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ブラック・シー Black Sea (2014)

黒海に沈むUボートに積まれたナチスの金塊を引き上げようとするイギリスロシアの男達の運命を描く、製作、監督ケヴィン・マクドナルド、主演ジュード・ロウスクート・マクネイリーベン・メンデルソーン他共演のスリラー。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


スリラー/ホラー


スタッフ キャスト
監督:ケヴィン・マクドナルド

製作
チャールズ・スティール
ケヴィン・マクドナルド
製作総指揮
テッサ・ロス
マーヴ・ハルザディン
ジム・コックレーン
脚本:デニス・ケリー
撮影:クリストファー・ロス
編集:ジャスティン・ライト
音楽:イラン・エシュケリ

出演
ロビンソン:ジュード・ロウ
ダニエルズ:スクート・マクネイリー
フレイザー:ベン・メンデルソーン
ピータース:デヴィッド・スレルフォール
トビン:ボビー・スコフィールド
ブラッキー:コンスタンチン・ハベンスキー
ザイツェフ:セルゲイ・プスケパリス
レイノルズ:マイケル・スマイリー
モロゾフ:グリゴリー・ドブリギン
ババ:セルゲイ・ヴェクセル
レフチェンコ:セルゲイ・コレスニコフ
ギッテンス:ブランウェル・ドナヒー
クリシー:ジョディ・ウィッテカー
ルイス:トビアス・メンジーズ
リアム:カール・デイヴィス
カーストン:ダニエル・ライアン

イギリス/アメリカ 映画
配給 フォーカス・フィーチャーズ
2014年製作 115分
公開
イギリス:2014年12月5日
北米:2015年1月23日
日本:2015年8月15日
北米興行収入 $1,171,560


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
海洋サルベージ会社”アゴラ”で11年間働いたロビンソン(ジュード・ロウ)は解雇され、担当のリアム(カール・デイヴィス)から慰労金の8640ポンドを受け取る。

家庭も犠牲にして働き、15年の海軍時代を含めて30年近く潜水艦に乗っているロビンソンは不満を訴えるが、今日中に私物を整理するようにと言われる。

職安に通うロビンソンは、別れた妻クリシー(ジョディ・ウィッテカー)と息子マーティンの姿を見ても、声をかける気にはなれなかった。

同じようにアゴラを解雇された友人のカーストン(ダニエル・ライアン)とロシア人のブラッキー(コンスタンチン・ハベンスキー)とパブで会ったロビンソンは、12歳になる息子のマーティンが、顔も知らない金持ちに育てられていると思うと、自分が情けないと話す。
...全てを見る(結末あり)

カーストンからデカい話があると聞いたロビンソンとブラッキーは、後援者となるルイス(トビアス・メンジーズ)に会うために彼の屋敷に向かい、部下のダニエルズ(スクート・マクネイリー)からルイスを紹介してもらうことになる。

1941年、財政が破綻する寸前だったナチス・ドイツは、侵攻を懸念するスターリンの考えを利用して8000万ライヒマルクに相当する金塊で融資を要求した。

しかし、ヒトラーは不可侵条約を破り、ソ連に侵攻して4年間で2000万人が死亡した。

1950年代にソ連の政治局高官の間でスターリンが融資に応じたという噂が流れ、Uボートに2トンの金塊を積んで送り出したものの、ヒトラーには届かなかった。

1980年代にジョージア(旧グルジア)で海嶺が発見され、アゴラがその場で発見したUボートは、水深が90メートルなので行くことは可能だった。

2008年に、アゴラはジョージアと取引して同意を得るが、1か月後に”ロシア・グルジア戦争”が勃発し、その海嶺の領有国が曖昧になり、ロシアは取引の件を、ジョージアは場所を知らない状態となり、アゴラは、紛争が収まらねば動けないことになったとルイスは知らされる。

自分に何を求めているのかを尋ねたルイスは、ロビンソンから潜水艦が必要だと言われる。

セヴァストポリの業者が潜水艦を18万ドルで手配し、イギリス人とロシア人の乗員も必要だと言われたルイスは、利益が4000万ドル以下なら4割、それを超えた分は2割をもらうとロビンソンに伝える。

それを承知したロビンソンは、カーストンに連絡するものの電話に出ない。

カフェに寄ったロビンソンは、フォックストロット級潜水艦なので12人は必要だと考え、海軍出身のレイノルズ(マイケル・スマイリー)とピータース(デヴィッド・スレルフォール)、ロシア人のレフチェンコ(セルゲイ・コレスニコフ)、エンジン員ザイツェフ(セルゲイ・プスケパリス)、ソナー員ババ(セルゲイ・ヴェクセル)、海図担当モロゾフ(グリゴリー・ドブリギン)、潜水員フレイザー(ベン・メンデルソーン)とギッテンス(ブランウェル・ドナヒー)を乗員に選ぶ。

