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ブラック・スネーク・モーン Black Snake Moan (2007)

子供時代の虐待が原因で男を求めずにはいられなくなる女性と傷ついた彼女を介抱し立ち直らせようとする初老の黒人男性との交流を描く、監督、脚本クレイグ・ブリュワー、主演サミュエル・L・ジャクソンクリスティーナ・リッチジャスティン・ティンバーレイク他共演による異色のヒューマン・ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(ヒューマン)


スタッフ キャスト
監督:クレイグ・ブリュワー
製作
ステファニー・アレイン
ジョン・シングルトン
製作総指揮:ロン・シュミット
脚本:クレイグ・ブリュワー
撮影:アメリア・ヴィンセント

編集:ビリー・フォックス
音楽:スコット・ボマー

出演
サミュエル・L・ジャクソン:ラザラス・レッド
クリスティーナ・リッチ:レイ・ドゥール
ジャスティン・ティンバーレイク:ロニー・モーガン
S・エパサ・マーカーソン:アンジェラ
ジョン・コスランJr.:牧師R.L.
デヴィッド・バナー:テロン
マイケル・レイモンド=ジェームズ:ギル・モートン
エイドリアン・レノックス:ローズ・ウッズ
レナード・L・トーマス:ディーク・ウッズ
キム・リチャーズ:サンディ・ドゥール
ネイマス・K・ウィリアムズ:リンカーン・ジェームズ
サン・ハウス:本人

アメリカ 映画
配給 Paramount Vantage
2007年製作 115分
公開
北米:2007年3月2日
日本:2007年9月1日
製作費 $15,000,000
北米興行収入 $9,396,490
世界 $10,903,850


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
テネシー州。
レイ・ドゥール(クリスティーナ・リッチ)は、州兵に志願する恋人ロニー・モーガン(ジャスティン・ティンバーレイク)と愛し合う。

出発の準備をするロニーは、不安症の発作が起きて吐いてしまう。

元ブルース・ギタリストのラザラス・レッド(サミュエル・L・ジャクソン)は、弟ディークに妻のローズ(エイドリアン・レノックス)を寝取られ、人を避けながら暮らす偏屈な農夫だった。

友人である牧師R.L.(ジョン・コスランJr.)に愚痴をこぼし、祈ってもらいダイナーに入ったラザラスは、待っていたローズと話し合う。

しかし、ローズから愛はないと言われたラザラスは罵倒され、彼女はその場を去る。
...全てを見る(結末あり)

