ノミネート
作品
主演女優(グリア・ガースン)
撮影賞
主人公2人に協力し、よき理解者でもある医師のフェリックス・ブレサート、主人公の両親フェイ・ホールデンとサミュエル・S・ハインズ、シャーロット(マーシャ・ハント)の婚約者ウィリアム・ヘンリー、その両親キャスリーン・ハワードとジョージ・レッシー、判事のヘンリー・オニール、主人公の婚約者ジョン・エルドリッジ、主人公の使用人クリントン・ローズモンドとテレサ・ハリス、サム(ウォルター・ピジョン)に会社の業績不振を知らせるチャールズ・アーント、孤児を引き取ろうとする夫人のセシル・カニンガム、同じくアン・モリス、主人公の息子リチャード・ニコルズ、主人公が長年育てる孤児のパット・バーカー、主人公を脅す男マーク・ローレンスなどが共演している。