ルイスから同行するようにという指示を受けたダニエルズは、閉所恐怖症だとロビンソンとブラッキーに伝える。

カーストンに連絡がとれないままアパートに戻ったロビンソンは、入り口で待っていた若者トビン(ボビー・スコフィールド)から、カーストンが自殺したことを知らされる。

いつも飲んでいた抗うつ剤を全部飲んだカーストンが、借金があり保険金のために自殺したと知ったロビンソンはショックを受ける。

空腹そうなトビンが宿のないことを知ったロビンソンは、18歳だと言う彼を仲間に入れる。

クリミア半島セヴァストポリ
老朽潜水艦に乗り込みチェックを始めたロビンソンは、脱出用のスーツを確認する。

乗員に持ち場を確認させたロビンソンは、出航の準備をする。

ピータースから、脱出用スーツがないことと無線も1回線しか使えないと言われたロビンソンは、海上にロシアの艦隊がいるので、どうせ無線は使わないと伝える。

ロシア人が、”童貞がいると不吉だ”と言ってごねているとブラッキーから知らされたロビンソンは、トビンのことをそう思っている者達の意見など聞く気はなかった。

乗員を集めたロビンソンは、4000万ドルはあると思える金塊の4割は出資者に渡すが、残りは全員で山分けすることを伝える。

それに意見したダニエルズは、山分けする人数が減った場合のことを考える者がいると心配する。

出航したロビンソンは、潜航して目的地に向かう。

ブラッキーから、エンジンを整備するザイツェフに助手がいると言われたロビンソンは、指名したトビンを彼が嫌っていることを知る。

トビンと組むのが嫌なら艦から下ろせというロビンソンからの指示を受けたブラッキーは、ザイツェフを説得する。

バルブを回すための簡単なロシア語をトビンに教えたブラッキーは、その場を任せる。

ロシア人を疑うフレイザーは、レフチェンコが作った食事にケチをつける。

手が空くと携帯電話の写真を見ているトビンが気になったロビンソンは、恋人ではないその女性が妊娠しているらしいことを知り、リッチになって帰れるので心配するなと伝える。

