小説”Deux frères, flic & truand”(ミシェル・パペとブルーノ・パペ)を基に2008年に公開されたフランス映画”Les Liens du sang”のリメイク。 犯罪者の兄と刑事の弟の考えの相違や葛藤を描く、製作、監督、脚本ギョーム・カネ、主演クライヴ・オーウェン、ビリー・クラダップ、マリオン・コティヤール、ミラ・クニス、ゾーイ・サルダナ、マティアス・スーナールツ、ジェームズ・カーン他共演の犯罪ドラマ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ギョーム・カネ
製作
アラン・アタル
ギョーム・カネ
ジョン・レッシャー
クリストファー・ウッドロー
ヒューゴ・セルニャク
製作総指揮
マリア・セストーン
モリー・コナーズ
サラ・E・ジョンソン
ジェームズ・グレイ
ヴィンセント・マラヴァル
ホイト・デヴィッド・モーガン
ケリー・オレント
原作
ジャック・マイヨ”Les Liens du sang”(映画)
ミシェル・パペ
ブルーノ・パペ
”Deux frères, flic & truand”(小説)
脚本
ギョーム・カネ
ジェームズ・グレイ
撮影:クリストフ・オーファンスタン
編集:エルベ・ド・ルーズ
音楽:ヨードリス
出演
クリス・ピアジンスキー:クライヴ・オーウェン
フランク・ピアジンスキー:ビリー・クラダップ
モニカ・ダマート:マリオン・コティヤール
ナタリー:ミラ・クニス
ヴァネッサ・スカルフォ:ゾーイ・サルダナ
アンソニー・スカルフォ:マティアス・スーナールツ
レオン・ピアジンスキー:ジェームズ・カーン
コネラン警部補:ノア・エメリッヒ
マリー・ピアジンスキー:リリ・テイラー
マイク:ドメニク・ランバルドッツィ
ルビー:マーク・マホーニー
ヴァレンティ:ジョン・ヴェンティミリア
マクナリー:グリフィン・ダン
イヴォンヌ:イヴ・ヒューソン
ニック:ジェイミー・ヘクター
ファビオ・デ・ソト:ユル・ヴァスケス
フランス/アメリカ 映画
配給
スタジオカナル(フランス)
ロードサイド・アトラクションズ(北米)
2013年製作 127分
公開
フランス:2013年10月30日
北米:2014年3月21日
日本:2014年7月19日
製作費 $25,500,000
北米興行収入 $42,470
世界 $2,415,470
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1974年、ニューヨーク、ブルックリン。
刑事のフランク・ピアジンスキー(ビリー・クラダップ)は、ドラッグ・ディーラーのアンソニー・スカルフォ(マティアス・スーナールツ)のアパートを調べる。
しかし、未登録の拳銃1丁しか見つからなかったことを、フランクは上司のコネラン警部補(ノア・エメリッヒ)に責められる。
コネランは、フランクがアンソニーの妻ヴァネッサ(ゾーイ・サルダナ)を知っていることに気づく。
殺人の罪で12年間服役したクリス・ピアジンスキー(クライヴ・オーウェン)は、一時出所を許可され、妹のマリー(リリ・テイラー)と弟のフランクに迎えられる。
入院している父レオン(ジェームズ・カーン)を見舞ったクリスは、その後、別れた妻モニカ・ダマート(マリオン・コティヤール)のアパートを訪ねて子供達に会う。 クリスを刑務所に送ったフランクは知人の中古車店に向かい、クリスに仕事を世話する。 中古車店で働き始めたクリスは、フランクにアパートも用意してもらう。 元恋人のヴァネッサを尾行して職場で話したフランクは、力になりたいと伝えるものの、二度と会いたくないと言われる。 売上金が合わないことで悩む事務員のナタリー(ミラ・クニス)を気の毒に思ったクリスは、彼女に不足金を渡す。 友人と食事に行くナタリーに誘われたクリスは、その後、彼女の部屋で愛し合う。 マリーと共に退院するレオンを迎えに行ったフランクは、出て行った母親のことを話す。 幼いフランクとマリーを殴るアバズレ女から子供を守るために追い出したというレオンは、過去など考えずに今の人生を生きろと伝える。 