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ブラックハット Blackhat (2015)

破壊工作により先物相場を動かし巨額の利益を得ようとするサイバー・テロ組織に対抗するハッカーの戦いを描く、製作、監督マイケル・マン、主演クリス・ヘムズワースワン・リーホンタン・ウェイヴィオラ・デイヴィス他共演のサスペンス。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(サスペンス/犯罪)


スタッフ キャスト
監督:マイケル・マン

製作
マイケル・マン
トーマス・タル
ジョン・ジャシュニ
製作総指揮
アレックス・ガルシア
エリック・マクレオド
脚本:モーガン・デイビス・フォール
撮影:スチュアート・ドライバーグ
編集
ジョー・ウォーカー
ステファン・E・リヴキン
音楽
ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
アッティカス・ロス

出演
ニコラス・ハサウェイ:クリス・ヘムズワース
チェン・ダーワイ大尉:ワン・リーホン
チェン・リエン:タン・ウェイ
キャロル・バレットFBI捜査官:ヴィオラ・デイヴィス
マーク・ジェサップ連邦保安官補:ホルト・マッキャラニー
アレックス・トラン刑事:アンディ・オン
エリアス・カサール:リッチー・コスター
サダック”ブラックハット”:ヨリック・ヴァン・ヴァーヘニンゲン
リッチ・ドナヒューNSA局員:ウィリアム・メイポーザー
ヘンリー・ポラックFBI捜査官:ジョン・オーティス
アロンゾ・レイエス/ロザーノ:マニー・モンタナ

アメリカ 映画
配給 ユニバーサル・ピクチャーズ
2015年製作 133分
公開
北米:2015年1月16日
日本:2015年5月8日
製作費 $70,000,000
北米興行収入 $8,006,000
世界 $19,652,060


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
香港チャイワン
原子力発電所のシステムに何者かがハッキングし、冷却ポンプが破壊されて爆発事故が起きる。

作業員8名が死亡し27名が入院する事態となり、半径10キロ以内の住民は避難する。

ペンシルベニア州。
収監中のハッカー、ニコラス・ハサウェイ(クリス・ヘムズワース)は、携帯電話を使い不正アクセスし、囚人達の購買用口座の残高を増やしたことで取り調べを受ける。

中国政府は事件の調査を軍に命じ、サイバー防衛担当のチェン・ダーワイ大尉(ワン・リーホン)は、RAT(遠隔操作ツール)が使われたことを上官に伝える。

同様に攻撃を受けたアメリカの原発は、ソウトウェアが異なっていたために侵入を免れたこともチェンは説明する。

RATのコードは不明で、原発の汚染された制御室にも入れず、犯人から何も要求がないため、チェンは、FBIと連携してコードを知るしかなかった。
...全てを見る(結末あり)

ロサンゼルスFBI支部。
中国側から連絡を受けた捜査官のキャロル・バレット(ヴィオラ・デイヴィス)は、上司のヘンリー・ポラック(ジョン・オーティス)と共に、アメリカで育ちMITを卒業した超エリートのチェンの経歴を確認する。

チェンの妹リエン(タン・ウェイ)がネットワーク技術者であることも知らされたポラックは、中国側を警戒しながら連携するようバレットに命ずる。

バレットから送信されたコードを受け取ったチェンは、リエンに会い、ネットワーク技術者が必要だと伝えて協力を求める。

シカゴマーカンタイル取引所
システムがハッキングされ、大豆相場が急騰して市場は混乱する。

ロサンゼルス
バレットに迎えられたチェンは、今回のハッキングも原発と同じで、RATによるものと説明する分析官を子ども扱いし、収監中である大学のルームメイトだったハッカー、ハサウェイに協力させることを提案する。

