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ブリス Bliss (2021)

仮想世界と現実の狭間で苦悩する男性の心理を描く、監督、脚本マイク・ケイヒル、主演オーウェン・ウィルソンサルマ・ハエック他共演のドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ


スタッフ キャスト
監督:マイク・ケイヒル
製作:ジェームズ・D・スターン
製作総指揮
ルーカス・スミス
マーシャ・L・スウィントン
脚本:マイク・ケイヒル
撮影:マルクス・フェーデラー
編集:トロイ・タカキ
音楽:ウィル・ベイツ

出演
グレッグ・ウィトル:オーウェン・ウィルソン
イザベル・クレメンス:サルマ・ハエック
エミリー・ウィトル:ネスタ・クーパー
エミリー・ウィトル(幼年期):コサー・ルカヴィナ
キャメロン:ジョシュア・レナード
アーサー・ウィトル:ホルヘ・レンデボルグJr.
ケンドー:ロニー・チェン
ビョルン・ペデルセン:スティーヴ・ジシス
ドリス:マデリーン・ジーマ
本人:ビル・ナイ
本人:スラヴォイ・シジェク

アメリカ 映画
配給 アマゾン・スタジオ
2021年製作 103分
公開
北米:2021年2月5日
日本:2021年2月5日


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
会社員のグレッグ・ウィットル(オーウェン・ウィルソン)は、仕事の合間に空想したことを描いていた。

娘のエミリー(ネスタ・クーパー)からの電話に出たグレッグは、高校の卒業式に来てほしいと言われ、別れた妻に気を遣う。

上司のビョルン・ペデルセン(スティーヴ・ジシス)に呼ばれたグレッグは、現れた同僚のキャメロン(ジョシュア・レナード)から絵のことを訊かれたために、プライベートなものだと伝える。

ビョルンの秘書ドリス(マデリーン・ジーマ)に催促されたグレッグは、処方薬が残り少なくなったことに気づき、電話で補充注文しようとする。

診察を受けなければ処方しないと言われたグレッグは諦めて、財布を置き忘れたままビョルンのオフィスに向かう。

ビョルンに解雇されたグレッグは、座ったまま呆然とする。

突然、立ち上がったグレッグは、その拍子にビョルンを突き飛ばしてしまい、デスクで後頭部を強打した彼は死亡する。

焦ったグレッグはビョルンの遺体を窓際に運び、カーテンで隠してその場を去る。

ビルを出たグレッグは向かいのバーで、酒を飲んで落ち着こうとする。

グレッグは、席に座っている女性イザベル・クレメンス(サルマ・ハエック)が、自分を見つめていることに気づく。
...全てを見る(結末あり)