服役中のアンソニーに面会するため娘ジェニーを連れて刑務所に向かったヴァネッサは、フランクがつけてきたことに気づく。 仕事場に訪ねて来た幼馴染のマイク(ドメニク・ランバルドッツィ)と話していただけにも拘らず、オーナーのファビオ・デ・ソト(ユル・ヴァスケス)に注意された上に侮辱されたクリスは、怒りを堪えながら辞めてしまう。 クリスが刑務所帰りだとを知ったナタリーは、何の罪で服役していたかを尋ねる。 恋人をレイプして殺した男を殺害した罪で12年の刑を受けたと答えたクリスは、青年時代はほとんど少年院と刑務所で過ごしたと言って、出て行っていいとナタリーに伝える。 自分の父も何度か服役したと伝えたナタリーは、乗り越えると言って、ウソはつかないことをクリスに約束してもらう。 警察署に現れたヴァネッサと共にバーに向かったフランクは、アンソニーの件は不当逮捕だと言われる。 アンソニーは足を洗い、自分達にのために尽くしてくれたと言うヴァネッサと話し合ったフランクだったが、納得いかない彼女は苛立ち店を出る。 ヴァネッサを追ったフランクは、自分を捨てたと言われて非難され、子供の父親であるにも拘らず苦しませたことで、許そうとしてくれない。 フランクに抱きしめられたヴァネッサは拒むことができず、その場で愛し合う。 ヴァネッサを送ったフランクは、一緒に暮らしたいのが本心だと言って、二度と離れないと伝える。 バーで昔の仲間ルビー(マーク・マホーニー)から仕事に誘われたクリスは、それを断る。 売春婦であるモニカから声をかけられたクリスは、誘おうとするものの客と一緒だと言われる。 翌日、マイクと共に公園に向かったクリスは、市が所有する屋台でホットドッグを売る商売を一緒にやることを提案される。 フランクのアパートを訪ねたクリスは、刑務所に面会に行かなかったことを謝罪される。 クリスと同居することでコネランから意見されたフランクは、家族を助けるだけだと言うものの、危険だと忠告される。 屋台は出来上がるものの、市の職員のマクナリー(グリフィン・ダン)から、正式な契約書を交わしていないことと、匿名の手紙で苦情が寄せられていると言われたマイクとクリスは驚く。 納得しないマイクはマクナリーに襲い掛かり、クリスに止められる。 自分に手を出したマイクを許す気のないマクナリーは、苛立ちながらその場を去る。 その夜、マイクとクリスは屋台に火を放つ。 モニカから10年分の養育費を請求されたクリスは、払えるわけもないために困惑する。 自分にしたようにナタリーに客をとらせればいいと言われたクリスはモニカを殴り、金がいるのはドラッグが欲しいからだろうと伝える。 売春も自分で始めたはずであり自分を責めるなとモニカに伝えたクリスは、その場を去る。 ダイナーでナタリーと話したクリスは、何もしてあげられない自分と別れたほうがいいと伝える。 ただ一緒にいたいだけだと言うナタリーだったが、クリスが考えを変えないために席を立ち店を出る。 冷静になったクリスとフランクは、レオンと話をする。 ルビーに会ったクリスは、ディスティファノ兄弟とハーディを殺す仕事を引き受けて、今回だけだと言って銃を受け取る。 マイクと共にバイクで現場に向かい、難なく仕事を片付けたクリスは、ルビーから報酬受け取る。 モニカの話をしたルビーは、仕事ではあるが彼女を通りに立たせたことを謝罪し、ドラッグに手を出したために追い出したと伝える。 ルビーから、次の仕事がありデカい話だと言われたクリスだったが、その場を去る。 子供時代に見張り役だったフランクは、警官が来るのを知らせなかったためにクリスが逮捕され、それ以来、兄から恨まれていることをヴァネッサに話す。 ヴァネッサは、初めて人に話したと言うフランクの気持ちを理解する。 アンソニーに面会したヴァネッサは、離婚することを伝える。 納得しないアンソニーは、次からは必ず娘のジェニーを連れてくるようにとヴァネッサに指示する。 中古車を買い、ナタリーのテーブルに箱を置いて去ったクリスは、クビになった彼女にもっといい仕事があると言って、別れたのは間違いだったと伝える。 