出発するロニーから、彼と同じ腕時計を渡されたレイは、どんなに離れていても自分達は一緒だと言われる。

愛を伝えたロニーは、友人のギル・モートン(マイケル・レイモンド=ジェームズ)の車で旅立ち、それを追うレイはセックス依存症の発作が起きる。

テロン(デヴィッド・バナー)と愛し合ったレイは、男を挑発するような服装と態度で町に向かう。

バーにいたラザラスは、話しに来た弟ディーク(レナード・L・トーマス)を許す気はなく、痛めつけようとする。

野外パーティーで、地球の裏側で生きるのに必死なロニーは自分を忘れるとギルから言われたレイは、ドラッグを飲み意識を失いかける。

皆は帰り、一人残された朦朧とするレイを、ギルが車で送る。

車を止めたギルは、誰とでも寝るレイに迫るが、侮辱されたために彼女を殴り、蹴落として走り去る。

翌朝、R.L.からの電話を受けたラザラスは、昨夜のバーの話は聞いたと言われ、教会に来るように指示される。

ゴミを出しに行ったラザラスは、道路に倒れていた、殴られて意識を失っているレイに気づき、家の中に運ぶ。

自分を見てテロンと口にしたレイに、彼に襲われたのか尋ねたラザラスは、咳をする彼女に薬を買って来ると言って町に向かう。

薬局で薬剤師のアンジェラから声をかけられたラザラスは、姪のために咳の薬が必要だと伝える。

アンジェラから薬を譲ってもらったラザラスは、バーに向かいテロンと話す。

家にいる女の容姿を伝えてレイの名前を知ったラザラスは、彼女が手当たり次第に男と寝ているセックス依存症だと言われる。

家に戻ったラザラスは、床に倒れていたレイの高熱に気づき、看病していることを伝える。

キスされてしまったラザラスは動揺し、聖書を手にして外に出る。

開いた聖書の一節を読んだラザラスは家に戻り、バスタブの氷水にレイを入れて熱を下げようとする。

夜になり、畑でロニーを捜すレイを気づいたラザラスは、彼女を抱いて家に戻り落ち着かせて、倉庫の鎖を持ち出す。

2日後、ようやく正気に戻ったレイとまともに話ができたラザラスは、殴られて道で倒れていたことなどを伝える。

治療費も払えないと言うレイに気にすることはないと伝えたラザラスは、彼女が帰ろうとしたために引き止める。

ソファから起き上がったレイは、鎖でつながれていることに気づき、それを外してもらおうとする。

意識もなく夢遊病者のように動き回るのため、仕方なく鎖でつないだと話すラザラスは、治ったので外してほしいと言うレイの指示に従おうとしない。

なぜ男を求めるのかを問うラザラスは、口答えするレイに、助けたのは自分なので好きにすると伝える。

自分が欲しいのなら、それを済ませた後に帰ると言うレイに、神が自分の元へ遣わしたと信じるラザラスは、忌まわしい部分を正すと伝えて、彼女の心の病を治そうとする。

納得しないレイは、ラザラスを突き飛ばして逃げようとするが、鎖が伸びきって転倒する。

助けを求めて叫ぶレイは、ラザラスから自分に従うようにと指示され、家に引きずり込まれる。

反抗するレイに食事を与え、鎖でつないだまま散歩にも出かけたラザラスは、バカな男達に体を許す考えを改めさせようとする。

翌日、いつものように町に野菜を売りに行ったラザラスは、レイのために洋服と靴を購入する。

薬局にも寄ったラザラスは、薬のお礼だと言ってアンジェラに野菜とボディクリームを渡す。

その頃レイは、ラザラスに豆を貰いに来た少年:リンカーン・ジェームズ(ネイマス・K・ウィリアムズ)を求めてしまう。

家に戻ったラザラスは、レイの相手をさせれれていたリンカーンを追い払う。

そこにR.L.が現れ、説教を聞く気がないラザラスは帰ってもらおうとする。

銃を手にするラザラスに撃つ気なら撃てと言うR.L.は、銃を取りあげて、共に育った親戚だと伝えて、問題を抱えているなら解決方法を考えようとする。

レイのことを知らされたR.L.は驚き、手出しはしていないと言うラザラスは、殴られて倒れていた淫乱の半裸の白人女のことを保安官に届けても、信じてもらえないと伝える。

鎖のことを尋ね、自分で訊くようにとラザラスから指示されたR.L.は、弄ばれ続けたレイに理性のある人間と話をさせたいと言われる。

納屋に逃げ込んだリンカーンと話したラザラスは、何も責任はないと伝えて初体験のことをからかう。

R.L.と話をしたレイは、天国のことを深く考え過ぎてはいけないことと、単なる平穏を求める場所でもないと言われ、自分の天国はと訊かれて、ロニーだと答える。

その頃、除隊したロニーは町に戻り、バーにいたギルと話して、軍隊で極度の不安症と診断されたことを伝える。

音信不通のレイのことをロニーから訊かれたギルは、悪い予感がすると言われるものの白を切る。

R.L.とリンカーンを食事に招待したラザラスは、買ってきたドレスを着たレイと共に支度をする。

ギルと共にレイの家を調べたロニーは苛立ち、入隊すれば大学にも行け他にも拘わらず、レイに恋してしまった理由を話す。

レイが虐待されていた事を知り、自分が不安症の発作が起きた時に面倒を見てくれたたためによくなったと話すロニーは、一緒に暮らすようになってからは、浮気もしないとギルに伝える。