童貞はデマだったと話すロビンソンに、トビンは、誰がそんなことを言ったのか尋ねる。

エンジンが停止したためにソナー室に向かったロビンソンは、ブラッキーから、前方にエンジン音が聴こえたと言われる。

ババは、ロシアの駆逐艦が速力20ノットで航行中と報告し、それは近づき通過する。

ロビンソンは、1時間3ノットで進み、その後に通常航行するようブラッキーに指示を出す。

安心したダニエルズ話しかけられたモロゾフだったが、何も答えようとしない。

その後も、イギリス人とロシア人は警戒し合い、艦はUボートの真上に到着し、尚もエンジンの整備は続く。

ブラッキーから、ロシア人に金を多く払い過ぎることでイギリス人から不満が出ていると言われたロビンソンは、皆で山分けする考えを変えない。

買った宝くじが当たったギッテンスが、レフチェンコから共同購入したと言われて騒ぎを起こし、話を聞いたロビンソンは、無線で当選を知ったことを知る。

無線機を斧で壊したロビンソンは、3万のために皆を危険にさらしたと言って、ギッテンスのくじを燃やし、奪った宝は山分けにすることを再び皆に伝える。

ザイツェフの指示を受けたトビンはバルブ操作を誤り、ブラッキーに責められたためにフレイザーが擁護する。

言い争いになったフレイザーは、ブラッキーをナイフで刺してしまう。

よろめいて倒れたブラッキーがバケツの燃料をこぼしてしまい、火花が散っていたシャフトに引火して爆発が起きる。

艦はダメージを受けて沈み、ロビンソンは頭を打って気を失う。

クリシーとマーティンの夢を見ながら目覚めたロビンソンは、ブラッキーの焼死体を確認する。

18時間眠っていたと言われたロビンソンは、ロシア人を銃で脅して追い払い、ドライブシャフトとバラストタンクが爆発で壊れたことを知らされる。

バッテリーが持つのは約36時間で、ロシア人は水を確保して艦の反対側を占拠しこちらの食料を狙っていると、フレイザーがロビンソンい伝える。

ピータースから、全てお前のせいだと言われたフレイザーは黙ってしまう。

ロシア側に向かったロビンソンは、英語が通じたモロゾフに協力を求める。

この潜水艦はUボートを基に設計されていると言うロビンソンは、付近に沈んでいると思われるUボートのドライブシャフトが使えるとモロゾフに伝える。

70年間、深海にあっても酸素が存在しない状況なら劣化はしないと言うロビンソンは、航行は無理だが海面に浮上させる考えを伝えて、全員の協力を求める。

ババとザイツェフがブラッキーを殺したフレイザーに復讐しようとしていると言われたロビンソンは、何とか説得してほしいとモロゾフに伝える。

遺体を外に出すよう指示したロビンソンは、戻ってきたロシア人の協力を得て、ババが何かを発見してモロゾフに知らせる。

約100mの位置にUボートがある可能性があるため、ロビンソンは潜水員を送ることを考え、スキューバダイビングの経験があるトビンが志願し、フレイザーとピータースと共に向かうことになる。

緊張するトビンに潜水服を着せるロビンソンは、フレイザーを信頼するようにと伝える。

酸素量を考えるとチャンスは一度だとロビンソンから言われたフレイザーは、ピータースとトビンと共に海中に向かう。

前進していた三人だったが、放出されたブラッキーの死体が現れたためにトビンが驚いて取り乱す。

崖に落ちそうになったトビンは助けられ、ロビンソンは三人の無事を確認する。

目的の場所に到着したフレイザーは、そこが単なる丘だと判断し、Uボートがある海嶺でないことをロビンソンに伝える。

しかし、トビンがUボートの”ハーケンクロイツ”を見つけて、それを知ったロビンソンらは喜ぶ。

艦内を調べたフレイザーらは、つながれている白骨死体を見つけて、乗員が人を食べて生き延びていたことを知る。

ドライブシャフトが使えるだろいうということをピータースに確認したフレイザーは、それを運び出すのをトビンに手伝わせえる。

金塊を見つけたフレイザーは、ドライブシャフトのことをロビンソンに伝えて艦に戻ろうとする。

荷車をウィンチで引くものの、4トンの重みがあることを知ったロビンソンは、金塊を積んでいると考える。

ドライブシャフトを運ぶのが先決だと言うダニエルズの意見を聞かずに移動する指示を出したロビンソンは、崖があることを知り、前進が可能かフレイザーに判断させる。

いけるというフレイザーだったが、ピータースが崖に落ちてしまう。

フレイザーとトビンは艦に戻り、ロビンソンから、浮上するのに必要な人数が9人だと言われたダニエルズは、自分が加わることを拒む。

動揺するダニエルズはロビンソンと話し、今回の件はアゴラが裏で操っている計画で、富豪のルイスは雇われた俳優であり、海上に浮上すれば海事法違反で逮捕されることを伝える。

アゴラが既にジョージアと話しをつけてあると言われたロビンソンは、自分はカーストンから話を聞いたとダニエルズに伝える。

カーストンと話したパブの場所と時間を知っているダニエルズから、カーストンには3万ドル払ったと言われたロビンソンは、まだ子供のトビンを連れて来てしまい、何人も死なせてしまったことを後悔する。