指輪を確認したナタリーは、クリスから必ず幸せにすると言われてプロポーズされる。 家族でクリスマスを祝うことになり、クリスはナタリーと、フランクはヴァネッサとジェニーを連れてレオンとマリーの家に向かい、楽しい時間を過ごす。 フランクは、金回りがよさそうなクリスのことが気になる。 訪ねて来た同僚から、クリスが働いていた店が襲われたために話を聞きたいと言われたフランクは、仕方なく中に入れる。 署で話を聞かれたクリスはアパートに戻り、仲間に店を襲わせたと考えるフランクは兄を追い出そうとする。 喧嘩になったクリスはフランクを叩きのめし、もう二度と会いたくないと言われる。 コネランから、クリスが犯罪に関わっていると思われる証拠を見せられたフランクは、彼を追い出すかバッジを返すか迫られる。 銀行前に不審車が止まっているという情報が入り、コネランらと現場に向かい監視するフランクは、問題なく現金を運び込んだ輸送車を追うクリスに気づく。 それをコネランに伝えたフランクは、輸送車を追うことを提案するものの、時間の無駄だと言われたために相棒のヴァレンティ(ジョン・ヴェンティミリア)と共に追跡する。 輸送車は襲われ、マスクを被った男と警官に扮したマイクは、フランクらと銃撃戦になる。 マスクの男を追ったフランクは、発砲して相手の肩に傷を負わせる。 車を奪って逃げようとする男を追い詰めたフランクだったが、銃を構えるだけで逃がしてしまう。 モニカのアパートに向かったクリスは、フランクに受けた弾丸を彼女に摘出してもらう。 事件について部下達と話し合ったコネランは、犯人が兄だとフランクが言っていたことを知る。 勘違いだと言うフランクは拳銃とバッジを置いてその場を去り、彼を追ったコネランは、自分を犠牲にするなと伝える。 情熱が失せたと伝えたフランクは、その場を去る。 マイクと共にルビーの元に向かい大金を見せたクリスは、三人で喜ぶ。 クリスと話しをしようとしないフランクに、問題は兄弟で解決するようと伝えたレオンは、出て行った妻に似ていたフランクを重荷に思い避けていたと言いつつ、父親としての愛を伝える。 その後、レオンの容態が悪化したために様子を見に行ったクリスは、喧嘩したことをフランクに謝罪する。 2週間後の結婚式に出席してほしいとフランクに伝えたクリスは、その場を去る。 結婚式の当日、クリスは、出席してくれたマリーから、フランクが家に来ると言っていたことを知り電話をする。 裏庭にいたフランクだったが、電話には出なかった。 その後、モニカに部屋を与えたクリスは、女達を管理して稼がせるようにと指示し、彼女は承諾する。 一人でもドラッグに手を出したら話はなかったことにすると伝えたクリスは、モニカに誘われて愛し合う。 商売を仕切ったモニカは、順調に稼ぎ始める。 出所したアンソニーが夜中に現れて騒ぎ、同僚に連絡したフランクは彼を逮捕拘留させる。 フランクから暫く街を出ることを提案されたヴァネッサだったが、アンソニーは諦めないと考える。 訪ねて来たクリスに街を離れることを伝えたフランクは、結婚式のことは仕方がないと言われ、ナタリーが妊娠しことを知り名付け親を頼まれる。 断りはしなかったフランクは、クリスの肩の傷に触れて確認し、二度と信用できないので、子供の名付け親になると伝える。 ルビーとバーで飲んでいたクリスは、その場にいたアンソニーが出所したことを知り、話しかけてきた彼から、フランクのことで因縁をつけられる。 アンソニーを痛めつけたクリスは、フランクに手を出したら殺すと言って脅し、数日間、拘束しようとする。 クリスの元に向かったモニカは、その場が警察に監視されていたために非難される。 尾行に気づかないまま部屋に戻ったモニカは、警官に逮捕される。 コネランの取り調べを受けたモニカは、女達を取り仕切っているのなら責任を追わせるが、指示されていたなら話さねば損だと言われる。 何も答えないモニカを留置場に入れて考えさせようとしたコネランは、未成年者を使い麻薬所持のために長い服役が待っていると伝える。 