ロニーが旅立った直後から、レイが度々、男を求めていたと伝えたギルは、自分と寝たことも話す。

激怒したロニーは、ギルに襲い掛かって叩きのめし銃を向けて、レイを捜すために彼の車でその場を去る。

R.L.との話や食事で冷静になったレイに、どちらにしても人はやりたいことをするので、好きなように生きればいいと伝えたラザラスは、彼女の鎖を外す。

歌とギターの演奏を希望するレイの要望に応えたラザラスは、うまくいかなかった妻の話をする。

嵐で明かりが消え、虐待された時のことを思い出したレイは怯えてしまう。

翌日、ラザラスと町に向かったレイは、彼が野菜を売る間にスーパーマーケットに向かう。

アンジェラに話しかけられランチに誘われたラザラスは、ボディークリームも使ったことを知らされる。

その場で働く母親サンディ(キム・リチャーズ)に会ったレイは、今度コーヒーでもどうかと誘うが、金の無心かと言われる。

自分は変わりたいと言って仲直りしたいことを伝えたレイだったが、サンディにその気はなかった。

虐待した義父の行為を見て見ぬふりをしていたことを認めさせたいレイはサンディと口論になり、産んだことを後悔しているとまで言われたため、母に暴行する。

スーパーの騒ぎに気づいたラザラスが、レイを抱きかかえて店を出ようとしたため、アンジェラは、彼女が”姪”だと分かる。

帰宅したラザラスはレイの心を癒し、ギターを持ち出して彼女を連れてバーに向かう。

ステージに上がったラザラスは久し振りの演奏を楽しみ、ダンスしたレイも気分が晴れるが、その様子をロニーが見ていた。

翌日、ラザラスのギター演奏でレイは歌い、心和む時間を過ごしていた二人の前に、銃を手にしたロニーが現れる。

ラザラスを殴り倒したロニーだったが、撃つなら撃てと言われて不安症の発作が起きた彼は銃を捨てる。

R.L.を呼んだラザラスは、夢があったと言うロニーとレイの話を聞く。

レイが自分を治してくれたと言うロニーは、彼女の心を癒せないことで苦しむ胸の内を話す。

自分の心を治せるのは、自分自身と主だけだとR.L.から言われたレイは、虐待のことなどが思い浮かび抑えられなくなる”発作”のことを話し、愛しているロニーと一緒の時は大丈夫だと伝える。

ラザラスとR.L.は、問題を抱える二人が望むことをさせてあげることにする。

アンジェラを訪ねたラザラスは、もう一度、手を貸してほしいと伝える。

付添人のリンカーンは、ロニーのネクタイを締めてあげる。

アンジェラの協力でウェディングドレスを着たレイと話をしたラザラスは、父親になったような気持ちで彼女を祝福して抱きしめる。

ロニーとレイは、ラザラス、R.L.、アンジェラ、そしてリンカーンに見守られながら、ささやかな結婚式を挙げる。

旅立つロニーとレイを、ラザラスとアンジェがいつまでも見つめる。

その後、街道でトラックに挟まれたロニーは動揺して発作が起き、車を止める。

それを見たレイも発作が起きるが、ラザラスに励まされたことを思い出し、ロニーを落ち着かせる。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
妻を弟に寝取られ、人を避けながら暮らす偏屈な農夫で元ブルース・ギタリストのラザラス・レッドは、道路で倒れていた若い女性レイを見つける。
恋人ロニーが州兵に志願してしまい、ドラッグを飲んだセックス依存症のレイはトラブルを起こしたのだった。
レイを介抱したラザラスは、夢遊病者のように動き回る彼女を鎖でつないでしまう。
神が自分の元へ遣わしたと信じるラザラスは、レイの心の病を治そうとする。
子供時代の虐待が原因で男を求める発作が起きるレイを、ラザラスは、友人である牧師のR.L.に引き会わせる。
その頃、軍隊で極度の不安症と診断されたロニーは除隊して町に戻り、音信不通になったレイを捜そうとする。
その後ラザラスは、R.L.との話し合いなどで平静が保てるようになったレイの鎖を外してあげるのだが・・・。
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鎖でつながれた若い女性が登場する作品イメージは、バイオレンスかスリラー、ホラー、サスペンスを連想してしまうのだが、セックス依存症の女性と偏屈な初老の男性の友情物語に、ホッとしてしまうのが正直なところだ。

それぞれが特殊な発作を起こすカップルが、主人公と牧師の力を借りて問題を克服しようとする、後半からクライマックスにかけての展開は心和む。

商業ベースには乗らなかった作品ではあるが、主演のサミュエル・L・ジャクソンクリスティーナ・リッチの体当たりの演技などを踏め、深い物語は見応えがある。

また、サミュエル・L・ジャクソンは歌とギター、クリスティーナ・リッチは歌を披露してくれるのにも注目したい。

不安症を抱えながら軍隊に志願するものの、それが原因で除隊させられるレイ(クリスティーナ・リッチ)の恋人ジャスティン・ティンバーレイク、主人公の協力者である、薬局の薬剤師S・エパサ・マーカーソン、主人公の友人である牧師のジョン・コスランJr.、ロニー(ジャスティン・ティンバーレイク)の親友で、レイを痛めつけるマイケル・レイモンド=ジェームズ、レイの母親キム・リチャーズ、主人公の元妻エイドリアン・レノックス、彼女を主人公から奪う弟のレナード・L・トーマス、主人公を慕う少年のネイマス・K・ウィリアムズ、そして、本人の映像でブルース・シンガーでありギタリストのサン・ハウスも登場する。


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