司法省が許可するか難しい状況を説明するバレットは、自分とハサウェイが作ったRATを、今回のハッカーが改変したとチェンに言われる。

バレットは、何としてもハサウェイの能力が必要だとチェンに言われる。

政府から協力を求められたハサウェイは、利用されることを嫌い、自分の力によって事件が解決できたら、一時出所ではなく釈放するようにという条件を受け入れさせる。

出所したハサウェイと再会したチェンは、移動するプライベートジェットの機内で、早速、コードについて話を始める。

端末を許可なしに使ったことで意見するバレットとチェンは口論となり、リエンが間に入る。

シカゴマーカンタイル取引所
ハサウェイはシステムを調べ、バレットは、最近、退社したロザーノという社員のことを知る。

犯人がわざと目立つ行動をしていることに気づいたハサウェイは、次の攻撃目標を考える。

重役補佐のロザーノ、本名アロンゾ・レイエス(マニー・モンタナ)の顔写真などが確認され、カードの不正使用で2年服役したことなどがポラックから知らされる。

レイエスがロサンゼルスにいることも分かり、ポラックは身柄を確保することをバレットらに伝える。

警察無線が傍受されていることを指摘するハサウェイは、自分達が行けば気づかれないと言って現地に向かう。

ロサンゼルス
連邦保安官補マーク・ジェサップ(ホルト・マッキャラニー)に監視されながら、ハサウェイは、リエンと共にレイエスのアパートを調べようそする。

その間バレットとチェンは、大豆相場で大きく設けたトレーダーを探す。

管理人に部屋に入れてもらったハサウェイは、奥の部屋で死んでいるレイエスを発見する。

ハサウェイとリエンはレイエスのパソコンを調べ、”受け渡し場所”を尋ねるメールをチェックし、それが韓国料理店であることを確認する。

その場に向うことと会う約束をして、ハサウェイは相手にメールを返信する。

それを知らされたバレットは、チェンと共に、買いではなく売りの線で探す。

メールの件を話し手掛かりをつかめると考えたハサウェイは、リエンと共に韓国料理店に向かう。

食事をしながら、刑務所に入った理由などを話すハサウェイは、今でも受刑者のようだとリエンに言われ、現実を見つめるよう助言される。

ハサウェイは、手強いハッカーに必ず勝てるとリエンに励まされる。

三つの口座が完璧な売りに動いていたことに気づいたバレットは、それが香港だとチェンに言われる。

誰も現れないために店の奥を調べたハサウェイは、回線のIPアドレスを調べ、自分達がウクライナドニプロペトロウシグからの遠隔操作で、カメラにより監視されていることに気づく。

相手にそれを伝えたハサウェイは脅され、リエンの元に戻るものの、男達に襲われる。

男達を叩きのめしたハサウェイは、リエンと共にその場から逃れる。

チェンに連絡を入れたハサウェイは、レイエスは殺害され、メールは罠であり、自分達が追っているかを確かめるためのもので、監視映像がウクライナ経由で送られたことを伝える。

大豆相場も香港の3つの口座が絡んでいることを知ったハサウェイは、口座の総額7400万ドルを追うとチェンに言われる。

リエンに代わったチェンは、敵に顔が知られたため警戒させる。

帰国することをハサウェイに伝えたリエンは、惹かれ合うようになっていた彼と愛し合う。

香港チャイワン
事故現場の原発に向かったハサウェイらは、攻撃の目的を考える。

チェンらと共に、ある犯罪者を監視しているアレックス・トラン刑事(アンディ・オン)の元に向かったハサウェイは、彼らに指示を与えている者を探す。

盗品密売業者のレバノン人エリアス・カサール(リッチー・コスター)に目を付けたハサウェイらは、カサールが監視カメラに映っていた場所でBluetooth送信機を見つける。