イザベルから”リアル”だと言われたグレッグは、その意味が理解できず、何でも思い通りにできる彼女の念力のようなパワーを見せられる。

席に誘われたグレッグは、アリバイが必要なはずだと言うイザベルが、窓際のビョルンの遺体を指差したために驚く。

助けてあげると言うイザベルは、意図しない結果でこの世界を作ってしまったという話をする。

グレッグは、トイレにいる元恋人から魔除けのネックレスを奪ってきてほしいと言われ、それが戻れば助けることを約束してくれたイザベルの指示に従う。

ネックレスの中にあるイエロー・クリスタルには、フェイク(仮想)の世界を操る力があることを知ったグレッグは、気を失っている男からそれを奪い、イザベルの元に戻る。

財布も奪うよう指示したイザベルは、グレッグが席を外している間に、彼のグラスにクリスタルを入れる。

イザベルは、戻ったグレッグの手を握り、約束通り助けてあげると伝える。

ビョルンの遺体が窓から落下し、それを目撃したキャメロンらは、自殺だと考える。

驚いたグレッグは、通りに出て現場を確認する。

ビョルンが飛び降りたことと、グレッグがバーを出たのを大勢が目撃したと言うザベルは、彼を連れてその場を離れる。

イザベルは、騒ぎが収まるまで隠れているべきだとグレッグに伝えて、彼の携帯電話を売る。

グレッグをホームレスが暮らすエリアに連れて行ったイザベルは、離婚したばかりで家もなく、財布もなくてモーテルに戻れない彼に、ここにいてもいいと伝える。

その夜グレッグは、ビョルンの自殺に事件性がないというニュースを見て安心し、それほど悪いボスではなかったとイザベルに伝える。

グレッグは、自分にもパワーが備わったことをイザベルから知らされる。

夢の家のことを訊かれたグレッグは、空想であり描かずにはいられない、半島にある家の話をする。

絵を見せたグレッグは、感心するイザベルに”ホテル・プレアデス”の話もして、どこにあるか訊かれたために、自分の脳の中だと答える。

タバコを吸う女性の絵に気づいたイザベルは、自分だと言って、これは現実の世界で、今いる世界とは違うとグレッグに伝える。

イザベルは、それが理解できないグレッグに、自分の恋人である運命の男だと伝えて、2人はキスする。

兄のアーサー(ホルヘ・レンデボルグJr.)を訪ねたエミリーは、卒業式にグレッグを呼びたいと伝える。

グレッグを嫌うアーサーは、一緒に捜してほしいと言うエミリーの頼みを断る。

翌日、ローラースケートを楽しんだグレッグとイザベルは、クリスタルを飲み、パワーを使い人々を転倒させる。

他の客の帽子やコートを盗んだグレッグとイザベルは、駆け付けた警官が、ローラースケート場でイタズラをした者たちを逮捕して連行する姿を見つめる。

パトカーに乗せられたのはグレッグとイザベルで、その後、釈放された2人は、クリスタルがなくなったことに気づく。

その頃エミリーは、グレッグを捜していた。

ファストフード店に向かい、イザベルから注文っするようにと指示されたグレッグは、彼女が売春婦に声をかける男の車に乗ったために店を出る。

その店にいたアーサーは、グレッグに気づくものの、浮浪者のような父に声をかけなかった。

戻ったイザベルは、クリスタルを手に入れるためにケンドー(ロニー・チェン)の元に向かい、その間グレッグは外で待つ。

アーサーからの電話でグレッグのことを聞いたエミリーは、父を見つけて連れ帰ろうとする。

人を待っていると言うグレッグは、卒業式のことを思い出し、2週間前に終わったことを知る。

エミリーは、自分の卒業写真に電話番号を書き、グレッグに渡してその場を去る。

その様子を見て戻ったイザベルは、エミリーはリアルではないと言って、グレッグとテントに戻ろうとする。

そこにドラッグの売人が現れ、言いがかりをつけられたグレッグは、イザベルからクリスタルをもらう。

それを飲んだグレッグはパワーを使い、売人の車を潰して殺すものの、その場にうずくまってしまう。

翌朝、テントで目覚めたグレッグは、イザベルがいなかったために、貼られていた絵を持ってその場を離れる。

公衆電話でエミリーに電話をしたグレッグは、メッセージを残してテントに戻る。

捨てられたと思ったイザベルは激怒してグレッグを責め、彼がエミリーに会おうとしたことを知り、リアルでないと言いながら、幻の世界に引きずり込まれると伝える。

それを証明してみせろと言われたイザベルは、金庫から特別なブルー・クリスタルを出し、グレッグにそれを鼻から吸わせる。

目覚めたグレッグは、イザベルや数人の人々が、ブレインボックスという装置につながれた状態でいることに気づく。

グレッグは、同じ科学者のイザベルが、別の世界と脳への影響を研究するために作ったブレインボックスの中で、今までのことを体験していたことを知らされる。

”FGP”という言葉が”虚偽的生成人物”を意味することも知ったグレッグは、エミリーもそれに該当することに気づく。

ランチに出かけたイザベルは、自分たちがこの世界ではカップルであることをグレッグに理解させ、半島の丘の上の家や”ホテル・プレアデス”のことを知らせる。

グレッグは、自分が描いた絵がこの世界を再現したものであることに気づく。

グレッグは、目の前の楽園のような世界のことを思い出せないが、新鮮な目で見られると言って満足する。

イザベルは、長い荒廃の時代の後、地球上のほとんどの問題が解消され、人類は繁栄したとグレッグに伝える。

それを説明するために、イザベルは、グレッグが発明した”脳ビジュアライザー”を見せる。

その後、グレッグとイザベルは、ホテル・プレアデスの展望台で開かれる交流会に向かう。

