製作、監督、脚本、編集を兼ねるコーエン兄弟のデビュー作である注目のサスペンス・スリラー。 主演ジョン・ゲッツ、フランシス・マクドーマンド、ダン・ヘダヤ、M・エメット・ウォルシュ他共演。 |
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・フランシス・マクドーマンド / Frances McDormand / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジョエル・コーエン
製作総指揮:ダニエル・F・バカナー
製作:イーサン・コーエン
脚本
ジョエル・コーエン
イーサン・コーエン
撮影:バリー・ソネンフェルド
編集
ロデリック・ジェインズ
ドン・ウェイグマン
音楽:カーター・バーウェル
出演
ジョン・ゲッツ:レイ
フランシス・マクドーマンド:アビー
ダン・ヘダヤ:ジュリアン・マーティ
M・エメット・ウォルシュ:ローレン・フィッセル
サム=アート・ウィリアムズ:モーリス
アメリカ 映画
配給 Circle Films
1985年製作 99分(DC96分)
公開
北米:1985年1月18日
日本:2000年11月4日(DC)
製作費 $1,500,000
北米興行収入 $3,851,860
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
テキサスのある町。
酒場の経営者ジュリアン・マーティ(ダン・ヘダヤ)の妻アビー(フランシス・マクドーマンド)は、夫の目を盗み、従業員のレイ(ジョン・ゲッツ)と一夜を共にしてしまう。
アビーとレイの関係に気づいていたマーティは、私立探偵のローレン・フィッセル(M・エメット・ウォルシュ)に、二人の行動を探らせて、決定的な証拠写真を手に入れる。
マーティの元に現れたレイは、給料をもらい店を辞めようとするが、アビーは相手は誰でもよかったと言って、彼を侮辱して追い払う。
レイとアビーは再びベッドを共にしてしまうが、翌朝、マーティが現れ彼女に襲い掛かる。 しかし、アビーはマーティの急所に蹴りを入れ、彼はもがきながらその場を立ち去る。 怒りの修まらないマーティは再びローレンに会い、レイとアビーの抹殺を1万ドルで依頼する。 マーティの異常さを知るアビーは、彼が襲ってくるのではと怯える。 そしてローレンは、レイの家に侵入して二人の寝ている寝室に向かう。 仕事を終えたローレンはマーティに連絡を入れ、二人を殺害した証拠写真を渡す。 二人の死を知り動揺するマーティだったが、ローレンに約束通り金を渡す。 現金を確認したローレンは、突然、銃を抜きマーティを銃撃するが、その銃はアビーのものだった。 その後、店にレイが現れ、マーティの遺体とアビーの拳銃を見つける。 アビーが、マーティを殺害したものと思い込んだレイは、車で遺体を運ぶものの彼が生きていることを知る。 街道でマーティを轢き殺そうとしたレイだったが、それが出来ずに畑に穴を掘り、彼を生き埋めにしてアビーの元に戻る。 ローレンは、マーティに見せた、射殺体に見せかけたレイとアビーの合成写真を焼却し、証拠を消し去ろうとするが、ライターを店に置き忘れたのに気づく。 一方レイは、アビーに後始末をしたことを伝えるが、彼女には何の事か意味が分からず、そこに無言電話がかかり、それがマーティからだと思い込む。 混乱したレイは、アビーが誰かとグルだと考え、彼女に別れを告げてその場を立ち去る。 店に侵入したローレンは、遺体が消えていることに驚き金庫をこじ開けようとする。 そこにアビーが現れローレンは隠れるが、オフィスと金庫が物色されていることに気づきながら彼女は眠ってしまう。 マーティが、オフィスに戻っている悪夢を見たアビーは、レイが金庫の金を盗み、マーティと揉めたと思い込み彼にそれを問い質す。 レイが、マーティを生き埋めにしたことを知ったアビーは、酒場の店員モーリス(サム=アート・ウィリアムズ)にそれを伝える。 レイは店のオフィスの金庫の中から、自分達が殺されたように見せかけた写真を見つける。 アビーに全てを話そうとしたレイは、彼女の目の前でローレンに銃撃され、銃弾はアビーにも襲い掛かる。 レイの遺体から、ライターを探し出そうとするローレンだったが、それが見つからずにアビーを捜す。 アビーは、隣の部屋の窓をこじ開けようとするローレンの手にナイフを突き刺し、彼は壁に銃弾を撃ち込み、 壁を破り、自分の手でナイフを抜き取ったローレンは、アビーに襲い掛かろうとするが、彼女はドア越しに銃弾を放つ。 アビーは、生き延びて、忍び寄ってきたマーティを殺したものと思い込む。 瀕死のローレンは笑いながら、アビーにあの世でマーティによろしく伝えると語りかける。 そしてローレンは、倒れて頭上に見える洗面台が、表面のシンプルさに反し、底の配管が、あまりに無意味な構造をしているのに驚く。 そして、水滴がローレンの顔面に垂れようとする。
...全てを見る(結末あり)
それを突き破ろうとする。
*(簡略ストー リー)
テキサスのある町。
酒場の経営者マーティの妻アビーは、夫の目を盗み従業員のレイと、一夜を共にしてしまう。
二人の関係に気づいたマーティは、私立探偵ローレンを雇い、決定的な証拠写真を手に入れる。
レイは、店を辞めようとするのだが、アビーは相手は誰でもよかったと、レイを侮辱して追い払うものの、二人は再び愛し合う。
憤慨したマーティは、アビーに襲い掛かるが、彼女に追い払われてしまう。
怒りの収まらないマーティは、ローレルに、1万ドルの報酬で、レイとアビーの抹殺を依頼するのだが・・・。
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製作、監督、脚本、編集を兼ねるコーエン兄弟のデビュー作であり、各映画祭で絶賛され翌年に劇場公開された注目のサスペンス・スリラー。
コーエン兄弟のデビュー作にして、その完成度の高さは、サスペンス・スリラーの傑作と言っていいほどの仕上がりを見せる。
風刺や皮肉を込めた恐怖、残酷、ユーモア、後のコーエン兄弟作品の作風が網羅されている、正に彼らの原点に相応しい、教科書のような作品。
意味なく複雑に絡み合う洗面台の配管を、登場人物の思惑が、最後まで全て合致しない複雑な展開と結びつけて、象徴的に描写するラストなども圧巻だ。
残虐でショッキングな場面も多い殺人事件は、観客には、各自が真相を把握できない滑稽な物語にさえ見え、尚且つ恐怖や緊張感を煽る手法など、どれをとっても、コーエン兄弟ファンにはたまらないシーンの連続だ。
銃弾の穴からもれる光で、迫る相手の恐怖を伝え強調する、バリー・ソネンフェルドの映像センス、コーエン兄弟作品、全てで音楽を担当することになる、カーター・バーウェルの控えめな音楽なども興味深い。
今観ると、コーエン兄弟の作品にしてはややインパクトが低い主人公ジョン・ゲッツ、兄弟と共に、本作でデビューし、10年後にジョエル・コーエンと結婚する、まだ20代半ばのフランシス・マクドーマンドも注目で、陰湿なその夫を演じ、この頃から、欠かせないバイプレイヤーとして活躍するダン・ヘダヤ、強かな私立探偵で、ラストも締めるM・エメット・ウォルシュなどが共演している。