カサールがそれを使い指示を与えていたことに気づいたハサウェイは、チェンとバレットと話し合い、彼を泳がせることにする。

3口座の金がマカオのカジノに動き始め、チェンは特殊部隊を率いハサウェイらと共にカサールを逮捕しようとする。

チェンらは、抵抗するカサールらと銃撃戦になり、トランが銃弾を受けて死亡する。

しかし、カサールらはボートで逃走してしまう。

原発の原子炉の水位が安定し、制御室に入れることになったチェンらは、完全防備でその場に向かう。

制御盤のハードディスクを取り出したハサウェイはその場を離れ、リエンがそれを解析するが、データは断片化されていた。

バレットは、NSA(国家安全保障局)が所持する機密プログラム”ブラック・ウィドウ”で、断片化されたデータを復元できる可能性があることをハサウェイに伝える。

NSAのリッチ・ドナヒュー(ウィリアム・メイポーザー)に連絡したバレットは協力を拒まれ、ログインして使うことを知ったハサウェイは、システムに侵入しようとする。

チェン、バレット、ジェサップに、この場にいない方がいいと伝えたハサウェイは、リエンと共に作業にかかる。

ドナヒューの上司に成り済まし、FBI中国の連携捜査の件を伝え、彼にパスワードを変更させたハサウェイは、システムに侵入して”ブラック・ウィドウ”を起動させる。

IPアドレスとサーバーがジャカルタにあることを突き止めたハサウェイは、現地へ行きサーバーに侵入することをバレットに提案する。

サーバーには侵入できないリエンだったが、マレーシアの衛星写真を入手するために、口座から高額が支払われていることに気づく。

ジャカルタに向かう許可を上官から得ようとしたチェンだったが、ハサウェイがNSAのシステムに侵入したことが知られ、アメリカ側から身柄の引き渡しを要求されていると言われる。

ハサウェイが犯人の居場所を突き止めたと言ってそれを拒むチェンだったが、国益を優先する上官から指示に従うよう命ぜられる。

チェンから連絡を受けたリエンは、その件をハサウェイに知らせる。

ハサウェイの件でポラックに責められたバレットは、彼を連行して帰国するよう命ぜられる。

姿を消したハサウェイの居場所を追跡装置で調べたバレットは、ジェサップと共に彼を追う。

チェンに会ったハサウェイは事情を知らされ、命令に背き自分を逃がそうとする彼から、ジャカルタに向かうよう指示される。

事態が好転するとは思えないハサウェイとチェンは、リエンに同行させないことを伝える。

車で現れたハサウェイとチェンにデータを渡したリエンは、納得いかないままその場を離れる。

リエンに話しかけるハサウェイは、状況を理解してほしいことを伝え、チェンを責めるなと言って説得する。

チェンに笑顔を見せたリエンだったが、次の瞬間、車が爆破される。

ハサウェイとリエンはカサールらに銃撃され、駆けつけたバレットとジェサップが応戦する。

バレットとジェサップは射殺され、ハサウェイとリエンはその場から逃れる。

追跡装置を外したハサウェイは、リエンと共にマレーシアの衛星写真の場所に向う。

ペラ
その場の施設が、チャイワンの原発と同じポンプと制御装置を使っていることを知ったハサウェイは、原発事故が、原子炉ではなくポンプを狙った予行演習だったことに気づく。