グレッグとイザベルは、科学教育者ビル・ナイや哲学者のスラヴォイ・シジェクの話を聞く。

夜になり、グレッグは、話しかけてきたナイから、イザベルの研究で問題が起きているという噂について訊かれ、彼女の評判が落ちていることを知らされる。

イザベルは、グレッグがナイと話していたことが気になり、皆が成功を祈っていると言われるものの、偽善だと考えて納得できない。

翌朝イザベルは、ブレインボックスの体験を終わらせて完全なものにするために、もう一度、戻るべきだと考える。

その気になれないグレッグは、自分を疑うのはやめた方がいいと言って、ブレインボックスの発表を勧める。

ブレインボックスを公表する祝賀会が開かれ、被験者となったグレッグは、その場に現れたエミリーが見えてしまう。

それに気づいたイザベルは、出席者が納得する説明で話をまとめる。

ナイは、悪評は覆ったと言ってイザベルの発表を称える。

再び現れたエミリーを追い話しかけたグレッグは、自分はリアルであり娘だと言う彼女の話を聞いて混乱する。

エミリーがテントから持ってきたネックレスを渡されたグレッグは、6歳の時に彼女と交わした言葉を思い出す。

グレッグは、ブルー・クリスタルの副作用で、仮想世界の記憶は消えると言っていたと、イザベルが話したことをエミリーに伝える。

エミリーは、いつかどちらの世界を選ぶ時が来るが、両方がリアルなのかもしれないとグレッグに伝える。

幸せになれる方を選んでとグレッグに伝えたエミリーは姿を消す。

イザベルの意見を訊こうとする人々で会場は混乱し、イエロー・クリスタルを飲んだグレッグは、人々を制止して彼女を連れ出す。

イザベルは、多くのブルー・クリスタルを摂取する必要があると、グレッグに伝えてラボに向かい、それには仮想世界に戻るしかないと言って、ブレインボックスに接続する。

雨の中、テントで目覚めたイザベルは、グレッグと共にバーに向かい、ケンドーを捜す。

向かいの会社の前にいるビョルンに気づいたグレッグは驚くが、イザベルは、彼はFGPなので再起動させられただけだと伝える。

売春婦を探していた男の車を奪ったイザベルとグレッグは、その場にあった銃を持ってケンドーの元に向かう。

ケンドーを銃撃してブルー・クリスタルを手に入れたイザベルとグレッグは、警察が来たためにテントに戻る。

エミリーは、グレッグが会社の前で目撃されたことをアーサーに伝えて、一緒に捜しに行く。

テントに戻ったイザベルはクリスタルが足りないことに気づき、警察に見つかり焦る。

1人しか戻れないと言われたグレッグは、楽しい思いをしたこの場から自分は離れないとイザベルに伝える。

グレッグは、仮想世界ではリアルな人間は死ねないと考え、自分を殺すようイザベルに伝える。

そこにエミリーが現れ、グレッグを逃がしたイザベルは、警官に投降するものの、ブルー・クリスタルを吸ってリアルの世界に戻る。

安全な場所まで逃げたグレッグは、リハビリ・クリニックに向かう。

グループ治療に参加したグレッグは、エミリーの写真を見せて、娘が実在すると信じていることを皆に伝える。

その後グレッグは、エミリーと待ち合わせた場所に向かい、彼女を抱きしめる。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
会社員のグレッグ・ウィトルは、空想を絵にするのが趣味だった。
解雇されたグレッグは、誤って上司のビョルンを殺してしまい、遺体を隠して向かいのバーに向かう。
グレッグは、そこで出会ったイザベルから、ここは自分が作った仮想世界だと言われ、ビョルンのことで助けられ、彼女が暮らすホームレスのテントに向かう。
イザベルから、リアルな人間がパワーを使えるクリスタルの話を聞いたグレッグは、それを体験しながら彼女との時間を楽しむのだが・・・。
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ジョージタウン大学大学時代に親交を深めたブリット・マーリングと共に手掛けた短編”Boxers and Ballerinas”が評価され、その後も「アナザー プラネット」(2011)、「アイ・オリジンズ」(2014)でも彼女と組んだことでも知られるマイク・ケイヒルが、監督と脚本を兼ねた作品。

仮想世界と現実の狭間で苦悩する男性の心理を描くドラマ。
カール・セーガンアイザック・アシモフの崇拝者と知られるマイク・ケイヒルが、科学的観点からSFタッチで描いた作品。
アイデア的には興味深い内容となっているが、主人公を演ずるオーウェン・ウィルソンサルマ・ハエックの魅力を活かしきれず、平凡な作品に終わってしまっているのは残念だ。

混沌とする仮想世界から、パラダイスのような現実に戻った際の、クロアチアスプリトロパドで撮影された美しい映像が印象に残る。

主演のオーウェン・ウィルソンは、仮想と現実の世界を行き交い、混乱し苦悩しながら新たな人生を見つける男性を好演している。

開発した装置で主人公に新たな世界を体験させる、恋人である科学者を演ずるサルマ・ハエック、主人公の娘ネスタ・クーパー、その幼年期コサー・ルカヴィナ、主人公の息子ホルヘ・レンデボルグJr.、主人公の同僚ジョシュア・レナード、幻覚剤のようなクリスタルの売人ロニー・チェン、主人公の上司スティーヴ・ジシス、その秘書マデリーン・ジーマ、本人役で科学教育者のビル・ナイ、哲学者のスラヴォイ・シジェクなどが共演している。


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