憤慨したロビンソンはズボンのベルトを外してダニエルズに渡し、怒りを抑えられない者から身を守るために、ドアを固定するようにと伝えてその場を去る。

それを皆に知らせたロビンソンは、ダニエルズを殺すという意見を退け、金塊を手に入れるために、東に向かわず南下して、トルコの北にあるサムスンに向かう考えを伝える。

賛成しない者達に、儲けるために食いものにされ、今までと同じ人生を歩むことを選ぶのかと問うロビンソンは、艦がもたないと言われる。

半日もてば何とかなると伝えたロビンソンは、ドライブシャフトを交換させる。

金塊を運び込んだロビンソンは、4.3トンが1億8244万8000ドルに相当することを皆に伝えて興奮する。

ダニエルズを部屋から出したロビンソンは、フレイザーの助手をさせる。

エンジンを始動させたロビンソンは慎重に移動するが、浅瀬に入ってしまい、谷を通過しようとする。

無理だと言うフレイザーはそれに反対するが、意見を聞こうとしないロビンソンは、持ち場に戻るよう命ずる。

ダニエルから、一人死ねば浮上するしかないと言われたフレイザーは、ザイツェフを殺すようにとそそのかされる。

フレイザーはザイツェフをスパナで殴り殺し、艦の推進力が落ちる。

ダニエルから、隆起に接触したショックでザイツェフが死んだと言われたロビンソンは、ダニエルズにザイツェフを殺したことを白状させようとする。

生きて帰れればいいと言うトビンは、ダニエルズが正しいとロビンソンに意見する。

その時、電気系の爆破が起きて、艦は沈み始めて浸水する。

浸水を止めようとして吹き飛ばされ、意識を失い呼吸が止まったトビンを助けたロビンソンは、必死に蘇生措置をする。

ダニエルズは、レイノルズやババを置き去りにしてハッチを締めてしまう。

トビンは息を吹き返し、ロビンソンは安堵する。

次のハッチで衣服が挟まったダニエルズは身動きができなくなり、モロゾフに助けを求めるものの見捨てられる。

モロゾフから艦と皆は死んだと言われたロビンソンは、隠してあった脱出用スーツが3個あることを伝える。

それをモロゾフから非難されたロビンソンは、諦めてほしくなかったからで成功を信じていたと伝える。

陰謀を企んだ者達の思うようにさせたくないと伝えたロビンソンだったが、モロゾフから、その者達よりも酷いことをしたとと言われる。

モロゾフとトビンにスーツを着せたロビンソンは、浮上の仕方を教える。

1つが50万ドルの金塊を持って行こうとするトビンに、脱出したければ諦めろと伝えたロビンソンは、発射管に入るよう二人に指示する。

自分は水圧を調整し、発射管の緊急用レバーで脱出すると言うロビンソンは、トビンに息子のそばにいてあげるようにと伝える。

発射管から排出されたトビンは海面に浮上して、モロゾフの元に向かう。

ロビンソンを待つと言うトビンだったが、モロゾフからm発射管には緊急用レバーはないことを知らされる。

水圧に耐えるハッチを見つめながらタバコを吸うロビンソンは、クリシーと息子マーティンのことを想う。

浮上した脱出用スーツに近づいたトビンとモロゾフは、クリシーとマーティンの写真と共に入っている金塊を確認する。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
家庭を犠牲にしてまで働き続け、妻クリシーと息子と別れて暮らしていたロビンソンは、11年間勤務した海洋サルベージ会社”アゴラ”を解雇されてしまう。
同じく解雇された友人のカーストンから、ある話をされたロビンソンは、後援者のルイスの元に向かう。
ダニエルズからルイスを紹介されたロビンソンは、第二次大戦下に、ナチスロシアから融資を受けた際の金塊が、ジョージア(旧グルジア)沿岸の海嶺に沈んでいることを伝えて援助を求める。
援助を受けたロビンソンとロシア人のブラッキーは、イギリスロシア人の乗員を集める。
カーストンが自殺したことを知らせに来た若者トビンも仲間に入れたロビンソンは、クリミア半島セヴァストポリに向かい、老朽潜水艦を手に入れて整備し、目的地に向けて出航するのだが・・・。
__________

ラストキング・オブ・スコットランド」(2006)、「消されたヘッドライン」(2009)、「第九軍団のワシ」(2011)などの話題作を手掛けたケヴィン・マクドナルドが、製作も兼ねる監督作品。

黒海に沈んでいるナチスUボートに積まれた金塊を引き上げようとする男達の運命を描く内容が興味深いことに加え、ドキュメンタリー映画作家でもあるケヴィン・マクドナルドの、緊迫感溢れるリアルな演出が見どころの作品。

イギリスロシア人が一触即発状態で協力し合う艦内の緊張感と、冒険家のような夢を追う乗員の姿などを映し出す描写を含め、様々な個性の登場人物の役柄の配分なども見事で、まとまりのある作品に仕上がっている。

商業的には成功した作品ではないが、批評家からは高く評価された。

スマートで清潔感がある役が似合うジュード・ロウだが、イメージを一変するタフな役柄を演じているのが注目だ。
全てを失いかけながら、人生を賭けて大仕事に挑む海の男を熱演している。

海洋サルベージ会社”アゴラ”に派遣されていた陰謀を知るスクート・マクネイリー、潜水員のベン・メンデルソーンイギリス人の乗員マイケル・スマイリーデヴィッド・スレルフォール、ブランウェル・ドナヒー、ロシア人のセルゲイ・コレスニコフ、エンジン員のセルゲイ・プスケパリス、ソナー員のセルゲイ・ヴェクセル、海図担当のグリゴリー・ドブリギン、主人公に可愛がられる若者ボビー・スコフィールド、主人公の妻ジョディ・ウィッテカー、アゴラに雇われ後援者を演じた俳優のトビアス・メンジーズ、主人公に解雇を伝えるアゴラの社員カール・デイヴィス、主人公に金塊の話をする友人のダニエル・ライアンなどが共演している。


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