この場のポンプも破壊し、錫鉱山を水没させるて錫の価格を急騰させるのが目的であり、奪った7400万ドルは、錫の先物を買う資金だとハサウェイはリエンに説明する。

インドネシアジャカルタ
騒ぎを起こし、イントラーマー社のサーバー室に向いシステムに侵入したハサウェイは、データをコピーして持ち帰りリエンと解析する。

ウィルスによりポンプを破壊し5つの谷を水没させる計画を知ったハサウェイは、大豆相場の現金7360万ドルが地元の銀行にあるとリエンに言われる。

銀行に向かったリエンは、書類をコーヒーで汚してしまったと言って、行員にプリントしてしてもらうためにUSBメモリを渡す。

それがPCに接続された瞬間にプログラムが作動し、ハサウェイがシステムに侵入し、3つの口座の7360万ドルを他の銀行に送金してしまう。

リエンは戻り、ハサウェイは犯人に電話番号を教えて挑発するものの連絡がない。

カサールからの連絡を受けたハサウェイは、ボスと話すと言って電話を切る。

ハサウェイは、黒幕のサダック”ブラックハット”(ヨリック・ヴァン・ヴァーヘニンゲン)からの電話を受ける。

電話でしか交渉しないと伝えたハサウェイは、錫鉱山の攻撃で得る利益の20%を要求する。

会って直接交渉することを望むサダックの要求を聞き入れたハサウェイは、カサールと来るよう指示し、計画道理になったとリエンに伝える。

準備をして交渉する場所に向かおうとしたハサウェイは、サダックに電話をして、カサール以外の者達を帰し、別の場所で会うことを伝える。

パプア広場。
カサールに近づいたハサウェイは銃を向けられるものの、隠し持っていたドライバーを凶器にして、彼の頭部に突き刺して殺害する。

サダックに銃を向けたハサウェイは、銃やプログラム、そしてコードはどうでもいいと言って、チェンらの仇を討とうとする。

民衆の中で、サダックの手下に銃撃されたハサウェイは反撃する。

ナイフを手にして襲いかかって来たサダックを殺害したハサウェイは、傷つきながらリエンと共にその場を逃れる。

腹部に雑誌などを巻き付けて防御していたハサウェイだったが、深い傷の手当てをしてリエンに介抱される。

翌日、空港のATMで出金したハサウェイは、残高の4675万ユーロを確認する。

そしてハサウェイは、リエンと共に警戒しながら出国しようとする。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
香港チャイワンの原発のシステムにハッカーが侵入し、爆発事故が起きる。
中国政府は軍に対処を命じ、サイバー防衛担当のチェンが、FBIと連携して犯人を突き止めようとする。
ネットワーク技術者の妹リエンと共にアメリカに向かったチェンは、FBI捜査官バレットに迎えられる。
今回の事件にRAT(遠隔操作ツール)が使われていたことを知ったチェンは、それを共同で作った服役中のハッカーである、大学のルームメイトだったニコラス・ハサウェイの協力が不可欠だとバレットに伝える。
出所したハサウェイはチェンらに協力し、監視されながら犯人追跡の手掛かりを得ようとするのだが・・・。
__________

製作、監督のマイケル・マンと、期待の若手スター、クリス・ヘムズワースが組んだ作品ということで注目された作品。

マイケル・マンの、リアリズムを追求する映像とシャープな演出が随所で生かされている作品ではあるが、彼自身が参加しなかったせいか、脚本の弱さが気になる。

単なるとハッカーと言っては語弊があるが、その主人公が、FBI連邦保安官以上の行動力と、工作員か殺し屋のような能力があることが不自然でならない。

また、犯人が事件を起こした理由である、大規模な破壊工作による相場操作など、成功したとしても捜査を逃れられるはずがないような、荒唐無稽な内容も気になる。

主演を演じられるスタートして、容姿、雰囲気共に問題ないクリス・ヘムズワースは、ハッカーという役柄であるため仕方がないが、マイケル・マン作品の主人公としては、やや貫録が足りない感じもする。

熱演はするものの、中国人エリート兄妹役のワン・リーホンタン・ウェイアジア人的美形コンビも、世界規模の大事件に対処する人物としては適役だったか疑問で、物語に深みが欠ける要因ではなかろうか。

マイケル・マン作品としては、批評家、観客共に珍しく評価は低く、興行的にも、7000万ドルの製作費を回収するどころではない、大失敗作に終わってしまった。

北米興行収入 $8,006,000
世界 $19,652,060

事件捜査に協力するFBI捜査官ヴィオラ・デイヴィス、同じく連邦保安官ホルト・マッキャラニー香港の刑事アンディ・オン、犯人一味のリッチー・コスター、そのボス、ヨリック・ヴァン・ヴァーヘニンゲンNSA局員ウィリアム・メイポーザーFBI捜査官ジョン・オーティス、犯人一味のマニー・モンタナなどが共演している。


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