子供達のことを考えると話すしかないモニカは、コネランの元に向かう。 モニカのアパートを調べた警官は、クリスの手当てをした証拠を見つける。 現金輸送車襲撃事件の犯人がクリスの線で固まったことを同僚のヴァレンティから知らされたフランクは、朝一で逮捕されると言われる。 悩むフランクはクリスに電話をするものの、無言のまま電話を切る。 夜が明けてクリスの家に警官が押し入るものの、彼は既に逃亡していた。 マイクの元に向かったクリスは、警察に追われていることを伝えて、見張りを殺したアンソニーが姿を消したことを知らされる。 ナタリーに現金を渡してほしいとマイクに伝えたクリスは、フランクの危険を察して彼の家に向かう。 既に家を出たフランクが”グランド・セントラル駅”に向かったことを知ったクリスは、駆け付けた警察に気づき、その場から逃れる。 駅に着いたクリスは、警官に追われながら”ブリッジポート”行きの列車のホームに向かう。 フランクとヴァネッサを追うアンソニーに気づいたクリスは、彼に近づく。 銃を手にしたアンソニーを背後から射殺したクリスは、警官には抵抗せずフランクに微笑む。 クリスを見つめるフランクは、呆然とする。
...全てを見る(結末あり)
感謝祭に家族で食事をするために集まったクリスとフランクは口論になり、それを制止したレオンは突き飛ばされて額をテーブルにぶつけてしまう。
*(簡略ストー リー)
1974年、ニューヨーク、ブルックリン。
殺人罪で12年服役したクリス・ピアジンスキーは、刑事である弟のフランクと妹マリーに迎えられ、入院する父レオンの元に向かう。
あることがきっかけで不仲だったが、フランクは中古車店の仕事をクリスに世話する。
真面目に働き始めたクリスは、事務員のナタリーと愛し合うようになる。
フランクは、逮捕して刑務所に送ったドラッグ・ディーラーのアンソニーと結婚した元恋人のヴァネッサと寄りを戻そうとする。
些細なことがきっかけで仕事を辞めたクリスは、裏社会の仕事に戻り、元妻で売春婦のモニカに部屋を与えて女達のまとめ役をさせて稼がせる。
ヴァネッサと暮らし始めたフランクは、金回りがよくなったクリスの行動が気になり始める・・・。
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製作、監督、脚本を務めるギョーム・カネが主演した、2008年に公開されたフランス映画”Les Liens du sang”のリメイク。
犯罪者の兄と刑事の弟、対照的な人生を歩みながら埋められない溝に苦悩する二人の過酷な運命を描く犯罪ドラマ。
1970年代のニューヨーク、ブルックリンを舞台にした物語であるが、セット、メイク、衣裳などを再現しているだけで、ギョーム・カネのフランス感覚なのか、当時の混沌とするアメリカ社会や雰囲気が伝わってこない。
出所して更生しようとした犯罪者が再び悪の道に走る内容を含め、ギョーム・カネの演出と脚本も平凡だ。
国際色豊かな豪華スター競演も注目なのだが、批評家の評価も低く、北米では拡大公開されることもなく、興行的にも失敗し、わずか2週間で打ち切りとなった。
長い刑期を終えて出所し堅気の人生を送ろうとするものの、結局は裏社会の生活に戻る主人公を演ずるクライヴ・オーウェン、その弟である刑事で、全く違う人生を歩む兄との溝を埋めることができないビリー・クラダップ、主人公の元妻で売春婦である、ギョーム・カネのパートナーのマリオン・コティヤール、主人公と愛し合うようになり結婚するミラ・クニス、フランク(ビリー・クラダップ)の元恋人で寄りを戻すゾーイ・サルダナ、ドラッグ・ディーラーであるその夫のマティアス・スーナールツ、主人公の父親ジェームズ・カーン、彼と暮らす娘のリリ・テイラー、フランクを気遣う上司のノア・エメリッヒ、主人公の幼馴染ドメニク・ランバルドッツィ、主人公に仕事を与える男マーク・マホーニー、フランクの同僚ジョン・ヴェンティミリア、市の職員グリフィン・ダン、娼婦のイヴ・ヒューソン(ボノの娘)、刑事のジェイミー・ヘクター、中古車店のオーナー、ユル・ヴァスケスなどが共演している。